一時使用賃貸借契約とは?リロケーションで使われる転勤者におすすめの契約方法

転勤時に持ち家を賃貸に出す際には、借主と貸主、もしくは賃貸管理会社との間で賃貸借契約を結ぶ必要があります。契約にはいくつかの種類がありますが、将来的に帰ってくることが決まっている家を貸すのであれば、一時使用賃貸借契約がおすすめです。こちらでは、一時使用賃貸借契約の特徴やメリット、ほかの契約との違いについて解説します。

1. 帰ってくる家を貸すなら一時使用賃貸借契約

一時使用賃貸借契約とは?リロケーションで使われる転勤者におすすめの契約方法

一時使用賃貸借契約は、持ち家を一時的に賃貸として貸し出したい場合に用いられる契約方法です。たとえば転勤などで、数年の期間だけ「一時的に」賃貸に出す場合が該当します。

また、一時使用賃貸借契約は、契約時に定めた契約期間は遵守しなければいけませんが、3ヶ月前までに告知すれば解約可能です。そのため、定期借家契約よりも期間の柔軟性が高い契約方法です。

借主に対して解約を申し入れる際にも、「転勤の終了」のように一時使用で貸す目的が終了すればスムーズに物件を明け渡してもらえます。

こうした背景もあり、転勤時に持ち家を賃貸に出すリロケーションでは、一時使用賃貸借契約が多く利用されています。ただし、入居者の立場が不安定となるため、2年以上の賃貸保証期間を設定して貸し出すことが一般的です

期間を限定した契約であるため、普通借家契約と比較して借主が見つかりにくく、賃料を低めに設定する傾向にある点はデメリットとして挙げられます。

【一時使用賃貸借契約がおすすめの人の特徴】

  • 転勤など、一時的に家を貸し出したい人
  • 転勤や建替え工事など期間が変更になる可能性が高い

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1-1. 普通借家契約との違いは?

一般的な賃貸契約では、普通借家契約が用いられます。一時使用賃貸借契約との大きな違いは、“解約の事由”の必要性です。

普通借家契約は前述のとおり、賃借人保護の観点が強く、契約期間満了後は借主が望む限り更新が行われる前提にあります。そのため、貸主が解約を申し入れる際は、「正当な事由」(※裁判所の判断)が必要になります(借主からの合意が得られない場合)。

一方、一時使用賃貸借契約では、事前に取り決めた条件が揃うことで契約が終了。そのほかの事由は不要です。リロケーションの場合、「転勤から本人、もしくは家族が帰ってくるまで」といった条件が設定されます。

1-2. 定期借家契約との違いは?

次に定期借家契約の特徴も見ていきましょう。

貸主借主双方合意による契約内容の変更がない限り、事前に決めた期間を満了することで解約できます。「正当な事由」なしに契約を終了できるという点は、一時使用賃貸借契約と同じです。一方借地借家法が適用されること、解約のためには1年~半年前の予告が必要、ということが一時使用賃貸借契約との大きな違いです

転勤時に持ち家を賃貸に出すリロケーションでは、以下のような状況で用いられることがあります。

  • 一時使用賃貸借契約の条件を満たせない場合
  • 不動産仲介会社が一時使用賃貸借契約を取り扱っていない場合
  • 転勤期間中の売却など、帰任前の用途変更が想定される場合

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定期借家契約とは?メリットや注意点、他の契約との違いを解説

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契約方法による違い
一時使用賃貸借契約 定期借家契約 普通借家契約
一般的な
契約期間
転勤であれば
帰任するまで
※ただし「短くとも〇年間」という保証期間を2年以上で設ける
「〇年間」というように期限となる日付を予め定める 2年ごとに
契約の更新がある
※解約できるとは限らない
オーナーからの
解約
3か月前に
解約予告で可
契約期間満了に伴う解約
※満了を迎える1年~半年前までに解約の意思を伝えなければならない
解約には
正当事由が必要
適正とされる
賃料
普通借家契約の
相場の8割程度
普通借家契約の
相場の8割程度
最も多い契約なのでいわゆる相場とされる
契約するための
特別な条件
転勤など一時的な賃貸を必要とする具体的な理由が要る 特になし 特になし

2. 一時使用賃貸借契約のメリット、デメリットは?

ここからは、一時使用賃貸借契約のメリットをより詳しく見ていきましょう。合わせて、デメリットについても解説します。

2-1. 転勤終了後でもスムーズに帰ってこられる

普通借家契約の場合、賃貸人が解約を申し出る際に正当な事由が必要です。一方で、一時使用賃貸借契約は帰任に合わせて3カ月前の申し出で解約が可能です。定期借家契約よりも短期間となるため、自宅に戻るタイミングを決めやすい点がメリットです。加えて、賃貸期間の延長も容易であるため、結果的に転勤期間いっぱいまで自宅を貸し出せます。

2-2. 長期入居によるリスクの軽減にも効果的

迷惑行為を行う入居者と契約してしまうような賃貸リスクは、どの物件であれ少なからず存在します。当然、貸主様にとって好ましい状況ではありませんし、ご近所の方へ迷惑がかかるようなことも避けたいものです。

こうした場合の解決策のひとつとして、中途解除があります。その際は「状況が正当な事由に当たるか」「証拠が確保されているか」「契約解除に持ち込めるか」といった条件を確認し、不動産管理会社などと相談しながら進めていかなくてはなりません。

しかし、借地借家法は賃借人保護の観点が強く、契約解除には高いハードルが存在します。物件をゴミ屋敷にしたり、周囲に激しい騒音を響かせたりする入居者であったとしても、その状況が正当な事由となかなか認められなければ、問題が長期化してしまうようなことも考えられます。なお、普通借家契約では、契約更新時であっても、入居者に解約を受け入れてもらえないのであれば、原則として賃貸借契約は解除されません。

一方、一時使用賃貸借契約では、保証期間満了以降であれば、帰任(一時使用の目的を果たしたこと)を理由として契約を終えられる機会が確実に訪れます。「帰任」という理由が存在すれば、そのほかの「正当事由」は不要です。事前に決めた「転勤から戻るまで」という条件を満たしていることで、どのような入居者だったかにかかわらず、期日までの退去を求めることができます

2-3. 一時使用賃貸借契約のデメリットもチェック!

デメリットは適用条件が非常に厳格であることです。

借主にとっては短期間で退去することが前提の不安定な契約となるため、借り手を見つけるのが難しい場合も少なくありません。入居者側からすると、数年で再び引っ越し費用や家探しの負担が発生する可能性があり、敬遠されやすいためです。その結果、一般的な賃貸物件の家賃相場よりも低い金額でなければ、入居者が決まりにくい傾向があります。

3. リロケーションでおすすめなのは一時使用賃貸借契約

転勤時に持ち家を賃貸に出すリロケーションでは、定期借家契約と一時使用賃貸借契約のいずれかが用いられます。当社ではその両方に対応しておりますが、ほとんどのお客様が一時使用賃貸借契約を選ばれています。

上記でも触れたとおり、一時使用賃貸借契約は転勤から戻ってきた後の物件明け渡しがスムーズで、期間中いっぱいまで貸し続けられることがメリットです。加えて、当社が提供する「リロの留守宅管理」は転貸という形態のサービスであり、手間が少なく入居者対応なども安心・安全なのが特徴です。
転勤に際するリロケーションをご検討中の方は、ぜひご相談ください。

4. まとめ

一時使用賃貸借契約を上手に活用すれば、転勤時のご自宅を資産として活用できるだけでなく、将来的に戻ってきた際もスムーズに以前の生活へと移行できます。これから転勤を控えており、持ち家をどのように扱うかお考えの際は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてください。

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この記事の編集者

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転勤期間中の留守宅を賃貸管理する「リロケーションサービス」のパイオニアとして、1984年より、多くの転勤者の持ち家の賃貸運営をサポートしてきた賃貸管理会社です。
これまでの実績をもとに、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士が監修した賃貸運営に役立つ情報を、賃貸が初めての方にもわかりやすくお届けします。
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