海外赴任の際「住宅ローン控除」はどうなる?損しないよう知っておくべきポイントを解説

この記事の執筆・監修者
執筆者│西山 雄介

西山雄介

【資格】

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士

海外赴任が決まったとき、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)がどうなるか気になっていませんか?

結論から言うと、適用可否は

  • 「単身赴任か家族帯同か」
  • 「住宅の取得時期」
  • 「国内源泉所得の有無」
  • によって明確に分かれます。
    そして出国前に税務署への手続きを忘れると、帰国後に控除を再開できなくなるリスクもあります

    リロの留守宅管理は、転勤・海外赴任に伴う留守宅の賃貸管理を専門に手がけています。

    これまで多くのオーナーから
    「賃貸に出すと住宅ローン控除はどうなるの?」
    という相談を受けてきた経験から、
    控除の適用可否が空き家にするか・賃貸に出すか・売却するかという判断に直結することを知っています。

    本記事では、その実務経験をもとに国税庁・国土交通省の資料に基づいて以下を解説します。

    • 適用条件の判定:単身赴任・家族帯同それぞれのケース
    • 出国前の必須手続き:提出書類と期限
    • 帰国後の再開手続き:控除を再スタートさせるステップ

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    目次

    1. 【まず確認】海外赴任のときに住宅ローン控除を受ける条件と必要な手続き

    海外赴任の際に「住宅ローン控除が受けられるか」については「単身赴任」なのか「家族帯同」なのかによって、条件や手続きが異なります。

    ここでは「住宅ローン控除を受ける条件」と「控除を継続する際の手続き」について詳しく解説します。まずは自身が「どの条件に該当するのか」を確認しましょう。

    赴任のパターン別の条件と手続きは、以下のとおりです。

    海外赴任時の住宅ローン控除の扱い

    赴任時の状況 赴任中の扱い 帰任時の適用条件 必要な手続き
    単身赴任 〇 適用可 自宅取得時期が平成28年4月1日以降などの要件を満たし、生計を一にする親族が居住している場合 帰国年の年末調整、または初年度は確定申告
    家族帯同
    (日本の家は空き家)
    × 適用不可 帰国後、再入居した年から再適用 出国前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署へ提出。帰国後に確定申告
    家族帯同
    (日本の家は賃貸)
    × 適用不可 帰国後、再入居した年の翌年から再適用 出国前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署へ提出。帰国後の翌年に確定申告
    • 海外赴任前に、控除を再開するための届出を出しておくことが重要です。
    • 家族帯同でも、日本の家が空き家か賃貸かで再適用の開始年が異なります。
    • 再適用の可否は、再入居のタイミングと居住実態で判断されます。

    ※ 住宅ローン控除の再適用には、所轄税務署への届出や確定申告など、事前・事後の手続きが必要です。

    1-1. 住宅ローン控除を受ける条件

    海外赴任でも住宅ローン控除を継続するための要件をご案内します。まずはこちらから海外赴任でも住宅ローン控除が継続できるか確認してください。

    住宅ローン控除を受けるためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

    (1)住宅取得後6か月以内に入居し、引き続き居住し、この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。
    (2)家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上であること(注)
    (3)床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること
    (4)民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
    (5)住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済するものであること
    (6)控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であること
    (7)長期優良住宅建築計画の認定通知書(又は低炭素建築物新築等計画の認定通知書)及び住宅用家屋証明書などにより証明されたものであること
    ※家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満(令和6年12月31日までに建築確認を受けたものに限ります。)である場合は、(6)の要件が1,000万円以下であるときに限り控除を受けることができます。

    特別な要件はないと思いますが、いかがでしょうか。海外赴任でも引き続き住宅ローン控除を受けるためには、上記の要件と冒頭でお伝えした以下の要件を満たす必要があります。

    • 海外赴任中に住宅ローン控除を受ける:単身赴任等であること
      ※但し平成28年(2016年)3月31日以前に住宅の取得等をし、且つ海外赴任の場合は単身赴任であっても住宅ローン控除は受けられません。
    • 帰国後に住宅ローン控除を受ける(残存期間があれば):住宅ローン控除を適用できなかった事由が海外赴任等のやむを得ない事情であること

    参考: No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]

    1-2. 控除を継続する際の手続き

    海外赴任時の住宅ローン控除の継続手続きは、赴任者の状況や控除適用年数によって大きく異なります。控除適用初年度の場合の手続きは、以下のとおりです。

    単身赴任 確定申告が必要(当年適用可)
    家族帯同 手続き不要(当年適用不可)

    控除初年度でも、家族が年末まで居住していれば住宅ローン控除が適用されます。単身赴任の方は、出国する年に確定申告を行うことで還付が受けられるので、忘れずに手続きを行いましょう。一方で家族が帯同するケースでは、住宅ローン控除が適用できないため必要な手続きはありません。

    控除適用2年目以降の場合は、以下のとおり手続きが異なります。

    単身赴任 手続き不要(当年適用可・年末調整で控除)
    家族帯同 書類提出による手続き(当年適用不可)

    単身赴任の方は、そのまま継続して住宅ローン控除が受けられるので手続きは必要ありません。一方、家族帯同の場合は住宅ローン控除が受けられなくなるため「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。

    このように住宅ローン控除を受けている方が海外赴任する際は、自身の状況に合わせて適切な手続きを行うことが重要です。そのため不明な点がある場合は、税理士や国税庁に相談することをおすすめします。

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    2. 海外赴任中も住宅ローン控除を受ける3つの要件

    ここでは、海外赴任中も住宅ローン控除を継続するために要件を3つ紹介します。自身がすべての条件を満たしているか、チェックしてみてください。

    住宅ローン控除の適用要件

    ① 単身赴任であること 配偶者・扶養親族・生計を一にする親族と、日常の起居を共にしない(仕事の都合で離れて暮らす)状態である必要があります。
    ② 自宅の取得時期が
    「平成28年4月1日以降」
    注意:平成28年3月31日以前に取得(入居)した住宅の場合、赴任期間中の控除適用は認められません。
    ③ 生計を一にする親族が
    住み続けている
    法律上の配偶者や6親等内の血族などがそのまま居住している必要があります。
    ※事実婚・内縁関係のパートナーは対象外となるためご注意ください。

    ※ 実際の適用可否は、居住実態や住宅の取得時期、赴任中の同居状況によって厳格に判断されます。

    2-1. 単身赴任

    海外赴任の際も住宅ローン控除を継続するには、家族を国内に残して単身で海外へ赴任する必要があります。国税庁のHPには「転勤等により家屋を居住の用に供することができない場合」に住宅ローン控除の適用を受けるための条件として「単身赴任等の場合」という条件があります。

    ここでの単身赴任とは「転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合」という定義です。

    参考: No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]

    2-2. 平成28年(2016)年4月1日以降に住宅を取得

    単身赴任の場合、平成28年4月1日以降に住宅の取得等をしていれば、海外赴任であっても住宅ローン控除を継続できる要件になります。「取得した日」とは鍵の引渡しをされた日が該当することが多いです。

    平成28年(2016年)4月1日以前に住宅を取得した場合は、帰国後に住宅ローン控除の残存期間があれば、残存期間分の住宅ローン控除をうけることができます。

    執筆者│西山 雄介

    西山雄介【資格】宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    【ワンポイントアドバイス】
    平成28年4月1日前後に住宅を取得した方は、判定基準となる「取得日」を引渡し完了日で確認しましょう。
    売買契約日・登記日ではなく、鍵の引渡しを受けた日が原則です。境目のタイミングで取得された場合は、売買契約書の引渡し条項や金銭消費貸借契約書の実行日を保管しておくと、後日税務署から確認を求められた際にスムーズに対応できます。

    2-3. 生計を一にする親族が住み続ける

    海外赴任でも住宅ローン控除を受ける条件として「生計を一にする親族が住み続ける」があります。単身赴任と同義ですが相違があると住宅ローン控除が継続できなくなるので解説します。

    「生計を一にする」とは

    「生計を一にする」は日常の生活の資を共にすることをいいます。夫婦でそれぞれ収入があっても、互いに生活費を出し、食費や水道光熱費をまとめて管理している場合は該当します。また、必ずしも同居を要件とするものではありません。学費や生活費を仕送りしている親や子供も「生計を一にする」となります。

    たとえ同じ家で暮らしていても、二世帯住宅などで、それぞれで食費や光熱費等を管理している場合は、「生計を一にしない家族」となります。

    「親族」とは

    「親族」にあたるのは、配偶者、子供、父、母、兄弟姉妹、祖父母など、法律上6等親内の血族、配偶者などです。

    事実婚、パートナーのような法律上夫婦ではない場合、親族にあたらないので単身赴任中にこれらの方が住み続けても住宅ローン控除は適用されません。つまり、単身赴任で妻、親や子供などが住み続ける、また、夫の海外赴任に妻を伴うが、日本にいる子供に仕送りをしながら海外在住になる場合なども住宅ローン控除の対象です。家族を伴い海外赴任したが、家族だけ先に帰国する場合も残存期間が残っていれば、その年、または翌年から住宅ローン控除の再開が適用されます。

    参考: No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]

    2-4. 要件を満たしても、国内源泉所得がないと控除を使えない

    ここまで解説した3つの要件を満たせば、海外赴任中も住宅ローン控除を継続できます。

    ただし、控除を実際に使えるかどうかは別の点に注意が必要です。
    海外赴任の期間中は、税務上「非居住者」として扱われます。住宅ローン控除を実際に使うには、控除を差し引く対象となる「国内源泉所得」があることが前提になります。

    国内源泉所得とは、日本国内で生じた所得のことです。
    給与のうち国内勤務に対応する部分や、自宅を賃貸に出した場合の不動産所得などが当てはまります。

    海外赴任中で国内源泉所得が一切ない年は、そもそも所得税が発生しません。
    住宅ローン控除は所得税を軽減する制度なので
    「納める税金がなければ控除の効果も生じない」ということになります。
    出国の前に、勤務先へ給与の国内源泉所得があるかを確認しておきましょう。

    3. 家族帯同で海外赴任した場合でも帰国後に残存期間があれば住宅ローン控除を再適用できる

    家族帯同で海外赴任した場合、住宅ローン控除の扱いは赴任の時期によって変わります。
    赴任前・赴任中・帰国後それぞれの扱いは、以下のとおりです。

    住宅ローン控除のタイミング別の扱い
    タイミング 控除の扱い 損失
    赴任前 通常通り適用 なし
    赴任中(家族帯同) 適用不可 中断期間分の控除額
    帰国後 残存期間分のみ再適用 控除期間の延長なし

    ※ 赴任中は控除が止まり、帰国後に再開しても控除期間そのものは延長されません。

    家族全員が海外赴任先に居を移す場合はその期間、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。これは、住宅ローン控除の「個人がそこに居住し続けている」という要件を満たせなくなるためです。

    しかし、海外赴任を終えて自宅に再居住した際、住宅ローン控除の適用期間が残っている場合には、残存期間分の住宅ローン控除の再適用を受けることができます。ただし、住宅ローン控除の期間は延長されません。残存期間分のみが再適用されます。

    なお自身が自宅に戻る場合だけでなく、家族のみが帰国するケースでも住宅ローン控除の再適用は可能です。こちらのケースについては本記事内の「7−1. 家族を伴い海外赴任していて家族が先に帰国することになった場合、住宅ローン控除を再開できる?」で詳しく解説しています。

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    3−1. 控除中断による損失額シミュレーション

    控除が中断すると、どのくらいの金額に影響するのでしょうか。

    影響の大きさは、年末のローン残高と中断する期間によって変わります。
    ここでは2026年時点の控除率0.7%をもとに、中断によって受けられなくなる控除額の目安を試算しました。

    中断期間別の住宅ローン控除の影響額

    年末残高 年間控除額 中断3年 中断5年
    2,000万円 14万円 42万円 70万円
    3,000万円 21万円 63万円 105万円
    4,000万円 28万円 84万円 140万円

    この試算は単純計算による目安です。
    ローンの返済が進むと年末残高は少しずつ減っていくため、
    実際に受けられなくなる金額は表よりやや小さくなる傾向があります。

    住宅ローン控除で、実際に戻ってくる金額には上限もあります。
    その年に納めた所得税と住民税の額が上限となり、
    住民税から差し引ける分は課税総所得金額等の5%、最大で年9.75万円までです。
    収入が少ない年は、計算上の控除額をそのまま使いきれない場合もあります。

    出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」国土交通省「住宅ローン減税

    執筆者│西山 雄介

    西山雄介【資格】宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    【ワンポイントアドバイス】
    「控除損失額」だけで判断しないことが重要
    控除中断による損失額は明確に算出できるため目立ちますが、意思決定では「家賃手取り(管理委託料・原状回復費・空室損を控除後)」「不動産所得税(家賃収入-経費)×税率」も併せて試算するのが基本です。
    控除損失額・家賃手取り・税負担増の3点を並べた両建てシミュレーションを、賃料査定の段階で組み立てておきましょう

    4. 【空き家・賃貸】海外赴任から帰国した際の住宅ローン控除再開時期

    海外赴任中に持ち家を「空き家にしていた場合」「貸し出していた場合」で以下のとおり控除の開始時期が変わります。

    自宅の状態別・控除再開と経済的メリット

    状況 控除再開のタイミング 経済的メリット
    自宅を空き家にする場合 再入居した年から なし
    自宅を賃貸に出す場合 再入居の翌年から(1年遅れで再開) 家賃収入で控除中断分を上回るケースが多い

    ※ 控除再開タイミングは、再入居の時期と居住実態で判断されます。賃貸の場合は、家賃収入が中断期間の控除額を上回るケースがあります。

    4-1. 空き家にしていた場合

    海外赴任中に空き家にしていた場合、再入居を開始した年から控除を再開できます。

    たとえば、

    ・控除期間が入居から10年
    ・4年分の控除を受けた後に海外赴任
    ・2年後に帰国して再入居した場合

    この場合、5年目、6年目までは控除が受けられませんが、残存期間である7年目~10年目までは住宅ローン控除の再適用ができるようになります。7年目の12月31日までに再入居して生活を始めるようにしましょう。

    参考: No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]

    4年分の控除を受けた後に海外赴任
    執筆者│西山 雄介

    西山雄介【資格】宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    【ワンポイントアドバイス│マンションの留守宅は管理組合への届け出と管理費の自動引き落とし確認を】
    分譲マンションを留守宅にする場合は、管理規約で「長期不在時の届出」が義務付けられているケースがあります。
    出国前に管理組合へ届出を行い、緊急連絡先(管理代行会社や親族)を共有しましょう。
    あわせて、管理費・修繕積立金の自動引き落とし口座に半年〜1年分の予備金を確保しておくと、海外送金トラブルや給与振込先変更があっても滞納を防げます。

    4-2. 貸し出していた場合

    海外赴任中に家を貸し出していた場合、再入居を開始した翌年から控除を再開できます。

    先ほどと同じ例でご説明します。

    ・控除期間が入居から10年
    ・4年分の控除を受けた後に海外赴任
    ・2年後に帰国して再入居した場合

    この場合、再入居した翌年の8年目から控除再開になります。

    4年分の控除を受けた後に海外赴任、リロケーションを利用

    空き家の場合は再入居した年から住宅ローン控除を再開できましたが、貸し出していた場合は上記のように翌年から住宅ローン控除が再開されます。

    参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続2(再び居住の用に供したときの手続)[国税庁]

    空き家に対して住宅ローン控除の再開が1年遅れますが、貸し出していた期間は家賃収入を得られます控除が適用されない1年分を家賃収入でカバーできるともいえます。

    参考: No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]

    4−3. 空き家 vs 賃貸の比較

    控除の再開が早い「空き家」と、再開が1年遅れる「賃貸併用」では、どちらが経済的に有利になるのでしょうか。
    ここでは、年末残高3,000万円・年間控除21万円のケースで比較します。

    判断のポイントは、空き家で得られる「控除1年分(約21万円)」と、
    賃貸で得られる「家賃収入」のどちらが大きいかです。家賃15万円の物件を3年間貸し出すと、家賃収入は単純計算で540万円になります。

    空き家と賃貸併用の比較

    項目 空き家 賃貸併用
    控除再開のタイミング 再入居した年から 再入居の翌年から(1年遅れ)
    控除1年分の機会損失
    (年末残高3,000万円の例)
    なし ▲21万円
    賃貸期間中の家賃収入
    (家賃15万円/月・3年)
    0円 540万円
    (管理委託料・原状回復費等を控除前)
    建物の劣化リスク 通風・通水ができず劣化が進みやすい 人が住むため劣化が抑えられる

    ※ 賃貸は、控除1年分の機会損失(▲21万円)があるものの、家賃収入で上回るケースが多いです。

    ただし、家賃収入がそのまま手元に残るわけではありません。管理委託料(家賃の5〜10%ほど)や原状回復費、空室が出た期間の損失などを差し引いた金額が、実際の手取りになります。

    家賃相場が低い地域や、残りの控除期間が短いケースでは、賃貸が必ず得とは限りません。貸し出すかを判断する前に、賃料査定で手取りの見込みを確認しておくと安心です。

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    5. 長期間の海外赴任の際、持ち家をどうするか

    賃貸と空き家の比較

    比較ポイント 賃貸 空き家
    家賃収入 あり(控除中断分のリカバリーに) なし
    建物劣化 人が住むことで抑制される 人が住まないことで通水・換気ができず劣化が進む
    防犯 人が住むことで防犯になる(庭木の手入れ含む) 人が住まないことで放火、不法侵入のリスクがあり近隣への迷惑になる
    急な帰任 契約方法により可能 スムーズに再入居可

    ※ 賃貸の場合は契約条項で急な帰任に対応できるか確認が必要です。空き家は再入居がスムーズですが、防犯・建物劣化のリスクがあります。

    海外赴任で自宅を空ける間は、貸し出す方法と空き家にする方法があります。それぞれに利点があり、赴任期間や物件の状況によって向き不向きが分かれます。

    貸す場合・空き家にする場合の具体的な選択肢やメリット、注意点は、下記の関連記事でくわしく解説しています。簡単に読めるので、ぜひご活用ください。

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    6. 【赴任前・後】海外赴任後に住宅ローン控除を再開する手続きと必要書類

    海外赴任から帰国後、住宅ローン控除を再開するには赴任前赴任後にそれぞれ必要な手続きがあります。これらの手続きをしなければ、再適用を受けることができません。ここでは、住宅ローン控除を再開するための手続きと必要書類、作成方法について解説していきます。

    対象書類 提出先・期限 提出忘れのリスク
    赴任前
    転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書
    所轄税務署/居住しなくなる日まで 帰国後の住宅ローン控除の再適用が認められない可能性
    赴任前
    未使用分の住宅借入金等特別控除申告書
    (税務署長から交付を受けている場合)
    所轄税務署/居住しなくなる日まで 帰国後の年末調整での控除手続きに支障
    赴任前(任意)
    所得税・消費税の納税管理人の選任届出書
    (国税庁「A1-7」)
    所轄税務署/出国する日まで 国内源泉所得がある場合の確定申告ができない
    帰国後
    (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
    再入居した家の所轄税務署/確定申告期間中 再適用での控除を受けられない
    帰国後
    住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
    再入居した家の所轄税務署/確定申告期間中 控除額の計算ができない

    ※ 赴任前は「居住しなくなる日まで」、帰国後は「確定申告期間中」が提出期限です。期限を過ぎると再適用が認められない場合があります。

    6-1. 海外赴任前

    海外赴任後に住宅ローン控除を再適用するためには、海外赴任前に所轄の税務署にて住宅ローン控除の中断手続きを行う必要があります。忘れないようにご注意ください。

    入居後その年の12月31日まで居住せずに海外赴任となった場合は、赴任前の手続きは不要です。

    必要な書類は下記のとおりです。

    海外赴任前に税務署に提出する書類一覧

    ・転居の命令などにより住居しなくなる旨の届出書
    ・未使用分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(税務署長から交付を受けている場合に限ります。
    ※「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅ローン控除を受ける初年度の確定申告後に税務署から送付されます。

    会社員である場合、原則確定申告の必要はありませんが、住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告をする必要があり、翌年以降は年末調整で控除が受けられます。

    交付を受けていない場合は「転居の命令などにより住居しなくなる旨の届出書」だけで構いません。

    上記書類の作成・提出方法

    どの書類もe-Taxソフトで届出書を作成の上、e-Taxにより提出します。

    書面で届出書を作成の上、お住まいの管轄の税務所へ持参又は送付により提出することもできます。

    提出時期は住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋を居住の用に供しなくなる日までに提出してください。

    つまり、海外赴任に際して住まなくなる日までに提出することになります。

    参考:
    No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等 [国税庁]
    A1-40 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続[国税庁]
    A1-42 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出手続[国税庁]
    ※ページ内に届出書も掲載されています。

    海外赴任前に上記の書類を税務署に提出することを忘れないようにしましょう。

    執筆者│西山 雄介

    西山雄介【資格】宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    【ワンポイントアドバイス|e-Tax提出にはマイナンバーカードと電子証明書が必要】
    赴任前の届出書はe-Taxで提出できますが、利用にはマイナンバーカードと電子証明書(カード内蔵)が必要です。
    マイナンバーカードの取得は申請から交付まで通常1〜2か月かかるため、辞令を受けた段階で未取得の方は速やかに申請しましょう。
    間に合わない場合は書面提出も可能ですが、税務署の窓口は混雑期があるため、余裕を持ったスケジュール調整が重要です。

    6-2. 帰国後

    海外赴任から帰国し再入居後、住宅ローン控除を再開するには、その年度の確定申告で申請を行います。

    また、先述した通り海外赴任前にも「転居の命令などにより住居しなくなる旨の届出書」などの提出が必要になるので、出国前にも忘れずに提出しましょう。

    このとき、注意しておきたいのが海外赴任中、家を空き家にしていた場合はその年から住宅ローン控除が再開され、貸し出していた場合は翌年からの再適用になります。

    帰国後に税務署に提出する書類一覧

    (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
    ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(2か所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書)

    上記の書類に必要事項を記載した確定申告書に添付して、再入居した家の所轄税務署に提出します。

    参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続2(再び居住の用に供したときの手続)[国税庁]

    7. 住宅ローン控除の再適用に関するよくある質問

    住宅ローン控除の再適用には、対象となる事由や適用回数などの前提があります。
    個別の質問に入る前に、要点を整理します。

    再適用に必要な事由
    給与等の支払をする者からの転任の命令、
    その他これに準ずるやむを得ない事由
    社命による海外赴任
    再適用可
    再適用の回数制限
    回数制限なし
    再々入居時にも適用可能
    家族のみ帰国の場合
    再適用可
    本人ではなく家族の再入居でも適用可能
    ※取得時期H28.4.1以前は除く

    ※ 転勤や海外赴任による一時退去後も、要件を満たせば再入居時に制度の再適用が可能です。

    住宅ローン控除の再適用を受けるには、転居の理由として「給与等の支払をする者からの転任の命令にともなう転居その他これに準ずるやむを得ない事由」が認められなければなりません。社命による海外赴任はこれに該当するので、住宅ローン控除の再適用を受けることができます。

    通常は再び住み始めたその年から再適用となりますが、再入居した年に自宅を賃貸していた場合には、その年の再適用は受けられず、翌年から適用されます。

    ちなみに、住宅ローン控除の再適用に回数の制限はありません。仮に再適用後、再び転居で家を空けなければならなくなった場合にも、再々入居時には再適用が受けられます。本人を除いて家族のみが帰国して再入居する場合でも、再適用を受けることができます。

    7-1. 家族を伴い海外赴任していて家族が先に帰国することになった場合、住宅ローン控除を再開できる?

    家族帯同から単身赴任に変更となるケースでは、住宅ローン控除は再開できます。なぜなら残存期間が残っている場合であれば、本人ではなく家族が帰国する場合でも再び控除を受けられるからです。

    ただし、住宅の取得が2016年4月1日よりも前の場合は控除が受けられない点には注意が必要です。条件を満たしている場合は、帰国した年の確定申告を家の所有者本人が行って住宅ローン控除の再適用を申請しましょう。

    7-2. 家族を伴い海外赴任中に日本で自宅を購入した。家族が先に帰国して新居に住む場合、住宅ローン控除は適用される?

    住宅ローン控除は適用されます。

    ただし、家を取得された後、6か月以内に入居しなければ住宅ローン控除は適用されません。
    また出国時までに『所得税の納税管理人の届出書』を税務署へ提出し、その納税管理人に確定申告を代行してもらう必要があるので注意しましょう。

    7-3. 住宅ローンで戸建てを新築、海外赴任が決まり未入居。帰国後、住宅ローン控除は受けられるか?海外赴任期間は3年程度で家族と一緒に海外赴任予定。

    住宅ローン控除は受けられません。

    住宅ローン控除は住宅を取得後、6か月以内に入居しなければいけないためです。

    新築でも6か月以内に入居した後に海外赴任であれば帰国後、残存期間に限り住宅ローン控除を適用できます。

    7-4. 海外赴任時の住宅ローン控除の中断手続きは?

    海外赴任における住宅ローン控除の中断手続きは、海外赴任前に以下の書類を家屋の所在地の所轄税務署に提出します。

    ただし、入居後その年の12月31日まで居住せずに海外赴任となった場合は、赴任前の手続きは不要です。

    本来、住宅ローン控除が初年度は確定申告が必要になりますが、海外赴任の場合は帰国後にお住まいの所轄税務署にて手続きを行います。

    海外赴任前

    ・転居の命令などにより住居しなくなる旨の届出書
    ・未使用分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」
    ※税務署長から交付を受けている場合に限ります。

    7−5. 海外赴任中は国内源泉所得がほとんどありません。住宅ローン控除は受けられますか?

    制度のうえでは対象になりますが、国内源泉所得がほとんどない年は、差し引く税金そのものが少なく、控除を十分に活用できないことが多くなります。

    控除を活かす余地を残すには、自宅を賃貸に出して不動産所得を生じさせる方法があります。ご自身のケースで控除を使えるかは、出国前に勤務先や税理士へ確認しておくと安心です。

    7−6. 内縁の配偶者と持ち家に暮らしています。海外赴任中、内縁の配偶者が住み続ければ住宅ローン控除を継続できますか?

    継続できません。

    海外赴任中も住宅ローン控除を続けるには「生計を一にする親族」が自宅に住み続けていることが条件です。ここでいう親族は、配偶者や子、父母、兄弟姉妹など、法律上6親等内の血族と配偶者を指します。事実婚や内縁関係のパートナーは、法律上の親族に該当しません。

    そのため、内縁の配偶者が住み続けても「単身赴任で家族が住んでいる状態」とはみなされず、赴任期間中の控除は中断します。ただし、帰国して再び自宅に住み始めれば、残りの控除期間について再適用を受けられます。

    出典:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等

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    8. まとめ

    海外赴任の時に住宅ローン控除を受けるには、平成28年4月1日以降に取得した住宅で、単身赴任であれば住宅ローン控除を継続できます。

    家族帯同であっても帰国後に残存期間があれば、残存期間に限り控除が再適用されます。

    住宅ローン控除の再開にあたっては、海外赴任前に「転居の命令などにより住居しなくなる旨の届出書」を自宅の所轄税務署に提出し帰国後は確定申告を行います。

    忘れてしまうと残存期間があっても住宅ローン控除が適用されず、損をしてしまいます。法令の変更により細かい条件が変更となる場合があるので、海外赴任のタイミングであらためて税務署に確認してください。

    特に海外赴任など長期で家を貸し出すかを検討する場合、
    控除中断分を家賃収入でリカバリーできるかが判断のポイントになります。

    家賃の見込みを把握しないと判断ができないため、出国前の限られた時間で意思決定するためにも、
    まずは賃料査定で「いくらで貸せるか」を確認することから始めてみてください。

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    この記事の執筆者

    執筆者│西山 雄介

    西山雄介

    不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。
    実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。
    「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「賃貸不動産経営管理士」などの資格を保有。

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