持ち家を賃貸に出すには?手順・費用・税金・注意点を解説
更新日:
転勤や親との同居などで住まなくなった持ち家を、売却するか賃貸に出すか悩んでいませんか?
持ち家は賃貸に出すことができます。家賃収入を得られるだけでなく、空き家の劣化を防ぎ、将来自分や家族が戻れる選択肢も残せます。
一方で、住宅ローンが残っている場合は金融機関への確認が必要になるなど、事前に押さえておきたい注意点もあります。確認が不十分なまま進めると、契約トラブルや想定外の費用・税負担につながるおそれもあります。
本記事では、持ち家を賃貸に出すメリットと注意点、手順、契約の種類、費用・税金までわかりやすく解説します。「自分にもできるのだろうか」と不安な方も、ぜひ参考にしてください。
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目次
1. 持ち家を賃貸に出すメリット
持ち家を賃貸に出す主なメリットは下記の3点です。
1-1. 家賃収入を得られる
持ち家を賃貸に出す最も大きなメリットは家賃収入が得られることでしょう。
家賃収入の一部で税金や賃貸運営に関わる費用などに充てることができる他、老後資金や生活費にもあてることができます。
1-2. 空き家による老朽化・不法侵入リスクを防げる
人が住まなくなった家は、想像以上に劣化が進みます。
入居者がいることで設備の故障や雨漏りなど、家の不具合にすぐに対応できるのもメリットといえます。
加えて、人が住むことによって日常的な換気や水道の使用で湿気やカビの発生を防ぎ、
建物の劣化を抑制できるというメリットもあります。
1-3. 将来、自分や家族が戻れる選択肢を残せる
持ち家を賃貸に出しておけば、「将来お子さんを住まわせたい」、「自分たちが住みたい」と思った際に再度住むことができます。
一度売却して、同じ地域に住むために買い替えをすると、売却と購入の両方で仲介手数料がかかるほか、税金などの費用も発生します。
貸していた家に戻る場合と比べて、経済的な負担が大きくなりやすいです。
また、賃貸に出している間に売却したくなった場合は、入居者が購入する可能性もあります。
将来住む可能性があるなら、売却せずに貸しておくほうが、費用面で有利になりやすいといえます。
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2. 住宅ローンが残っている持ち家は賃貸に出せる?

住宅ローン返済中の持ち家は、原則として金融機関の承諾なく第三者に貸し出すことはできません。なぜなら住宅ローンは、「自己居住用の家であること」が融資条件に含まれているからです。
ただし、「転勤」や「親が施設に入所する」などでやむを得ず一時的に賃貸に出し、終了後に再入居する場合は賃貸に出すことが認められるケースもあります。
このような場合は、まず金融機関へ相談してみましょう。金融機関によっては再審査があり、数週間かかる場合もあるため、早めの相談がおすすめです。
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転勤以外の理由で貸したい場合や、承諾が得られない場合は、賃貸用のローンへの借り換え、完済、売却といった方法もあります。
ただし、賃貸用のローンは住宅ローンより金利が高い傾向があり、新たな審査も必要です。残債額によって負担が変わるため、借入先に相談したうえで判断しましょう。
金融機関の承諾を得ないまま賃貸を行うと、契約違反となり、残債の一括返済を求められる可能性があります。また、住んでいない間は住宅ローン控除も受けられません。
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住宅ローン控除の再適用を受けるために必要な手続き
3. 持ち家を賃貸に出すときの流れ

持ち家を賃貸に出すときの流れを解説します。
3-1. 賃貸管理会社を探し、持ち家の賃料査定を依頼する
持ち家を賃貸に出すと賃貸に関わる様々な管理業務が発生します。まずは、それら管理業務を依頼する管理会社を探します。
「賃貸に強みがある」会社を洗い出し、そのなかから所有する物件の種類(マンション、戸建て)や、賃貸に出す目的(転勤期間だけの限定、長期の貸し出しなど)に応じて実績のある会社を選定します。
特に期間限定で貸し出す場合、リロケーションでの賃貸管理を行っている管理会社であれば、様々な賃貸事例も多いことから賃貸契約の実務や客付け、終了通知も失念することなく帰任後も明け渡しがスムーズに行われるなど安心できるでしょう。
また、半年~1年程度でも賃貸に出すことは可能です。詳しくはこちらの記事もご確認ください。
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1年未満でも家は貸せる!「短期賃貸」の需要と仮住まい向けの貸し方を解説
賃貸管理会社の候補がある程度絞れたら、賃料査定を依頼しましょう。必要な情報として、物件住所や間取り、築年数などが必要になります。
査定には以下のように2段階あります。
「机上査定」では築年数や面積などのデータを中心に、
「訪問査定」では、それらに加えて設備や周辺環境といった条件も踏まえて査定します。
訪問査定ではより多くの情報を拠り所として査定を行うため、より精度の高い賃料査定額を知ることができます。
査定額は賃貸管理会社の担当者の経験則から算出している部分が大きいので、
相場を知るためにも賃料査定は2~3社に依頼するようにしましょう。
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3-2. 物件を任せる賃貸管理会社を決める
賃料査定を依頼した会社の中から、実際に物件の賃貸管理を依頼する会社を決めます。
複数の賃貸管理会社に入居者募集を依頼することもできますが、募集条件は揃えなければなりません。
最終的に入居者を見つけて契約を行った会社が、賃貸中の賃貸管理を行うことになります。
賃貸管理会社を利用する際は、家賃に対し5~10%程度の管理手数料が発生するため、この金額を会社選びの基準とする方もいるかもしれません。
しかし、管理手数料は提供されるサービスの内容によって異なるため、サービスや保証、実績なども踏まえて、仲介力や、管理サービスの内容、法人集客ルートなど独自のチャネルを持っているなど、総合的な視点で賃貸管理会社を選ぶことが大切です。
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賃貸管理での手数料の相場は?安さだけで選ばない相場に合った管理会社の選び方
3-3. 募集条件、家賃などを決める
持ち家を賃貸に出す際、管理会社などが広告を出して入居者を募集します。
そのために賃料をはじめ、ペット飼育、喫煙、楽器演奏など賃貸に出す条件を決めます。
賃料査定を依頼した管理会社に査定額の根拠や周辺の家賃相場を確認し、妥当と思える家賃設定をしましょう。
戦略の一つとして「少し高めの家賃」からスタートして反響をみながら、調整する方法があります。
これには少し時間が必要になるため、賃貸に出すことに興味があれば売却とも並行で進められるのでまずは「様子をみる」という観点から、賃貸の募集をスタートしても良いでしょう。
最近では「売却に出していたが、思った額で売れないので賃貸でも募集をしたい」と言われるお客様が弊社では増えています。
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3-4. 入居者を募集する
家賃や入居条件を決めたら、入居者募集の準備を進めます。
入居希望者は、申し込みの前に物件を見学する「内見」を行うことが多くあります。
内見での印象がよければ、入居申込につながる可能性が高いため、募集を始める前に、業者によるハウスクリーニングを行いましょう。
築年数がある程度経過している場合は、家賃収入で回収できる範囲で、リフォームを検討するとよいでしょう。
クリーニングやリフォームが済んだら、室内の状態を写真や動画で記録しておきましょう。
退去時の修繕費を入居者に請求できるのは、入居者の故意や過失(使い方が悪かったこと)でできた傷や汚れに限られ、経年劣化の修繕は貸主の負担です。
本来は入居者が負担すべき修繕費まで、貸主が払うことになるのは避けたいですよね。
入居前の状態が分からないと、入居前からあった傷か、入居中にできた傷かを特定するのは困難です。
戸建ての場合は、門扉や外壁、ガレージの傷も記録しておくと安心です。賃貸管理会社に委託すれば、これらの記録や保管を任せられます。
準備が整ったら、不動産ポータルサイトなどに物件情報を掲載して、入居者募集を開始します。
3-5. 入居審査を経て賃貸借契約を結ぶ
入居希望者から申し込みが入ったら、入居審査を行います。
入居審査は保証会社や賃貸管理会社独自の基準にもとづき、職業、収入、過去の家賃滞納歴などの支払い能力を中心に確認されます。結果は貸主に共有され、最終的な入居の可否は貸主が決めます。
入居審査に問題がなく、契約条件においても貸主と入居希望者双方の合意が得られたら、賃貸借契約の手続きに進みます。
入居者には、仲介する不動産会社から契約内容などについて重要事項説明が行われます。
貸主は、賃貸借契約書の内容が自分の希望や認識と異なっていないか、よく確認しておきましょう。契約後のトラブルを防ぐために大切なポイントです。確認が済んだら、契約書に署名・捺印をして、賃貸借契約が成立します。
なお、入居審査から賃貸借契約の締結までの手続きは、管理会社が対応します。
3-6. 入居後は賃貸管理を行う
賃貸中は、常に入居者が問題なく物件を利用できる状態にしておかなければなりません。
入居が始まったあとも、「家賃の入金確認」、「設備の故障対応」、「入居者からの問い合わせ対応」、「退去時の手続き」などの賃貸管理の業務が続きます。
賃貸管理会社に委託すれば、これらのほとんどを任せられます(詳しくは6章を参照)。任せられる範囲は契約内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
海外赴任など遠方に住む場合は、時差などの影響で管理会社との連絡に手間がかかりがちです。
電子契約に対応していることや、管理を幅広く任せられることを基準に、管理会社を選ぶと安心です。
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4. 持ち家を賃貸に出すときの注意点
持ち家を賃貸に出すときの主な注意点を解説していきます。

4-1.持ち家を賃貸に出す前に確認しておきたいこと
分譲マンションを貸す場合
マンションには管理組合が定めた管理規約・使用細則があります。
多くのマンションでは賃貸に出すこと自体は禁止されていませんが、次の点を事前に確認しておく必要があります。
- 第三者への貸し出しが認められているか(管理規約・使用細則を確認)
- 賃貸に出す際の管理組合への届出が必要か
- ペット飼育や楽器演奏など、入居者にも適用されるルール
- 民泊など、特定の用途を禁止する規定がないか
規約に違反して入居者を募集すると、入居後にトラブルとなり、管理組合から是正を求められる場合があります。
募集を始める前に規約を確認し、不明な点は管理会社や管理組合に相談してください。
戸建てを貸す場合
戸建ては、マンションのように管理組合や修繕積立金がないため、屋根や外壁などの修繕は、所有者が自分で計画して負担することになります。あらかじめ修繕費を積み立てておくと安心です。
また、オートロックなどの設備がない場合が多く、防犯面を気にする入居者もいます。
セキュリティ会社の導入や、センサーライトの設置を検討するとよいでしょう。立地によっては入居者が決まるまで時間がかかることもあるため、募集条件や賃料は管理会社と相談して決めましょう。
4-2. 火災保険を賃貸用に切り替える
持ち家として加入していた火災保険は、多くの場合「居住用」を前提とした契約になっています。
賃貸に出す場合は、賃貸用(施設賠償責任などを含むプラン)への切り替えが必要です。
自宅用の火災保険のままにしておくと、入居者の過失で水漏れなどの事故が発生した際に、補償の対象外となってしまう可能性があります。
保険会社や代理店に「賃貸に出す予定がある」ことを伝え、適切なプランへの変更手続きを行いましょう。
4-3.近隣トラブル発生のリスク
賃貸に出している間は、騒音やゴミ出しのルール違反、ペットや駐車マナーなど、入居者と近隣住民との間でトラブルが起きる可能性があります。
戸建ての場合は、庭木や雑草の手入れ不足が苦情につながることもあります。
自分が住んでいたときには問題にならなかったことでも、入居者が変われば生活スタイルも変わります。
苦情の受付や入居者への注意といった一次対応は、賃貸管理会社に任せられます。
ただし、建物の所有者であり、審査結果を踏まえて賃貸借契約を結ぶのは貸主自身のため、最終的な責任は自分にあります。
トラブルを防ぐには、トラブル対応の実績や対応範囲、連絡体制を確認して、管理会社を慎重に選ぶことが大切です。
あわせて、契約書にペットや楽器演奏などのルールを明記しておきましょう。なお、問題のある入居者がいても、すぐに退去してもらえるわけではありません(詳しくは4-4を参照)。
近隣トラブルの具体的な防止策は、次の記事でも解説しています。
関連記事
実家を賃貸に出す際の近隣トラブル8つの防止策
4-4.貸主の都合では簡単に解約できない
一般的な「普通借家契約」では、借地借家法によって入居者が強く保護されています。
貸主が「退去してほしい」と考えても、正当な理由がなければ契約を終了させることはできません。「自分が住みたくなった」という理由だけでは、認められにくいのが実情です。
また、家賃の滞納や近隣への迷惑行為があっても、すぐに退去してもらえるわけではありません。注意や改善の要求を重ねても直らず、貸主と入居者の信頼関係が壊れたと認められてはじめて、契約の解除に進めるのが一般的です。
そのため、入居者選びを間違えると、「出ていってほしいのに出ていかない」状態になるおそれがあり、入居審査をしっかり行うことが大切です。
再入居の可能性があるなら、契約方法を選ぶ
賃貸に出す契約には、「普通借家契約」、「定期借家契約」、「一時使用賃貸借契約」の3種類があります(詳しくは5章を参照)。長く貸し続けたい場合は、家賃を相場どおりに設定しやすい普通借家契約が向いています。
一方、将来自分が住む予定がある場合や、転勤など期間が決まっている場合に普通借家契約で貸すと、期間が過ぎても貸主の都合では契約を終了できず、再入居が難しくなるおそれがあります。
このような場合は、期間が終われば契約が終了する定期借家契約などを選びましょう。
関連記事
転勤でマンションを貸すときにおススメしたい契約方法
ただし、定期借家契約は普通借家契約に比べて取り扱いが少なく、実績の少ない管理会社もあります。管理会社を選ぶ際は、定期借家契約の実績があるかどうかを確認しておくと安心です。
当社は、転勤など期間を限定した貸し出しに力を入れており、2025年の新規契約のうち約25%が定期借家契約です。実績や事例も豊富にありますので、お気軽にご相談ください。
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5. 賃貸における契約の種類

持ち家を賃貸に出す際の賃貸契約には、「普通借家契約」「定期借家契約」「一時使用賃貸借契約」の3種類があります。帰任後に確実に自宅へ戻ることを前提とする場合は、契約期間や中途解約の条件が大きく異なるため、事前に違いを把握しておくことが重要です。
| 比較項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
一時使用賃貸借契約 |
|---|---|---|---|
| 契約期間 | 2年ごとが基本 | 期限となる日付を予め設定する |
帰任するまで ※ただし、「短くても○年間」という保証期間を2年以上設ける |
| 更新の有無 | 有 |
無 ※双方が合意した場合を除く |
無 |
| 中途解約の可否 |
否 ※正当な事由がある場合は除く |
否 ※保証期間は解約不可 ※1年以上の貸し出しは契約期間満了の半年〜1年前に借主へ通知が必要 |
否 ※保証期間は解約不可 ※期間満了の3か月前に借主に通知が必要 |
5-1. 普通借家契約
普通借家契約は賃貸市場において、もっとも用いられている契約です。
借主が望む限り契約が更新され、貸主からの解約には正当事由が必要となり、貸主からの解約は非常に困難です。
賃料も相場通りに設定しやすいため、長期的な賃貸や投資としての賃貸に適しています。
関連記事
普通借家契約は帰任時にトラブルが起こりやすい?更新に必要な正当事由とは?
5-2. 定期借家契約
定期借家契約は、あらかじめ決めた期間が終わると契約が終了する契約です。
更新はありません。(双方が合意すれば再契約)貸主は期間を自由に設定できますが、期間が限られているため、長く住みたい人には敬遠されやすく、期間が短いほど入居者が見つかりにくくなります。
普通借家契約に比べて入居者にとって条件が不利になるため、家賃は1〜2割ほど低めに設定されるのが一般的です。
ただ、期間限定で住みたい人にとっては、家賃が安いことがメリットになります。たとえば、転勤で一定期間だけ赴任してきた会社員や、結婚を控えて1年ほどだけ住まいが必要な人などです。
契約期間が1年以上の場合、貸主は、期間満了の1年前から6か月前までの間に、入居者へ「契約が終了すること」を通知する必要があります。
また、契約期間中は、原則として貸主の都合で解約することはできません。たとえば契約期間を2年とした場合、転勤が早く終わって自宅に戻りたくなっても、2年間は貸し続けることになります。
なお、契約の際は、「更新がなく、期間満了で終了すること」を、事前に書面で入居者へ説明する必要があります。
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定期借家契約とは?メリットや注意点、他の契約との違いを解説
5-3. 一時使用賃貸借契約
一時使用賃貸借契約は、転勤や海外赴任の期間中だけ貸すなど、短期間だけ貸すことが明らかな場合に使われる契約です。借地借家法の更新や正当事由のルールが適用されないため、普通借家契約のように、貸主から解約しにくいことはありません。
一般的には、最低限貸す期間(保証期間)を決めておきます。この期間中は、貸主からも解約できません。
保証期間が過ぎたあとは、3か月前までに通知することで契約を終了できます。そのため、転勤の終了時期が変わりやすい場合に向いています。
ただし、契約書に「一時使用」と書けば認められるわけではなく、貸す目的や期間などから、短期の賃貸であることが明らかな場合に限られます。利用できるかどうかは、事前に賃貸管理会社へ確認しましょう。
賃料は、定期借家契約と同じく、普通借家契約より1〜2割ほど安く設定されるのが一般的です。
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一時使用賃貸借契約とは?リロケーションで使われる転勤者におすすめの契約方法
6. 賃貸中の管理方法

賃貸借契約を締結し、鍵を引き渡した後も、入居者が問題なく物件を利用できる状態にしておかなければなりません。
家を貸し出している間も、設備故障の対応や家のメンテナンスなどについては、所有者である貸主に義務があります。賃貸中の管理について、詳しく見ていきましょう。
6-1. 賃貸中の管理に必要なこと
賃貸運営に関する業務は、家を貸し出す前の入居者募集から、賃貸中の管理、退去時の手続きまで多岐にわたります。なかでも入居者からの連絡は予測することが難しく、設備故障など内容によっては迅速な対応が求められることもあります。
しかし、これらの管理業務のほとんどは賃貸管理会社へ任せることができ、賃貸管理における手間を大きく減らすことができます。
自宅を賃貸に出すと、入居前から退去後までさまざまな管理業務が発生します。
これらを自主管理で行うか管理会社に委託するかによって、オーナーの負担は大きく変わります。以下は管理業務の全体像をフェーズ別に整理したものです。
| 入居者募集 | 賃貸契約中 | 退去 |
|---|---|---|
|
入居者募集
|
賃貸契約中
|
退去
|
管理業務は入居者募集・契約中・退去の3フェーズで合計15項目以上に及びます。
特に「家賃滞納への対応」「緊急時の対応」は専門知識やネットワークが必要なため、自主管理に不安がある方は管理委託の利用が安心です。
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持ち家を賃貸に出すには?手順・費用・税金・注意点を解説
6-2. 賃貸管理の種類
賃貸管理には、物件所有者自らが管理の手間をどこまでかけるかによって、自主管理、管理委託、サブリースと大きくわけて3つの種類があります。
賃貸管理会社を利用する場合は、管理委託またはサブリースとなります。
なるべく賃貸管理の手間を減らしたいのであれば「サブリース」が向いていますが、手数料が高くなるため、費用とのバランスを考えて「管理委託」を選ぶ方法もあります。
さらにコストを減らすためにすべて自分で管理を行う「自主管理」という方法もあります。
サブリース(転貸借)
賃貸管理会社が賃貸借契約の借主となり、賃貸管理会社から入居者に貸し出す転貸となることが特徴です。賃貸管理会社が契約当事者となるため、家賃滞納時の訴訟対応等も任せられる場合があります。
海外赴任中の賃貸など、可能な限り手間やリスクを減らしたい方におすすめの方法です。
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転貸借とは?転勤時に家を貸すなら知っておきたい仕組み
管理委託
サブリースと異なり、賃貸借契約は入居者と締結し、管理委託契約を賃貸管理会社と締結して管理業務を委託する方法です。
どの範囲まで業務を任せるかは、サービスや契約によって異なります。
訴訟対応などは任せられない分、サブリースよりは手数料を抑えることができます。
本業が別にある場合や、遠方に住んでいる場合におすすめです。
自主管理
自主管理では前述した業務を、すべて自分で行います。入居者からの連絡も直接受けることとなります。設備の故障など、迅速な対応が求められることもあります。
賃貸管理会社を利用しないためコストを抑えられますが、保証サービスなどが受けられないため、賃貸運営におけるリスクも高くなります。
自宅を賃貸に出す際の管理方法は「自主管理」「管理委託」「転貸(サブリース)」の3つに大別されます。それぞれコスト・手間・リスクのバランスが異なるため、オーナーの生活状況や物件の立地に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
| 管理方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 自主管理 |
メリット
|
デメリット
|
| 管理委託 |
メリット
|
デメリット
|
| 転貸 |
メリット
|
デメリット
|
手数料を抑えながら管理を任せたい場合は、「管理委託」が向いています。
転勤などで遠方に住んでいても、管理会社に任せることで対応できます。一方、海外赴任中など、手間やリスクをできるだけ減らしたい場合は、「サブリース」も選択肢になります。
近隣に住んでいて不動産の知識がある方は、自主管理でコストを抑える方法もあります。
管理委託の費用相場は、家賃の5〜10%程度です。
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賃貸管理の形態に迷ったときのポイント
6-3. 賃貸管理会社の選び方
賃貸管理会社によって扱っている賃貸借契約の種類や、提供される管理サービスの内容は異なります。状況に応じて適切な会社や管理方法を選びましょう。
持ち家を初めて貸す場合は、できる限りリスクを減らし、賃貸経営の負担を減らせるような契約をおすすめします。このような賃貸管理会社を見つけるためのチェックポイントは次の通りです。
- サブリース(転貸)かどうか
- 自分の委託したい賃貸管理業務が業務内容に含まれているか
- 管理委託費(手数料)が任せられる内容と比べて見合っているか
- 頼れる経験や知識を持っているか
7. 持ち家を賃貸に出す際の主な費用

持ち家を賃貸に出せば、家賃収入が得られる一方で、初期費用と毎月の管理コストが発生します。
費用の種類と目安を事前に把握しておくことで、収支シミュレーションの精度が上がり、赤字リスクを避けることができます。
7-1. 初期費用
賃貸開始前にかかるのが初期費用です。
入居希望者に選ばれる物件にするためには、室内を清潔な状態に整える必要があります。
- ハウスクリーニング
- リフォーム(場合による)
- 入居者募集の費用(場合による)
ハウスクリーニングの費用は、部屋の状態や部屋の大きさで異なります。
リフォームは「やればやるほど良い」わけではなく、費用対効果の見極めが重要です。どこまで手を入れるべきかは、賃貸管理会社に相談した上で判断することをおすすめします。
入居者を募集する際には、仲介手数料や広告料などがかかる場合があります。
金額や、貸主が負担するかどうかは、管理会社や契約内容によって異なります。依頼する前に、どの費用が誰の負担になるのかを確認しておきましょう。
関連記事
持ち家を貸すときにリフォームは必要?どこまでやるべきか事例も紹介
7-2. 維持・運営にかかる費用
賃貸期間中は、家賃収入を得ながらも維持・運営にかかる費用があります。これらを把握せずに収支計画を立てると、想定外の出費で赤字になるケースもあるため注意が必要です。
管理費・修繕積立金(マンションの場合)
マンションの場合は、管理組合に毎月支払う管理費と修繕積立金が、賃貸に出している間も発生します。
入居者から受け取る共益費・管理費でまかなえるとは限らないため、家賃の設定を考える際に、あわせて確認しておきましょう。
管理委託手数料
家賃の5~10%程度です。
10万円で賃貸に出した場合、5%の管理委託手数料は5,000円、10%では10,000円になります。
管理手数料は契約種別や管理方法、サービス内容によって異なります。
安い場合、自身での管理業務が発生することもあるので、サービス内容や手数料は管理会社に確認し安さだけで選ばないようにしましょう。
修繕費
給湯器やエアコンの故障、水道管の破裂など設備トラブルが発生した場合は、貸主負担の修繕費用がかかります。設備の故障は自分が住んでいても起こりますが、入居者がいる場合は早めの対応が求められます。そのため、修繕費をあらかじめ用意しておくと安心です。
戸建ての場合、外壁、屋根の補修など定期的なメンテナンスがある場合も、貸主の費用負担となります。
一方、入居者の故意・過失によるものは、修繕費用を入居者に請求できます。
火災・地震保険料
年間数千円~数万円
費用の総額は物件の状態・築年数・管理内容によって異なります。
具体的な費用は、賃貸管理会社への査定時にあわせて相談することをおすすめします。
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賃貸管理での手数料の相場は?安さだけで選ばない相場に合った管理会社の選び方
8. 持ち家を賃貸に出すときの固定資産税などの税金
持ち家を賃貸に出すと、家賃収入に対してさまざまな税金が発生します。
税金の種類と仕組みを事前に理解しておくことで、確定申告の際に慌てることなく、適切な節税対策も講じることができます。
8-1. 固定資産税・都市計画税
固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日時点で家の所有者に支払い義務があるため、
賃貸に出している期間中も課税され、変わらずオーナーが支払います。
税額は「固定資産税評価額」をもとに計算され、
固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は最大0.3%が目安です。毎年4〜6月頃に自治体から納税通知書が届きます。
8-2. 所得税・復興特別所得税
家賃収入は「不動産所得」として所得税の課税対象になります。
不動産所得は、家賃収入から賃貸運営にかかる経費を差し引いた金額です。
給与所得など他の所得がある場合は合算して税額を計算します(総合課税)。
また、2013年から2037年までの間は、所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。
確定申告の際は所得税と合わせて納付します。
関連記事
家を貸すときの税金。税率の計算方法は?確定申告の流れ・しないリスクを紹介
8-3. 住民税
不動産所得が発生すると、翌年度の住民税も増加します。
住民税は前年の所得をもとに計算され、税率は所得割10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)が基本です。
給与所得者の場合、翌年の住民税が特別徴収(給与天引き)で増額されるため、
手取りが減ったと感じることがあります。
おおよその増加額は、確定申告後に税務署から送付される申告書の「課税される所得金額」の10%をかければ住民税の目安になります。
8-4. 確定申告の義務と経費として計上できるもの
持ち家を賃貸に出して得た家賃収入は「不動産所得」となり、確定申告の対象になります。
会社員(給与が1か所のみ)の場合、家賃収入から経費を引いた不動産所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。20万円以下でも、住民税の申告が必要になることがあります。
申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。
期限に遅れると、無申告加算税や延滞税がかかる場合があります。
一方、次の費用は不動産所得から差し引ける経費として認められているため、手間はかかっても、税負担を抑えることができます。領収書や契約書など関連書類は、必ず保管しておきましょう。
経費として計上できる主な費用一覧
| 経費の種類 | 内容 |
|---|---|
| 住宅ローンの利息 | 元本返済分は対象外。利息部分のみ計上可 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年の納税額をそのまま計上できる |
| 損害保険料 | 火災保険・地震保険など |
| 修繕費 | 設備故障・退去後の原状回復費用など |
| 管理会社への委託手数料 | 毎月の管理手数料(家賃の5〜10%が目安) |
| 減価償却費 | 建物・設備の取得費用を耐用年数で按分した金額 |
| 仲介手数料・広告費 | 入居者募集にかかる費用 |
| 交通費・通信費・消耗品費 | 賃貸運営に関連するものに限る |
初めて確定申告を行う方は、賃貸管理会社や税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
なお、当社で賃貸管理をお任せいただく場合、「特定確定申告サポートサービス」という
国内不動産所得の確定申告に必要な手続きの一切を代行しております。
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持ち家を賃貸に出したときの確定申告や税金、計算方法と申告方法を解説
9. 持ち家を貸す際のよくあるご質問
Q. 知り合いに貸すときの注意点とは?
A. 個人間で知り合いに家を貸す際は、必ず契約書を作成しましょう。
契約書は貸主・借主双方の合意内容を明確にし、金銭、明け渡しトラブルなどを未然に防ぐための法的根拠となります。
特に転勤などの事情で一時的に貸し出す場合は契約書が重要になります。
契約書は国土交通省が雛形となる「賃貸住宅標準契約書」を公開していますので、こちらをベースに作成するとよいでしょう。
管理会社によっては、入居者管理のみの管理委託も可能です。
知り合いに家を貸すような個人間の賃貸の場合、信用調査を十分に行うのは難しいです。家賃滞納や近隣住民とのトラブルになると解決までの時間や精神的にも重いので管理会社を上手に活用しましょう。
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転勤時に友人・知人へ家を貸す際に起こる問題とは?
Q. 家具や家電はどうしたら良いですか?
A. エアコン、カーテン、温水洗浄便座、ビルトインタイプの食器洗浄機は置き残しができます。
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10. まとめ
持ち家は、賃貸に出すことで家賃収入を得られるだけでなく、空き家の劣化を防ぎ、将来自分や家族が戻れる選択肢も残せます。
ただし、住宅ローンが残っている場合は、金融機関の承諾が必要です。承諾なく貸すと契約違反となり、残債の一括返済を求められるおそれがあるため、まずは借入先に相談しましょう。
賃貸に出す前には、次の点も確認しておくことが大切です。
- 分譲マンションは管理規約、戸建ては修繕や防犯面を確認する
- 火災保険を賃貸用に切り替える
- 入居前の室内の状態を記録し、退去時のトラブルを防ぐ
- 将来自分が住む予定がある場合は、期間が終われば契約が終了する定期借家契約などを選ぶ
管理業務は、賃貸管理会社に任せることで手間を大きく減らせます。管理手数料や修繕費などの費用、家賃収入にかかる税金(確定申告を含む)も、収支計画の段階で把握しておきましょう。
初めて貸す場合は、実績のある賃貸管理会社に早めに相談し、賃料査定を受けるところから始めるのがおすすめです。ポイントを押さえて準備すれば、持ち家の賃貸は無理なく始められます。
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