住まなくなった自宅や相続した戸建ては、「貸して家賃収入を得るべきか」「売って現金化すべきか」で迷いやすい不動産です。
結論からいえば、将来住む可能性があり、賃貸需要と収支が見込める戸建ては賃貸向き、
今後使う予定がなく、まとまった資金が必要、または空室リスクや管理負担が大きい戸建ては売却向きです。
判断を誤らないためには、感覚ではなく「将来住む予定」「立地」「築年数とリフォームの必要性」「管理の手間」「住宅ローン残債」「2026年の市況」など6つで整理することが重要です。
この記事では、金利上昇や中古戸建て価格の高止まりなど、2026年ならではの市況変化も踏まえて判断ポイントを整理します。
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目次
1. 戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準
この章では、戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準について解説します。
1-1. 将来住む可能性
戸建てを貸すか、売るか迷った際「将来この家に住む可能性があるか、ないか」が判断基準になり
ます。転勤からいずれ戻ってくる予定がある、老後にこの家へ戻りたいといった事情があるなら、売却によってその選択肢を失ってしまいます。定期借家契約を使えば期間を区切って貸し出すこともできるため、「戻る可能性はゼロではない」という段階なら、まず賃貸を検討する価値があります。
自分自身が戻る予定はなくても、「将来子や孫が住む可能性がある」、「土地活用でアパート経営に転用できる」「賃貸終了後に売却する」といった選択肢を残せる場合も同様です。
戸建てはマンションと異なり建て替えが可能で、区分所有者全員の合意形成が要るマンションに比べて活用の自由度が高いという特徴があります。
1-2. 立地の良否
戸建ては、売却はできても賃貸に出せない物件は多く存在します。
これは、買い手と借り手とでは「不便さを受け入れられるかどうか」の事情が違うためです。
購入は一度きりの意思決定なので、価格さえ下げれば、
建て替え目的で土地そのものを求める人や掘り出し物件を探す人など、多少の不便を受け入れてでも買いたいという層が一定数見つかります。
一方、賃貸で住むことは通勤・通学を伴う日々の継続的な生活です。
家賃を下げても「駅から遠くて毎日大変」という体験自体は解消されないため、
そもそも住みたいと思う人の母数が少なく、値下げでは需要を作り出しにくいのです。
加えて、入居者探しは基本的に通勤・通学圏内の人に限られますが、購入希望者は土地そのものを目的に広いエリアから集まるため、探せる相手の数自体にも差があります。
具体的には、下記のような条件は賃貸市場では敬遠されやすくなります。
- 最寄り駅やバス停まで徒歩30分近くかかる
- 交通量の多い道路沿いで騒音や排気ガスが気になる
- 周辺に商業施設や公共施設が少なく人通りが乏しい
こうした物件は最初の入居者が決まったとしても、次の借主が見つからず空室が長期化しやすいため、維持費の負担を考えると売却を選ぶ方が合理的なケースが多くなります。
反対に、ファミリー世帯の需要が見込める立地であれば、戸建ては賃貸でも選ばれやすくなります。特に、次のような条件がそろう物件は賃貸向きです。
- 評判の良い学区内にある
- 学童保育のある小学校に近い
- 駅から近く、塾へ通いやすいといった
- 病院やスーパーなどが近くに複数あり生活しやすい
このように、子育て世帯が暮らしやすい条件がそろっていれば、築年数が多少経過していても安定した賃貸需要が期待できます。
1-3. 築年数とリフォームの必要性
戸建てを賃貸に出すか売却するかを考えるうえで、築年数とリフォームの必要性も重要なポイントです。
- 築古で老朽化が目立つ家:賃貸に出すならリフォームがほぼ必須。水回りや内装の傷みが激しいと費用は高額になりやすく、家賃収入だけでの回収には時間がかかるため、想定リフォーム費用と回収期間を試算し、見合わなければ現状のまま売却するのが合理的
- 築浅の家:借主が見つかりやすく好条件で貸せる一方、入居者の使用による経年劣化で資産価値の下落が早まるリスクも。「今の資産価値が高いうちに売る」という選択肢も検討の余地あり
公益財団法人東日本不動産流通機構の調査(【2026年04~06月】、2026年7月17日公表)によると、
首都圏の戸建て平均価格は築5年以内で5,340万円、築30年超で3,030万円(約57%の水準)です。
下落の大部分は建物価値の減少によるもので、土地の価値は比較的残りやすいため、リフォーム費用が家賃収入で回収しきれない場合は、現状のまま売却するのも現実的な選択肢です。
参考:首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2026年04~06月】[公益財団法人 東日本不動産流通機構]
1-4. 賃貸に出す際は管理の手間が発生
戸建てを賃貸するか売却するかは、維持管理ができるかにも考慮することも大切です。
売却してしまえば、維持管理の手間はかかりません。
賃貸に出す場合の賃貸管理業務の主な内容は以下のようになります。
- 入居者募集
- 貸し出し前の物件状態の記録
- 入居者審査、審査・契約手続き
- 家賃の管理、滞納時の対応
- エアコンなどの設備への修繕が必要になった際の業者手配
- 入居者、近隣住民への対応
- 退去時の敷金精算
- 原状回復工事の手配
これらの業務は管理会社に委託することも可能ですが、委託料が毎月のランニングコストとして家賃に対し5~10%程度発生する点は事前に把握しておきましょう。
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1-5. 住宅ローンの残債がある場合
住宅ローンが残っている戸建てを貸し出す際は、
原則として金利の高い「不動産投資ローン」への借り換えが必要です。
2026年現在は、国内の金利上昇に伴い、
投資ローンの金利も2〜3%台と以前より高めに推移しています。
住宅ローン時代より返済額が増えるケースが多いため、「増えた返済額を、現在の賃料相場で十分にカバーできるか」が最大の判断基準となります。
転勤などの事情で住宅ローンのまま貸せる場合もありますが、
まずは最新の賃料査定を行い、「借り換え後のコストを差し引いても、手元に収益が残る資産か」をシミュレーションすることが、失敗しない賃貸経営の第一歩です。
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1-6. 2026年の市況を踏まえた考え方
2026年は、中古戸建の価格が高止まりする一方で、住宅ローン金利は上昇基調にあります。
そのため、「高く売りやすい局面」と「買い替えコストや借入コストが重い局面」が同時に起きています。
今後住む予定がなく、修繕負担も大きい戸建てであれば、価格が保たれているうちに売却を検討しやすい環境です。
一方で、賃貸需要が強く、保有を続けても収支が合う物件は、家賃収入を得ながら様子を見る選択肢もあります。
つまり2026年は、「誰にとっても売り時」でも「誰にとっても貸し時」でもありません。
立地、ローン条件、必要資金の時期、修繕負担の4点を踏まえ、自分の事情にあてはめて判断することが重要です。
2. 戸建てを賃貸に出す3つのメリット

ここでは、戸建てを賃貸に出すメリットについて解説します。
2-1. 家賃収入を得られる
戸建て賃貸の最大の魅力は、入居が続く限り継続的な家賃収入を得られることです。
特に2026年現在のように物価が上昇する局面では、現金の価値は下がりますが、
家賃は物価に合わせて上昇しやすい(物価スライド)という性質があります。
売却して得た現金は使えばなくなりますが、戸建てを賃貸に出せば、
資産価値を維持したまま、将来にわたって安定したキャッシュフローを生み出し続けてくれます。
2-2. 家の価値を自然と維持できる
戸建てを賃貸に出すと家の価値を自然と維持できる点もメリットとなります。
家を維持するためには、定期的な換気と通水が必要です。
定期的な換気をしないと、壁や床等にカビが発生する恐れがあります。
また、定期的な通水をしないと、排水管の下にある封水が蒸発し、下水からの汚臭が室内に充満してしまいます。
家を賃貸に出せば、借主が生活の中で換気や通水を行いますので、家賃を得ながら自然と家の価値を維持することができるのです。
2-3. 資産を残すことで将来活用できる
戸建てを賃貸に出すことで資産を残すことができ、将来活用できる点もメリットです。
現時点でまとまった現金が必要なければ、特に今すぐに売る必要はありません。資産を残しておけば、必要なタイミングで売ることができます。
また、賃貸に出している間は、固定資産税や火災保険料、修繕費、管理委託料などを不動産所得の必要経費として計上できます。
所得税・住民税の負担を抑えながら資産を保有し続けられる点も、賃貸のメリットの一つです。
加えて、市況を見ながら売却のタイミングを選べる余裕も生まれます。
1-6で触れたとおり、不動産価格は年によって変動するため、家賃収入を得つつ様子を見て、資産価値が高いタイミングで売却するという選択肢を残せるのも、賃貸ならではの利点です。
また、貸しておけば、将来、子供や孫が自分たちのマイホームとして利用する可能性を残すことができます。
活かせる土地であれば、無理に売る必要はないのです。
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3. 戸建てを賃貸に出す3つのデメリット

戸建てを賃貸に出すデメリットについて解説します。
3-1. 借り手のニーズとズレた物件の「長期空室リスク」
戸建て賃貸の最大のデメリットは、入居者が決まらなければ収益がゼロになり、
税金や維持費だけが持ち出しになる「空室リスク」です。
戸建てを貸し出そうとした際、貸したいけど貸せない物件も多いです。不動産は、賃貸と売却の難易度は同様ではありません。
2026年現在、住宅価格高騰の影響で戸建て賃貸の需要は高いですが、借り手側の選別眼も非常に厳しくなっています。
- 立地が不便
- 設備が今の暮らし(テレワークや省エネなど)に合っていない
- 収納スペースが少ない
といった、市場ニーズとズレた物件は、いくら貸したくても見向きもされません。
自分の思い入れのある家だからこそ、客観的な市場価値の判断は難しいものです。
まずは賃貸管理会社に、「今の市場環境で、その設備と家賃で本当に選ばれるのか」を
査定してもらうことが、空室という最大の失敗を避ける唯一の方法です。
3-2. 修繕費・管理費用が発生する
戸建てを含めた賃貸借では原則として貸主側に修繕義務があるため賃貸に出す修繕費用が発生する点がデメリットです。
クロスや畳の変色といった経年劣化、画鋲の跡や家具設置によるへこみといった通常損耗は貸主が費用を負担するのが一般的で、退去時のハウスクリーニング費用やクロスの張り替え費用もこれに含まれます。
加えて、管理業務を業者に委託する場合は管理委託料が毎月発生します。
修繕費・管理委託料・固定資産税などを積み上げると、賃貸収入があっても出費が予想以上にかさみ、手元に残る収益が思ったより少ないと感じるケースも少なくありません。
入居者退去後の修繕に関しては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしながら判断しましょう。
3-3. 使いたいときに使えない
戸建てに限らず家を人に貸した場合、好きなタイミングで自分の手元に戻せない可能性がある点も見落とせません。
一般的な賃貸借契約には「普通借家契約」が用いられることが多く、貸主の都合で借主を退去させることは原則としてできません。
転勤が終わって自分がまた住みたくなったときや、途中で売却したくなったときも、借主が拒否すれば家を明け渡してもらえません。
こうした事態は、あらかじめ契約期間を区切る「定期借家契約」を結ぶことで回避できます。
ただし、契約期間が短いと入居者が見つかりにくくなる傾向があるため、将来的に自分で使う可能性や売却の可能性が少しでもあるなら、契約期間や形態を最初の段階で検討しておくことが重要です。
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4. 戸建てを売却する3つのメリット

戸建てを売却するメリットについて解説します。
4-1. まとまった現金が入る
戸建てを売却するとまとまった現金が入るという点がメリットです。
まとまった現金が必要となるケースは、学費や老人ホームに入所するための一時金が必要な場合や相続税の納税資金が必要な場合等があります。
まとまった現金が必要というタイミングが今であれば、売却することをおすすめします。
なお、売却する際には、買取か仲介によって売却金額と売却完了までのスピードが以下のように異なるため注意が必要です。
- 売却までの期間が短い(最短2週間ほど)
- 確実に売却できる
- 内見や客付けの手間がいらない
- 物件の状態を問わない
- 手数料が基本的にかからない
- 市場価格より売却価格が低くなる
- 市場価格で売却できる
- 不動産会社のサポートを受けながら売却活動を進められる
- 売却までに時間がかかる(3〜6ヶ月ほど)
- 内見対応が必要になる
- 仲介手数料が発生する
- 物件の状態により売れにくい場合がある
買取と仲介のどちらを選択するかは、物件の状態や売却までのスピードを考慮して検討します。
4-2.維持管理の手間やコストから解放される
売却すれば、固定資産税や修繕費、管理会社への委託料といった継続的な費用負担がなくなります。
賃料下落、空室リスク、管理会社への委託料が上昇するような直接的なコストを心配することもなくなります。
また、確定申告や管理会社との対応のような時間的コストを心配することもなくなります。
管理に手間や時間をかけられ場合は、売却によってこうしたリスクをまとめて解消できます。
この時の注意点として、住宅ローンがある場合は住宅ローンの完済が必要になります。
4-3. リフォームしなくても売却できることが多い
戸建てを売却する場合はリフォームしなくても売れることが多い点もメリットとなります。
例えば、不動産会社へ売却する買取では、不動産会社が買い取った後にリフォームしますので、売主がリフォームを行うことは不要です。
買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で安く家を売ることを指します。
また、買取ではなく、仲介を選択したとしてもリフォームせずに売却できることは多いです。
高額なリフォーム費用を投じないと貸せない物件は、売却を選択した方が経済的といえます。
5. 戸建てを売却する3つのデメリット

戸建てを売却するデメリットについて解説します。
5-1. 資産を手放すことになる
戸建てを売却すれば、その時点で資産を手放すことになります。
今後、子が孫や住んだり、自分でアパート経営等をしたりといった活用ができなくなります。
売却はいつでもできますので、今すぐ現金が必要といった事情がない限り、無理に売却する必要はないのではないでしょうか。
期間を限定できる契約方法もあるので、賃貸に出せる需要がある戸建てであればとりあえず賃貸に出して家賃収入を稼いでおき、現金が必要となったタイミングで収益物件として売るのが望ましいといえます。
5-2. 不動産は買い替えると購入時の価格が高い
近年は不動産価格の高騰が続いており高く売りやすいことから、単純に売却だけであれば売りどきと捉えることもできます。
しかしながら、買い替えを行う場合には、購入時の価格が高くなる点がデメリットです。
2026年現在、不動産価格は「高止まり」の状態。
売れば確かにまとまった現金が入りますが、問題はその次です。
別の家を買い直そうと思っても、物件価格だけでなく諸経費や建築コスト、
さらには新規の住宅ローン金利まで上昇しており、
「売った金額で同レベルの家が買い直すことができない」という現象が起きています。
「高く売れるから売り時」というのは真実ですが、買い替えが必要なら、
今は無理に売らずに賃貸で回して収益を得つつ、市場の過熱が落ち着くのを待つ。
これも2026年において資産を守るための立派な戦略です。
5-3. 売却時には諸費用・税金の確認が必要
戸建てを売却する場合、住宅ローンが残っていれば、売却と同時に残債を一括で完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があります。
売却代金でローンを完済できれば問題ありませんが、売却価格が残債を下回る「オーバーローン」の状態では、自己資金の充当や住み替えローンの利用などを検討しなければなりません。
また、売却代金がそのまま全額手元に残るわけではありません。
仲介手数料、印紙税、登記費用などの諸費用がかかり、譲渡益が出た場合は譲渡所得税の対象になることがあります。
自宅を売ったときに使える3,000万円特別控除が適用できれば税負担を軽減できる可能性がありますが、適用には居住用財産であることなどの要件があります。
相続した実家や長期間空き家だった戸建てでは、別の特例や要件確認が必要になる場合もあるため、売却前に不動産会社だけでなく税務面も確認しておくと安心です。
6. 【タイプ別】賃貸が向いている人・売却が向いている人の特徴
6-1.こんな人は「賃貸」がおすすめ
・その家に将来住む可能性がある人
転勤から戻れるかどうか未定な場合や、老後にその家に戻りたい、子どもに譲りたいという希望がある場合は、売却してしまうと選択肢が失われます。
期間を限定できる定期借家契約という方法もあるため、住む可能性を残しながら家賃収入を得ることができます。
・立地条件が良く賃貸需要が高い人
駅からの近さや生活利便施設の充実度など、賃貸需要が見込める立地であれば、空室リスクを抑えながら安定した家賃収入が期待できます。売却するのが惜しいと感じる好立地の物件ほど、賃貸で運用するメリットが大きくなります。
・家に愛着があり、経済的に余裕がある人
一度売却した家に再び住むことはできません。家族の思い出が詰まった家を手放すことに抵抗があり、かつ管理コストを負担できる経済的な余裕があるのであれば、無理に売却せず、まずは賃貸に出して収入を得ながら将来の方針をじっくり検討するという選択も可能です。
6-2.こんな人は「売却」がおすすめ
・その家に今後住む予定がない人
既に住まいがあり、相続した実家などに誰も住む予定がない場合は、早めの売却がおすすめです。
築年数が経過するほど資産価値は下がっていく傾向にあるため、活用の見込みがないまま保有し続けるよりも、価値が高いうちに現金化する方が合理的です。
・まとまった資金が必要な人
教育費や新規事業の元手、老後資金、相続税の納税資金など、短期間でまとまった資金が必要な場合は売却が向いています。
賃貸で同額の収益を積み上げるには数十年単位の期間がかかることが多く、資金ニーズが明確にあるなら売却の方が効率的です。
・管理の手間やコストをかけたくない人
入居者募集や契約手続き、修繕対応などの管理業務に時間を割けない人、遠方に住んでいて物件を頻繁に見に行けない人は、売却によってこうした手間を一切なくすことができます。
管理会社に委託する方法もありますが、それでも委託料というコストは残る点は考慮しておきましょう。
7. 戸建てを賃貸する場合と売却、それぞれの収益シミュレーションを解説

以下の条件で、賃貸と売却それぞれの収益シミュレーションを行ってみます。
エリア:千葉県千葉市若葉区
購入時の価格:6,000万円(土地2,500万円・建物3,500万円)
築年数:築20年
建物の構造:木造
間取り:4LDK、30坪
周辺環境:駅まで徒歩約15分、スーパーや学校も近い
住宅ローン:完済
7-1. 賃貸に出す際
賃貸に出す際のシミュレーションでは、賃料を月額12万円、各支出を以下のように仮定して計算してみます。
【賃料と各支出】
・賃料:144万円(12万円×12)
・維持修繕費:12万円(1万円×12)
・火災保険料:7万円(単年度分)
・固定資産税と都市計画税:10万円
・管理委託料:7.2万円(賃料の5%)
【年間収益】
107万8,000円=(144万円 -(12万円+7万円+10万円+7.2万円)
賃貸に出した場合の収益は、107万8,000円×複数年(賃貸を行う年数)になります。
7-2. 売却する際
本記事では、物件の売却価格を4,000万円とし、実際の手残りを計算してみます。
手残りを計算するには、まずは売却にかかった費用を算出する必要があり、計算方法は以下のとおりです。
【売却費用の計算】
・仲介手数料=(4,000万円×3%+6万円)+消費税(10%)
=138万6,000円
・印紙税=1万円
・登記費用=5万円
=144万6,000円
また、売却時には、譲渡所得税を計算し支払う必要があります。
譲渡所得税は、土地や建物などの資産を売却して利益(譲渡益)が出た場合にかかる税金で、決められた税率をかけて算出します。譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりです。
【減価償却費を考慮した譲渡所得金額の計算】
・減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数(所有期間)
=3,500万円×0.9×0.031×20年=1,953万円
・取得費用=土地の取得価格+(建物の取得価格-減価償却費)
=2,500万円+(3,500万円-1,953万円)=4,047万円
・譲渡所得金額=4,000万円-(4,047万円+譲渡費用100万円)=-147万円
(課税譲渡所得がマイナスのため、譲渡所得税は発生しません)
※減価償却の計算式と償却率は国税庁「減価償却費の計算について」を参照
譲渡所得税はかからないため、今回は以下のように売却価格から売却費用を差し引いて手残りを算出します。※実際の税額は個別の取得費・特例適用の有無により変動するため、詳細は税務署または税理士へご確認ください
【実際の手残り】
手残り=売却価格-売却費用
=4,000万円-144万6,000円
=3,855万4,000円
今回の前提では、賃貸の年間収益は約107.8万円です。これを単純積算すると、売却時の手残り約3,855.4万円に届くまで約35.8年かかります。
実際には空室期間、突発的な修繕、将来の家賃下落、売却時の物件状態や市況変化もあるため、長期保有に耐えられるかを見極めることが重要です。
将来住む予定がなく、資金需要が近い人は売却が合理的で、将来使う可能性があり、長期保有と管理負担を受け入れられる人は賃貸が選びやすいといえます。
賃貸と売却、何年で収支が並ぶ?
| 経過年数 | 賃貸の 累計収益 |
売却の 手残り |
|---|---|---|
| 1年 | 約107.8万円 | 約3,855.4万円 |
| 5年 | 約539万円 | 約3,855.4万円 |
| 10年 | 約1,078万円 | 約3,855.4万円 |
| 20年 | 約2,156万円 | 約3,855.4万円 |
| 30年 | 約3,234万円 | 約3,855.4万円 |
| 35.8年 | 約3,855.4万円 (到達) |
約3,855.4万円 |
実際には空室期間、修繕費の変動、家賃下落などにより到達年数は変わる可能性があります。
8. 2026年現在、戸建てを「売らない方がいい」3つの理由

この章では、今は戸建てを売却しないほうが良い理由について解説します。
8-1. 実物資産(土地)インフレ対策になる
近年は戸建てなど不動産価格の高騰が続いている状況であることから、売りどきと言われることも多いです。
しかしながら、今が売りどきと考えるのは、一部は正しいですが、全部は正しいとは限らないといえます。
近年における日本の土地価格は2013年から上昇し始めており、2024年時点では11年連続で上昇している状況です。
物価は上昇しており、日本全体としてはインフレ傾向にあるといえます。
インフレとは、不動産のようなモノの価値が上がる現象ですが、
見方を変えると現金の価値が下がる現象です。
売却とは、これから価値が上がるモノを、わざわざ価値が下がる現金に換える行為といえます。
インフレ局面で一番怖いのは、資産をすべて「現金」で持ってしまうことです。
売却して得た数千万円の現金は、物価が上がれば上がるほど、その実質的な価値(買えるものの量)が減っていきます。
それに対して戸建てという「現物」は、インフレに合わせて価値が維持されやすく、
家賃も物価に連動して上げやすい。といえます
資産防衛の観点から言えば、今このタイミングで戸建てを売って現金化するのは、わざわざ「目減りする資産」に乗り換えるようなもの。
だからこそ、賢いオーナーほど「今は売らずに貸す」という選択肢を真剣に検討しています。
8-2. 不動産は買いたいときに安く買えない
不動産の性質として、不動産は買いたいときになかなか安く買えないという性質があります。
土地は立地を考慮すると同じ商品が存在しないことから、一点モノの商品です。
一点モノの商品は購入希望者が2人以上現れると価格が競り上がってしまう性質があり、安く買うことが難しくなります。
昔購入した土地の値段は、往々にして安いことが多いです。
一度売却してしまうと、将来同じ土地を買おうとしたときに昔買った金額では二度と購入できないため、不動産は売らずに持っていた方が良いといえます。
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8-3. 低金利時代のローン契約「特権」の維持
もし低金利時代にローンを組んでいるなら、その有利な条件を手放すのは得策ではありません。
2026年は、年初から固定金利を中心に上昇傾向が顕著で1999年以来の27年ぶりの高水準となるなど固定金利が選びにくい環境です。2026年2月のフラット35は2.260%へ上昇し
主要銀行の10年固定の金利も2~2.8%台に上昇しています。
変動金利は据え置き傾向ですが、2026年4月以降に引き上がる可能性もありそうです。
新規でローンを組む際の金利は上昇傾向にあります。
有利な条件のローンを維持したまま、家賃収入で返済を回し、
自分の資産を形成していく方が、将来的なトータルリターンは大きくなります。
9. 賃貸中の物件も売却可能!2つの方法を紹介

賃貸に出している物件を売却する方法として、以下の2つがあります。
- オーナーチェンジ
- 入居者への売却
それぞれ詳しく解説します。
9-1. オーナーチェンジ
オーナーチェンジとは、現在の入居者がいる状態で物件を次のオーナーに売却する方法です。新しいオーナーは、入居者との賃貸契約を引き継ぎ、家賃収入を得ることができます。新オーナーは、入居者探しの手間が省けて、すぐに収益化できることが大きな魅力です。
売主と買主それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
- 現状のまま手放せる
- 家賃収入を得ながら売却活動ができる
- 入居者への退去交渉や立ち退き費用がかからない
- 売却価格が相場よりも安くなる可能性がある
- すぐに収益を得られる
- どのような入居者がいるのか事前に把握できる
- 直前までの運用実績を参考にできる
- 購入前に実際に部屋のなかを確認するのが難しい
- 購入後に瑕疵の存在に気づく可能性がある
入居者側は、家賃の支払い先が変わるぐらいで大きな変化はありません。ただし、入居者の同意が必要な場合もあるため、事前に説明会を開いたり手紙を投函したりして通知することが重要です。
オーナーチェンジは、売主・買主・入居者の三者にとってメリットの大きい売却方法だといえます。
9-2. 入居者への売却
賃貸中の物件を現在の入居者に購入の意思を確認したうえで、そのまま売却する方法です。
売主と買主それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
- 買主を探す手間や時間、費用がかからない
- 現状のまま売却できる
- そもそも購入してくれる入居者に出会えるかわからない
- 入居者に購入意思があっても、ローンが通らず買えない可能性がある
- 現在の自宅にそのまま住み続けられる
- 引っ越す必要がない
- 住宅ローンが組めず購入意思はあっても買えないことがある
オーナーチェンジよりも売却活動にかける手間や費用を削減できる方法ですが、そもそも入居者が購入してくれるかどうかが運次第です。可能性の1つとして、入居者に声をかけてみてもよいでしょう。
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10. まとめ
戸建てを賃貸に出すメリットには「家賃収入が入る」等があり、デメリットには「空室時は維持費の負担が重くなる」等がありました。
一方で、戸建てを売却するメリットには「まとまった現金が入る」等があり、デメリットには「資産を手放すことになる」等があります。
近年はインフレ方向にありますので、インフレ対策として今は家を売らないほうが良いです。
戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準は、以下の5つです。
- 立地の良否
- リフォームの必要性
- 将来活用する可能性
- 建物の築年数
- 住宅ローンの残債
戸建てを貸すか売るかを決める際の判断材料としていただければと思います。
(株)リロケーション・ジャパンは東証プライム上場企業 株式会社リログループのグループ企業です。
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