戸建てを賃貸に出す際のデメリットとは?成功戦略と知っておきたい注意点

執筆者│平田 翔

平田 翔

【資格】

宅地建物取引士

戸建 賃貸 デメリット│戸建てを賃貸に出す際のデメリットとは?成功戦略と知っておきたい注意点

「持ち家の戸建てを賃貸に出したいが、デメリットはないのだろうか?」と、心配している方は多いのではないでしょうか。戸建て住宅の賃貸には一定の需要があるため、適切に運営すれば安定した収入源となり、資産価値の維持向上にもつながります。

しかし、空室発生時のリスクの大きさや修繕費用が高額になりやすいことなど、デメリットがあるのも事実です。そこで本記事では、戸建て賃貸に伴うデメリットとそれを回避する方法、成功するための戦略などを詳しく解説します。

1. 戸建てを賃貸に出す3つのデメリット

戸建 賃貸 デメリット│戸建てを賃貸に出す3つのデメリット

戸建てを賃貸に出す際に注意すべきデメリットは、主に以下の3つです。

  • 空室発生時のリスクが大きい
  • 修繕やリフォーム費用が高額になりやすい
  • 需要の有無の把握が難しい

それぞれ詳しく解説します。

1-1. 空室発生時のリスクが大きい

戸建ての賃貸は、マンションやアパートと比較して家賃が高額になる傾向にあります。そのため一度空室が発生すると、その間の収入の損失額が大きくなりがちです。また戸建ての入居希望者は子どものいるファミリー層やプライバシーを重視する人などで、戸建て賃貸を求めている人の母数が少ないため、マンションやアパートに比べて入居希望者が限られます。

そのため入居者探しに時間がかかり、空室期間が長期化する可能性が高いです。また空室が長期間続くことで、不審者の侵入や放火などの防犯上のリスクが増加します。さらに、定期的に換気や通水を行う必要があるため手間がかかったり、室内や庭をきれいに保つための清掃やメンテナンス費用もかかり続けたりします。

【デメリットの解決策】

  • 適切な家賃設定が必要なため、戸建ての賃貸に慣れている不動産会社に査定を依頼するのが一般的
  • 必要であればリフォームや設備の改修をし(エアコン新設、水回り改修など)を検討し入居者のニーズに合った物件にする

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1-2. 修繕やリフォーム費用が高額になりやすい

戸建ての修繕やリフォームは、マンションやアパートよりも大規模になることが多いです。部屋数が多いことはもちろん、外壁や屋根など建物全体の点検・修繕も必要です。また、建物だけではなく庭や駐車場などの外構部分も含めて、広範囲のメンテナンスが求められます。

さらに、築年数の経過とともに建物が劣化するため、より修繕にかかる費用がかさむ傾向にあります。戸建て賃貸は入居期間が長くなりやすい反面、退去後の原状回復費用が大きくなる可能性があることを覚えておきましょう。

【デメリットの解決策】

  • 修繕積立金を確保し修繕業者にも事前に見積もり、適正価格で質の高そうな業者を見つけておく
  • 信頼できる不動産会社を見付け、家賃で回収できる範囲のリフォームで済ませる

1-3. 需要の有無の把握が難しい

不動産賃貸市場において、物件に対する需要を正確に把握することは容易ではありません。特に戸建て賃貸はアパートやマンションと比較して物件数が少なく、立地や間取り、設備などの個別性が強いため、市場動向からの予測が難しい側面があります。

加えて、入居希望者の具体的なニーズや予算は多様化しています。「この地域ではこのタイプの物件が人気」など、一般的な傾向だけでは個別の物件の需要を予測できないケースも多いです。

【デメリットの解決策】

  • 地域特性を調査する
  • 戸建ての賃貸に慣れている賃貸管理会社へ賃貸管理を委託する

「2. 戸建て賃貸に出す際のデメリットを回避する方法」と「3. 戸建てを賃貸に出す際の成功戦略」にて、デメリットへの対応策を詳しく解説しているので、ぜひ読み進めてみてください。

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2. 戸建て賃貸に出す際のデメリットを回避する方法

戸建 賃貸 デメリット│戸建て賃貸に出す際のデメリットを回避する方法

戸建て住宅を賃貸に出す際のデメリットを回避するには、賃貸管理会社を頼るのがおすすめです。賃貸管理会社は物件オーナーの「代理人」として機能し、以下のような業務を任せることで、貸主の負担を軽減してくれる存在になります。

【任せられる業務内容】

入居者募集の手間
・物件の広告掲載
・問い合わせ対応

日常的な物件管理の負担
・家賃の集金代行
・滞納時の督促対応

入居者トラブルへの対応
・騒音や近隣トラブルの解決
・入居者からの苦情処理

物件の汚損
・破損リスクへの対策
・入退去時の立会いによる状態確認
・敷金の清算

賃貸経営に関する専門的なサポート
・適切な家賃や契約形態、条件設定のアドバイス
・調査機関を介した入居審査の実施

また負担の軽減だけではなく、戸建て賃貸ではいかに空室リスクを軽減できるかがポイントです。豊富な経験や実績がある会社であれば、需要に見合った適切な賃料を設定できたり、物件のアピールポイントを明確にできたりします。賃料の5〜12%程度の管理手数料がかかるものの、自己管理にかかる時間や労力、精神的負担を考えると委託する価値は大きいといえます。

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3. 戸建てを賃貸に出す際の成功戦略

戸建 賃貸 デメリット│戸建てを賃貸に出す際の成功戦略

戸建てを賃貸に出すことには確かにデメリットもありますが、適切な戦略を立てることで安定した収益を生み出す貴重な資産になります。ここでは、戸建て賃貸で成功するための具体的な戦略として、以下の3つを紹介します。

  • 適正な家賃を設定する
  • 入居者の募集方法を確認する賃料収入を向上させる施策を行う

戸建てを賃貸に出したいと考えている方は、ぜひ確認してみてください。

3-1. 適正な家賃を設定する

戸建て賃貸を成功させるためには、相場を調べたうえでの適切な家賃設定が求められます。そこで、SUUMOやアットホームのような不動産ポータルサイトを活用して、近隣で賃貸に出している物件の価格を調べることが可能です。戦略的に高く設定してから徐々に下げる方法もありますが、空室期間を短くするなら相場より少し安く設定して早く入居させる方が、収益化が早くなります。

ただし、家賃設定は賃貸経営の根幹になるので、プロである不動産仲介会社や賃貸管理会社の知見を活用するのが確実です。戸建て賃貸の経験が豊富な賃貸管理会社に任せれば、地域相場や物件の特性を踏まえた最適な家賃設定が可能になります。 また、賃貸経営には長期的な視点も重要です。少し家賃を抑えてでも長く住んでもらえる良質な入居者を見つけることが、結果的には大きな収益につながります。

3-2. 入居者の募集方法を確認する

賃貸管理会社を決める際には、どのような募集方法を行っているのかも重要なポイントになります。自社サイトや不動産ポータルサイトへの掲載は一般的ですが、それ以外にも法人向けの独自の営業ルートを持っている会社であれば、さらに入居者を獲得できるチャンスが広がるでしょう。戸建ての場合は、ファミリー層や転勤などで一時的に引っ越してくる世帯が主な需要層となるため、それらのターゲットに届く募集方法があるかが大切です。

3-3. 賃料収入を向上させる施策を行う

戸建て住宅を賃貸に出す際には、家賃設定と募集戦略をセットで考えることが大切です。 リフォームやリノベーションを行うことで、物件の魅力を高められ賃料収入の向上が期待できます。例えば以下のような対策が、入居者を引き付ける価値となります。

  • トイレやお風呂などの水回り設備を新しくする
  • ウォークインクローゼットや屋根裏収納を作る
  • 防音性能の高い部屋を作る
  • オール電化を導入する
  • 浴室乾燥機を導入する
  • 防犯フィルムや防犯ガラスを導入して防犯性能を高める

物件の魅力を高めることは、空室対策にもなるのでおすすめです。また、長期的な収益向上を図るなら、入居条件の工夫も重要です。例えば、ペット可や楽器演奏可の物件は需要が限られますが、希望する入居者にとっては大きな価値を感じてもらえます。戸建て住宅を賃貸に出す際の空室対策と入居率の向上に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

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4. 持ち家を賃貸に出す際の5つの注意点

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持ち家を賃貸に出すことで安定した収入を得られますが、以下のような注意点も理解しておく必要があります。

  • 住宅ローンの返済中は金融機関への確認が必須
  • 確定申告が必要になる
  • リフォームが必要なケースがある
  • 賃貸借契約の種類に気をつける
  • 賃貸管理会社への賃料査定は複数社に依頼する

これらの注意点は、戸建て住宅に関わらずマンションやアパートでも重要です。リフォームや賃貸借契約については、プロである賃貸管理会社に相談しサポートを受けることも可能です。それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

4-1. 住宅ローンの返済中は金融機関への確認が必須

住宅ローンは、自らが居住する目的で土地や建物を取得する際に利用できるローンです。自宅を賃貸に出す場合は、居住ではなく賃貸経営が目的になるため、原則として住宅ローンを利用できません。 そのため、住宅ローンが残っている場合はローンを完済するか、事業用ローンへの借り換えが必要です。

ただし、住宅ローンを利用したまま自宅を賃貸に出せるケースもあります。例えば、転勤や親の介護などで一時的に自宅を離れる場合は、金融機関の判断次第で住宅ローンの継続が認められます。 なお、契約を無視して金融機関への相談なしに賃貸に出すと、契約違反で一括返済を求められたり、違法行為として訴えられたりするリスクもあるので注意が必要です。

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4-2. 確定申告が必要になる

不動産所得が年間20万円以上あると、確定申告が必要になります。 不動産所得は、賃貸収入から必要経費を差し引いて算出します。必要経費として計上できるものは、修繕費や管理費、ローンの利息などです。なお、不動産所得が年間20万円以上なくても、給与所得を得ている会社員の場合は確定申告することで所得税を減額できる可能性があります。

確定申告の手続きに不安があったり時間が取れなかったりする場合は、税理士に依頼するのもおすすめです。費用はかかりますが、経費の計上漏れや控除の適用漏れをなくせるため、節税効果を高められるでしょう。持ち家を賃貸に出した場合の確定申告や税金に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

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4-3. リフォームが必要なケースがある

築古の物件や老朽化した設備がある場合には、リフォームが必要になることがあります。 しかし、そのような場合でも、水回りの修繕や壁紙の張り替えなど部分的な改修で物件の魅力が向上し、賃料アップや早期契約につながることもあります。

リフォームで注意したいのは、リフォーム費用の負担が大きくなり、家賃収入で回収できず期待通りの収益を得られないことです。 無駄な投資を避けるためには、自己判断でリフォームを進めるのではなく、専門家である賃貸管理会社に相談しましょう。賃料査定と合わせて、どの箇所のリフォームが賃料や入居率アップに効果的かを客観的に判断してもらえます。以下の記事でも、古い家の貸し方やリフォームに関して解説しているので、合わせてご覧ください。

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4-4. 賃貸借契約の種類に気をつける

賃貸借契約には、以下のように「普通借家契約」「定期借家契約」「一時使用賃貸借契約」の3つがあります。

普通借家契約 定期借家契約 一時使用賃貸借契約
契約期間 基本的に1年以上の期間を設定(※1) 契約時に契約期間を設定 一時使用の目的を果たすまでの期間
契約の更新 不可 不可
貸主からの解約申し出 正当事由がない限り不可 期間満了をもって解約可(※2) 一時使用の目的を果たすことにより解約可(※3)
契約方法 口頭でも書面でも可 書面(または電磁的記録)でのみ可 口頭でも書面でも可
賃料 賃貸市場の相場 普通借家契約の8~9割 普通借家契約の8~9割
用途 対象の家に住まず永続的に貸し出す場合 転勤などの場合 転勤などの場合

※1:期間の定めのない契約も可
※2:期間満了の6ヶ月〜1年前までの間に解約予告が必要
※3:解約日の3ヶ月前までの事前告知が必要

契約方法を選ぶ際にポイントになるのは「再び住む予定があるか」です。 例えば、普通借家契約では借主の権利が強く守られるため、入居者が更新を希望すれば貸主は断れません。そのため数年後に再び住みたいと思っても、退去してもらうのが難しい可能性があります。

定期借家契約や一時使用賃貸借契約であれば、更新が不可能なため、確実に返還してもらえます。 戸建て住宅を賃貸に出す目的に合わせて、賃貸管理会社と相談しながら最適な契約方法を決めましょう。

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4-5. 賃貸管理会社への賃料査定は複数社に依頼する

賃料査定を行う際には、複数の会社に依頼してみることが重要です。実際に委託する会社を選ぶ際は、査定結果や査定時のやり取りが判断材料になります。会社によって査定のポイントや賃貸管理サービスの内容、実績などが異なるため、複数社を比較してみるのがおすすめです。

賃料査定を依頼する会社選びのポイントは、以下のとおりです。

  • 管理戸数の多さ(戸建ての管理を行っているかに注目する)
  • 転勤の場合にはリロケーションに強い会社かどうか
  • 戸建ては庭や外壁なども含めて、チェック・管理してくれるか
  • ターゲットが限定されるため、どのような集客を行ってもらえるのか

実際にホームページを確認して「戸建ての管理を実際に行っている」「リロケーションに強い」などの特徴に注目し、賃料査定の相談をしてみましょう。また、高い査定結果を出してくれた会社に依頼したくなりますが、その賃料で借り手が現れるとは限りません。 そのため、単に査定結果の高さだけでなく、サービス内容や担当者の対応なども含めて総合的に判断しましょう。賃料査定は無料です。賃料査定をしたからと言って契約をするわけではないので複数の会社に問い合わせ、戸建ての賃貸管理にどの程度、詳しいか確認しましょう。その際のポイントは以下の通りです。

  • 同じ質問をして、回答を比較検討する
  • 担当者の説明が分かりやすく、誠実に対応してくれるかどうかも重要な判断材料です
  • 契約前には、管理委託契約書の内容を隅々まで確認し、不明な点は必ず質問しましょう

特に費用に関する項目は、後でトラブルにならないよう、詳細までしっかり確認することが大切です。

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5. まとめ

戸建ての賃貸住宅は、マンションやアパートに比べて供給数が少ないわりに、ファミリー層などからの需要が高い傾向にあります。そのため、適切な家賃設定や募集戦略により、高い入居率と安定した収益が期待できます。しかし、空室リスクの大きさや高額な修繕費用、需要予測の難しさなどのデメリットがあるのも事実です。

戸建て賃貸のデメリットへの対策には、経験豊富な賃貸管理会社に委託するのが効果的です。戸建て賃貸の経験と実績の多い会社であれば、適切な賃料設定から入居者募集、契約管理まで一貫してサポートしてくれます。複数の会社に賃料査定を依頼し、戸建て管理の実績や対応力を比較検討することで、最適なパートナーを見つけられるでしょう。

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この記事の執筆者

執筆者│平田 翔

平田 翔

ハウスメーカーにて建売住宅販売と土地仕入れ・土地調査の業務を経験。現在は、SEOやコラムなど、不動産を中心に様々なジャンルのライターとして活動中。「宅地建物取引士」の資格と実務経験を活かして、不動産関連の記事は300記事以上を執筆。

カテゴリ: 家を貸す 関連記事

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