住まなくなったマイホームや親から相続した戸建てを賃貸にすべきか、売却すべきか、迷っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
貸せる物件であれば売るのはもったいないですし、賃貸に出せない物件であれば、やはり売却せざるをえないのか悩むところです。
賃貸需要のある戸建ては良い物件なので、将来活用する可能性があるかどうかも含めて戸建てを賃貸に出すか売却するかを判断することが望ましいといえます。
この記事では、「戸建てを賃貸に出すか、売却するか」をテーマに解説し、迷った際の判断基準も解説しています。
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目次
1. 戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準

この章では、戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準について解説します。
1-1. 立地の良否
戸建ては、売却はできても賃貸に出せない物件は多く存在します。
賃貸に出せない最大の理由は、立地が劣るという点です。
「立地が劣る」とは、主に生活の利便性の面で不利な条件を抱えている状態を指します。具体的には、最寄り駅やバス停から離れており徒歩で30分もかかる場合や、騒音や排気ガスに悩まされる交通量の多い幹線道路沿いなどが該当します。また、周辺に商業施設や公共施設が少なく人通りが乏しい地域や、道幅が狭く急な坂道があるなどの物理的な制約がある場所も、立地が劣ると評価されやすいです。
立地が劣る物件は、仮に最初は借主が見つかったとしても、次回以降はなかなか借主が見つからない可能性があります。
借主を見つけにくい立地であれば、空室が長期化して維持費の負担が重くなっていくことから売却を選択した方が良い場合が多いです。
一方で、立地が良い物件であれば売るのは惜しいため、賃貸に出した方が良いといえます。
戸建てはターゲットがファミリー世帯になりますので、例えば以下のような立地は特に戸建てが賃貸に出しやすい立地です。
- 評判の良い学校の学区内にある
- 学童保育がある小学校の学区内にある
- 塾に通わせやすい
- 病院やスーパーなどが近くにあり生活しやすい
近くに大企業がある街であれば転勤族も多く、評判の良い公立学校の学区内は戸建ての賃貸ニーズが強いです。
近年、保育園不足は解消されつつありますが、学童保育(小学生児童を預かる場所)の不足が指摘されています。
学童保育は小学校に併設されているケースが多く、学童保育が併設されている小学校の学区内には戸建ての賃貸ニーズがあります。
また、学童保育よりも子供を塾に通わせたいという親も存在し、塾に通わせやすい立地も賃貸ニーズが強いです。
塾は駅近辺にあることが多いため、駅近辺の立地には根強い賃貸ニーズがあります。
賃貸ニーズがあるかを知るためには、賃貸管理会社に実際の物件や周辺の環境も合わせて見てもらうのが良いでしょう。
1-2. リフォームの必要性
戸建てを賃貸に出すか、売却するかの判断基準としてリフォームの必要性の有無も賃貸に出すかどうかの判断ポイントです。
リフォームが必要な物件の場合、売却であればリフォームしなくても売ることはできますが、賃貸に出すのであればリフォームは必要となります。
具体的にリフォームが必要なのは、自宅が以下のような状態の場合です。
- キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備の老朽化や汚損
- 床や畳の破損や汚れ
- 壁紙の破損や汚れ
- 建具の破損 など
想定する入居者によっては、間取りの変更やバリアフリー化も視野に入れる必要があります。
ただし賃貸に出す際のリフォームは、費用のわりに得られる収入が少なく、投資回収に時間がかかる点が難点です。そのため、高額のリフォーム費用が発生してしまう場合には、売却を選択するのも判断の一つです。
1-3. 将来活用する可能性
戸建てはマンションとは異なり、建て替えができる点が特徴です。
マンションも理論上は建て替えができますが、現実的には難しいです。そのため、マンションは将来活用しにくい点が戸建てとの相違点になります。
そのため、戸建ては将来活用する可能性を十分に考慮したうえで、貸すか売るかを判断することが望ましいです。
活用法としては、例えば子や孫が住んだり、必要に応じて売却したり、自分でアパートを建てたりすることが考えられます。
戸建てを賃貸に出せる立地の物件は希少性がありますので、将来少しでも活用する可能性があれば、売らずに賃貸に出していくことをおすすめします。
1-4. 賃貸に出す際は管理の手間が発生
戸建てを賃貸するか売却するかは、維持管理ができるかにも考慮することも大切です。売却してしまえば、維持管理の手間はかかりません。賃貸に出す場合の賃貸管理業務の主な内容は以下のようになります。
- 入居者募集
- 貸し出し前の物件状態の記録
- 入居者審査、契約手続き
- 家賃の管理、滞納時の対応
- エアコンなどの設備への修繕が必要になった際の業者手配
- 入居者、近隣住民への対応
- 退去時の敷金精算
- 原状回復工事の手配
このような管理業務をできるかどうか、できたとしても、急な対応を要する場合もあり、物件が近くにあるかも判断基準となるでしょう。
ただ、これらの管理業務は管理会社にほぼ全てを委託する方法もあります。賃貸を検討したいが、上記の管理業務が難しい場合は、賃貸管理会社に委託する方法で上記のような管理業務を管理会社が行ってくれます。
将来活用する可能性がある場合は、賃貸管理会社を活用して賃貸を検討してみても良いでしょう。
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1-5. 住宅ローンの残債
住宅ローンの残債も、自宅を売却するか賃貸に出すかの判断材料になります。
例えば、売却した際の売却益で住宅ローンを完済できない場合は、自己資金を充当しなければなりません。自己資金に余裕がない場合には、家を手放しても借金だけが残ってしまいます。
一方で賃貸を選択した場合には、家賃収入を得ながら住宅ローンの返済に充てることが可能です。ただし、住宅ローンは所有者自らが居住していることが条件であるため、貸家として貸し出したい場合は金融機関への相談が必要です。
賃貸に出す場合には、住宅ローンから不動産投資ローンへ切り替えるのが一般的であり、ローン金利の上昇から月々の返済額が増加したり返済期間が延長したりする可能性があります。しかし、転勤等のやむを得ない事情がある場合には、銀行も一時的に賃貸を認めてくれるケースも多いです。期間限定で転勤が決まった場合には、一時的な賃貸を得意とする管理会社や借入している金融機関に相談してみましょう。
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2. 戸建てを賃貸に出す3つのメリット

ここでは、戸建てを賃貸に出すメリットについて解説します。
2-1. 家賃収入が得られる
戸建てを賃貸に出すメリットは、家賃収入が得られるという点です。
賃貸経営は一般のビジネスに比べると高度なノウハウや経験は必要なく、優良な資産を保有していれば行うことができます。
家賃収入は、安定しているという点も魅力です。
一般のビジネスのようにリピーターが確保できるまで時間がかかるといったことはなく、収益の見通しが立てやすいといえます。
2-2. 家の価値を自然と維持できる
戸建てを賃貸に出すと家の価値を自然と維持できる点もメリットとなります。
家を維持するためには、定期的な換気と通水が必要です。
定期的な換気をしないと、壁や床等にカビが発生する恐れがあります。
また、定期的な通水をしないと、排水管の下にある封水が蒸発し、下水からの汚臭が室内に充満してしまいます。
家を賃貸に出せば、借主が生活の中で換気や通水を行いますので、家賃を得ながら自然と家の価値を維持することができるのです。
2-3. 資産を残すことで将来活用できる
戸建てを賃貸に出すことで資産を残すことができ、将来活用できる点もメリットです。
まず、現時点でまとまった現金が必要なければ、特に今すぐに売る必要はありません。資産を残しておけば、必要なタイミングで売ることができます。
また、貸しておけば、将来、子供や孫が自分たちのマイホームとして利用する住む可能性を残すことができます。
契約方法によって期間を限定した貸し出し方法もあります。
さらに、子や孫が利用しなくても、将来、土地活用をしてアパート経営すれば、より多くの家賃収入を得ることができるでしょう。
活かせる土地であれば、無理に売る必要はないのです。
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2. 戸建てを賃貸に出す3つのデメリット

戸建てを賃貸に出すデメリットについて解説します。
3-1. 貸したいけど入居者が見つからない物件も多い
戸建てを貸し出そうとした際、実際に貸したいけど貸せない物件も多いです。
不動産は、賃貸と売却の難易度は同様ではありません。
売却は価格を下げれば売れる物件は多いですが、賃貸は家賃を下げても全く貸せない物件が多く存在します。
賃貸は、立地条件の良い物件しかできないのが基本です。
貸そうと思っても、現実的に借主が見つからないというのは大きなデメリットといえます。
戸建ての貸し出しを考えている場合は、賃貸管理会社に賃料査定の依頼をして、貸し出しても問題ない査定額か確認しておくと良いでしょう。
2-2. 修繕費用が発生する
戸建てを含めた賃貸借では原則として貸主側に修繕義務があるため賃貸に出す修繕費用が発生する点がデメリットです。
経年劣化や通常損耗の部分が貸主側に修繕義務があります。
経年劣化とは、時間が経ったことにより建物や設備等に自然に発生した劣化や損耗のことで、クロスや畳、フローリングの変色等のことです。
通常損耗とは、借主の通常の使用による損耗等のことで、画鋲の跡や家具の設置によるカーペットのへこみ等が該当します。
具体的には、退去時のハウスクリーニング費用やクロスの張り替え費用等の貸主負担となる修繕費です。
入居者退去後の修繕に関しては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしながら判断しましょう。
3-3. リフォームが必要となることもある
戸建てを賃貸する場合、リフォームが必要となることもあります。
リフォームの必要性は、売却と賃貸では大きく異なります。
売却は、所有権が買主に移転しますので、買主が購入後に自由にリフォームできる選択肢があります。
一方で、賃貸は所有権が貸主のままですので、借主が自由にリフォームすることができません。
そのため、戸建てを貸し出す場合、リフォームを要する物件は貸主側で工事することが必要です。
リフォーム費用は相応にかかりますが、家賃収入で回収しようとするとかなりの時間がかかります。
よって、戸建てを賃貸でリフォームする場合には、無駄な費用を抑えるためにも管理会社に実際に物件を見てもらい、アドバイスを受けたうえで実施することが望ましいです。
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4. 戸建てを売却する3つのメリット

戸建てを売却するメリットについて解説します。
4-1. まとまった現金が入る
戸建てを売却するとまとまった現金が入るという点がメリットです。
まとまった現金が必要となるケースは、老人ホームに入所するための一時金が必要な場合や相続税の納税資金が必要な場合等があります。
まとまった現金が必要というタイミングが今であれば、売却することをおすすめします。
なお、売却する際には、買取か仲介によって売却金額と売却完了までのスピードが以下のように異なるため注意が必要です。
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
メリット |
・売却までの期間が短い(最短2週間ほど) ・確実に売却できる ・内見や客付けの手間がいらない ・物件の状態を問わない ・手数料が基本的にかからない |
・市場価格で売却できる ・不動産会社のサポートを受けながら売却活動を進められる |
デメリット | ・市場価格より売却価格が低くなる |
・売却までに時間がかかる(3〜6ヶ月ほど) ・内見対応が必要になる ・仲介手数料が発生する ・物件の状態により売れにくい場合がある |
買取と仲介のどちらを選択するかは、物件の状態や売却までのスピードを考慮して検討します。
4-2. 住宅ローンが残っている物件でも売却することができる
売却であれば、住宅ローンが残っている物件でも実行することができます。
戸建てを含めた賃貸の場合、住宅ローンを返済中の物件は転勤等のやむを得ない事情がない限り、原則として貸すことはできません。
一方で、売却の場合、住宅ローン残債が売却価格を下回っている状態であれば売却時に残債を一括返済できるため、売ることはできます。
戸建てを売却する場合は残債額を確認しておきましょう。
4-3. リフォームしなくても売却できることが多い
戸建てを売却する場合はリフォームしなくても売れることが多い点もメリットとなります。
例えば、不動産会社へ売却する買取では、不動産会社が買い取った後にリフォームしますので、売主がリフォームを行うことは不要です。
買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で安く家を売ることを指します。
また、買取ではなく、仲介を選択したとしてもリフォームせずに売却できることは多いです。
高額なリフォーム費用を投じないと貸せない物件は、売却を選択した方が経済的といえます。
5. 戸建てを売却する3つのデメリット

戸建てを売却するデメリットについて解説します。
5-1. 資産を手放すことになる
戸建てを売却すれば、その時点で資産を手放すことになります。
今後、子が孫や住んだり、自分でアパート経営等をしたりといった活用ができなくなります。
売却はいつでもできますので、今すぐ現金が必要といった事情がない限り、無理に売却する必要はありません。
期間を限定できる契約方法もあるので、賃貸に出せる需要がある戸建てであればとりあえず賃貸に出して家賃収入を稼いでおき、現金が必要となったタイミングで収益物件として売るのが望ましいといえます。
5-2. 不動産は買い替えると購入時の価格が高い
近年は不動産価格の高騰が続いており高く売りやすいことから、単純に売却だけであれば売りどきと捉えることもできます。
しかしながら、買い替えを行う場合には、購入時の価格が高くなる点がデメリットです。
不動産の買い替えは売却と購入を同時に行いますので、不動産価格が高い時期に行うと売却では得をしますが購入では損をします。
よって、買い替えを行う場合には、必ずしも今が売りどきとは限らないのです。
5-3. 相続税が上がる場合がある
相続税が発生する資産家の場合、戸建てなど不動産を売却すると相続税が上がってしまう点がデメリットです。
不動産の相続税評価額は時価よりも低いことが一般的であるため、戸建てを売却して不動産を現金(時価)に換えてしまうと相続税評価額が上がります。
そのため、相続税が課税される恐れがある資産家の方は、生前中に不動産は売却しない方が相続税対策となります。
なお、相続税は被相続人(死亡した人)の資産が基礎控除額を超える場合に課税される税金です。
基礎控除額は、以下の計算式で求めるものになります。
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
被相続人の財産が基礎控除額以下であり相続税が課税されない人は、売却によって相続税が上がるデメリットはありません。
6. 戸建てを賃貸する場合と売却、それぞれの収益シミュレーションを解説

以下の条件で、賃貸と売却それぞれの収益シミュレーションを行ってみます。
エリア:千葉県千葉市若葉区
購入時の価格:6,000万円(土地2,500万円・建物3,500万円)
築年数:築20年
建物の構造:木造
間取り:4LDK、30坪
周辺環境:駅まで徒歩約15分、スーパーや学校も近い
住宅ローン:完済
6-1. 賃貸に出す際
賃貸に出す際のシミュレーションでは、賃料を月額12万円、各支出を以下のように仮定して計算してみます。
【賃料と各支出】
・賃料:144万円(12万円×12)
・維持修繕費:12万円(1万円×12)
・火災保険料:7万円(単年度分)
・固定資産税と都市計画税:10万円
・管理委託料:7.2万円(賃料の5%)
【年間収益】
144万円 -(12万円+7万円+10万円+7.2万円)= 107万8,000円
賃貸に出した場合の収益は、107万8,000円×複数年(賃貸を行う年数)になります。
6-2. 売却する際
売却時の収益シミュレーションを行う際には、自宅がどれくらいの金額で売却できるかを把握する必要があります。売却が可能だと思われる価格を把握するには、不動産ポータルサイトをもとに同条件の物件の価格相場を参考にするか、不動産会社が行う無料査定を依頼してみましょう。
本記事では、物件の売却価格を4,000万円とし、実際の手残りを計算してみます。手残りを計算するには、まずは売却にかかった費用を算出する必要があり、計算方法は以下のとおりです。
【売却費用の計算】
・仲介手数料=(4,000万円×3%+6万円)+消費税(10%)
=138万6,000円
・印紙税=1万円
・登記費用=5万円
=144万6,000円
また、売却時には、譲渡所得税を計算し支払う必要があります。譲渡所得税は、土地や建物などの資産を売却して利益(譲渡益)が出た場合にかかる税金で、決められた税率をかけて算出します。譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりです。
【減価償却費を考慮した譲渡所得金額の計算】
・減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数(所有期間)
=3,500万円×0.9×0.031×20年=1,953万円
・取得費用=土地の取得価格+(建物の取得価格-減価償却費)
=2,500万円+(3,500万円-1,953万円)=4,047万円
・譲渡所得金額=4,000万円-(4,047万円+譲渡費用100万円)=-147万円
(課税譲渡所得がマイナスのため、譲渡所得税は発生しません)
※減価償却の計算式と償却率は国税庁「減価償却費の計算について」を参照
譲渡所得税はかからないため、今回は以下のように売却価格から売却費用を差し引いて手残りを算出します。
【実際の手残り】
手残り=売却価格-売却費用
=4,000万円-144万6,000円
=3,855万4,000円
以上の計算から、売却した場合には3,855万4,000円が残るとわかります。ただし、実際には賃貸と売却それぞれのケースで、物件の状態やエリア、立地によって維持管理費や税金などが異なるため、あくまでも目安としてお考えください。
7. 今は戸建てを売却しないほうが良い理由

この章では、今は戸建てを売却しないほうが良い理由について解説します。
7-1. インフレ対策になる
近年は戸建てなど不動産価格の高騰が続いている状況であることから、売りどきと言われることも多いです。
しかしながら、今が売りどきと考えるのは、一部は正しいですが、全部は正しいとは限らないといえます。
近年における日本の土地価格は2013年から上昇し始めており、2024年時点では11年連続で上昇している状況です。物価は上昇しており、日本全体としてはインフレ傾向にあるといえます。
インフレとは、不動産のようなモノの価値が上がる現象ですが、見方を変えると現金の価値が下がる現象です。
売却とは、これから価値が上がるモノを、わざわざ価値が下がる現金に換える行為といえます。
インフレ時代においては、現金を持つよりもモノを持った方が得であることから、インフレ対策として戸建てなど不動産は売らない方が良いのです。
7-2. 不動産は買いたいときに安く買えない
不動産の性質として、不動産は買いたいときになかなか安く買えないという性質があります。
土地は立地を考慮すると同じ商品が存在しないことから、一点モノの商品です。
一点モノの商品は購入希望者が2人以上現れると価格が競り上がってしまう性質があり、安く買うことが難しくなります。
昔購入した土地の値段は、往々にして安いことが多いです。
一度売却してしまうと、将来同じ土地を買おうとしたときに昔買った金額では二度と購入できないため、不動産は売らずに持っていた方が良いといえます。
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8. 賃貸中の物件も売却可能!2つの方法を紹介

賃貸に出している物件を売却する方法として、以下の2つがあります。
- オーナーチェンジ
- 入居者への売却
それぞれ詳しく解説します。
8-1. オーナーチェンジ
オーナーチェンジとは、現在の入居者がいる状態で物件を次のオーナーに売却する方法です。新しいオーナーは、入居者との賃貸契約を引き継ぎ、家賃収入を得ることができます。新オーナーは、入居者探しの手間が省けて、すぐに収益化できることが大きな魅力です。
売主と買主それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
売主 | 買主 | |
---|---|---|
メリット | ・現状のまま手放せる ・家賃収入を得ながら売却活動ができる ・入居者への退去交渉や立ち退き費用がかからない |
・すぐに収益を得られる ・どのような入居者がいるのか事前に把握できる ・直前までの運用実績を参考にできる |
デメリット | ・売却価格が相場よりも安くなる可能性がある | ・購入前に実際に部屋のなかを確認するのが難しい ・購入後に瑕疵の存在に気づく可能性がある |
入居者側は、家賃の支払い先が変わるぐらいで大きな変化はありません。ただし、入居者の同意が必要な場合もあるため、事前に説明会を開いたり手紙を投函したりして通知することが重要です。オーナーチェンジは、売主・買主・入居者の三者にとってメリットの大きい売却方法だといえます。
8-2. 入居者への売却
賃貸中の物件を現在の入居者に購入の意思を確認したうえで、そのまま売却する方法です。
売主と買主それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
売主 | 買主 | |
---|---|---|
メリット |
・買主を探す手間や時間、費用がかからない ・現状のまま売却できる |
・現在の自宅にそのまま住み続けられる ・引っ越す必要がない |
デメリット |
・そもそも購入してくれる入居者に出会えるかわからない ・入居者に購入意思があっても、ローンが通らず買えない可能性がある |
・住宅ローンが組めず購入意思はあっても買えないことがある |
オーナーチェンジよりも売却活動にかける手間や費用を削減できる方法ですが、そもそも入居者が購入してくれるかどうかが運次第です。可能性の1つとして、入居者に声をかけてみてもよいでしょう。
9. まとめ
戸建てを賃貸に出すメリットには「家賃収入が入る」等があり、デメリットには「空室時は維持費の負担が重くなる」等がありました。
一方で、戸建てを売却するメリットには「まとまった現金が入る」等があり、デメリットには「資産を手放すことになる」等があります。
近年はインフレ方向にありますので、インフレ対策として今は家を売らないほうが良いです。
戸建てを賃貸に出すか売却するかの判断基準は、以下の5つです。
- 立地の良否
- リフォームの必要性
- 将来活用する可能性
- 建物の築年数
- 住宅ローンの残債
戸建てを貸すか売るかを決める際の判断材料としていただければと思います。
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