マイホームを持っている人の中には、海外赴任等で一定期間だけ家を貸したいと考えている方もいらっしゃると思います。
住宅ローンが返済中の人であっても、転勤等の必要やむを得ない事情があれば家を貸すことは可能です。
ただし、一定期間家を貸す場合は、借主から確実に家を返してもらう必要があるため、一般的な賃貸とは異なる方法で家を貸すことになります。
一定期間家を貸す手順や注意点には、どのようなものがあるのでしょうか。
この記事では「一定期間家を貸す」をテーマに解説します。
海外赴任で家を貸すと、家賃収入が入るだけでなく、借主が換気や通水を行うことで家の価値を自然に維持できるというメリットがあります。
一戸建ての場合は貸し出して住んでもらうことで、庭の手入れも行われるため、景観が保たれるのは勿論、不審者の侵入や悪戯も防げることから大切な家を守ることができ近隣に迷惑を掛けることもありません。
一方で人に貸した場合は、汚損や破損が発生し、入居者トラブルも生じる懸念がある点はデメリットです。
これらのデメリットは、実績豊富で信頼できる管理会社に留守宅の管理を委託することで大幅に削減することができます。
海外赴任のように時差がある場合、入金通知や何かあった際の管理会社との連絡体制がどのようになっているかが気になる方も多いと思います。
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転勤や海外赴任で一定期間家を貸す場合、賃貸借契約の種類の知識が必要となります。
ここでは、賃貸借契約の種類について解説します。
定期借家契約とは、更新の概念がない契約のことです。
定期借家契約では、契約期間が満了すると確実に契約が終了します。
契約終了時に借主は退去しなければならないため、借主を退去させるにあたっては貸主に正当事由も立ち退き料も不要です。
正当事由とは、貸主が家を返してもらうのに正当な理由のことを指します。
定期借家契約は、契約期間満了時に確実に家を返してもらうことができるため、転勤中等の一定期間だけ家を貸す場合に適した契約です。
借主からすると定期借家契約は更新ができないことから普通借家契約に比べると不利な契約となります。ただし、借主と、貸主の双方で合意が出来れば「再契約」という形で賃貸が続けられます。
普通借家契約とは、借主の意思で更新ができる契約のことです。
そのため、定期借家契約は普通借家契約よりも家賃を低く設定しないと貸せない傾向があります。
いわゆる家賃の相場とは普通借家契約を前提とした家賃であるため、定期借家契約の家賃は相場よりも低いです。
一時使用建物賃貸借契約とは、借地借家法の適用がない民法上の契約のことを指します。
借地借家法は借主の権利を守る法律であるため、借地借家法の適用がない一時使用建物賃貸借契約は、借主の権利が弱いことが特徴です
一時使用建物賃貸借契約では、契約期間が満了すれば賃貸借契約は終了し、貸主に正当事由や立ち退き料は不要となります。
ただし、一時使用建物賃貸借契約として認められるには、原則として借主側の都合で一時的に借りることが明確であることが必要です。
例えば、選挙期間中に選挙事務所として借りる場合や、自宅や店舗の建て替え期間中の仮住まいや仮店舗として借りる場合等が該当します。
一時使用建物賃貸借契約は、必ずしも定期借家契約のように家賃が安くなるわけではありませんが、都合よく借主が見つかるとは限らない点が特徴です。
一定期間家を貸す方法として一時使用建物賃貸借契約という契約方法もありますが、貸主側の都合で一定期間家を貸す場合には、定期借家契約が原則的な選択肢となります。
この章では、家を貸すときの管理の方法について解説します。
管理委託とは、管理会社と管理委託契約を締結して管理を依頼する管理方式のことです。
いわゆる昔からある典型的な物件や入居者賃貸管理が管理委託に該当します。
管理委託方式では、貸主は借主と賃貸借契約を締結することが必要です。
建物所有者は、入居者が入れ替わるたびに借主と賃貸借契約を締結し直すことになります。
サブリースとは、転貸による管理方式のことです。
転貸とは建物所有者は、一旦管理会社と賃貸借契約を締結し、入居者は管理会社と転貸借契約を締結します。
入居者が入れ替わったときは、管理会社が新たな入居者と転貸借契約を締結します。
そのため、建物所有者は管理会社と賃貸借契約を一本だけ締結しておけば済むため、手間は省ける点が特徴です。
サブリースは入居者の入れ替え時に入居者と賃貸借契約を締結し直す必要がないことから、海外赴任の場合には管理委託よりもサブリースの方が向いています。
なお、空室が生じても家賃が保証される家賃保証型サブリースは、管理会社が家賃から差し引く管理料が管理委託の管理委託料よりも大きくなるため、収益性が下がってしまう点が特徴となります。
安心して家を貸すには、適切な管理会社を選ぶことが重要となります。
転勤や海外赴任等の一定期間だけ家を貸すことをリロケーションと呼びます。
一定期間だけ家を貸したいのであれば、まずはリロケーションの実績のある会社を選ぶことが重要です。
リロケーションでは基本的に定期借家契約を用います。
定期借家契約は、家賃設定が普通借家契約よりもやや低くなるため、定期借家契約の家賃相場に精通した管理会社に依頼することが望ましいです。
仮に借主が退去しても、その後、すぐに次の借主を見つけてくれる可能性が高いです。
空室が発生しにくくなるため、良い管理会社に管理を頼むと空室リスクも下げることができます。
さらに、実績豊富な管理会社は、入居審査も適切であり、入居審査の時点で悪質な借主を排除してくれます。
適切な入居審査によって、家賃の不払いや家をずさんに使われる確率が下がるため、安心して家を貸せるようになります。
海外赴任時に家を貸すときの流れについて解説します。
家を貸す場合には、賃料査定を依頼します。
賃料査定を依頼する場合には、管理を専門に行っている実績豊富な管理会社に依頼することが望ましいです。
管理実績が豊富な会社は、適切な賃料を把握しています。
一定期間だけ家を貸す場合、賃料査定に当たっては、管理会社には必ず一定期間だけ貸すことを伝えることが必要です。
一定期間の賃貸であれば、一般的に定期借家契約が提案されます。
定期借家契約は、普通借家契約よりも家賃が下がることが多いため、賃料査定に当たってはどの契約を前提とするかが重要な要素です。
特に、定期借家契約は契約期間が短くなるほど賃料も下がる傾向があるため、適切な賃料を把握するためには、転勤期間がどれくらいになるのかも、伝えることが重要となります。
賃料査定の結果、依頼したい管理会社が決まったら入居者を募集します。
入居者募集は管理会社が行ってくれますので、貸主が何か行うことは特にありません。
ただし、家の汚れが目立ち、貸しにくい状態の物件の場合には、入居者募集の前にハウスクリーニングを実施した方が良いとき場合もあります。
ハウスクリーニングとは、清掃の専門会社による有料の掃除サービスのことです。
ハウスクリーニングを実施すべきか否かは、管理会社と相談したうえで決めることが望ましいといえます。
入居希望者が現れたら、入居審査を実施します。
入居審査も、基本的には管理会社が行いますので、貸主側の対応は基本的には不要です。
入居審査の手続きは、管理方式によって若干異なります。
サブリースは入居者にとって管理会社が貸主となるため、全て多くの場合は管理会社が判断を行います。
一方で、管理委託は管理会社が入居審査を代行しているだけであり、建物所有者に対しては最終的に「このような人に貸します」という確認が行われることが通常です。
入居審査によって適切な借主と判断できれば、賃貸借契約を締結します。
サブリースは管理会社が入居者と賃貸借契約をするため、建物所有者に手続きは不要です。
一方で、管理委託では、建物所有者が入居者と直接賃貸借契約を締結することになります。
この章では、家を一定期間貸すときの注意点について解説します。
定期借家契約では、貸主は借主に対して契約満了の1年前から6ヶ月前までに賃貸借契約が終了する通知をすることが必要です。
6ヶ月前よりもを過ぎた後に通知をすると、その通知をした日から6ヶ月を経過しないと借主を退去させることができなくなります。
さらに契約期間満了しても通知を怠ると、普通借家契約になると解されています。
これらの通知業務は管理会社が行ってくれますが、リロケーションに不慣れな管理会社に管理を委託してしまうと、通知が失念されてしまう場合があります。
通知の失念を防止するためにも、管理はリロケーションの実績がある会社に委託することが適切です。
定期借家契約は、契約期間中に貸主の一方的な都合で中途解約できないことが注意点です。
例えば、海外赴任が予定より早く終了し、賃貸借期間中に日本に戻ってきたので途中で家を返してもらいたいといったことはできません。
定期借家契約は、契約期間満了時は確実に家を返してもらえますが、契約期間中は返してもらえない点が注意点です。
そのため、転勤が早く終了する可能性がある場合には、定期借家契約の契約期間を短めに設定しておくことが対策となります。
定期借家契約は1年未満の契約期間も有効であるため、例えば契約期間を3ヶ月として再契約を繰り返して契約期間を調整していくといった方法が考えられます。
定期借家契約は更新の概念がない契約であるため、契約期間満了後に借主が住み続けたい場合には、再契約が必要となります。
再契約とは更新ではなく、新たに結び直す新規の契約のことです。
新たな契約であるため、貸主が契約したくない場合には、契約を拒否することができます。
あくまでも、貸主も借主も延長を望むときに再契約が必要になるということです。
原状回復とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、借主の故意(わざと)・過失(うっかり)、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することです。
借主には原状回復義務があるため、上記の定義に該当する破損や汚損が生じた場合には、借主の費用負担にて修繕する必要があります。
例えば、重量物の設置のために無断で壁に大きな釘を打ち付けた場合は、借主の故意または過失によって生じた損傷に該当し、借主の負担で修繕すべきものです。
また、飲み物をこぼしたままにしたことでできたシミ等は、借主の善管注意義務違反に該当し、借主の負担で修繕すべきものとなります。
善管注意義務とは、「善良なる管理者の注意義務」のことです。
その他として、禁煙物件であるにもかかわらずタバコを吸って生じさせたクロスのヤニの汚れ等は通常の使用を超えるような使用に該当し、借主の負担で修繕すべきものとなります。
一方で、経年劣化や通常損耗は、貸主側の費用負担で修繕すべきものであり、原則として原状回復の対象外です。
経年劣化とは、時間が経ったことにより建物や設備等に自然に発生した劣化や損耗のことで、クロスや畳、フローリングの変色等が該当します。
通常損耗とは、借主の通常の使用による損耗等のことで、画鋲の跡や家具の設置によるカーペットのへこみ等のことです。
原状回復で無用なトラブルを避けるには、貸す前の状態(原状)を写真でしっかり残しておき、誰が発生させた損傷であるかを明確にできるようにしておくことが対策となります。
以上、一定期間家を貸すことをテーマに解説してきました。
一定期間だけ貸す賃貸借契約には、定期借家契約と一時使用建物賃貸借契約があります。
家を一定期間貸すときは、「定期借家契約では期間満了の通知が必要となる」や「定期借家契約は貸主からの中途解約はできない」」等が注意点です。
家を貸す全体像がつかめたら、早速賃料査定から始めてみてください。
カテゴリ:家を貸す 関連記事
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