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公開日2022年4月12日

「リロの留守宅管理」リロケーション基礎知識 vol.157

実家を売らずに賃貸に出す。リスクの理解とメリット最大化―相続した空き家の活用方法

実家を相続した、あるいはこれから相続する可能性がある場合、その後の扱いをどうするべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。維持管理は難しいと考えて、売却が検討されることも多いですが、同時に今後の売り時や使いどころを考えて躊躇する人も、思い出が詰まった実家を簡単に手放してよいものかと悩む人もいることでしょう。そこで今回の提案は、実家を売却することなく、「賃貸に出して有効活用する」という方法です。

前半は、空き家というリスクを伴う状態を避け、「賃貸」という方法を選ぶことの意義について、「売る」「管理する」という他の選択肢と併せてお伝えします。

後半は、実家を賃貸に出すにあたって、どのような選択の場面があり、それにより何が変わるのか―どういうリスクを負うことで、どういうリターンを期待できるかということの概要について解説します。

賃貸を始めることに十分なメリットが期待できる状況でも、実際に期待通りのメリットを享受するためには、予め賃貸に関するリスクについて理解しておくことが重要です。収支や解約に関する事など、リスクは賃貸経営の行い方次第で高くも低くもなり、得られるリターンも変化します。賃貸に関するリスクを理解し、どういう賃貸をしたいかに合った正しい方法を選ぶことで賃貸のメリットを最大化しましょう。

実家を空き家にしておくリスク


実家について考える上で、「賃貸に出しても、売却に出しても、お金が入るのは分かっている。でも、空き家にしておけば急ぐことでもない」と思っている人も多いのではないでしょうか。少子高齢化に伴う人口減少や高齢者の介護施設利用によって、空き家の件数は増加しています。

平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)「結果の概要」p.2より抜粋引用

空き家となっているのが短期間であれば、すぐに困ることはあまりないかも知れません。しかし、家は空けている期間が長引くほど様々なリスクが重なり、そして大きくなっていきます。全国的な空き家問題の広がりを背景として、2015年には空き家問題の解決を目的とした「空き家対策特別措置法」も施行されています。この法律によって空き家所有者に罰則を伴うものも含めた何らかの措置が実行される機会も年々増えてきています。

参考

空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(国土交通省)

空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について(R3.3.31時点)

 

実家を空き家の状態にして何の手も施さないということが、どのような深刻なリスクを生み出すのか。ここでは5つの例を挙げてみます。

 

建物や設備が老朽化する

時間が経てば家が老朽化するのは当たり前のことと思われるかも知れません。

しかし、ここでお伝えしたいのは、家を空き家にして放置しておくことで老朽化を進行させてしまう箇所が、家の中には複数存在するということです。人が住んでいない建物は、窓やドアが締め切られます。空気の入れ替えが行われず、室内には湿気がこもりやすくなり、湿度が高い状態が長時間続くと、壁、床などにカビが発生します。湿気は木材腐朽菌と呼ばれる菌類も増殖させ、これにより木材が腐りやすくなります。木造住宅の場合、木が腐っていけば、次第に建物に傾きが生じることや、状況が悪化して倒壊へとつながる恐れがあります。ずっと誰もいない空き家は、老朽化して雨漏りなどが生じても気づけないので、そこから被害が拡大していくリスクもあります。

また、家に人が住まないことによる問題は湿気によるものだけではありません。水道管には定期的な通水が必要です。水道管には排水トラップと呼ばれる部分があり、そこには水が溜まっているのが正常です。この水は封水と呼ばれ、下水からの臭気を伴うガス、害虫の侵入を阻む役割があります。しばらく通水が行われないと、やがて蓋の役割をしていた水は蒸発し、水道管は破封と呼ばれる状態になります。この状態でガスや虫の侵入を許したままにしておけば、いずれは建物全体に被害を与え、実家をすっかり住めない家へと変えてしまいます。

害虫や動物の棲み処になる

人が住まない家は、人以外の生き物にとって、外敵から身を守ることができ、駆除などの心配もない、棲みつきやすい環境となります。掃除がされないので、ダニ、ハエなどの害虫も繁殖しやすく、人気(ひとけ)がないことで、ネズミやハクビシンといった害獣の棲み処になることもあります。

放火や不法投棄が行われる対象になる

一戸建て住宅の場合、人が住んでいないと庭に雑草や木が生い茂り、マンションよりも空き家であることが外部から分かりやすく、放火や不法投棄のターゲットとされやすいです。万が一にも放火をされてしまった場合、延焼し近隣にも被害を与える恐れがあります。不法投棄もまた、景観が資産価値に与える影響や、害虫・害獣に棲みやすい環境をつくってしまう可能性、悪臭の発生など、周辺住民にまで悪影響が及ぶ可能性が考えられます。所有者が行うべき管理の責任を果たさない状況が続いた場合、具体的な誰かに実害を及ぼしたときに訴訟を起こされる可能性があり、そうなる前に危険性があると判断された段階で自治体から罰金や懲役といった罰則を科されることもあり得ます。

参考

既存不適格建築物に係る是正命令制度について」(国土交通省)

既存不適格建築物に係る是正命令制度に関するガイドライン

 

売って手放すなどしない限り費用は掛かり続ける

何にも用いられておらず、収入も生まない空き家であっても、手放さない限りは維持費用がかかります。実家を相続すれば、所有者としてその分の固定資産税、都市計画税を納めなければならなくなります。また、ここまでに挙げてきたリスクは、自分や家族だけで管理を行わなければならない一戸建てで特に問題となりやすいものが多かったかと思います。分譲マンションの場合には、他の住人(管理組合員)やマンション管理会社が存在していることで、人目が及ぶ範囲がある分、空き家になっていても一部のリスクは回避できるためです。しかし、分譲マンションの場合には、建物に共有部があることで、その機能を維持してもらうための管理費や、建物を直すときのための修繕積立金の支払いが継続的に必要になります。

 

空き家の管理が不十分だと固定資産税額がそれまでの支払いよりも高くなることがある

前述した通り、2015年に「空家等対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」が施行されました。法律の一部を大まかに説明すると、空き家の中でも管理不十分で「危ない」「汚い」「見た目が悪い」など問題のある家を「特定空家等」という特別な状況にある家に指定することで、指定された家に対して、自治体が様々な措置を行えるようにする法律です。

措置の一つとして「固定資産税等の特例措置(人の居住の用に供する家屋の敷地に適用される住宅用地特例)」を解除するというものがあります。特定空家等に指定され、その後の管理のための助言・指導に従うこともなかった場合に、次のステップとして勧告ということがなされ、これによって、元々実家の固定資産税の支払い額を小さくしていた特例措置が解除されてしまいます。この特例措置は、適用されていれば固定資産税の支払い額を最小で1/6まで小さくするものなので、これが解除されたときには最大で元の6倍まで負担が大きくなります。さらにその後も然るべき対応を行わなかった場合には、続く措置として罰金、行政代執行ということが考えられます。代執行では、行政が代わりに建物の除却など必要な措置を進めますが、その際の解体工事等の費用は所有者から徴収されることとなります。

参考

空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(国土交通省)

空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する所要の措置(平成27年度税制改正)

住む人がいない空き家からリスクを取り除く、賃貸とその他の選択肢

しばらく人の住む予定がない空き家には、様々なリスクがあります。

実家を相続しても、その家を一度住めない状態にまで劣化させてしまうと、「売る」「貸す」といった形で再び資産として活かせる状態に戻すためには、リフォーム、解体などで多くの費用や労力を要します。では、深刻な事態になる前に、家からそうしたリスクを取り除くにはどうしたらいいのか。一般的な選択肢はおよそ次の3つに絞られることと思われます。

・売却する

・空き家のまま所有して、必要な維持・管理を続ける

・賃貸に出す

どれを選んだ場合にもメリット・デメリットそれぞれが存在します。ここからは、実家の売却や、維持・管理を続けることが、それらを選んだ持ち主にどのような利害をもたらすのかを確認した上で、それらを選ばずに実家を賃貸に出すということは持ち主にとって何が良いのかについて説明します。

 

売却する

実家を売却すれば、売却の代金としてまとまった額の収入が得られます。また、固定資産税や管理費等の維持費用が不要となるため、経済的な負担もなくなります。また、手放さずに持っていればかかり続けるはずだった固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金などの維持費がかからなくなるため、空き家を抱えているだけの状態よりも経済的に楽になります。売れば実家は自分のものではなくなります。将来の予定や査定額を踏まえて、売り時や使いどころに迷いがなければ思い切って売ってしまいましょう。ただし、家の状態によっては、そのままでは売りづらいということも考えられます。現状のままだといくらくらいなら売れるか、リフォームをすればいくらで売れるか、建物を解体し更地にしないとならないかなどが考えられ、劣化が深刻であれば、それだけ欲しがる人は少なく、売ることが難しくなります。

ちなみに、同様のことは貸すときにも言えます。空き家の状態が長期化し、家が傷んでいるほど、貸せる状態をつくるのは大変になります。売却と賃貸でどちらであれば実現しやすいか、よりお得であるかは家々によって異なります。

 

空き家のまま所有して、必要な維持・管理を続ける

いま売却するのはもったいない、価値が上がるかも知れない、数年後に住む家や別荘になるかも知れない。売却のための活動をするには、今はいろいろと忙しい。そのような場合には「空き家を保有するときのリスクだけどうにか軽くできないか」と考えることがあります。売却する・賃貸する・故郷へ引っ越すなど、次に役立てるまでの間、定期的に必要なメンテナンスを行いましょう。

建物内に湿気がこもらないように、排水トラップの水が蒸発してなくならないように、通風・通水を行います。また、庭木の手入れや室内等の清掃も行うことで、人が管理している家だと分かる状態になります。これらを定期的に行えば、いくつものリスクを回避することができ、資産の価値はより長期的に保つことができます。

売却や賃貸と異なり、この期間は資産活用による収入が発生しません。一方で、家の所有に固定資産税などの維持費がかかることは前述の通りです。実家が自宅から離れた場所であってもメンテナンスを頼むことができる空き家管理サービスは便利ですが、ここでも費用がかかります。自ら定期的に通う場合は代わりに手間がかかります。売却も賃貸も行わず、支出をしながら実家を守ることにどれくらいの意味や価値があるかは、実家を手に入れた人の状況だけでなく、価値観にもよることでしょう。検討事項としては、例えばこうしたことが考えられます。

・維持、管理について、年間の支出がどれくらいになりそうか

・将来的に住むかもしれない、使うかも知れない見込みがどれくらいあって、それがこの家であることがどれくらい大切だと思うか

・似た条件の物件を改めて購入しようとした場合、自分にとってどれほど大変そうか

・売却や賃貸を検討した場合、どれくらい簡単に―費用や手間をかけずにできそうか

・管理を続けた場合、将来この実家の価値はどれくらい保たれそうか、あるいは上がるか

こうしたことを調べ、検討する中で、一般的な基準で見積もった収支にのみ注目して考えることも行えます。まず収支の判断材料となる情報を集めることは、恐らく誰に取っても大切でしょう。しかし、そうした一般的な価値とは別に、特定の個人や家族にとっての価値というものも、無視できないものとして存在しています。市場では人気がなく、高く売れない・貸せない実家でも、相続を受けた人にとって、そこでの暮らしの価値が市場と同程度とは限りません。そこでの滞在で得られる経験のようなものは、市場の価値と簡単には結び付けられません。「住めば都」とも言うように、実際にそこで過ごしたことがある人しか分からないことや伝わらないこと、個人の信念に紐づくものなどは、なかなか他の人から同じだけの値打ちを付けられないものです。「意外と良い」と思っているものであれば、その人にとっては持っていることが「お得」となり得ます。もちろん売却時には真の価値を知ってもらうための努力や工夫が行われるべきですが、説明だけでは良さを伝えきれずに過小評価されてしまうようなこだわりも十分に考えられます。そういうときには無理に安売りなどせずに、コストをかけてでも実家の所持や管理を続ける意義があると言えます。

 

賃貸に出す

空き家のリスクを回避したい。売却するには躊躇がある。すぐに売りに出すのは難しそう。実家はまだ資産として持っておきたい。でも、定期的な管理に費用と手間をかけるだけではもったいない。では、賃貸という選択肢について検討してみましょう。実家を賃貸に出した場合のメリットについてどのようなことが言えるのでしょうか。

当面の間、家を所有しておきたい場合に手放さなくて済む点は、必要な維持・管理のみ続けていく場合と同様のメリットがあります。ですが、賃貸の場合も維持費はかかります。空き家の管理だけであれば、いつの間にか設備に不具合が起きていても、より大きなリスクにつながるようなものでなければ、必ずしも急いで直す必要はありません。しかし、賃貸に出すということは、そこで入居者が暮らすということなので、どこか設備が壊れたら、問題なく使えるように必ず直さなければなりません。このとき修繕費がかかります。

また、リスクが抑えられるように保てばいいだけではなく、借りてもらえる家にしなければならないため、いくらかの初期費用を要する点は、売りたくて買い手を募るときと同様です。ハウスクリーニング、リフォーム、リノベーションといった費用で、どの程度のことを行う必要があり、いくら費用がかかるかは、物件が持つポテンシャルと現在の状態によります。

そのように維持費も初期費用もかけて実家で賃貸を行うメリットは、第一に家賃収入が挙げられます。賃貸の条件として設定した家賃が毎月の収入として手に入るようになります。多くの人にとって、賃貸を行う主な目的は、不動産の価値を活かして安定的に利益を生み出すためでしょう。なので、賃貸を始めるか検討する場合、最初に知っておきたいのは、そのためにどれくらいの費用をかければ、いくらくらいの賃料設定で、どれくらいの期間借りてもらえそうかということです。ですが、賃貸に出して、そこに入居者が住むということのメリットは、その人から家賃を払ってもらえるということだけではありません。人がそこで生活するということは、一定の管理が行われるということでもあります。

人がそこで暮らすから設備を早めに直さなければならない一方で、そこで人が暮らしているおかげで、早めに対応した方が良い不具合にも代わりに気付いてもらえます。通風・通水が行われ、居住者不在とならないことによって、そのほかの面でも安全性が高まります。

また、空き家状態ほど自由ではなく、契約に関する注意点(後述)もありますが、後々は売却や居住などの目的で賃貸を止めるということも考えられます。予定された用途までの期間に限り実家を貸し出すということも可能です。

実家を賃貸に出すということは、売却と同じく初期費用を気にしなければならず、維持・管理のための費用も気にしなければなりません。しかし同時に賃貸は「保守専用のサービスなしに資産としての家を管理しつつ、続ける限り安定的な収入を家計にもたらすことができる」そういう手段であるということです。

実家を相続したときに賃貸が検討される具体的なケース

相続した実家について、今後の用途や売り時よりも、とにかく維持費がかからないように、早めにすっきりさせてしまいたいということであれば、売却を優先して検討することでしょう。また、いずれ売って手放すとしても、時機をうかがう必要がある場合に、賃貸で得られる家賃収入よりも、費用等の心配が強ければ、その人は定期的な清掃などの管理によってリスクのケアのみを行うことと思います。では、他の選択肢もある中で賃貸に前向きになりやすい状況にはどういったケースがあるでしょう。ここで代表的な例を挙げてみます。

 

将来的に実家で暮らしたいと考えている

国立社会保障・人口問題研究所の『第8回人口移動調査』(2016)によれば、出生都道府県から県外に移動し、その後戻った「Uターン者」は30代以降の各年代について20~30%ほど。相続を受けたとは限りませんが、この中の一部は恐らく実家に戻っていることでしょう。

第8回人口移動調査」(国立社会保障・人口問題研究所)「報告書」p.47より引用

 

いまは実家から離れていても、いずれ実家で暮らしたい。あるいはそうなるかも知れないと考えて備える場合、帰るまでの実家は売却せずに何かしらの管理を行いながら保持していかなければなりません。収入によって維持費の負担を補いながら管理を続けたいこのような場面では賃貸が検討されやすいです。

 

査定をしてみたら、思った以上に期待できる賃料が高かった

人気が高く有名なエリア、駅から近いなど、場所柄による利便性の高さがはっきりしている場合に限らず、賃料の査定をしてみると思っていたより高額な査定結果ということがあります。

前述の通り、賃貸は貸し出せる状態をつくる準備の面でも、その後の維持費の面でも一定の費用がかかります。なので、この費用に見合うだけ、収入などのメリットを本当に享受できるかどうか不確かなことが賃貸経営を行う上での主なリスクとなります。絶対に大きな利益が出ると分かっていれば、多くの人が迷わず賃貸を始めることと思いますが、そうとも限らないと考えて躊躇する人も多いのが賃貸です。

この場合、実家を貸し出したところで家賃はそれほど期待できないと考えており、賃貸を真剣に考えていなかったとしても、査定をしてみたら意外と高額だったために改めて検討の余地が出てくるということがあります。

漠然と安いだろうと思っている人も、何年か前の査定結果をもとに考えている人もおり、査定を依頼する賃貸管理会社によっても想定する額に対する考え方が異なることがあるため、賃料査定額は思っていた金額と違うということがあり得ます。賃料査定は依頼をすれば無料で行ってもらえることが一般的です。実家をいくらで貸し出せそうか、想定賃料の確認をしておくことで、売る機会を見直すことや、空き家を貸せる状態に直すきっかけになります。もちろん、必ず期待通りや期待以上の試算が行われるわけではないので、賃料査定の結果が明らかになったことで、きっぱりと「売ってしまおう」「貸すのはやめて、大事にしておこう」と判断するきっかけになることもあります。

 

実家に荷物があまり置かれていない、片付けやすい

賃貸では、何も置かれていない状態の部屋に入居してもらうことが一般的です。家に家具、家電、そのほか様々な荷物が置かれている場合、家を貸し出す前の準備として、これらの処分を行うか、どこか実家の外に片付けておかなければなりません。たくさん物が置かれた家では、処分するにも倉庫を借りて預けるにも、費用や手間が大きくなりやすく、賃料への期待が小さい場合には、わざわざ重い腰を上げづらいということが考えられます。実家が既に「空」に近いときほど、貸せる状態にするのは簡単です。仮に期待できる賃料がそれほど高額ではなかったとしても、気軽に賃貸を始められます。

 

いま売却をしたとして、売却時の金額に期待できないなどの後悔が懸念される

物件の価格は変動します。様々な分野の専門家がデータからシミュレーションを作るなどして、「一般的にはこうなるであろう」という将来の予測を行うこともありますが、何が正しく結果を言い当てているかを判断することは難しいものです。確かなことを挙げるとすると、古くなるほど良くなるような特殊な例を除けば、一般的に、土地はともかく建物の価値は経年劣化に伴い下がっていくであろうことです。

これだけであると、早めに売却してしまった方が、少なくとも経済的には良いようでもありますが、いくつか気にしておかなければならないことがあります。

・【不動産物件全体の価値という観点】

建物が古くなってしまっても、市場全体・周辺環境・近隣物件といった様々な変化の影響を受けて、場所への評価や希少価値が上がり、物件全体の価値が上がることがある

・【価値観には個人差があるという観点】

物件全体の一般的な市場価値が下がるとしても、個人や家族にとっての付加価値があり、「私(たち)にとって」売ってしまうのがもったいないということがある

・【資産活用という観点】

物件全体の価値が下がるとしても、下がるペースが遅いならば、貸し出すなどして下がり幅以上の価値を生み出せることがある

賃貸にも貸し出しの期間や設定賃料などの考えるべきことがありますが、売却の場合、一度きりの機会をいつにするかの見極めが難しいです。売却で得られる収入が期待より小さそうなとき、売却で得られる収入が将来大きくなりそうなとき、売ってしまう前にもっと役立てられそうなとき、先々にそうした懸念が高い可能性で見込まれるならば、一時的にでも賃貸を行うということが考えられます。

 

初期費用を投じて家賃収入を増やす。実家を賃貸に出すときのリスクとリターンについて

実家を賃貸に出すときには、貸し出す準備のために費用がかかります。初期費用があまりかからないようなケースにおいては、それだけ賃貸を前向きに検討しやすいと言えますが、費用をかけて貸し出すとして、最低限かけるべき費用と、かけると利益が増えるかも知れない費用というものがあります。どのくらい初期費用をかけるかによって、生じるリスクとともに得られるリターンも変わってきます。賃貸管理会社に賃料査定を依頼する際には、かかる費用と賃料の目安を確認し、リスクとリターンのバランスを考えて、納得できる方法を選ぶことが大切です。実際には、壁、床、水回りなど、設備ごとに検討されることですが、ここでは概要として、費用のかけかたについて大まかにどういった段階があるかを説明していきます。

 

現状のままリフォームをせずに少額の初期費用で賃貸に出す

初めての賃貸経営では特に、最初の入居者がみつかるかが不安なものです。この状況で、高額の初期投資を行う決断はリスクも高く難しいことでしょう。

もちろん貸したい実家の状態にもよりますが、リフォームなどを行わずとも、ハウスクリーニングと呼ばれる清掃をしてもらうだけで貸し出せることは多々あります。汚いままの部屋を自分で掃除してまで借りたいと思うことは難しいです。また、借りる部屋を探している人にとっては目に付けば少しの汚れでも気になるものです。汚れが目立てば部屋選びにあたって他の物件より心象が悪くなります。なので、少額の費用でも集客効果が高い措置として、専門の業者にハウスクリーニングを依頼することがよく行われます。落としづらい汚れ、手をかけづらい箇所の汚れもキレイにしてもらい、物件の清潔感を高めるのです。

賃料査定の結果、その状態で貸し出す場合の家賃に期待が持てない場合には、次に取り上げるリフォームを検討し、家賃の引き上げを狙います。

 

リフォームをして、貸出やすい状態に変える

ハウスクリーニングを行うだけでは貸し出しづらい場合や、そのままでは家賃があまり期待できないときに、リフォームを行えば解決できることがあります。壁紙が破れや床の傷が目立つ家は、清潔であっても人気が下がります。初期費用を投じて壁紙や床材を新しくすることで、内見に訪れた人の印象を良くし、賃料や入居率の改善につなげます。短期間の賃貸のために大規模な工事はあまりおすすめできませんが、長期的に賃貸を行う予定であるほど投じた費用を効果として回収しやすく、資金次第で様々な工事が検討できます。

実家に住んでいた人にとって、慣れてしまえばさほど不便に思われないようなことでも、周辺などの競合する物件より劣れば、選んでもらうことや十分な賃料を払ってもらうことが難しくなります。そうした場合に、間取りの変更、設備の追加など、リノベーションと呼ばれるような、より大きな規模の機能改善の工事を行い、誰からも認められやすい魅力を物件に対して与えていきます。初期費用も増えるため賃貸のリスクは高くなりますが、うまく行えば収入が大きくなる期待も高くなります。

 

実家をアパートやマンションに建て替えて賃貸に出す

実家が一戸建てで十分な敷地を持っている場合に、一度建物を取り壊してしまうことで、賃貸用のマンションやアパートとして建て替えることもあります。限られた敷地の中で、一つの大きな物件として、あるいは小さな複数の物件として、どう貸し出せば得になるかは、その地域において、賃借の需要と物件の供給がどのようなバランスになっているか、これからどうなっていくかによります。 一般的に言えることとして、建て替えによって階層を増やすなどしたときには、そこで住める人数を増やすことができます。そのため、地域性などから賃貸物件の需要が十分にあると見込めるならば、建物全体の価値は高められており、複数室を貸し出せることによって家賃収入が増える期待は高いと言えます。また、複数室になることで、空室があっても他の部屋で賃料が得られるというように、リスクが分散されて収入が安定しやすくなるというメリットもあります。複数室のうち一室に自ら住むなどの選択肢も将来に残すことができ、様々な計画を検討できますが、必要な費用は大きくリスクが高いです。 収入を増やすためとは言え、管理するものが増える点も予め理解しておく必要があるでしょう。もし空室だらけになってしまうと手間ばかり残ってしまう選択でもあります。安定的に高額の不労所得を手に入れる大きなチャンスがありますが、建て替えは他の選択肢と比べても重大な決断となります。不安があるような場合には、先に数年間など小規模に賃貸を行い、いくらか賃貸経営の経験を積んだ上で慎重に判断すると良いかも知れません。

実家を賃貸に出す場合の2種類の契約方法

実家を賃貸に出す場合には、貸主と借主の間で賃貸借契約と呼ばれる契約を結びます。(賃料を受け取って貸す賃貸と、賃料を支払って借りる賃借を合わせた賃貸借を行うために互いのルールを決めておく契約)契約の中で、支払いを受ける家賃の他、様々な約束事が決められますが、契約には種類があり、主には更新や解約に関するルールが異なります。一般的によく使われる「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つについて、どのように違うのか特徴を見てみましょう。

 

普通借家契約

賃貸物件の多くは普通借家契約で貸し出されています。年度ごとに住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象に行われる「住宅市場動向調査」によれば、令和2年度(2019/4~2020/3)において民間賃貸住宅に住み替えた世帯の95.5%は契約の種類が普通借家契約です。

令和2年度住宅市場動向調査」(国土交通省)「報告書」p.26より引用

もっともポピュラーなこの契約は、次に説明する定期借家契約を含めた他の契約よりも高い賃料収入が期待できます。

家を貸し出す大家の目的は、優先度の違いに個人差はあれど、長期的に利益を生み出すことが圧倒的にメジャーであるので、ほとんどのケースで普通借家契約が用いられます。

高額な家賃設定でも入居者が得やすいのは、この契約の種類に、入居者が高い賃料でもその物件を選ぶだけのメリットが存在するためです。

普通借家契約では、一部の場合を除いて、貸主から解約を求めたり、契約の更新を拒否したりすることが難しいです。それらを行うためには正当事由と呼ばれる、そうする必要があると認められるだけの差し迫った事情のようなものが必要となるためです。

基本的に入居者は望む限り、長く安心して住み続けられるということです。できるだけ長く貸し出して、家賃を多く得たいときには普通借家契約が用いられます。

参考

衆議院「法律第九十号 借地借家法」(三章 借家 第一節 建物賃貸借契約の更新等 第二十八条 建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

 

定期借家契約

ケースとしては限られるものの、「賃貸はしたいけれど、普通借家契約のように、場合によってはいつまでも貸し出されてしまうのは困る」ということもあります。

定期借家契約は予め賃貸期間を設定し、その期間中のみ貸し出すための契約です。

入居者にとっては、何年かそこで過ごしたら期間満了に合わせてまた引っ越すことが、契約時点で決まってしまいます。(ただし双方合意のもと契約の期間を延ばしたり、満了後に再度契約を結び直したりということはあります。)

無条件に「それでも良い」という人は少なく、「代わりに家賃が安ければ引っ越しも苦じゃない、契約期間も丁度良い」という限られた需要がある物件になるため、賃料を少し安めに設定しないと入居者が決まりづらい契約です。

契約期間を区切ることができますが、期間が短すぎると需要がないため、数年間は賃貸期間を確保する必要があります。

また、契約満了日の1年から6か月前までの半年の期間で、入居者に対して契約解除を予告する必要があります。

 

定期借家契約はこんな問題を解決できる

賃貸借契約全体の数%と限られたケースで使われている定期借家契約は具体的にどのようなときに活かされているのでしょうか。定期借家契約を使うことでどういう賃貸ができるのか、例を挙げてみます。

・賃貸経営を計画的に行えるようになる
子供が大きくなる、親が歳をとる、生まれる、亡くなる、同居する、別れる、就学、転職、ほか、家族・親戚の人数や関係性にもよりますが、数年に一度はライフイベントと呼べるものが身近に発生する人も多いでしょう。これらの中には住まいの変更を伴うものもあり、ある程度の予定が立つものもあります。

また、不動産の金額は一定ではなく変化するものです。前述した通り、将来の価格を正確に予測するのは難しいことですが、様々な情報から「少なくとも何年までは価値を期待できる」などと自分なりの見当をつけることは可能です。「遅くとも〇年後には売って現金に変えたい」「×年後くらいに家族が住むことを考えるかも知れない」 こうしたときに備えるのであれば、解約時期をコントロールしづらい普通借家契約では難しく、定期借家契約の方が、より確実に考えていた方法で物件を活用できます。

・用途が未定であるときに賃貸のリスクを限定できる
物件の市場相場について、家族の予定について、いまは予想がつかないけれど、何年後かにはもう少し目処が立っているかもしれないということが考えられます。そのような場合に、定期借家契約であれば、いつでもは無理でも、定期的に実家の用途を見直すことができます。 また、初めての賃貸では、賃貸自体がうまくいくものなのか確信が持てないということもあるでしょう。そうした場合も、定期借家契約であれば、満了とともに賃貸を止めるという選択肢を残すことができます。

定期借家契約は普通借家契約とは異なり、賃料の最大化は困難ですが、いずれ実家を賃貸以外に使い、売ったり、住んだりといった用途の切り替えが容易です。

空き家再生サービスについて

ここまででも触れてきたように、賃貸にはリスクがあります。それらを可能な範囲で目的に応じてコントロールすることが、賃貸経営を成功させるためには大切です。

リスクをコントロールする上で、「初期費用について」、「契約の種類について」、これらも非常に重要ですが、「賃貸経営でどのサービスを利用するか」、これも成否に関わる重要なことです。

どの賃貸管理会社の、どの賃貸管理サービスについて、どのようにオプション(保証等)を組み合わせて賃貸をはじめるかによって、リスクの内容や大きさが変わります。 相続した実家を賃貸に出そうと検討する場合、特にリスクに関しては次のようなことが当てはまりやすいかと思います。

・古くて工事費がかさむなど「初期費用に関する悩み」が生じやすい

・「月々の家賃収入で大きな利益を生むこと」以上に、「実家の資産価値の維持・回復」を重視したい

当社の賃貸管理サービスの各プランは、総じて賃貸経営の安全面(リスクの低さ)について大きな強みを持ったものになっていますが、 プランの中でも特に、上記のような実家の賃貸における特徴、生じがちなニーズと関わりが深い、独自のプラン・サービスとして「リロの空き家再生」というものがあります。

最後に、このサービスを利用して実家を賃貸に出す場合の主なメリットについて、特徴的な点を取り上げて紹介したいと思います。

入居者不在でも一定期間分は賃料の支払いが保証される

実家を相続し、これを貸し出そうとしても、そのための初期費用が簡単に捻出できるものではないということは十分に考えられます。

仮に空き家となった実家を資産活用できるようにするため、工事費の見積もり等で諸々の出費が200万円見込まれていたとすると、期待できる賃料が毎月17万円だったとして、それら出費を回収するのにまるまる1年間を要します。

そして、出費は事前にある程度正確な金額を知ることができますが、この賃料がどのくらい期待通りに入るかは、実際に賃貸をしてみることで分かることです。 「リロの空き家再生」を利用した場合、算定された想定賃料の一部について、3年間(36か月間)分の支払いが保証されることで、もし入居者不在の空室期間が生じても、一定の収入が約束されます。

保証された賃料がまとめて前払いされる

サブリースという呼称でご存知の方も多いかも知れませんが、前述のような、空室期間の賃料を保証するサービスには様々なものが存在します。 しかし、それらサービスの多くは、賃料を毎月支払うことを保証するものです。 事前の準備の費用が大きい場合には、あとからお金が入ると分かっていても、手元の資金が心許ないということが考えられます。

「リロの空き家再生」について、支払いが保証された3年間(36か月間)分の賃料は一括で前払いです。 仮に支払いが保証された賃料が月々11万円だったとすると、36倍の396万円が前払いされることになります。 資金を準備し易くなり、貸し出せる状態にするのがぐっと楽になります。

「定期借家契約」で確実に解約が可能

「リロの空き家再生」では、普通借家契約ではなく5年間の定期借家契約を用います。 前述「実家を賃貸に出す場合の2種類の契約方法」でも書いた通り、使われる機会が少ない定期借家契約ですが、この契約であれば決められた満了日に解約ができます。 最大の目的が収入を増やすことではなく、小さな負担で家を守って、また使えるようにすることなどであれば、確実に契約して、その後用途を再検討できるメリットがあります。

また、不意の相続で賃貸を初めて行う人であれば、いつ解約できるか分からない賃貸は不安かも知れません。そうした場合も定期借家契約であれば賃貸経営に挑戦しやすいということが考えられます。

まとめ

実家が相続によって手に入ったとき、「いつまでもそのままにしておくのは恐い」と何となくリスクを気にかけていても、実際に何かしようと思うと、迷うこともあり、決断は難しいものです。ここで、「しばらくはそのままでも平気だろう」と考えてしまいがちですが、放置が長引くほどリスクは積み重なっていきます。「今こそ売り時」と売却を選択することもあると思いますが、リスクを正しく理解した上で賃貸を行えば、実家を無理なく管理された状態で所持できます。リフォームなどの初期費用のかけ方、契約の種類、利用するサービスといったことは、正しく選択することでリスクをコントロールすることに繋がります。

当社は転勤者向けの賃貸管理を多く取り扱っており、安全・安心を重視した形で賃貸経営をサポートすることが得意です。先に述べた「リロの空き家再生」もそうしたことを表すサービスの一つです。他の賃貸管理プランにおいても、豊富な保証オプションや転貸でのサービス提供といったように、リスク抑制に関わる特徴が多くなっています。売買やリフォームといったことも行っております。「この実家を本当に貸し出せるか」「いくらかかるか」「いくらで貸し出せるか」など、お取り扱いにお悩みの際には、是非ご相談ください。