リロの留守宅管理 > リロケーション基礎知識 > 家を貸す・賃貸管理 > 家賃収入で確定申告が必要なケースと適した確定申告の方法とは
公開日2022年9月14日
「リロの留守宅管理」リロケーション基礎知識 vol.160

家賃収入で確定申告が必要なケースと適した確定申告の方法とは

家やマンションを貸し出して家賃収入を得ている場合、確定申告をしなければならないケースと確定申告が不要なケースがあります。家賃収入で確定申告が必要なケースと不要なケースでは、どのような違いがあるのでしょうか。

また、確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。さらに青色申告では申告方法や記帳方法の違いによって受けられるメリットも異なります。家賃収入があり、確定申告をする場合は、どの申告方法を選べばよいのでしょうか。

今回は、確定申告の目的や方法、確定申告が必要なケースとともにそれぞれのケースに適した確定申告の方法などについて解説します。

家賃収入があるとなぜ確定申告が必要?

家賃収入がある場合でも、確定申告をしなくてもよいケースもありますが、基本的には確定申告が必要となります。家賃収入がある場合に確定申告が必要となる理由は、家賃収入が所得税の課税の対象となる10種の所得のうちの1つである不動産所得に該当するからです。所得税は確定申告を行うことで納税額を決定し、納税を行う仕組みとなっています。確定申告をしなければならない人が確定申告を行わなかった場合には、追加の支払いを課されるなどの罰則があります。

そもそも確定申告とはどういうものなのか、確定申告が必要な人とは

日本国憲法に規定されている国民の三大義務の1つに、「納税の義務」があります。税金には消費税や自動車税、相続税など、さまざまな税金があります。そのうちのひとつである所得税は、申告納税制度が採用されており、所得を得た人自身が自分で税金を計算して、納税を行わなければなりません。

確定申告とは、1年間でどのくらいの所得を得たのかを算出し、所得にかかる税金を計算して所得と納税額を申告し、納税するまで、これら一連の手続きのことを言います。

所得のうち、給与所得については源泉徴収と年末調整が行われることで確定申告が不要となる場合が多いですが、それ以外で一定額以上の課税対象となる所得が発生したときには確定申告が必要になります。

所得は収入から経費などの課税対象に含めなくて良い部分を差し引いて残った分のことなので、大まかに言うのであれば、何かしらの方法である程度儲けているときには確定申告をしなければならなくなります。

家賃収入で十分な利益が出ているということは不動産所得があるということであり、確定申告によってどれくらいの所得を得たのかについて税務署(税務署長)に伝えなければなりません。逆に言えば、家賃収入があったとしても赤字の場合やそれほど儲けていない状況のときには、確定申告は必ずしも行わなくても良い手続きとなります。

確定申告の時期はいつごろ?

土日や祝日でずれることがありますが、毎年2月16日から3月15日までが基本的な受付期間です。この時期に前年の1月1日から12月31日までの1年間分について確定申告を行います。

【参考】
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき

確定申告の書類提出先は?

確定申告では、その人の納税地を所轄している税務署に必要書類を提出します。納税地は、基本的にはその人が生活の本拠にしている場所=「住所」になります。この住所は通常であれば住所は住民登録されている住所(住民票の写しに記載されている住所)のことです。住んでいる場所の税務署で出せば問題ないのですが、「○○区のうち〇〇地区」のように、自治体内でも町域で所轄が分かれていることがある点には注意しましょう。

【参考】
国税庁「税務署の所在地などを知りたい方

以下のサイトでは、住所や郵便番号から管轄税務署を調べられます。

国税庁「No.2029 確定申告書の提出先(納税地)

所得税の納税方法は?

毎年確定申告が必要となる人であれば、振替依頼書を提出し、振替納税で口座から引き落としてもらえるようにすること(振替納税)が多いと思われます。それ以外にも「e-Taxによるダイレクト納付」、「インターネットバンキングからの納付」、「クレジットカードによる納付」、「コンビニエンスストアの窓口でQRコードやバーコードを用いて行う納付」、「金融機関や税務署の窓口で行う納付」といった様々な方法が存在するので、これらの中からやりやすい方法を選んで納税します。

納税方法ごとの特徴や必要なものなどの詳細については、国税庁のサイトをご確認ください。

【参考】
国税庁「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)

課税対象となる所得には何がある?

課税対象所得は給与所得や不動産所得に、利子所得、配当所得、事業所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得を加えた計10種に分かれており、それぞれ所得の計算方法などが異なります。

それぞれの所得がどういったものかなど、各所得の詳細については、国税庁のサイトをご確認ください。

【参考】
国税庁「所得の種類と課税方法

給与所得があって不動産所得(家賃収入)もある場合の確定申告の必要性

一般的に会社員は会社が源泉徴収と年末調整を行っているため、給与所得に関しては」確定申告が不要となることが多くなります。

会社では従業員に支払う給与から一部を預かり、そこから前もって所得税の納税を行っています。これが源泉徴収です。しかし、給与所得にかかる所得税の総額は給与の支給総額が決定するその年の終わりを待たないと分からないため、年を明けた時点で納税額が足りていないことや、逆に納税し過ぎているということがあり得ます。このような状況を防ぐため、会社では年末調整を行い、不足分の税額を追加で徴収したり、多く徴収し過ぎた分は還付したりしています。この年末調整の手続きによって、給与所得についてはいくつかの例外を除けば確定申告をしなくても良くなっているのです。

しかし、会社から支払われた給与所得以外の所得は源泉徴収と年末調整の処理には含まれません。他の所得(退職所得以外)が合計で20万円以上あった場合は、それらの所得についての確定申告が必要となります。ここにはもちろん家賃収入による不動産所得も含まれます。

【参考】
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

義務ではなくても確定申告をした方が良いケース

「給与所得があって、不動産所得もある」というように複数種類の所得がある場合には「義務ではなくても確定申告をしておいた方が良い」ケースがあります。それは、不動産所得」「事業所得」「譲渡所得」「山林所得」があるものの所得が残らないどころか、経費の方が大きくなるなどして計算上で損失が出てしまっているような場合です。このような場合に確定申告を行うと、ある所得から他の所得に関する損失分だけ課税の対象から控除する損益通算という方法で、所得税額を抑えることができるようになります。

【参考】
国税庁「No.2250 損益通算

家賃収入があっても確定申告が不要となるケース

前述の通り、赤字になるなどして課税対象となる所得がなければ所得税もかからないので確定申告は不要です。

給与所得があるときには、不動産所得を含めた他の所得が20万円以下であれば、これについても確定申告は不要です。

また、所得税額を計算する際には「配偶者控除」や「扶養控除」等の所得控除と呼ばれるものが多数あり、一定の要件に当てはまる場合は所得の合計金額から所得控除額を差し引くことができます。所得金額から所得控除額を差し引いた結果、所得額が課税対象額以下となれば、このときも確定申告は不要になります。

原則的に誰にでも適用される控除として、合計の所得金額に応じて定められた基礎控除というものがあります。所得が2,400万円以下であれば基礎控除の額は48万円です。仮に給与所得等も含めて不動産所得以外の所得がないとした場合、家賃収入から経費を差し引いた不動産所得が48万円以内であると、基礎控除の48万円を差し引けば所得額が0円になり、所得税はかからなくなります。このときも確定申告は不要です。具体的には、年始から年末までの一年間を通して毎月の所得が4万円以下だった場合やその年の初めや終わり等の数ヶ月分だけ48万円以下の所得があった場合などが考えられるでしょう。

他の所得控除などについて

【参考】
国税庁「No.1100 所得控除のあらまし

合計所得金額2,400万円超の場合など基礎控除について

【参考】
国税庁「No.1199 基礎控除

必要な確定申告をしなかった場合のリスク

所得が発生したら確定申告によって自ら所得を申告し、納税を行わなければなりません。必要な申告と納税を怠れば次のような罰則が科せられます。

無申告加算税

期限内に確定申告をしなかった場合は本来よりも高額の税金を課せられることになります。追加で課される金額は元の納税額によって変わります。納税額が50万円までは15%を掛けた額が上乗せとなり、50万円を超えている場合には、50万円を超えた分に対して20%を掛けた額が上乗せされます。

例)
元の納税額40万円……40万円×15%=60,000円
元の納税額50万円……50万円×15%=75,000円

元の納税額60万円……50万円×15%+10万円×20%=75,000円+20,000円=95,000円

期限内に申告できていなかった場合でも、税務署からの調査を受ける前に自分から申告をすれば罰則は軽くなります。その場合追加されるのは元の納税額の5%です。

また、自ら申告するのが申告期限を過ぎてから1か月以内であるときには、無申告加算税を無し(不適用)にしてもらえることもあります。ただし、不適用が認められるためには、期限内申告をする意思があったと認められた場合です。

【参考】
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき

延滞税

期限内に税金を納めなかった場合、納付期限の日から納付の日まで1日ごとに延滞税が加算されます。

2か月経過までと、2か月経過の翌日以降で加算される金額が変わります。2か月までは元の納税額に対して最大で「~7.3%」ずつ課される税金が膨らんでいきますが、2か月経つと増え方が「~14.6%」と高くなります。

[A]納付すべき本税の額
[B]延滞税の割合
[C]日数

延滞税はこれらをかけて求めますが、[B]は2か月を経過した翌日から割合が変わります。

2か月を境としてその前後に課される延滞税の割合をそれぞれ[B1]、[B2]とすると課税される延滞税の額は下記の式で求められます。

[A]×[B1]×[完納までの日数、最大で2か月分]
+[A]×[B2]×[2か月経過の翌日から完納までの日数]

また、[B]が何パーセントになるかは「延滞税特例基準割合」というもので決まります。特例基準割合は銀行や信用金庫が資金を貸し出す際の金利を元に、毎年下記のような流れで決められています。

銀行や信用金庫の金利を元に日本銀行が「貸出約定(やくじょう)平均金利」を毎月公表
貸出約定平均金利(日本銀行)

前々年の各月の「貸出約定平均金利」を元に財務大臣が「平均貸付割合」を告示
告示(財務省)

前年の「平均貸付割合」を元に「延滞税特例基準割合」が決まり、これにより最終的な延滞税の割合が決まる
延滞税の割合(国税庁)

延滞税特例基準割合から算出された延滞税の割合が、前述した「7.3%(~2か月)」「14.6%(2か月+1日~)」よりも小さい場合は、特例基準割合から算出された割合が最終的な延滞税の割合になります。

特例基準割合も2か月を経過しているかどうかで計算が異なり、2か月を経過すると割合が大きくなります。再び2か月を境として前後の課される延滞税の割合をそれぞれ[B1]、[B2]とすると下記のようになります。

[B1]=特例基準割合+1.0%≦7.3% ……特例基準割合が6.3%を超えると、延滞税の割合[B1]は最大の「7.3%」になる

[B2]=特例基準割合+7.3%≦14.6%……特例基準割合が7.3%を超えると、延滞税の割合[B2]は最大の「14.6%」になる

例)元の納税額50万円、特例基準割合1.5%、便宜上2か月間は60日とした場合

50日経過……50万円×(1.5%+1.0%)×50日=625,000円
60日経過……50万円×(1.5%+1.0%)×60日=750,000円
70日経過……50万円×(1.5%+1.0%)×60日+50万円×(1.5%+7.3%)×10日=750,000円+440,000円=1,190,000円

【参考】
国税庁「延滞税の計算方法

2か月経過以降は1日ごとにかなりのペースで延滞税が加算されていきます。

「無申告加算税」と「延滞税」を合わせると多額の納税が課せられることになります。これらの罰則を受けるリスクを避けるためにも確定申告は定めに従い、期日までにしっかりと行うべきでしょう。

もし何かしらの事情で期日を過ぎてしまった場合には、まずは所轄税務署を調べて相談してみるなど、課税額がさらに大きくならないように対応を急ぎましょう。

家賃収入と不動産所得とは

家賃収入があると不動産所得が発生し、確定申告が要るようになります。給与所得がある場合には、給与所得以外に不動産所得を加えた諸々の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。必要な確定申告をしないと、後に高額な税金を課されるリスクがあります。

ここまで、確定申告の有無に関わる「不動産所得」は「家賃収入から経費等を引いた額で、大まかに言えば儲け」であると説明してきました。しかし、賃貸で得られる収入には、物件を貸す対価として得られる賃料以外のものも考えられます。また、経費として扱える費用にも決まりがあります。したがって、所得がどれくらいあるのか(あるいはないのか)は、その内訳を見ていかなければ分かりません。では、実際に収支についてどのような計算をしなければならないのか具体的に挙げていきましょう。

不動産所得とは

改めて、賃貸経営で得られる不動産所得とは、賃貸経営で得られる収入の総額から、賃貸経営のためにかかった費用(経費)を差し引いた額です。

家賃収入とは家賃として得られる賃料のことですが、所得は賃料も含めた賃貸経営に関するすべての収入(総収入金額)から必要経費を引いた残りの額を指します。

(※ここで「所得」と呼んでいるのは税務上の用語としての言葉です。「所得」は会計上で用いられる言葉としての「利益」とは足される額や引かれる額が異なることもあるために区別されますが、「収支において結果的にいくら増えたか」という意味では、一般的な意味合いでの「利益」とはほぼ同質のものです。)

不動産所得の金額は、次の計算で求めることができます。
所得金額=総収入金額-必要経費

賃貸経営時の総収入金額に含まれるもの

賃貸経営では次のようなものが総収入金額に含まれます。

・物件を貸し出すことによって得られる賃料収入
・賃料とは別に共益費や管理費といった名目で、物件を借りること以外の料金として得られる収入
・礼金、更新料などの収入
・敷金や保証金などとして受け取った金額のうち、入居者に返還する必要がない部分

必要経費として課税対象から差し引くことができる費用

必要経費として認められるものは、賃貸経営のためにかかる費用です。壊れた設備を直すための費用や、税金、保険料といったものがあります。具体的に必要経費として認められるものは、次のような費用です。

固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税等の税金 土地や建物を所有していることで毎年納付が必要となる税金や土地や不動産を取得した時にかかる税金は、必要経費として計上することができます。
火災保険、地震保険等の保険料 建物にかかる損害保険料も必要経費として認められています。
借入金の利子 土地や建物を取得する際に借り入れたことによって生じる借入金の利子についても必要経費に計上できます。
広告宣伝料、仲介手数料、管理料等 入居者募集にかかる費用や不動産会社への仲介手数料、物件管理を依頼している管理会社に支払う管理料なども必要経費として認められています。
修繕費、原状回復費用 貸し出す建物の修繕にかかった費用や設備の修繕にかかった費用も必要経費として認められています。
減価償却費 建物は時間の経過とともにその価値が低下します。減価償却費とは建物の取得価格を耐用年数字応じて、各年分に配分した金額です。減価償却費も必要経費として計上できます。
税理士報酬等 確定申告を税理士に依頼した場合の税理士報酬等も必要経費として認められます。

このように、賃貸に関わる収支、総収入額と必要経費がそれぞれいくらかをまとめて、総収入額から必要経費を差し引いた残りが不動産所得となります。加えて前述した所得控除等を踏まえることで、取得した家賃収入についての確定申告が必要かどうかを判断できます。

家賃収入の確定申告の方法とは

さて、確定申告を行う場合に、その方法には「白色申告」「青色申告」「単式簿記」「複式簿記」というような種類があります。また、申告時に提出する書類の書式についても、「様式」と呼ばれる種類があります。どうやって確定申告をするのが良いのかは、賃貸経営を行う状況などによっても変わってきます。

確定申告書の作成方法や申告に必要な書類、申告方法などについて説明していきます。

控除額が変わる、確定申告の2つの種類(白色申告・青色申告)と2つの記帳方法

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの種類があり、それぞれ次のような特徴があります。

白色申告とは

白色申告は、事前の届出も必要なく、青色申告に比べて手続きが簡単であるという特徴があります。白色申告で提出すべき書類は「確定申告書B」と「収支内訳書」の2つであり、記帳も簡易的な単式簿記という方法で問題ありません。

提出書類が少なく、簡易的な手続きで申告ができる点が白色申告のメリットですが、特別控除等が適用されないため、続く青色申告のような節税効果がありません。

青色申告とは

青色申告ができるのは不動産所得、事業所得、山林所得の3ついずれかの所得を得た人です。また、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に届出をしていなければ、青色申告を行うことはできません。

青色申告では、「確定申告書B」に加えて「青色申告決算書」の提出が必要になるほか、複式簿記での記帳が原則として求められます。青色申告では、所得から最大65万円の控除を受けられる青色申告特別控除が適用され、所得の中で赤字が生じた場合に、その赤字分を3年間まで繰り越しすることができるといったメリットがあります。

保存すべき帳簿の数も多くなり申告に手間がかかるものの、青色申告では課税額を抑えやすいメリットがあります。

単式簿記とは

1回の取引に対して、1つの勘定科目に絞って記載する方法です。いくらお金が入り、いくら支払ったのかといったお金の増減に注目した記帳を行います。

複式簿記

1回の取引に対して、複数の勘定科目で記載する方法です。お金の増減に加えて、資産や負債の増減についても記帳を行います。取引を発生の原因と結果に分けて記録することにより取引の結果、現金残高や収支がどのように変わったのかを把握することができますが、単式簿記に比べて複雑な記帳方法となります。

不動産所得は事業的な規模があるかどうかで特別控除額が変わる

不動産所得の場合、青色申告特別控除額は事業的な規模で賃貸経営を行っているかどうかで変わります。マンションやアパートを10室以上貸しているか、または独立した家屋を5棟以上貸しているかが事業的規模であるかどうかの判断基準の1つとなっています。事業的な規模で家賃収入を得ている場合は、青色申告で最大65万円の控除を受けることが可能です。

マンション1室を貸している場合や転勤の間だけ自宅を貸しているケースなど、事業的な規模に該当しない場合であると、65万円の控除を受けることは難しいですが、その場合にも10万円の控除が受けられます。

【賃貸の規模による青色申告の違い】

青色申告(最大65万円控除) 青色申告(10万円控除)
対象となる経営規模等 10室以上の部屋or5棟以上の貸家賃貸経営の規模がいずれかに相当するなどして事業的な規模として認められる 事業的な規模として認められない場合

事業的な規模であっても最大65万円の青色申告特別控除の要件に該当しない場合
家族や親族への給与 必要経費になる 必要経費にならない
青色申告特別控除 最大65万円 10万円
提出書類 確定申告書B
青色申告決算書(損益計算書・賃借対照表)
確定申告書B
青色申告決算書(損益計算書)
記帳方法 複式簿記 単式簿記

確定申告書の作成方法

確定申告書の作成方法には次の4つの方法があります。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する

国税庁のウェブサイトには、確定申告書を作成できる「確定申告書等作成コーナー」が用意されています。画面の案内にしたがって入力し、申告書や決算書などを作成することが可能です。

確定申告書作成コーナーはこちらです。

確定申告用のソフトを利用する

確定申告用のソフトでは、必要事項を入力していくだけで帳簿や確定申告書が簡単に作成できるようになっています。簿記の知識が無くても手軽に入力できるようになっているものもあり、計算も自動で行われるため手間がかからずに便利です。

手書きで作成する

確定申告書は、手書きで作成することも可能です。確定申告書は最寄りの税務署の窓口で配布しているほか、国税庁のホームページなどからダウンロードすることができます。書き方等に不安がある場合は税務署の窓口で質問できるほか、確定申告の時期には確定申告相談会場を設置している場合もあるため、相談しながら作成することも可能です。

税理士に依頼する

税理士に依頼し、確定申告書を作成してもらうことも可能です。どの範囲までを依頼するかによって金額は異なりますが、税理士に確定申告を依頼する場合には報酬を支払う必要があります。

青色申告決算書の書式、現金主義用様式とは

家賃収入に関する確定申告では、次のようなものが必要となります。

確定申告書B(第一表、第二表)

家賃収入に関する確定申告では、不動産所得のある人が使用できる確定申告書Bを使用します。白色申告をする人も青色申告をする人も、必ず提出が必要になる書類です。

収支内訳書(白色申告をする人のみ)

収支内訳書には「一般用様式」、「農業所得用様式」、「不動産所得用様式」の3種類があります。家賃収入がある場合は「不動産所得用様式」を使用します。収支内訳書は確定申告書を作成するために、1年間の家賃や礼金等による収入、固定資産税・修繕費・仲介手数料・管理料・減価償却費などの必要経費を記載するものです。

収支内訳書を提出するのは、白色申告をする人のみです。

青色申告決算書(青色申告をする人のみ)

青色申告決算書には、収支内訳書と同様の「一般用様式」、「農業所得用様式」、「不動産所得用様式」の3種に加え、「現金主義用様式」を含めた計4種類があります。

収支内訳書と同様に、家賃収入がある場合に使用する様式は「不動産所得用様式」です。

収支内訳書には存在しない「現金主義用様式」とは、事業所得と不動産所得の合計所得金額が300万円以下の人で、事前に「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出している場合に使用できる決算書です。

現金主義とは、会計概念(会計処理をするときの考え方)の一つであり、収益と費用に関する認識方法の違いによって、発生主義などと区別される考え方です。他の様式の青色申告決算書では、複式簿記という少し難しい方法で記帳をしなければならないのですが、前述した条件を満たしている人であれば、この現金主義を用いた単式簿記という、より簡便な方法で記帳しても構いません。他の様式を用いた場合に受けられる一部の控除を受けられないというデメリットもありますが、賃貸を行う規模が小さい(「5棟10室」程度以下など事業的規模に達していると認められない)と、そもそもそれらの控除は受けられないということがあるので、条件を満たしているならば、より簡単に記帳できる現金主義用様式で十分だと言えるでしょう。

青色申告決算書は、1年間の利益を表す「損益計算書」と資産や保有資産や負債などの状況を表す「賃借対照表」の2つからなる書類です。不動産所得用様式を選択する人は、損益計算書賃借対照表の2つを提出します。一方で現金主義用様式を使用する人は、「損益計算書」のみを提出します。

【参考】
国税庁「確定申告に関する手引き等

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法には、次の3つの方法があります。青色申告の場合、記帳方式だけでなく、提出方法によっても特別控除額が変わるため注意が必要です。

e-Taxによる提出

e-Taxを利用して提出する場合、65万円の青色申告特別控除を受けられるというメリットがあります。特別控除額の最大金額である65万円で控除の適用を受けるためには、複式簿記で記帳するなどの他の条件を満たすことと併せて、e-Taxによって確定申告を行うか、後述する電子帳簿保存を行った上での確定申告を行う必要があります。e-Taxとは国税電子申告・納税システムのことで、インターネットを利用して確定申告書の提出ができるシステムです。

e-Taxを利用する際には利用者識別番号が必要になります。利用者識別番号の取得にはマイナンバーを利用して申請するマイナンバー方式とマイナンバーが無くても申請できるID・パスワード方式があります。

マイナンバー方式を利用する際には、マイナンバーカードとICカードリーダライターやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要となります。ID・パスワード方式を利用する場合は、税務署を訪問して本人確認を行う方法やウェブ上から申請する方法などがあります。

e-Taxでは、確定申告書作成コーナーや確定申告ソフト等で作成したデータを用いて申告手続きができます。

税務署に持参する

作成した書類を管轄の税務署に持参して窓口で提出することも可能です。混雑する可能性がありますが、不明点があった場合に税務署の職員に直接相談しながら提出できる点がメリットです。持参した場合、複式簿記で記帳を行っていたとしても青色申告特別控除額は55万円までとなります。ただし、電子帳簿保存法の申請承認書を事前に税務署に提出し、市販の会計ソフトを用いるなどして電子帳簿保存を行っていれば、他の条件について問題なく満たしていることで65万円の控除も受けられるようになります。

税務署に郵送する

作成した書類を、管轄の税務署に郵送して提出することも可能です。提出期限日の消印が有効となります。このときも税務署に書類を持参した場合と同様に、青色申告特別控除額は55万円までとなります。また、電子帳簿保存を行っていることで65万円の控除を受けられるようになる点も同様です。

持参が要る書類や提出が要る書類については、国税庁の「申告書に添付・提示する書類」のページでご確認ください。

まとめ

家賃収入で得られる利益は不動産所得に該当し、基本的には確定申告が必要となります。しかしながら、家賃収入があっても確定申告が不要なケースもあります。課税対象となる所得は総収入から必要経費を引いたものであり、所得額を算出し、要件に該当する所得控除を差し引くことで、確定申告が必要か不要かの判断ができます。

確定申告が必要であるにも関わらず確定申告を行わなかった場合は、罰則が用意されており、本来納めるべき額よりも多くの税額を支払わなければならなくなります。また、確定申告が不要であった場合であっても、損益通算を行うことで他の所得にかかる税額を抑えられる可能性もあります。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、書類の提出方法にもいくつかの方法があります。申告方法や書類の提出方法によって課される所得税額は変わり、事業的な規模であると認められる場合にe-Taxを使用して青色申告を行うと、青色申告特別控除の最大額65万円の控除を適用できます。一方、事業的な規模に該当しない場合は青色申告を行っても65万円の控除は受けられず、現金主義用様式(単式簿記)の申告で十分な可能性があります。

確定申告と聞くと手間がかかるイメージをお持ちかもしれませんが、確定申告義務を怠ると罰則によって多額の税金を納めなければならなくなるリスクもあります。また、賃貸経営が赤字の場合は確定申告を行うことでその他の所得から赤字分を差し引き、所得税額を抑えられるというメリットもあります。

まずは所得額を計算し、確定申告が必要かどうかを確認するようにしましょう。

記事検索