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「リロの留守宅管理」リロケーション基礎知識 vol.138

相続した家・空き家は貸す?売る?活用法いろいろ

もしも両親から不動産を相続した場合、どのように活用するかをすでに決めているという方は多くないでしょう。相続不動産の扱いを決定するのは難しく、悩みの種になることも少なくありません。そこで今回は、相続した家を「売る」「貸す」「維持する」という3つの方法について解説します。

相続不動産にまつわる問題いろいろ

不動産が関わる相続にはさまざまな問題が考えられます。

たとえば法定相続人が複数の場合。財産を平等に分けるために遺産分割協議を行うものの、取り分や差額精算などの場面で争いが生じることも少なくありません。これは不動産が現金などと違い、物理的に分けられるものではないからです。

また、相続税の支払いに関する問題も予想されます。不動産を含む遺産の合計が控除額以上になると、相続税が課税されます。原則、この納税は被相続人が亡くなったことを知った日より10カ月以内で、現金一括納付です。相続人の預金に余裕があればさほど問題ではありませんが、問題は相続税が高く、その用意が困難な場合。不動産の売却にはある程度の時間がかかりますから、早めに対応を進めておかなくてはなりません。

上記はあくまでも氷山の一角に過ぎません。実際には、そのほかにもさまざまな問題が起こる可能性があります。

空き家の放置はデメリットとリスクが大きい?

もしも不動産の相続人がご自身に決定した場合は、その後の扱いを考えなくてはなりません。たとえば相続不動産に住むのが難しく、空き家として放置を続けた場合には、以下のようなデメリット・リスクが考えられます。

景観・治安の悪化で周囲の方に迷惑がかかる

管理のされていない空き家は、建物の老朽化とともに庭木や雑草が繁殖し、害虫が発生します。また、人の住んでいないことが外部から見て明らかな場合、不法投棄や落書きをされやすくなり、これらは悪臭の原因や景観の悪化に繋がります。さらに空き巣や放火による火災の被害や、「振り込め詐欺」などの犯罪拠点として使用される可能性もあります。

建物の経年劣化が進み、資産価値が大幅に低下する

密閉状態の建物内では、湿気による畳の膨張やカビの発生、躯体となっている木材の腐食などが起こり、それらが建物の老朽化を早めます。老朽化した空き家の資産価値は下がり、さらに深刻化した場合、周辺の不動産の資産価値も低下させてしまいます。放置により老朽化が進行するほど建物の復旧はより困難となり、仮に空き家を修繕しようとした場合も、より高額の費用が必要となります。

特定空き家に指定されてしまい、固定資産税等の金額が上がる

通常、住宅用地として使用されている土地に対しては、支払いを課される固定資産税および都市計画税の課税標準額について「住宅用地の特例措置」が適用されています。しかし、空き家が特定空き家として認定されてしまった場合には、この特例措置は受けることができなくなり、建物のない更地と同じ扱いで納税を課されるようになってしまいます。特例措置が適用されなかったときの税額は、適用されたときに対して、固定資産税額について最大で6倍、都市計画税額について最大で3倍が課せられます。

<参考:課税標準額算出において「住宅用地の特例措置」が適用される倍率>

◆ 小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分)の課税標準額について
固定資産税:価格×6分の1
都市計画税:価格×3分の1

◆ 一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地)の課税標準額について
固定資産税:価格×3分の1
都市計画税:価格×3分の2

※「価格」は「課税台帳に登録された土地の価格」

東京都主税局ホームページ 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
【土地】2 住宅用地及びその特例措置について

相続した不動産を空き家として放置し続けた場合、その所有者には様々なデメリットやリスクが考えられます。不動産を相続した場合には何らかの活用法を考える必要があります。次項より、代表的なものをピックアップして紹介します。

活用法(1)売却

今後住む予定のない不動産を相続したのであれば、それを売却するというのが一般的な選択肢です。現金化ができれば遺産分配もスムーズですし、相続税の納税分も補填できます。

また、不動産を現金化すれば、毎年かかる固定資産税・都市計画税が不要になります。加えて、相続日から起算して3年を経過する年の12月31日以内に売却をすれば、一部の条件を満たすことで3,000万円の特別控除も受けられます。

このように、売却は節税効果が高く、相続問題を解決するのにも適した方法です。加えて、将来的な活用が難しい場合や、周辺の賃貸ニーズが少ない場合、空き家の維持にコストをかけたくない場合などに、最適と言えるでしょう

不動産売却時の注意点

不動産売却の際には、売却方法と不動産業者との媒介契約に注意が必要です。不動産の売却には不動産業者に買い取ってもらう方法と一般消費者へ売却する方法があります。買取では早く現金化できる代わりに、買取価格は市場価格よりも低くなります。売却の場合は希望の価格で売却活動を行うことができますが、買主が見つかるまでに時間を要することがあります。

不動産仲介会社を通して売却活動を行う場合、不動産仲介業者と媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3つがあります。

・一般媒介契約    複数の不動産会社へ依頼可能で自ら買主を探すことが可能

・専任媒介契約    1社のみへ依頼可能、自ら買主を探すことが可能

・専属専任媒介契約  1社のみへ依頼可能、自ら買主を探すことはできない

専任媒介契約および専属専任媒介契約にはレインズへの登録義務や売主への報告義務があるため、きちんと売却活動を行ってもらえる可能性が高くなります。

活用法(2)賃貸

状態次第ではあるものの、空き家は賃貸として活用も可能です。計画的な賃貸経営を行えば、毎月安定した家賃収入が入り、大きな利益をもたらしてくれます。状況に応じてリフォーム・リノベーションなどを行う必要もありますが、長期的に見ると売却よりも大きな収入を得られるでしょう。

また、「最終的には地元に帰って、実家に住もう」と考えている際にも賃貸は最適な方法です。固定資産税や都市計画税といったランニングコストを家賃収入で補いつつ、空き家のデメリット・リスクを低減できるでしょう。

家を貸す際の注意点

賃貸契約にはいくつかの種類があります。一般的な賃貸契約で使用される普通借家契約を締結した場合、原則としてオーナーから契約を終了し、明渡しを求めることはできません。将来的に自分で空き家を活用したい場合は、契約期間に定めのある賃貸契約(定期借家契約や一時使用賃貸借契約など)を用いるようにしましょう。なお、定期借家契約や一時使用賃貸借契約では、契約期間が限定されるため、相場よりも割安な家賃設定とされることが一般的です。

また、不動産の賃貸による家賃収入は、不動産所得として課税され、確定申告が必要となります。確定申告を怠った場合、ペナルティとして無申告加算税や延滞税が課される場合があるので、必ず期限までに行うようにしましょう。

遠方に住んでいる場合は賃貸管理サービスもおすすめ

もしも実家から離れて暮らしており、しばらくは戻れないという場合は、賃貸管理サービスの利用を検討しましょう。不動産管理のプロフェッショナルに賃貸管理を任せられるため、手間がありません。管理手数料などの費用はかかりますが、とくに専業大家が難しい場合におすすめです。賃貸会社によって業務内容が異なりますので、管理会社を選ぶ際は、どのような業務を行ってくれるのかをしっかり確認しましょう。

活用法(3)空き家管理

受け継いだ不動産の将来的な活用方法がまだ決まっていなかったり、最終的には自分たちで住もうと考えていたりする場合は、空き家管理サービスの利用もおすすめです。これは、不動産管理会社などが提供するサービスで、空き家の定期巡回や通気・換気を代行してもらうことにより、資産価値の低下を防いだり、建物の劣化スピードを緩やかにしたりできるものです。

空家管理サービスを利用する際の注意点

空家管理サービスを提供している業者は多く、金額やサービス内容も業者ごとにことなります。自分の必要としているサービス内容が含まれているか、サービス内容と金額が見合っているか確認しましょう。弊社の空家管理サービスでの、巡回時の主な作業内容は下記の通りです。

・通気・換気
・通水
・雨漏りの確認
・簡易清掃
・ポストの確認
・庭木の確認
・建物屋内外の確認

基本的には荷物を置き残しておくことができますが、トラブルを避けるため、貴重品等は置かないようにしましょう。また、ゴミや生ものは害虫を発生させる恐れがあるため、残さないようにしましょう。水道・電気・ガスについては、巡回時に必要となる場合がありますので、サービス提供業者に確認してから停止の手続きを行うようにしましょう。

前述のとおり、空き家の放置にはさまざまなデメリット・リスクがあります。しかし、適切に管理さえできれば保持するメリットも少なくありません。周辺の不動産相場が上昇しているのであれば、将来的に売却をするのもよいでしょう。もしくは、タイミングを見計らってリフォーム・リノベーションを行い、ご自宅として活用するのも賢い選択です。

まとめ

相続した不動産の扱いは誰もが迷うところです。しかし、相続における遺産分配や納税を考えると、早めの決断が求められます。ただし、必ずしも売却だけが最適というわけではありません。いくつかの選択肢のなかから、ご自身にぴったりな方法を検討してください。