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公開日2019年11月20日/更新日2021年8月23日

リロケーションで得た収入の確定申告はどうする?

リロケーションで得た収入の確定申告はどうする?

リロケーションによって家賃収入を得た場合、いくつか例外はありますが、基本的には確定申告を行わなければなりません。また、確定申告は収めるべき税金の金額を確定させる手続きですが、収入が同じ人でも同じ課税額になるとは限りません。課税の対象となる収入については当然正確に書かれた申告書を出さなければなりませんが、収入のうち課税の対象となる所得を減らせる「必要経費」など、控除に関する項目についてもきちんと申告を行うことで、支払う税金を必要最低限に抑えられる節税効果を見込める手続きです。以下では、リロケーションを活用する方に向けて、確定申告の基礎知識を解説します。

家賃収入があるなら確定申告を

勤務先から支払われる給与以外の所得がある場合、基本的に確定申告が必要になります。これは、会社が行う年末調整だけでは年間の所得税額が求められなくなるためです。

他の理由で確定申告が必要となる場合もありますが、条件の一つとして、主となる収入以外の所得の合計が年間20万円を超えた場合には、確定申告が必要になります。リロケーションによって不動産所得(家賃収入)を得ているのであれば、該当する可能性があります。なお、家賃収入だけでなく、以下によって得られる収入も不動産所得として扱われます。

● 地上権など、不動産関連の権利設定や貸付けで得られる所得
● 船舶や航空機の貸付けで得られる所得

人によっては、不動産所得以外にも、さらに収入源があることが考えられます。事業所得、雑所得、一時所得などに分類される様々な所得も、それらを合わせて、主となる収入以外の所得として扱われます。まだリロケーションで家を貸し出し始めたばかりで、家賃収入が年末のひと月分のみであるなどして、20万円に達していなかったとしても、そのほかの副業で収入を得ている場合は、それらもすべて合計したうえで、年間20万円を超えていないかをチェックしましょう

リロケーションで認められる経費例

確定申告を行うと所得税の課税額などが算出されます。この際に、収入だけでなく必要経費を計上することで課税の対象となる所得の金額が減り、結果として節税が行えます。リロケーションの場合にも、以下のようなコストが必要経費として認められます。確定申告時には忘れずに計上しましょう。

● 租税公課(都市計画税、固定資産税、印紙税など)
● 管理費(マンションの場合)
● 修繕費(リフォーム費など)
● 損害保険料
● 減価償却費
● 借入金の利子(住宅ローンなど)
● リロケーション会社へ支払う賃貸管理手数料 など

赤字の場合は確定申告の義務はないが、申告すれば節税の効果がある

必要経費などを差し引いた結果、不動産所得が赤字になるというケースも存在します。たとえば空室期間が続いてしまった場合などです。このように収入が小さく支出が大きいときには、損失分について確定申告をしなくても特に不正とはなりません。しかし、不動産所得などいくつかの所得は損益通算の対象となります。確定申告では不動産所得の赤字分を給与などのほかの所得の黒字分から差し引くことができます。

たとえば給与所得に対する課税額が500万円、不動産所得の赤字が50万円だったとしましょう。確定申告をしない場合は、500万円に対して所得税が課税されます。一方、確定申告で不動産所得の赤字を差し引くことができれば、課税対象額は450万円になります。これが損益通算です。納税額に大きな違いを生むこともあるので、赤字の額が大きいときほど、黒字でなくても、いくら費用がかかったか把握しておくなど、しっかりと確定申告のことを気にしておいた方がいいです。

確定申告をしない場合のペナルティ

不動産所得が20万円を超えているのに確定申告をしなかった場合や、申告漏れがある場合には追徴課税というペナルティが課されることがあります。つまり、通常の税額よりも高い納税をしなくてはなりません。具体的には、以下のような税が課されます。

● 重加算税
● 無申告加算税
● 過少申告加算税
● 不納付加算税

確定申告の流れ

以下は確定申告のおおまかな流れです。(青色申告の場合)

1. 青色申告の承認申請書提出
2. 提出書類の準備
3. 決算書作成
4. 確定申告書作成
5. 税務署へ提出

なお、青色申告の承認申請書提出は事業開始後2カ月以内に行わなければなりません。そのため、リロケーションを開始した後には早めに申請書の用意をはじめましょう。

青色申告による確定申告がおすすめ

「青色申告」とは、確定申告の際に、事前の申請、賃借対照表・損益計算書などの各種帳簿の作成・提出といった手続きを踏むことで、課税についてより有利な取り扱いを受けられるようになる制度のことです。

一方、より簡単な記帳、少ない書類のみで確定申告を行う場合、こちらは「白色申告」と呼ばれます。

青色申告を行うと、リロケーションで得た利益についても10万円の特別控除を適用でき、書類作成の手間はあるものの、節税にできます。

(青色申告には、より詳細な帳簿で申告を行うことで65万円の控除を受けられるものがありますが、「一定以上の事業規模」など、適用されるための条件があります)

青色申告は難しいというイメージの方も多いと思いますが、10万円の控除であれば単式簿記でも手続きを行うことができます。

単式簿記の場合における書類作成の難易度は、65万円の控除を受ける際に必要となる複式簿記ほど難しいものではなく、より簡単な白色申告との差も比較的小さいものとなります。

確定申告で必要になる書類

確定申告では、帳簿に記された内容を証明するための書類が必要になります。そのほか、申告に必要となる書類も含めて、以下に代表的なものをご紹介します。

ご自身で用意するもの

● 確定申告書B
● 不動産所得用の青色申告決算書
● 管理費、修繕積立金がわかる通帳
● 不動産売買契約書

上記のうち、「確定申告書B」は国税庁のホームページからダウンロードが可能です。また、青色申告決算書についてはご自身で帳簿を作成し、決算を行う必要があります。そのほかの書類は保管しているものを確定申告までに整理しておきましょう。

勤務先から入手するもの

● 源泉徴収票
年末調整を行った際に勤務先から交付されます。一般的には12月の給与明細と一緒に渡されます。

リロケーション会社から入手するもの

● 家賃送金明細書
● 賃貸借契約書

入手方法はリロケーション会社によって異なります。とくに家賃送金明細書については事前に確認を行いましょう。

融資を受けた金融機関から入手するもの

● 借入金の返済予定表
ローンを利用している場合には、その金利を必要経費として計上できます。その金額を確認・証明するために必要な書類です。

修繕を請け負った会社から入手するもの(修繕をした場合)

● 修繕の見積書、請求書、領収書
リフォーム・リノベーションを行った場合には、その修繕費を経費として計上できます。上記はその証明書類です。

そのほか

● 固定資産税の通知書
● 火災保険、地震保険などの証券

まとめ

確定申告は不動産所得を得た場合の義務です。また、きちんと申告をすることで節税にもつながります。帳簿作成という手間が少し掛かりますが、そこまで難しいものではありません。近年はe-Taxと呼ばれる国税電子申告・納税システムも充実し、より手軽に申告が行えるようになりました。確定申告の開始時期となる2月中旬を迎えるまでに、事前の準備を進めておきましょう。

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