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更新日2024年8月27日

【住宅ローンでも賃貸に出せる】転勤時に持ち家を賃貸する方法、注意点を解説

【住宅ローンでも賃貸に出せる】転勤時に持ち家を賃貸する方法、注意点を解説

住宅ローンを支払い中に急に転勤が決まり、家族で引っ越さなければならないとき、気になるのは持ち家です。

そもそも、住宅ローンを継続しながら転勤期間中に持ち家を賃貸に出せるのでしょうか?

回答としては「帰任後にその持ち家に再入居する条件なら、転勤期間中に賃貸に出しても、住宅ローンを継続することができる場合が多い」です。ただし契約内容によって異なるので、原則として金融機関に確認し了承を得ることが必要です。

ですが、比較的了承を得られやすい転勤であっても、金融機関へ確認せず賃貸に出してバレた場合は大きなトラブルにつながるので注意が必要です。最悪の場合、住宅ローンの一括返済を求められることもあります。

そこで今回は、住宅ローンが残った持ち家を転勤時に賃貸に出す方法など、以下のテーマについて解説していきます。

  • 住宅ローン中に金融機関に黙って賃貸に出してバレた場合はどうなる
  • 住宅ローン中に転勤になった持ち家を賃貸に出す流れ
  • 転勤中に賃貸に出す際の注意点

転勤時は住宅ローンを継続しながら賃貸に出せることが多い

転勤時は住宅ローンを継続しながら賃貸に出せることが多い

「住宅ローン返済中に転勤になった場合、持ち家を賃貸に出すことはできるのでしょうか」

結論、転勤期間中に限り賃貸に出せることが多いです。

住宅ローンは、契約者本人が住むための家を購入するときに利用できるローンです。そのため、住宅ローンは他人に貸す目的での家の購入に使うことはできません。

しかし、家の購入後、自分の意思ではなく、転勤のようにやむを得ず引っ越しを余儀なくされる場合、金融機関に相談し事情を説明することで賃貸に出せることが多いです

ただし、金融機関ごとに住宅ローンの規約は異なりますので、必ず借入先の金融機関に事情を説明し、確認しましょう。

転勤で住宅ローンがある家を賃貸に出す際は、金融機関へ相談する

会社命令による転勤は、「返済を続けよう」という本人の意思とは関わらずに起こる「やむを得ない事情」の一つとして起こりがちなことです。

先にも述べたとおり、自分が住む家の購入が目的の住宅ローンであっても、転勤の場合は賃貸に出せることが多いです。

しかし、住宅ローンは本来「自己居住用物件の購入」に使途を限定しているため、転勤期間中の賃貸を検討する際は必ず金融機関へ相談しなければいけません。

金融機関にとっても同様の相談を受ける機会も多いことが想定され、契約書に明記されているなど、例外としてあらかじめ認めているようなケースもあるようです

なお、金融機関へ報告せずに賃貸に出すと、後に発覚してペナルティを課されます。

転勤でも金融機関へ報告せずに賃貸に出せばバレる

住宅ローン中に賃貸に出していることが、どのようにしてバレるかというと「銀行から発送する郵便物が届かないこと」がきっかけになることが多いようです。

書類上の住所を変えないために、住民票を異動せずに引っ越して生活することはできます。

住民票の異動をしていなくても、郵便物の転送を郵便局に依頼しておけば1年間は転送を行うことが可能です。しかし、銀行などが「転送不要」で送付する郵便物は転送されず、送り主に差し戻されます。

住宅ローン残高の証明書は転送不要で送られてくることが多く、このような郵便物が住宅ローンを借り入れている本人へ届かなくなり、銀行が実際に居住の確認をしに来て無断賃貸がバレることになります

転勤であっても賃貸に出した場合、バレたらどうなるか

転勤であっても住宅ローン中の賃貸が金融機関にバレると、契約違反になることから以下の対応を求められる場合があります。

  • 住宅ローンの一括返済
  • 金利の高い事業者ローンなどへの借り換え
  • 法的措置を求められる

フラット35を支援している住宅金融支援機構では、住宅ローン中の無断賃貸が発覚した場合の対応について以下のような注意書きがあります。

第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。

出典:「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。」回答一部抜粋[住宅金融支援機構]

また、悪質と判断された場合、刑事事件に発展し法的措置を取られます

参考:「フラット35、悪用105件 一括返済請求 法的措置も」[東京新聞]

これらの事案は悪質な不動産業者が関与しており、賃貸に出す目的で買った物件を居住用と偽ったことが発覚しました。

転勤とはいえ、金融機関に無断で賃貸に出した場合、契約違反に繋がることから、同じような対応を取られる可能性もあります。

住宅ローン返済中に転勤になり、生活の足しに持ち家の賃貸を検討する方は大勢います。必ず金融機関に報告し承諾を得てから、賃貸を行うようにしましょう。

承諾を得るにあたり「住宅ローンの契約書」「転勤証明書」などが必要になると考えられます。金融機関により手続きが異なりますので、必要な書類も確認しましょう。

住宅ローン返済中の転勤で持ち家を賃貸に出す流れ

住宅ローン返済中の転勤で持ち家を賃貸に出す流れ

住宅ローン返済中の転勤で持ち家を賃貸に出す流れは次の通りです。

  1. 転勤中に限定した賃貸であることを金融期間に相談する
  2. 転勤期間中の賃貸に強いリロケーション会社へ賃料査定を依頼する
  3. 賃貸に出す家賃や入居条件を決定する
  4. 入居者を募集する
  5. 退去時に揉めないために物件状態を記録しておく
  6. 賃貸借契約を結ぶ

転勤中に限定した賃貸であることを金融期間に相談する

住宅ローン返済中に、金融機関に無断で賃貸を行うことは契約違反になり、住宅ローンの一括返済を求められる可能性もあります

そのため、必ず金融機関へ相談して転勤期間中の賃貸を希望する旨を伝えます。

次のようなことを伝え、手続きをしてもらいましょう。

  • 転勤によるやむを得ない事情で引っ越しをしなければいけない
  • 転勤後は元の家に再入居すること
  • 転勤期間に限定した賃貸で家賃収入は住宅ローンの返済に充てる
  • 転勤中の大まかな賃貸期間

転勤期間中の賃貸に強いリロケーション会社へ賃料査定を依頼する

金融機関から了承を得られた後、いくらくらいで貸し出せそうか賃料査定を依頼します。

「リロケーション」とは、転勤などで留守になる持ち家を転勤期間中に限って賃貸物件として貸し出すことをいいます。

貸主は転勤で海外や遠方にいることが多く本業もあり、不慣れな賃貸に関わることが現実的に難しいとされています。そのため、転勤中の賃貸は貸主に代わり持ち家を守る様々な保証やサービスが求められます

また、帰任後にスムーズに再入居できるよう、あらかじめ賃貸期間を決めておき更新ができない契約を用いるなど、一般的な賃貸とは異なる知識や経験が求められます

そのため、リロケーションに強い賃貸管理会社に賃料査定を依頼して賃貸管理を任せることが望ましいでしょう。

当社「リロケーション・ジャパン」は1984年に日本で初めてリロケーションサービスを事業化しました。名前の通り、転勤期間中の賃貸管理に特化した賃貸管理会社です。

40年の賃貸管理実績と社宅管理戸数25万件以上という経験から、転勤者に寄り添った保証やサービスを提供し、転勤期間中の留守宅を大切に管理いたします。

家賃や入居条件を決定する

リロケーションに強い賃貸管理会社を決めたら、管理会社と相談しながら転勤期間をもとに賃貸に出す期間や家賃、賃貸募集の条件を決めていきましょう。

気を付けたいのは、家賃を欲張らないことです。貸主の希望の家賃額で入居者を募集できますが、余程魅力的な物件でない限り、周辺の家賃相場以上の家賃では入居者も見つかりにくく、家賃収入が遅れるばかりです。

家賃相場は賃貸管理会社であれば把握しています。実際に家に訪問してもらい、内装や設備を見て貰いながら、詳細な賃料査定をしてもらいましょう。

また、入居条件として「ペット禁止」や「喫煙不可」などを設定します。条件を緩和するほど入居者は決まりやくなりますが、転勤終了後に再入居することを考えて、賃貸管理会社のアドバイスも求めて慎重に決めましょう

入居者を募集する

賃貸管理会社と契約後、入居者の募集が始まります。

ポータルサイトや情報誌、自社サイトや店頭広告での宣伝、提携先の不動産会社との連携、指定流通機構(レインズ)への登録など、不動産会社によって募集方法は変わるので、確認しておきましょう。

転勤時の賃貸管理会社に求めるポイント

  • 管理戸数の多さ
  • 大手上場企業をはじめとした法人の社宅契約など独自の集客ルートが有る
  • 不動産仲介店舗の提携数の多さや、営業担当者が多いなど賃貸管理会社の規模感
  • サポート体制の充実した会社
  • 転勤時の賃貸に強いリロケーション会社

退去時に揉めないために物件状態を記録しておく

賃貸借では、借主に原状回復義務があるため、賃貸する前の状態(原状)を写真等できちんと記録に残しておきます

入居前の室内の損傷を撮影し、退去時に入居前の記録と照らし合わせて、入居者の故意過失による損傷であれば、入居者負担で原状回復を請求します。

また、ペットやタバコの可否など、賃貸を認める条件についても懸念される事項を契約書に記しておくことや、一戸建ては庭や門扉なども含めて撮影などで記録を行い、賃貸前後の変化を確認できるようにしておくことが大切です。

賃貸借契約を結ぶ

詳しくは4-2.「賃貸借契約の種類」に関する注意で述べますが、一般的な賃貸で用いられる「普通借家契約」は、契約更新を前提としており、貸主からの解約も正当事由がない限りできません。貸主の再入居は正当事由にあたらないため、帰任後の再入居が難しくなります。

住宅ローン中の持ち家を転勤期間中に賃貸する場合は、帰任後に再入居しなければなりません。そのため、あらかじめ賃貸期間を決められ、契約の更新のない「定期借家契約」を結びます

定期借家契約 普通借家契約
契約期間 契約時に契約期間を設定 1年以上の契約期間を設定
期間の定めのない契約も可
※契約期間が1年未満の場合は、期間の定めのない契約とみなされる
契約方法 書面(または電磁的記録)でのみ可
※契約書とは別に、予め「更新がなく、期間の満了により終了する」旨の書面の交付・説明が必要
口頭でも書面でも可
契約の更新 不可
※再契約は可
貸主からの解約 期間満了をもって解約可
※期間満了の6か月から1年前までの間に解約予告が必要
正当事由がない限り不可
賃料 普通借家契約の8~9割賃貸市場の相場

転勤中に行う賃貸の注意点

転勤中に行う賃貸の注意点

住宅ローンの返済中に転勤が決まり、持ち家を賃貸に出したい場合は、住宅ローンについて金融機関への相談が必要なこと以外にも、注意しておきたいことがあります。ここでは、これから転勤中の賃貸を考える人にとって重要となるであろう、代表的な注意点を挙げていきます。

「住宅ローン控除」に関する注意

住宅ローンの利用と同様、住宅ローン控除の適用にも「自己の居住の用に供した場合」という条件がついています。
金融機関に相談した結果、住宅ローンの利用を続けられた場合であっても、自己居住でない間は住宅ローン控除が適用されません

住宅ローン控除の適用には期限があります。転勤からの帰任後、賃貸を終えて自宅へと帰ってきた際に、残存期間が残っていれば、手続きを経ることで改めて適用できます

住宅ローン控除は、「単身赴任」と「家族全員の転居」では異なる扱いになります。
まず、単身赴任で家族が今の家にそのまま残っている場合には、住宅ローン控除は単身赴任期間中も継続されます
次に、家族帯同の場合は、転勤期間は住宅ローン控除を利用することができず、「再入居した年」から住宅ローン控除を再開することが可能です。ただし、「再入居した年」に物件を他人に貸している場合、「再入居した翌年」から住宅ローン控除を再開できるようになります。

「賃貸借契約の種類」に関する注意

貸主と借主との間で交わす賃貸借契約には種類があります。
それぞれ解約の条件が異なり、転勤中の賃貸ではこの解約に関することが特に重要となります。転勤中に持ち家を賃貸する際には、契約の種類に気を付けましょう。

転勤時における「普通借家契約」の注意点

「転勤期間中」のように一時的な賃貸をしたい場面では、一般的に賃貸ではよく利用される「普通借家契約」による契約をしない方が良いでしょう。

普通借家契約で借主と契約をしてしまった場合、帰任後に自己居住のために持ち家を返してもらいたいと思ったときに、そのことが非常に難しくなります
「普通借家契約」の解約には正当事由が必要です。正当事由として認められるのは、他に不動産を持っておらず病気の療養のためにどうしてもその家に住まなければいけない場合など、一部の状況に限られます。

一方で、「普通借家契約」は他の契約よりも賃料を得やすいというメリットもあります。

普通借家契約は基本的に、貸主の意思で賃貸を止めることができません。帰任時に持ち家を返してもらいたい場合は「定期借家契約」を用いるようにしましょう。

定期借家契約

「定期借家契約」はあらかじめ賃貸の期間を定め、期間満了時に契約を終えることができます。

期間満了の1年から6か月前までの間に、借主に対して解約の意向を予告しなければならないことには注意が要りますが、解約したい時期が明確であるならば、確実に希望通りの時期に解約できる契約です

一時使用賃貸借契約

「一時使用賃貸借契約」は、法律上の理由から利用できるケースが限られますが、転勤時に利用できる場合もある契約です。「一時使用賃貸借契約」は一時的な賃貸であることが明白である場合に限り、利用できます。

他の契約同様に、事前に借主に解約の意向を伝えなければなりませんが、解約予告の3か月後に解約できるため、転勤期間の変更が見込まれる転勤において利用しやすい賃貸借契約となっています

賃貸管理会社の説明を受けるなど、賃貸借契約の違いをあらかじめ理解し、利用する賃貸借契約の種類は解約までを見越して選びましょう。

「リロの留守宅管理」は、日本で始めて転勤期間の留守宅管理サービスを事業化し、40年以上の実績から転勤期間中の賃貸事例が豊富にあります。転勤期間中の賃貸を検討される方は、いくらくらいの家賃収入が見込めそうかなどお気軽にご相談ください。

「確定申告」に関する注意

持ち家を賃貸に出し、家賃収入で得た所得金額が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。所得金額とは、家賃収入から経費を差し引いた金額です。

確定申告は、所得があった年の翌年の2月16日から3月15日の間に居住地の税務署、またはインターネットで申告書を提出します。

申告を忘れてしまうと延滞税や罰則金が課されるので、必ず期限内に提出しましょう。確定申告については、国税局に電話相談できます。また、所轄の税務署窓口や確定申告会場での相談も可能です。

マンションの場合は管理組合への届け出が必要なことも

分譲マンションでは、管理組合が定めている「管理規約」や「使用細則」が入居者にも適用されます。

そのため、賃貸に出す際に管理組合に届出が必要な場合があります。

一般的に規約に設定されているものは次の通りです

  • 専有部分を第三者が使用する旨
  • 共用施設(駐車場、駐輪場など)の使用
    (マンションによって入居者が契約できる場合と、貸主での契約が必要な場合があります)
  • 入居者がペットを飼育する場合、その旨

「管理規約」や「使用細則」の変更は入居者にも共有し、マンションのルールを遵守させなければなりません

また、理事会の議事録や管理費の変更など重要な情報が郵送される場合もあります。

転居する旨は管理組合に届け出ておきましょう。

賃貸に出すことで収入を得られるが支出も発生する

賃貸に出すことで家賃が発生し収入が増える一方、賃貸に出すことで支出も発生します。

支出は次のようなものが考えられます。

賃貸前

  • 仲介手数料:家賃の0.5~1ヶ月分
  • ハウスクリーニング費(業者による賃貸前の専門的な清掃):5万円くらい

賃貸中

  • 管理委託料:家賃の5~12%/月

上記が全てではありませんが、少なくとも賃貸中は上記の支出が考えられます。

家賃には相場があり、相場以上の家賃で募集をすると、入居の決定まで時間が掛かります。収入より支出が多くなり赤字とならないよう、住宅ローンと家賃相場のバランスを考えながら賃貸管理会社に家賃設定の相談をするといいでしょう

転勤期間中に持ち家に親が住む場合は、住宅ローンは継続できる?

まずは金融機関に相談しましょう。

住宅ローンは、住宅ローンは契約者本人が住むための家を購入するときに利用できるローンです。しかし、転勤時の賃貸のようにやむを得ない事情の場合は、住宅ローンを継続しながら両親が住むことについて了承が得られる可能性もあります

「家賃は取らないから賃貸ではない」という場合も、住宅ローンの使途は契約者が住むためのローンですので、原則契約者以外の方が住むことはできません。転勤のような場合は緩和される場合もあるので金融期間に必ず相談しましょう。

まとめ

住宅ローンを現在利用中の方は、「自己居住用」が適用条件であることを忘れないようにしましょう。そのうえで、転勤などやむを得ない事情による引っ越しが必要な場合は、そのことを正直に金融機関へ伝えてください。「どうすればいいか分からない」といった方は、一度当社までご相談ください。リロケーションサービスの紹介と合わせて、適切なアドバイスが可能です。

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