【住宅ローンでも賃貸に出せる】転勤時に持ち家を賃貸する方法、注意点を解説

執筆者│西山 雄介

西山雄介

住宅ローンを支払い中に転勤が決まり、
家族で引っ越さなければならないとき、気になるのは持ち家です。

そもそも、住宅ローンを継続しながら転勤期間中に持ち家を賃貸に出せるのでしょうか?

住宅ローンは原則、自己居住用のローンのため第三者への賃貸が不可ですが、

「転勤などやむを得ない事情がある場合、
特例で住宅ローンを継続したまま賃貸に出せる場合が多い」
です。

ただし契約内容によって異なるため、必ず金融機関への確認が必要です。

金融機関へ無断で賃貸に出すと、
最悪の場合、住宅ローンの一括返済を求められるリスクがあります。

また、賃貸中は住宅ローン控除は適用されません。

当コラムでは、「住宅ローン中に転勤などで賃貸に出す」ときに知るべき以下について解説していきます。

  • ●住宅ローン返済中に無断で賃貸に出した場合のリスク
    ●住宅ローン支払い中に転勤中になった場合の手続き
    ●住宅ローン中に転勤になった持ち家を賃貸に出す流れ
    ●転勤中に賃貸に出す際の賃貸契約などの注意点
  • 目次

    1. 転勤時は住宅ローンを継続しながら賃貸に出せる場合がある

    「住宅ローン返済中に転勤になった場合、持ち家を賃貸に出すことはできるのでしょうか」

    結論、住宅ローン中でも転勤期間中に限り賃貸に出せる場合があります

    住宅ローンは、自己居住用のローンです。そのため、住宅ローンは第三者に賃貸する目的での家の購入に使うことはできません。

    会社命令による転勤は、持ち家の住宅ローンの「返済を続けよう」という本人の意思とは関係なく起こる「やむを得ない事情」の一つです。
    そのため、自己居住を条件とした住宅ローンの返済中であっても、転勤時は特例として賃貸が認められることがあります

    ただし、金融機関ごとに住宅ローンの規約は異なりますので、必ず借入先の金融機関に事情を説明し、持ち家を貸し出せるかを確認しましょう。

    2. 住宅ローン支払い中に転勤中になったらどうする?3つの手段を紹介

    住宅ローン支払い中に転勤になった場合、持ち家の所有者が選べる選択肢は主に3つあります。
    「賃貸に出す」「売却する」「空き家にしておく」です。それぞれのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

    運用方法 メリット デメリット
    賃貸に出す ・家賃収入が得られる
    ・建物の劣化が抑えられる
    ・戻ってきたときに再び住める
    ・ハウスクリーニングなどの初期費用がかかる
    ・転勤期間中だけ荷物を移動させておく必要がある
    売却する ・住宅ローンを完済できる
    ・売却益が得られる可能性がある
    ・自己資金による住宅ローン返済が必要になるケースがある
    ・戻ってきたときに地価が高騰し、同等の家がない場合がある
    ・売却益が出た場合、譲渡所得税が発生する場合があり、確定申告も必要になる
    空き家に
    しておく
    ・手間がかからない
    ・家具を移動させる必要がない
    ・引っ越しの負担が少ない
    ・いつでも家に戻れる
    ・人が住まないと通風や通水ができず劣化が進みやすい
    ・転勤先の家賃と住宅ローンの二重負担となる
    賃貸に出す
    メリット
    ・家賃収入が得られる
    ・建物の劣化が抑えられる
    ・戻ってきたときに再び住める
    デメリット
    ・ハウスクリーニングなどの初期費用がかかる
    ・転勤期間中だけ荷物を移動させておく必要がある
    売却する
    メリット
    ・住宅ローンを完済できる
    ・売却益が得られる可能性がある
    デメリット
    ・自己資金による住宅ローン返済が必要になるケースがある
    ・戻ってきたときに地価が高騰し、同等の家がない場合がある
    ・売却益が出た場合、譲渡所得税が発生する場合があり、確定申告も必要になる
    空き家にしておく
    メリット
    ・手間がかからない
    ・家具を移動させる必要がない
    ・引っ越しの負担が少ない
    ・いつでも家に戻れる
    デメリット
    ・人が住まないと通風や通水ができず劣化が進みやすい
    ・転勤先の家賃と住宅ローンの二重負担となる

    それぞれの選択肢については以下の関連記事にて詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

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    3. 転勤で住宅ローンがある持ち家を賃貸に出す際は、金融機関へ相談する

    住宅ローンは本来「自己居住用物件の購入」に使途を限定しています。
    そのため、転勤で住宅ローンがある持ち家を賃貸に出す際は、必ず金融機関へ相談し、賃貸が認められるかを確認しましょう。

    金融機関も同様の相談を受ける機会が多いとされ、契約書に例外規定を設けている場合があります

    3-1. 転勤が決まったら最初にすること|手続きの順序

    STEP1:住宅ローン契約書を確認する

    まず手元の契約書で「転勤・海外赴任時の取り扱い」に関する条項を確認します。

    金融機関によっては転勤時の賃貸を認めている場合があります。
    契約書が見当たらない場合は、借入先の金融機関に問い合わせて確認してください。

    STEP2:金融機関の窓口に転勤の旨を相談する

    会社からの辞令など転勤を証明できる書類を持参し、窓口で賃貸に出したい旨を相談します。
    多くの場合、所定の届出書類への記入と転勤証明書の提出が求められます。

    ネット銀行は窓口対応がないため、カスタマーセンターへの電話または書面での手続きが必要です。

    STEP3:賃料査定を依頼して収支を把握する

    金融機関への相談と並行して、賃貸管理会社に賃料査定を依頼します。
    「いくらで貸せるか」だけでなく、
    管理費・修繕費・税金を差し引いた手取り額まで確認することが重要です。
    転勤期間中に収支がプラスになるかどうかを把握してから最終判断するとよいでしょう。

    STEP4:契約形態(定期借家 or 一時使用賃貸借契約)を決める

    転勤期間が明確な場合は定期借家契約、
    期間が変動する可能性がある場合は一時使用賃貸借契約が一般的です。
    帰任後に確実に家に戻れるかどうかは、契約方法の選択で決まります。

    契約形態の詳しい違いはこちら⇒将来「また住める」契約になっているか|賃貸借契約の選び方

    3-2. 金融機関から承認を得やすいケース・得にくいケース

    一般的に、金融機関から承認を得やすいのは次のようなケースです。

    • 会社命令による転勤で、帰任後に再入居する意思が明確な場合
    • 転勤期間が数年程度と見込まれ、定期借家契約などで賃貸期間を明確に区切れる場合
    • 住宅ローンの返済状況に問題がなく、家賃収入をローン返済に充てる計画がある場合

    一方、承認が得にくいのは帰任の予定がなく、実質的に投資目的の賃貸に近いケースです。
    転勤後も自宅への再入居を前提としている場合に限り、柔軟な対応が期待できます。

    なお、金融機関への相談を行わず無断で賃貸に出した場合は重大なリスクが伴います。次の章で詳しく解説します。

    3-3. 転勤でも金融機関へ報告せずに賃貸に出せばバレる

    住宅ローン中に賃貸に出していることが、どのようにしてバレるかというと
    銀行から発送する郵便物が届かないこと」がきっかけになることが多いようです。

    書類上の住所を変えないために、住民票を異動せずに引っ越して生活することはできます。

    住民票の異動をしていなくても、郵便物の転送を郵便局に依頼しておけば1年間は転送を行うことが可能です。しかし、銀行などが「転送不要」で送付する郵便物は転送されず、送り主に差し戻されます。

    住宅ローン残高の証明書は転送不要で送られてくることが多く、このような郵便物が住宅ローンを借り入れている本人へ届かなくなり、銀行が実際に居住の確認をしに来て無断賃貸がバレることになります

    3-4. 転勤であっても賃貸に出した場合、バレたらどうなるか

    転勤であっても住宅ローン中の賃貸が金融機関にバレると、契約違反になることから以下の対応を求められる場合があります。

    • 住宅ローンの一括返済
    • 金利の高い事業者ローンなどへの借り換え
    • 法的措置を求められる

    住宅ローンの一括返済を求められた場合、多くのケースで物件を売却しなければならなくなるでしょう
    さらに売却金額が住宅ローンの残高を下回った場合は現金を用意しなければならず、最悪のケースとして自己破産となる可能性があります。

    また、金利の高い事業者ローンなどへの借り換えを余儀なくされるケースにも注意が必要です。月々の返済額が増えるため、生活費を圧迫するリスクがあります。

    法的措置のリスクとしては、債務不履行としての訴訟や詐欺罪としての告訴が考えられます。
    故意に契約違反を行ったと判断される可能性が高いので、注意が必要です。

    フラット35を支援している住宅金融支援機構では、住宅ローン中の無断賃貸が発覚した場合の対応について以下のような注意書きがあります。

    第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。

    出典:「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。」回答一部抜粋[住宅金融支援機構]

    なお、金融機関へは賃料の目安を伝えられると、話がスムーズなことから、賃料査定と金融機関への確認は並行で行うことをおすすめします。

    4. 住宅ローン返済中の転勤で持ち家を賃貸に出す流れ

    住宅ローン返済中の転勤で持ち家を賃貸に出す流れ

    住宅ローン返済中に転勤となった場合、持ち家を賃貸に出す流れは次の通りです。

    4-1. 転勤中に限定した賃貸であることを金融期間に相談する

    住宅ローン返済中に、金融機関に無断で賃貸を行うことは契約違反になり、住宅ローンの一括返済を求められる可能性もあります

    そのため、必ず金融機関へ相談して転勤期間中の賃貸を希望する旨を伝えます。

    次のようなことを伝え、手続きをしてもらいましょう。

    • 転勤によるやむを得ない事情で引っ越しをしなければいけない
    • 転勤後は元の家に再入居すること
    • 転勤期間に限定した賃貸で家賃収入は住宅ローンの返済に充てる
    • 転勤中の大まかな賃貸期間

    相談する際は、融資してもらったときの担当者に連絡する方が、事情を理解してもらいやすいのでおすすめです。しかし、担当が変わったとしても「住宅ローンの継続が認められるか」が変わるわけではないので問題ありません。

    金融機関への相談時には、以下のような書類の提出を求められることがあります。
    金融機関によって必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。

    • 住宅ローンの契約書(借入残高確認のため)
    • 転勤辞令または会社発行の転勤証明書
    • 返済計画書または収支シミュレーション(家賃収入をローン返済に充てる旨の説明)

    なお、金融機関によっては住宅ローンの継続を認めつつも、
    金利条件の変更を求めるケースがあります。月々の返済額が変わる可能性があるため、承認を得る際に金利条件についても必ず確認しておきましょう。

    4-2. 転勤期間中の賃貸に強いリロケーション会社へ賃料査定を依頼する

    金融機関から了承を得たら、転勤期間中の一時的な賃貸に強いリロケーション会社へ賃料査定を依頼しましょう。

    リロケーション会社が適している理由は、転勤期間中に限った持ち家の賃貸は、普通借家契約とは異なる知識や経験が求められるためです。
    貸主が帰任後にスムーズに再入居できるよう、あらかじめ賃貸期間を定めて借主からの更新ができない定期借家契約や一時使用賃貸借契約を用います

    また、貸主は転勤で海外などの遠方にいる場合、賃貸物件の管理に関わることが現実的に難しいです。そのため、転勤中の賃貸は、貸主に代わり持ち家を守る様々な保証サービスを提供するリロケーション会社に依頼すると良いでしょう

    転勤時の賃貸管理会社に求めるポイント

    確認ポイント 重要な理由
    転勤賃貸に特化した
    リロケーション会社
    定期借家・一時使用賃貸借の実績がないと、帰任時のトラブルリスクが上がります
    管理戸数の多さ 対処経験が豊富なほど、トラブル時の対応力と信頼性が高くなります
    法人社宅など
    独自の集客ルート
    法人ルートがあると空室期間を短縮しやすく、優良入居者を確保しやすくなります
    提携店舗数・
    営業担当者数
    提携している不動産仲介店舗が多く募集の間口が広いほど、空室リスクを下げられます
    24時間対応など
    サポート体制
    貸主が遠方にいる転勤中こそ、緊急時の対応力が管理会社選びの要になります
    仲介から管理まで
    一貫対応
    客付けから募集まで一括していると何かあった際もスピーディーです。仲介と管理が分かれていると対応に時間がかかることも
    海外赴任・長期赴任
    への対応実績
    納税管理人の引き受けや確定申告代行に対応できる会社かどうか確認しましょう
    ✓ 転勤賃貸に特化したリロケーション会社
    定期借家・一時使用賃貸借の実績がないと、帰任時のトラブルリスクが上がります
    ✓ 管理戸数の多さ
    対処経験が豊富なほど、トラブル時の対応力と信頼性が高くなります
    ✓ 法人社宅など独自の集客ルート
    法人ルートがあると空室期間を短縮しやすく、優良入居者を確保しやすくなります
    ✓ 提携店舗数・営業担当者数
    提携している不動産仲介店舗が多く募集の間口が広いほど、空室リスクを下げられます
    ✓ 24時間対応などサポート体制
    貸主が遠方にいる転勤中こそ、緊急時の対応力が管理会社選びの要になります
    ✓ 仲介から管理まで一貫対応
    客付けから募集まで一括していると何かあった際もスピーディーです。仲介と管理が分かれていると対応に時間がかかることも
    ✓ 海外赴任・長期赴任への対応実績
    納税管理人の引き受けや確定申告代行に対応できる会社かどうか確認しましょう

    4-3. 家賃や入居条件を決定する

    リロケーションに強い賃貸管理会社を決めたら、管理会社と相談しながら転勤期間をもとに賃貸に出す期間や家賃、賃貸募集の条件を決めていきましょう。

    気を付けたいのは、家賃を欲張らないことです。貸主の希望の家賃額で入居者を募集できますが、余程魅力的な物件でない限り、周辺の家賃相場以上の家賃では入居者も見つかりにくく、家賃収入が遅れるばかりです。

    家賃相場は賃貸管理会社であれば把握しています。実際に家に訪問してもらい、内装や設備を見て貰いながら、詳細な賃料査定をしてもらいましょう。

    また、入居条件として「ペット禁止」や「喫煙不可」などを設定します。
    条件を緩和するほど入居者は決まりやくなりますが、転勤終了後に再入居することを考えて、
    賃貸管理会社のアドバイスも求めて慎重に決めましょう

    4-4. 入居者を募集する

    賃貸管理会社と契約後、入居者の募集が始まります。

    ポータルサイトや情報誌、自社サイトや店頭広告での宣伝、提携先の不動産会社との連携、指定流通機構(レインズ)への登録など、不動産会社によって募集方法は変わるので、確認しておきましょう。

    4-5. 退去時に揉めないために物件状態を記録しておく

    賃貸借では、借主に原状回復義務があるため、賃貸する前の状態(原状)を写真等できちんと記録に残しておきます

    入居前の室内の損傷を撮影し、退去時に入居前の記録と照らし合わせて、入居者の故意過失による損傷であれば、入居者負担で原状回復を請求します。

    また、ペットやタバコの可否など、賃貸を認める条件についても懸念される事項を契約書に記しておくこと、
    一戸建ては庭や門扉なども含めて撮影などで記録を行い、賃貸前後の変化を確認できるようにしておくことが大切です。

    4-6. 入居審査を経て賃貸借契約を結ぶ

    入居希望者から申し込みが入ったら、入居審査を実施します。

    また、入居希望者が募集条件とは異なる条件を希望する場合は、条件交渉も行われます。

    入居審査は保証会社や賃貸管理会社独自の基準により行われ、職業、収入、過去の家賃滞納歴などの支払い能力が審査対象です。そして、最終的な入居の可否は貸主が決めます
    入居審査に問題がなく、契約条件においても貸主と入居希望者双方の合意が得られたら、賃貸借契約を締結します。

    住宅ローンは自己居住が条件となっているため、持ち家を転勤期間中に賃貸する場合でも、帰任後に再入居しなければなりません。
    貸す目的が「転勤」且つ一時的な使用と明確です。この場合、目的(転勤)の使用が終了次第契約を終了できる「一時使用賃貸借契約」がおすすめです。

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    契約期間 契約時に契約期間を設定 1年以上の契約期間を設定
    期間の定めのない契約も可
    ※契約期間が1年未満の場合は、期間の定めのない契約とみなされる
    契約方法 書面(または電磁的記録)でのみ可
    ※契約書とは別に、予め「更新がなく、期間の満了により終了する」旨の書面の交付・説明が必要
    口頭でも書面でも可
    契約の更新 不可
    ※再契約は可
    貸主からの解約 期間満了をもって解約可
    ※期間満了の6か月から1年前までの間に解約予告が必要
    正当事由がない限り不可
    賃料 普通借家契約の8~9割 賃貸市場の相場
    定期借家契約
    契約期間
    契約時に契約期間を設定
    契約方法
    書面(または電磁的記録)でのみ可
    ※契約書とは別に、予め「更新がなく、期間の満了により終了する」旨の書面の交付・説明が必要
    契約の更新
    不可(再契約は可)
    貸主からの解約
    期間満了をもって解約可
    ※期間満了の6か月から1年前までの間に解約予告が必要
    賃料
    普通借家契約の8〜9割
    普通借家契約
    契約期間
    1年以上の契約期間を設定。期間の定めのない契約も可
    ※1年未満の場合は期間の定めのない契約とみなされる
    契約方法
    口頭でも書面でも可
    契約の更新
    貸主からの解約
    正当事由がない限り不可
    賃料
    賃貸市場の相場

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    5. 転勤中に行う賃貸の注意点

    転勤中に行う賃貸の注意点

    住宅ローンの返済中に転勤が決まり、持ち家を賃貸に出したい場合は、住宅ローンについて金融機関への相談が必要なこと以外にも、注意しておきたいことがあります。

    ここでは、これから転勤中の賃貸を考える人にとって重要となるであろう、代表的な注意点を挙げていきます。

    5-1. 「住宅ローン控除」に関する注意

    住宅ローンの利用と同様、住宅ローン控除の適用にも「自己の居住の用に供した場合」という条件がついています。
    金融機関に相談した結果、住宅ローンの利用を続けられた場合であっても、自己居住でない間は住宅ローン控除が適用されません

    住宅ローン控除の適用には期限があります。転勤からの帰任後、賃貸を終えて自宅へと帰ってきた際に、残存期間が残っていれば、手続きを経ることで改めて適用できます

    住宅ローン控除は、「単身赴任」と「家族全員の転居」では異なる扱いになります。
    まず、単身赴任で家族が今の家にそのまま残っている場合には、住宅ローン控除は単身赴任期間中も継続されます

    単身赴任の場合、住宅ローン控除は継続されますが、賃貸に出す際には別途手続きが必要です。
    具体的には以下の点を確認しておきましょう。

    • 単身赴任中に配偶者や家族が引き続き居住しているのか、それとも空き家にして賃貸に出すのかによって、住宅ローン・住宅ローン控除の扱いが変わります 。
    • 単身赴任で家族が残る場合は「自己居住」の状態と見られるため、金融機関への事前相談なしに家族が住み続けることは問題ありませんが、念のため金融機関に共有しておきましょう。
    • 単身赴任中に持ち家を賃貸に出す場合(家族も転居する場合)は、通常の転勤と同様に金融機関への相談・承認が必要です。

    次に、家族帯同の場合は、転勤期間は住宅ローン控除を利用することができず、「再入居した年」から住宅ローン控除を再開することが可能です
    ただし、「再入居した年」に物件を他人に貸している場合、「再入居した翌年」から住宅ローン控除を再開できるようになります。

    5-2. 「賃貸借契約の種類」に関する注意

    貸主と借主との間で交わす賃貸借契約には種類があります。
    それぞれ解約の条件が異なり、転勤中の賃貸ではこの解約に関することが特に重要となります。転勤中に持ち家を賃貸する際には、契約の種類に気を付けましょう。


    転勤時における「普通借家契約」の注意点

    「転勤期間中」のように一時的な賃貸をしたい場面では、一般的に賃貸ではよく利用される「普通借家契約」は使わない方が良いでしょう。

    普通借家契約で借主と契約をしてしまった場合、帰任後に自己居住のために持ち家を返してもらいたいと思ったときに、そのことが非常に難しくなります
    「普通借家契約」の解約には正当事由が必要で認められるのは、他に不動産を持っておらず病気の療養のためにどうしてもその家に住まなければいけない場合など、一部の状況に限られます。

    一方、「普通借家契約」は他の契約よりも相場通りの賃料を得やすいというメリットもあります。

    普通借家契約は基本的に、貸主の意思で賃貸を止めることができません。帰任時に持ち家を返してもらいたい場合は以下の2つの契約を選ぶようにしましょう。


    定期借家契約

    「定期借家契約」はあらかじめ賃貸の期間を定め、期間満了時に契約を終えることができます。

    期間満了の1年から6か月前までの間に、借主に対して解約の意向を予告する必要がありますが、解約したい時期が明確であるならば、確実に希望通りの時期に解約できる契約です。帰任時期がある程度見通せる場合に適しています。

    一時使用賃貸借契約

    「一時使用賃貸借契約」は、転勤などで一時的に賃貸に出すことが明白な場合に限り利用できる契約です。
    定期借家契約と異なり、解約予告は3か月前で足りるため、
    帰任時期が変わる可能性がある場合に柔軟に対応できます。

    ただし貸主優位な契約のため借主が見つかりにくく、
    賃料も相場より低くなる傾向があります。

    転勤期間が明確な場合は定期借家契約、
    期間の変更が生じやすい場合は一時使用賃貸借契約が向いています。

    賃貸管理会社の説明を受けながら、利用する賃貸借契約の種類は賃貸の目的や解約までを見越して選びましょう。

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    「リロの留守宅管理」は、日本で始めて転勤期間の留守宅管理サービスを事業化し、40年以上の実績から転勤期間中の家賃収入例が豊富にあります。
    転勤期間中の賃貸を検討される方は、いくらくらいの家賃収入が見込めそうかなどお気軽にご相談ください

    5-3. 海外赴任になったときの注意

    海外赴任時の場合は、連絡の取りやすさや時差の関係など、国内の転勤時とは違ったノウハウが必要となる場合があります。
    また1年以上の海外赴任の場合は、家賃収入についての確定申告を行う際に必要な「納税管理人」の選定が必要になります。

    納税管理人は誰でも選任できますが、不動産賃貸の確定申告には専門的な知識が必要なため、信頼できる専門家に依頼することが重要です。

    弊社では、賃貸管理をご依頼いただくオーナー様を対象に、
    弊社が納税管理人となり海外赴任中の確定申告手続きを代行する「特定確定申告サポートサービス」を提供しています。
    賃貸管理と確定申告を一括してお任せいただけるため、海外赴任中も安心して不動産運用を続けることができます。

    特定確定申告サポートサービスの詳細はこちら

    加えて、海外赴任前の手続きや赴任中の連絡などをスムーズに行うためには、海外赴任時の賃貸管理の実績豊富な会社に依頼することが重要です
    リロの留守宅管理では、転勤や海外赴任期間中の賃貸を日本で初めて事業化した経験を生かして、お客様の大切なお家をしっかりお守りします。
    賃料査定は無料で行っていますので、以下からお気軽にお申し込みください。

    5-4. 海外赴任からの帰国時期が変更になるケース

    海外赴任では
    「帰国が早まり、借主がまだ入居している」
    「帰国が延期になり、借手がいなくなった」といったことが起こりやすいです。

    国内転勤と異なり、辞令の変更が予告なく発生しやすい海外赴任ならではのリスクと言えます。

    このような事態に備えるには、5-2でご紹介した「一時使用賃貸借契約」の活用がおすすめです。

    定期借家契約の解約予告が6か月前であるのに対し、一時使用賃貸借契約は3か月前の予告で解約できるため、帰国時期が変わった際の対応がしやすくなります。

    また契約期間を「帰任するまで」と設定できる柔軟性も、海外赴任者に向いている理由のひとつです。

    リロの留守宅管理では、契約が確定したお客様の4割弱が一時使用賃貸借契約を選択しています(※)。
    転勤期間が読みにくい海外赴任でも、豊富な対応実績から最適な契約形態をご提案できます。

    ※対象期間:2023年4月1日〜2024年11月28日

    5-5. 「確定申告」に関する注意

    持ち家を賃貸に出し、家賃収入で得た所得金額が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。所得金額とは、家賃収入から経費を差し引いた金額です。

    確定申告は、所得があった年の翌年の2月16日から3月15日の間に居住地の税務署、またはインターネットで申告書を提出します。

    申告を忘れてしまうと延滞税や罰則金が課されるので、必ず期限内に提出しましょう。確定申告については、国税局に電話相談できます。また、所轄の税務署窓口や確定申告会場での相談も可能です。

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    5-6. マンションの場合は管理組合への届け出が必要なことも

    分譲マンションでは、管理組合が定めている「管理規約」や「使用細則」が入居者にも適用されます。

    そのため、賃貸に出す際に管理組合に届出が必要な場合があります。

    一般的に規約に設定されているものは次の通りです

    • 専有部分を第三者が使用する旨
    • 共用施設(駐車場、駐輪場など)の使用
      (マンションによって入居者が契約できる場合と、貸主での契約が必要な場合があります)
    • 入居者がペットを飼育する場合、その旨

    「管理規約」や「使用細則」の変更は入居者にも共有し、マンションのルールを遵守させなければなりません

    また、理事会の議事録や管理費の変更など重要な情報が郵送される場合もあります。

    転居する旨は管理組合に届け出ておきましょう。

    5-7. 転勤期間中に持ち家に親が住む場合は、住宅ローンは継続できる?

    まずは金融機関に転勤時の住宅ローンの継続と、その期間中に親が住んで良いかを相談しましょう。

    住宅ローンは、契約者本人が住むための家を購入するときに利用できるローンです。しかし、転勤時のようにやむを得ない事情がある場合は、住宅ローンを継続しながら両親が住むことについて金融機関から了承を得られる可能性もあります

    なお、「家賃は取らないから賃貸ではない」という考え方もありますが、住宅ローンの使途は契約者本人の居住用であるため、無償であっても契約者以外が住むことはできません。必ず事前に金融機関へ相談することが重要です。

    6. よくある質問

    Q. 転勤時に住宅ローンを継続しながら持ち家を賃貸に出せますか?

    A.金融機関によって異なるため、借入先への事前確認が必要です。

    住宅ローンは本来「自己居住用」が条件ですが、会社命令による転勤など、やむを得ない事情がある場合は継続が認められるケースが多いです。無断で賃貸に出すと契約違反となり、住宅ローンの一括返済を求められるリスクがあるため、必ず事前に相談しましょう。

    Q. 住宅ローン支払い中に転勤になった場合、賃貸以外の選択肢はありますか?

    A.「空き家にしておく」「売却する」の2つが主な選択肢です。

    空き家にする場合は二重の住居費負担や建物の劣化リスクがあります。売却する場合はローンを完済できる可能性がある一方、帰任後に同等の物件が見つからないリスクもあります。それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで判断しましょう。

    Q. 転勤で住宅ローンがある持ち家を賃貸に出す際、金融機関への相談は必須ですか?

    A.必須です。

    無断で賃貸に出した場合、契約違反として住宅ローンの一括返済や高金利ローンへの借り換えを求められる可能性があります。
    転勤のようなやむを得ない事情であれば承認されるケースが多いですが、必ず事前に金融機関に確認してください。

    Q. 転勤で住宅ローンがある家を賃貸に出す流れを教えてください。

    1. 金融機関へ相談して承認を得る
    2. 転勤期間中の賃貸に強いリロケーション会社へ賃料査定を依頼する
    3. 家賃・入居条件を決定する
    4. 入居者を募集する
    5. 入居前の物件状態を写真で記録する
    6. 入居審査を経て定期借家契約を結ぶ、という流れが一般的です。

    Q. 転勤中の賃貸で注意すべき点は何ですか?

    A.主な注意点は5つです。

    1. 住宅ローン控除は自己居住期間のみ適用され、賃貸中は停止します(帰任後に手続きで再開可能)
    2. 普通借家契約ではなく定期借家契約または一時使用賃貸借契約を選ぶ必要があります。
    3. 海外赴任の場合は確定申告のための納税管理人を選任する必要があります。
    4. マンションの場合は管理組合への届け出が必要なことがあります。
    5. 仲介手数料・ハウスクリーニング費・管理委託料などの支出が発生します。

    Q. 単身赴任中でも持ち家を賃貸に出せますか?

    A.単身赴任で配偶者や家族が自宅に住み続けている場合は、持ち家を賃貸に出すことはできません。
    賃貸に出せるのは家族を含めた全員が転居し、持ち家が空き家になる場合に限られます。

    その際は通常の転勤と同様に金融機関への相談・承認が必要です。
    なお、単身赴任中に家族が居住しているあいだは住宅ローン控除が継続されますが、賃貸に出した期間は適用外となります。

    Q. 転勤期間中に持ち家に親が住む場合、住宅ローンは継続できますか?

    A.原則として住宅ローンは契約者本人が住むためのものです。
    ただし転勤のようなやむを得ない事情がある場合は、親が住むことについて金融機関の了承が得られる可能性があります。
    無償での居住であっても、契約者以外が住む場合は必ず事前に金融機関へ相談することが重要です。

    7. まとめ

    住宅ローンを現在利用中の方は、「自己居住用」が適用条件であることを忘れないようにしましょう。
    転勤などやむを得ない事情による場合は、まず借入先の金融機関に状況を伝えることが第一歩です。

    承認が得られたら、次のステップは転勤期間中の賃貸に強い管理会社への賃料査定です。
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    この記事の執筆者

    執筆者│西山 雄介

    西山雄介

    不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。「宅地建物取引士」「マンション管理士」「賃貸不動産経営管理士」「管理業務主任者」などの資格を保有。

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