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公開日2022年11月25日

転勤の間だけマンションを貸すには?ローンの有無、転勤だからこそおすすめの契約方法を紹介

転勤中だけマンションを貸すにはどうする?ローンの有無、転勤だからこそおすすめの契約方法を紹介

マンションを購入したのに、自宅から離れた場所への転勤を告げられたら、自宅マンションをどうすればよいのか悩む方も多いでしょう。転勤のときには、まず、家族を帯同させて赴任地に向かうか、単身赴任をするかの判断が必要になります。家族と一緒に赴任地に転居する場合は、転勤期間に誰も住まなくなるマンションをどうするかという問題が生じます。転勤時に空き家となってしまうマンションの扱い方には、第三者に「貸す」、「空き家のまま維持する」、「売却する」の3パターンです。

この中の「貸す」を選択して転勤期間中にマンションを貸すと、家賃収入を得ることができ、帰任後にまた住めるというメリットがあります。

そこで今回は、転勤中だけマンションを貸す場合の流れや転勤時の賃貸におススメの契約方法などについてご説明します。また、転勤中の自宅マンションを貸した方がよいか、空き家のまま維持した方がよいか、売却してしまった方がよいかを迷った際の判断のポイントについてもご説明しますので、ぜひ最後までご一読ください。

マンションを貸すためにやること

転勤中にマンションを貸すための手順は、一般的なマンションの貸し出しの時と大きく変わることはありません。しかし、マンション経営や不動産投資などをしていなければ、ほとんどの方はマンションを貸すこと自体が初めてなのではないでしょうか。マンションを貸すときの手順は次のようになります。

①賃貸管理会社を選ぶ

まず初めに、賃貸中のマンションの管理を委託する賃貸管理会社を選びます。転勤の間だけマンションを貸す場合は、転勤中の留守宅の賃貸管理に特化したリロケーションサービスを専門的に扱っている会社を選ぶと安心です

②募集条件を決定する

家賃や敷金、礼金などの金銭的な条件や賃貸借契約の方法、賃貸期間など、入居者を募集するにあたっての条件を決定します。家賃は賃貸管理会社と相談のうえ、近隣の家賃相場や貸出期間などを考慮した金額に設定するとよいでしょう。

③入居者の募集を開始する

募集条件が決まったら賃貸物件情報サイトや不動産会社の専門サイトなどに情報が掲載され、入居者募集の活動がスタートします。入居希望者が内見をして入居申し込みが行われたら、入居審査を行います。

④賃貸借契約を締結する

入居審査を行い、目立った問題がなければ、賃貸借契約に進みます。契約内容については賃貸管理会社と相談しながら決定し、マンション独自のルールなどについても入居者に伝えておきましょう。

⑤貸し出しスタート

入居日が決定したら、入居者に鍵を引き渡して貸し出しがスタートとなります。

<マンションを貸す流れ>

マンションを貸すためにやること

初めてマンションを貸すときには分からないことも多く、マンションのオーナーとして何をするべきなのか、家賃はどのくらいに設定できるものなのか、入居者は見つかるのかなど、自宅マンションを貸すことに不安を感じる方も多いはずです。賃貸管理会社を選ぶときには、複数の会社から話を聞き、提供している賃貸管理プランの内容はもちろん、疑問や質問に対しても丁寧に回答をしてもらえるかも確認したうえで、信頼できる賃貸管理会社に管理を委託することが大切です。

住宅ローン利用中は、マンションは貸せない?貸すことができるケースとは

転勤が決まったけれど、自宅マンションにはまだ住宅ローンの返済が残っているというケースもあるでしょう。住宅ローンを利用していないマンションの場合は、何の問題もなく貸し出すことができますが、住宅ローンを返済中のマンションは原則として、貸し出すことはできません。

しかし転勤の場合は、例外的に住宅ローン利用中でもマンションを貸せる可能性があります。

住宅ローン利用中のマンションを貸せない理由と、住宅ローンを継続したまま貸せるケースについてご説明します。

住宅ローン利用中のマンションは原則、貸すことができない

住宅ローンは、ローンの契約者やその家族が住むための家を購入する際の購入資金を対象に、金融機関が融資を行うものです。したがって、ローン契約者が居住しない不動産は住宅ローンの対象外となります。

住宅ローンは、ローンの対象となる不動産を担保に設定し、住宅ローンの支払いができなくなってしまった場合は、金融機関は対象マンションを売却して、住宅ローンの残額を回収します。自宅を失ってしまうリスクを考えれば、多くの人は住宅ローンの返済を優先するでしょう。このようなことから、住宅ローンによる貸し倒れのリスクは低いとされ、事業用ローンなどと比較して、金利が低めに設定されています。

しかし、自宅として取得したマンションを賃貸に出すと自己居住用のマンションではなくなります。そのため、通常は住宅ローンを利用したまま、マンションを賃貸に出すことはできず、金利の高い事業用ローンへの借り換えが必要です。

転勤の場合は、住宅ローン利用中でも賃貸に出せるケースも

住宅ローンは居住用の住宅を対象とした融資であるとご説明しましたが、転勤という、やむを得ない事情の場合は、住宅ローンを継続したまま賃貸に出せる可能性があります転勤期間中だけ自宅マンションを貸し出したい場合は、「転勤による一時的な貸し出しであり、帰任後はまた居住する予定である」ということを金融機関に伝え、住宅ローンの継続が可能かどうかを相談してみましょう。

金融機関に無断で住宅ローン利用中にマンションの貸し出しをすると、契約違反行為となり金融機関との間でトラブルに発展する可能性もあります。住宅ローン返済中のマンションを貸す場合は、必ず事前に金融機関の承諾を得るようにしましょう。

転勤の時に利用したいおススメの契約方法

転勤の時に利用したいおススメの契約方法

マンションを貸すときには、賃貸借契約を結びます。賃貸借契約には3つの種類がありますが、その中の1つである「一時使用賃貸借契約という方法をご存知でしょうか?一時使用賃貸借契約は転勤時に利用できる契約方法であり、転勤の方に寄り添った特別な契約方法です。転勤期間中のマンションの貸し出しを検討しているようであれば、ぜひ参考にしてください。

一時使用賃貸借契約とは

一時使用賃貸借契約とは、一時使用を目的として締結する賃貸契約のことです。一般的な賃貸借契約では、借地借家法は賃借人(入居者)保護の観点が強い借地借家法の規定が適用されますが、一時使用賃貸借契約では借地借家法の規定ではなく、民法の規定が適用されるという特徴があります

一時使用賃貸借契約のメリット

一時使用賃貸借契約の最大のメリットは、転勤の終了という理由によってスムーズに物件の明け渡しを求められる点にあります。借地借家法では、正当な事由がない限り、貸主から入居者に解約の申し出をすることができません。しかし、一時使用賃貸借契約では借地借家法が適用されないため、最低限の賃貸期間を定めて入居者を募集し、最初に定めた賃貸期間が終了すれば3か月前の解約予告をすることで、借地借家法で定められた正当な事由がなくとも契約を解除できるのです。

また、企業によっては転勤時の赴任期間を3年から5年といったように、幅を持たせた期間に設定するケースもあるでしょう。そのような場合は契約期間をいつまでにするか悩ましいところですが、一時使用賃貸借契約の場合は賃貸期間の延長も簡単にできます。そのため、当初は賃貸期間を3年とし、帰任に合わせて賃貸期間を延長していけば、転勤期間いっぱいまでマンションを貸すことが可能です。

一時使用賃貸借契約のデメリット

一時使用賃貸借契約は、転勤する方が期間限定でマンションを貸し出す際に適した契約方法ですが、デメリットもあります。

その1つは、家賃が相場よりも安くなってしまう点です。一時使用賃貸借契約では、たとえ入居者が物件を気に入ったとしても、貸主から解約予告が届けば退去する必要があるなど、入居者側のメリットは大きくありません。そのため、入居者を獲得するためには、家賃を安く設定するなどの対策が必要になるのです。

もう一つは、転勤時には貸主は自宅マンションから離れたところで生活するため、賃貸中に何かトラブルが発生した場合にすぐにマンションに戻り、対応することはできません。そのため、転勤時に自宅を貸し出す場合は、賃貸管理に関わる業務のほとんどを管理会社に委託することになるでしょう。その分、管理会社が担当する業務が増えるため、一時使用賃貸借契約は管理手数料が少し高くなる可能性があります。

他の契約方法との違い

・普通借家契約
普通借家契約とは、契約更新が可能な最も一般的な契約方法です。賃貸借期間を1年以上とすることが定められています。貸主からの解約には厳しい正当事由が必要なため、原則として借主から解約の申し出をしない限り、同条件で更新が続きます。

関連記事「一時使用賃貸借契約とは?リロケーションで使われる転勤者におすすめの契約方法

・定期借家契約
定期借家契約とは、あらかじめ賃貸借期間を定め、賃貸借期間の終了をもって契約を終了とする契約方法です。契約を延長したい場合でも更新はできず、新たに契約をし直す必要があります。

一時使用賃貸借契約と比べると、契約の更新がないことが前提であったり、契約の延長ができなかったりといったデメリットがあります。

マンションを貸すときにやるべきこととマンション賃貸時の注意点

転勤期間中だけマンションを貸すときには、マンションを貸すことで得られるメリットを最大限にしたいものです。そのためには、事前のシミュレーション一時使用賃貸借契約が得意な管理会社選びがカギになります。また、意外に忘れがちな注意点は、マンションを貸すと不動産所得が発生するために確定申告が必要になるという点です。それぞれについて詳しくご説明します。

収支のシミュレーションをしておく

転勤でマンションを貸す場合には、マンションを貸すことでどのくらいの収益を得られるか事前にシミュレーションをしておくとよいでしょう。家賃収入を得られれば、住宅ローンの返済やマンションの管理費・修繕積立金などの支払いに充てることも可能です。収支事前に把握できれば、転勤先でのライフプランも立てやすくなるでしょう。

例えば、次のような設定で収支のシミュレーションをしてみましょう。

  • 転勤期間:3年
  • マンション所在地:東京都練馬区、最寄り駅から徒歩10分
  • 築年数:10年
  • 購入価格:5,000万円
  • 間取り:3LDK
  • 年間維持費:90万円
  • 月々の住宅ローン返済額:11万円
  • 家賃設定:15万円

家賃収入によって1年間に得られる収入は、15万円×12か月=180万円であり、3年間の家賃収入の合計は540万円となります。マンション管理組合へ支払う管理費や修繕積立金、固定資産税、賃貸管理会社への賃貸手数料など、年間維持費に90万円がかかるとすると、3年間の年間維持費は270万円です。

また、月々のローン返済額が11万円あるため、3年間のローン返済額の合計は396万円です。マンションを3年間所有していると、合計666万円の費用がかかることになります。本来、この666万円は全額、給与収入から返済しなければなりません。しかし、転勤中にマンションを貸し出せば540万円分は家賃収入を充当できるため、実際の負担額は3年間で126万円となります。月々の金額にすれば、毎月3万5,000円分だけを給与から支払うことになり、転勤期間中は家賃収入によって大幅に負担を軽減できることがわかるでしょう。

一時使用賃貸借契約が得意な管理会社を見つける

転勤の期間中だけマンションを貸す場合には、一時使用賃貸借契約の利用がおすすめです。しかし、一時使用賃貸借契約は、特殊な契約方法であるためすべての賃貸管理会社がこの契約方法を扱っているわけではありません。

また、一時使用賃貸借契約で貸し出す際には、普通借家契約で貸し出す一般の賃貸契約とは家賃の相場も変わってきます。家賃の設定を見誤り、通常の相場と同じ額で入居者を募集してしまうとなかなか入居者を獲得できずに空室期間が長くなり、家賃を低く設定しすぎると収益を上げられません。

家賃の設定一つとっても、一時使用賃貸借契約の場合は実績がものを言います。転勤の期間中だけ大切な自宅マンションを貸す場合には、一時使用賃貸借契約についてのノウハウを豊富に持っている管理会社に委託することが大切です。

一時使用賃貸借契約が得意な管理会社を見極めるポイントは、転勤時の自宅の貸し出し(リロケーション)を専門に扱っている会社を選ぶことです。リロケーションの取り扱いに慣れた会社であれば、賃料査定はもちろん、一時使用賃貸借契約を使った契約方式などにも慣れているため、スムーズな手続きが可能になるでしょう。

 

リロケーションを専門としている会社には、貸主の大切な家を預かることになるため、貸し出す前の自宅の状態を写真や映像で記録している場合もあります。入居前と退去時の状況を比較できれば、貸出期間中に生じた損傷などにも気が付きやすく、修繕費用をどちらが負担するかという点についても判断がしやすくなるでしょう。

関連記事「リロケーションとは?転勤に備えて知っておきたい基礎知識

マンションを貸すと確定申告が必要になることに注意

マンションを貸すと家賃収入を得るようになり、家賃収入は不動産所得に該当します。不動産所得とは、家賃や礼金などの賃料収入から賃貸のためにかかった経費を差し引いた額であり、次の式で求められます。

不動産所得
=不動産賃貸による収入-必要経費

マンションを貸すときに必要経費として計上できるものには、次のようなものがあります。

  • 固定資産税、都市計画税
  • 管理手数料、仲介手数料
  • マンション管理組合に支払う修繕積立金、管理費
  • 修繕費
  • 減価償却費
  • 火災保険料などの損害保険料

マンションを貸して家賃収入を得た場合、給与所得以外の年間所得が20万円を超えたら、確定申告を忘れないようにしましょう。

転勤時のリロケーションを専門に扱っている会社であれば、確定申告のサポートサービスも提供している可能性があります。確定申告の経験がないために不安に感じる方や忙しくて確定申告の書類を準備する時間が取れるかわからないという方は、確定申告サポートサービスのある管理会社を選ぶと安心です。

転勤時にマンションを「貸す」か「空き家」にするか、「売却」するか迷ったら

転勤時にマンションを「貸す」か「空き家」にするか、「売却」するか迷ったら

転勤時に誰も住まなくなってしまうマンションをどのように扱うかを決める場合には、貸すという選択肢のほかに、空き家のまま維持する方法や売却してしまう方法もあります。愛着のある我が家であり、どの方法を選択すべきか、その決断は簡単ではないでしょう。また、家族と一緒に赴任先に向かうか、家族と離れて単身赴任をするかという選択肢もあるでしょう。

貸すか、空き家にするか、売却するか、さらには単身赴任をすべきか迷った場合の判断のポイントをご紹介します。

貸すメリットが大きいときの判断ポイント

  • 転勤期間が3年~5年程度の場合(家賃収入による収益が期待できる)
  • 新築でマンションを購入した、若しくは築年数が10年未満の場合
  • 貸して得られる家賃収入で住宅ローンの返済ができる場合
  • 子供の年齢を考え、帰任後に慣れた環境で通学させたい場合

空き家にするメリットが大きいときの判断ポイント

  • 転勤期間が1~2年と短い場合
  • 空き家のマンションを管理してくれる親族がいる場合
  • 赴任先の家賃補助があるなどして、住宅ローンと家賃の二重の支払いが問題ない場合

売却するメリットが大きいときの判断ポイント

  • 帰任の時期が未定の場合や、赴任期間が長期になると考えられる場合
  • 築年が20年程度の場合(マンションの場合は築25年を超えると住宅ローン控除が適用されないため、売れにくくなる)
  • 子供の年齢を考え、帰任後の通学に不便な環境であると考えられる場合
  • 人気エリアになっており、購入時より高く売れそうな場合

まとめ

転勤中にマンションを貸す場合の流れやおススメの契約方法である一時使用賃貸借契約の特徴、貸すか、空き家にするか、売却するかの判断ポイントなどについてご紹介しました。

一時使用賃貸借契約は、転勤が終了するタイミングに合わせてマンションの明け渡しを求められるなど、転勤時のマンションの賃貸に適した契約方法です。しかしながら、一時使用賃貸借契約を扱っている賃貸管理会社はそう多くはありません。転勤中にマンションを貸す場合は、一時使用賃貸借契約の取り扱いに慣れており、転勤時の自宅の賃貸を行うリロケーションサービスを専門にしている管理会社に管理を委託することが大切です。

当社は、転勤中マンションの賃貸に最適な一時使用賃貸借契約の取引実績を豊富にもつリロケーションサービス会社です。転勤中のマンションの貸し出しをご検討されているようであれば、実績豊富な当社にぜひご相談ください。

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