リロの留守宅管理 > リロケーション基礎知識 > 空き家 > 空き家管理サービスとは?サービス内容や選び方をわかりやすく解説
公開日2022年1月20日/更新日2023年9月5日

空き家管理サービスとは?サービス内容や選び方をわかりやすく解説

空き家管理サービスとは?サービス内容や選び方をわかりやすく解説

相続で空き家を取得したり、転勤でマイホームが空き家になったりした人の中には、空き家をそのままにしておくべきか、空き家管理サービスなどを利用すべきかを悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
あるいは、空き家を利用して賃貸経営を行う可能性を探っている方もいらっしゃるかもしれません。

誰も住んでいない空き家でも、固定資産税や都市計画税などの支出が生じることや、湿気によるカビや害虫の発生によって家の劣化が進行するなど、さまざまなリスクを伴います。
そのため、空き家のままで放置することはおすすめしません

この記事では、空き家を放置するリスクと空き家管理に必要な作業のほか、専門業者の空き家管理サービスを利用するメリット空き家で賃貸経営を始めるメリットなどを解説します。

空き家管理サービスとは

空き家管理サービスとは、その名のとおり「空き家の管理を代行してくれるサービス」です。空き家となった自宅や実家をそのまま放置すると、カビや害虫などにより建物の劣化を早めてしまいます。また、長期間人がいないのを良いことにゴミの不法投棄や空き巣、放火といった犯罪・イタズラの標的にされることもあります。

こうしたリスクを最小限に留めてくれるのが、空き家管理サービスです。定期的に業者による管理が入ることで、家の資産価値を保てるほか、犯罪やイタズラの抑止力としての効果も期待できます。なお、「人が住んでいない家」という意味では、転勤などで長期間家を空ける場合も空き家になるので、空き家管理サービスの利用をおすすめします。

空き家管理サービスの主な内容

空き家管理サービスでは次のような内容のサービスを受けられます。


詳細なサービス内容は会社によって異なるので、必ず契約前にサービス内容を確認しましょう。

換気・通水

空き家は人の出入りがなく空気が入れ替わることがないため、湿気がこもりやすくなります。湿気がこもったままにしておくと家の劣化が早くなります。また、水道も定期的に使わなければ、錆が生じて水道管が破裂します。破裂までいかなくても蓋の役割を果たす水「封水(ふうすい)」が蒸発して排水口から悪臭が発生し、室内が臭くなる原因となります。

空き家管理サービスでは、こうした事態を避けるために、定期的に60分程度の換気と通水を行ってくれます

見回り

雨漏りや外壁塗装の剥がれ、ひび割れ、シロアリが発生していないかなどを目視で確認します。見回りの結果、修繕が必要な場合は所有者に連絡をしてくれます。

会社によってはオプションでシロアリ駆除破損箇所の修繕にも対応してくれます。

清掃・片付け

室内の簡易清掃や庭木の手入れ、片付けを行ってくれます。室内の清掃を怠ると、ホコリやカビ、細菌が繁殖します。また、庭の木や草を伸び放題のまま放置しておくと、伸びた木が隣家に入りこむなど、近隣トラブルに発展しかねません。これらの予防として、空き家管理サービスでは清掃や片付けを実施してくれます。

郵便受けの整理

郵便物やチラシが溜まっていると、空き家であることが知られてしまいます。空き家管理サービスでは郵便受けの整理も実施し、空き家が被害に遭いやすいゴミの不法投棄や空き巣、放火などのリスクから遠ざけてくれます。

空き家管理サービスを利用するメリット

居住地から離れた場所に空き家を所有している場合には、自分自身で空き家管理をおこなうことは容易ではありません。

そこで登場するのが空き家管理代行会社です。空き家管理代行会社を利用するメリットには、以下の4つが挙げられます。


それぞれのメリットを解説します。

空き家管理にかかる手間を軽減できる

郵便受けからチラシが溢れていたり庭が手入れされていなかったりすると、一見して「空き家」とわかります。定期的に空き家を訪れて確認や手入れをおこなう必要があります。
しかし、所有している空き家が遠方にある場合、時間だけでなく交通費も必要となるため、頻繁に訪れることは容易ではありません。

管理費用を支払う必要はありますが、空き家管理を専門業者に依頼すれば手間と時間を省くことが可能です。

不動産の資産価値を維持できる

最初は定期的に自ら空き家管理をおこなっていても、空き家を訪れる頻度が少なくなる、空き家を訪れても作業が疎かになるということも珍しくありません。
管理が行き届かなくなると、虫やカビ、排水口の汚臭、雨漏りなどが発生しやすくなります。また、湿気がこもりやすくなることで、劣化が早まり、屋根や柱、梁など建物の構造上重要な部分に深刻なダメージを与える可能性もあります。

その結果、後に「空き家を活用したい」と思っても大規模な修繕が必要になることや、売ろうとしても「修繕や解体に費用を要する古家付きの土地」として安く買いたたかれることも考えられます。
専門業者に不動産の管理委託をすることで、管理がきちんとおこなわれ、資産価値の維持が期待できます

近隣トラブルを防止できる

空き家のまま放置している場合、以下のような近隣トラブルが想定されます。

  • 雑草の繁殖で虫が大量発生している
  • 害獣の糞尿による汚臭がひどい
  • ベランダが劣化で崩れかけていて危険
  • 瓦が道路に落ちてケガや事故を引き起こしてしまう

上記の近隣トラブルが発生しているにもかかわらず、適切な空き家管理を行わずにいると訴訟を提起される可能性があります。逆に言えば、適切な管理ができていれば、上記のような近隣トラブルを抑制できるため、訴訟を起こされるリスクを低減できます

管理不足により第三者に怪我を負わせた場合は損害賠償責任も

管理が行き届いていなかったことが原因で第三者にケガをさせた場合などは、損害賠償責任を負う場合もあります。

民法第717条に
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
という「工作物責任」が定められています。

引用元:e-GOV 民法

占有者とは、所有権の有無にかかわらず、対象物を自由に使える人のことを言います。所有者とはそのまま所有権を持つ人が該当します。持ち家の場合は、占有者と所有者が同じになるので、いずれにしろ自宅の管理不足により他人に損害が生じた場合は、責任を負う必要性がある、ということです。

発生したトラブルの内容によっては、数千万円の賠償金が請求される可能性もあります。しかし、専門業者に委託してきちんと管理をおこなっていれば、そのようなリスクを大幅に軽減できます

特例の適用外になることを防げる

空き家問題を解決へと導くために空家等対策特別措置法が施行され、倒壊など、保安上・衛生上・景観上、危険性や有害性が高い特定空家に指定される空き家も増えました。
特定空家に指定されると、特例の適用を受けられなくなることによって、固定資産税の負担が最大6倍となるので注意が必要です。

空家等対策特別措置法が施行されたのは、管理の行き届いていない空き家を減らすためです。

管理を専門業者に委託してアドバイスに基づいた適切な修繕を行っていれば、特定空家に指定されることを避けられます。適切な管理がなされている空き家であれば、住宅用地の特例の適用が継続されるため、住宅用地の特例の適用が継続されるため、固定資産税の負担増加を防げるでしょう。

空き家管理サービスを利用するデメリット

空き家管理サービスを利用するデメリットは、費用がかかることです。空き家管理を業者に依頼すると、月に5,000円~10,000円程度の費用が発生します。誰も住んでいない家にお金をかけるのはもったいないと感じるかも知れませんが、先述した主なサービス内容からもわかるとおり、空き家管理にはさまざまな作業が発生します。

空き家管理は最低でも月に1回は適切な作業を行う必要があるので、その手間を考えればそれほど高い費用ではないとも言えます。特に自宅から距離が離れていればいるほど、手間も費用もかかるので空き家管理サービスを利用しない手はありません。

空き家を賃貸に出すことも検討しよう

当分の間、空き家を利用する予定がない場合は、空き家を賃貸物件として貸し出すのもおすすめです。空き家として所有していると、固定資産税や都市計画税などの支出が増えるばかりか、イタズラや犯罪、近隣トラブルなどの発生リスクも負う必要が出てきます。

これに対して賃貸物件として貸し出した場合、入居者がいる間は家賃収入を得られます。また、人が住むことで劣化のスピードが抑えられるので、近隣トラブルの防止や資産価値の維持にも繋がるでしょう。そのため、自身で空き家を活用する予定がないないという人は、賃貸を検討してみることをおすすめします。

空き家を賃貸に出すための準備

空き家を賃貸に出すためには、部屋を綺麗にするハウスクリーニングが必要ですが、リフォームを行うかどうかは家の状況やどのくらいの家賃を得たいかによって検討します。

メリット デメリット
そのままの状態で
賃貸に出す
  • 費用が抑えられる
  • すぐに貸し出せる
  • 築年数や老朽化具合によっては借り手が見つかりづらくなる
  • 定期的に修繕費が発生する可能性が高い
リフォームをして
賃貸に出す
  • 借り手が見つかりやすい
  • 定期的にかかる修繕費の心配が少ない
  • 初期費用が高くなる

大きな違いは初期費用です。リフォームをすると、初期費用が高くなります。一方でそのままの状態で貸し出す場合は、初期費用こそ安いものの、貸し出し中に修繕費が嵩む可能性が高くなります。

そのままの状態で賃貸に出す

リフォームをせずにそのまま貸し出す場合、初期費用が抑えられるのがメリットと言えるでしょう。しかし、賃貸中に発生した設備の故障は貸主に修繕の義務があります。築年数や老朽化の具合によっては、定期的に修繕が必要となり、出費に頭を悩ませることになるでしょう。

また、内外装や設備が古いまま貸し出した場合、借り手が見つかるかどうかも心配なところです。借り手が見つからない間は収入が得られず機会損失となってしまうので、多少費用がかかったとしても水回りなど必要最低限のリフォームは行い、入居者獲得を目指すことをおすすめします。

リフォームして賃貸に出す

リフォームして賃貸に出す場合、初期費用は高くなりますが、後々の修繕費の発生を最小限に抑えられる可能性が高くなります。また、築古物件だったとしても内外装が真新しくなっていれば、借り手も見つかりやすくなるでしょう。早期に借り手が見つかれば、早めに家賃収入を得られます。これにより早めにリフォーム費用で出た損失を回収できます。

空き家で賃貸経営を始めるメリット

空き家で賃貸経営を始めるメリット

空き家管理代行会社を利用すれば、空き家管理にかかる手間と時間を軽減できるだけでなく、空き家を持ち続けることで生じるリスクの軽減も可能です。

固定資産税や都市計画税が発生すること、特定空家に指定されることを避けるための修繕費用がかかることを考えると、空き家を空き家のまま長年放置しておくことはあまりおすすめしません。

そこで、やはり一定額の費用がかかってしまう空き家管理とは別の解決策として考えられるのが、空き家で賃貸経営を始めるという代替案です。

まずは、空き家でおこなう賃貸経営のメリットとデメリットを把握し、その後に実施するかどうかの検討をおすすめします。
空き家で賃貸経営を始めるメリットとして、以下の3つが挙げられます。


それぞれのメリットを解説していきます。

家賃収入が期待できる

ただ空き家の所有を続けていても、収入が発生することはなく、むしろ固定資産税や都市計画税、修繕費などの支出だけが発生するので、資産が減少していくことになります。一方で、空き家で賃貸経営を始めて居住希望者が見つかれば、毎月家賃収入を受け取れます。

賃貸経営には入居者募集や入居者対応、修繕などの管理が必要ですが、いずれも賃貸管理会社に委託できる業務です。うまくいけば小さな負担で不労所得を得られるようになる点が大きなメリットといえます。

家賃収入は生活費の足しや老後の備えに回すことができ、生活の支えにもなります。

支出に充当できる

将来的に空き家を居住などで使用する予定でいるという人にとって、使うときまでの固定資産税や都市計画税、空き家管理にかかる費用、修繕費などの支出は単なる負担となってしまいます。

しかし、賃貸経営を始めた場合、そのための支出も発生しますが、より大きな家賃収入を得ることによって、利益を生み出せるチャンスが生まれます

空き家が必要になるまで期間が長引いたとしても、その間ずっと家賃収入を得られていれば、不動産を持っていることが負担になりません。

人が住むことで物件が管理される

空き家のままにしておくと換気や水道の通水が行われず、カビ・悪臭の原因になります。目が行き届かなければ庭木が伸びすぎて害虫が発生したりすることも。気づかないうちに建物の一部が壊れて、そばを通る人にぶつかってケガをさせれば、物件の管理者として責任を問われ、損害賠償請求される場合もあります。

これらは賃貸にして誰かに住んでもらっていれば防げるものです。万一家に何かあれば、入居者から連絡が入り、すぐに修理の手配もできます。

このように入居者がいることで、不法占拠などの心配がなく、居住するための定期的にメンテナンスが行われることが期待できるため、空き家のままにしておくよりも劣化を防ぐことができるといえるでしょう。

空き家で賃貸経営を始めるデメリット

空き家で賃貸経営を始めるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。


それぞれのデメリットを解説していきます。

初期投資が必要になる

空き家で賃貸経営を始める場合には、そのまま貸し出すケースもありますが、入居者募集にあたりハウスクリーニングやリフォーム・リノベーションをするのが一般的で、その分をプラスした初期投資が必要となります。これに対して空き家を空き家のままにしておく場合は、空き家が特定空家の指定を受けない程度の状態を維持するために、人にケガをさせない、周囲に迷惑にならないようにといった、必要最低限の修繕費のみで事足りるでしょう。

また、注意しておきたいのが、集客がうまくいかずに家賃収入を得られなかった場合です。この場合、初期投資の回収も困難になるので、負債だけが手元に残ることになります。

この点をカバーするには、必要最低限の工事で済ませるようにすることです。見栄えを重視するあまり、必要のないところまでリフォームやリノベーションをしてしまうと、初期費用がどんどん高くなっていきます。物件の状態にもよりますが、必要最低限の工事であれば、初期費用の回収も比較的容易になるでしょう。

自分1人での賃貸経営は難しい

賃貸経営で安定した家賃収入を得るには、入居者募集、入退去の管理、クレーム対応、毎月の家賃徴収等、居住者の対応をおこなう必要があります。また、入居者が設備を利用できるよう「維持するための修繕」だけでなく、「賃料を高く設定する(=収入を増やす)ための修繕」も検討の余地があるでしょう。

しかし、これらすべてを日中働いているサラリーマンや賃貸経営初心者が、対応するのは現実的ではありません。安定した賃貸経営を簡単に行い、家賃収入を得られるようにするには、賃貸管理の専門家である賃貸管理会社のサポートが必要不可欠です。そのため、賃貸管理会社に支払う費用が発生する点は賃貸経営のデメリットと言えますが、コストを支払う以上に賃貸オーナーの手間を軽減できる点は大きなメリットとして捉えることができるでしょう。

空き家管理代行サービスに関するよくある質問

空き家は誰が管理する?

空き家の管理は大きくわけて「自分で管理するケース」「家族や友人に管理を依頼するケース」「管理会社に管理を依頼するケース」があります。
詳しくは「留守宅管理の『空き家管理サービス』で海外赴任や出張中の自宅を管理」で、各ケースのメリットデメリットを記載しているので、あわせてご確認ください。

空き家の管理頻度はどれくらい?

最低でも月に1回の頻度で行う必要があります。空き家管理サービスでは、料金やプランによって管理の頻度が異なります。

まとめ

空き家は適切な管理を行わないと、劣化のスピードが早まり、著しく資産価値が低下します。また、イタズラや犯罪の温床となるほか、管理不足による近隣トラブルを招きかねません。トラブルの内容によっては、訴訟を起こされる可能性もあるので、適切な管理ができる体制を整えましょう。

頻度は最低でも月に1回とあまり高くありませんが、育児中や仕事が忙しい人、空き家から自宅が離れた距離にある人にとっては月に1回といえども負担が大きくなります。そのため、お金はかかりますが、空き家の管理は専門業者に依頼するのがおすすめです。

当社は転勤時の賃貸や管理を専門に行ってきた歴史があり、お持ちの空き家を「どう活用すればよいか」ということについてもエキスパートとして助言・協力することができます。空き家管理のお悩みについて、ぜひご相談ください。

記事検索