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公開日2019年12月20日/更新日2022年6月8日

海外赴任中にマンションを貸した場合の確定申告

海外赴任中にマンションを貸した場合の確定申告

転勤などで自宅マンションをリロケーションした場合、確定申告が必要になる可能性があります。しかし海外赴任となると、税務署へ出向くことも難しくなるでしょう。そこで今回は、海外赴任中に発生した不動産所得の確定申告について解説します。

海外赴任で自宅マンションを賃貸した場合にかかる税金

前提として、海外赴任期間が1年以上を経過した場合、当該者は「非居住者」と見なされます(公務員を除く)。これは平たく言うと「日本に住んでいない人」という意味であり、国外勤務で得た給与には所得税が課税されなくなります。ただし、日本国内で発生した所得については別です。

海外赴任に際し、国内に所有する自宅マンションを賃貸した場合の家賃収入は、不動産所得となるため所得税がかかり、確定申告が必要です。課税対象額については以下の計算式で求められます。

不動産所得の金額=総収入金-必要経費

次の項より、具体的な総収入金額や必要経費について解説します。

総収入金額の例

賃貸経営における代表的な不動産収入は家賃です。しかし、それ以外にも、入居者から受け取ったお金はすべて収入として見なされます。具体例は以下です。

◆ 家賃
◆ 駐車場賃料
◆ 敷金(返還を要しない部分)、礼金、保証金、更新料、承諾料、名義書換料、権利金(返還しないお金)
◆ 共益費、管理費、水道光熱費

このように、“収入”となるお金はすべてが総収入金額に算入されます。確定申告の際に必要となるため、銀行口座への記帳や、領収書の控えの保管など、忘れないようにしましょう。

必要経費の例

ご自身が居住していたときとは異なり、賃貸経営をする場合にはさまざまな支出を計算する必要があります。以下はその代表的な項目です。

◆ 租税公課(固定資産税・都市計画税・印紙税)
◆ 物件管理にかかる費用(リロケーション会社へ支払う管理手数料なども)
◆ 賃借人募集にかかった広告宣伝費
◆ 減価償却費
◆ 収入印紙代
◆ リフォーム・メンテナンス費用、修繕費
◆ 損害保険料
◆ マンション管理会社に対して支払う管理費、駐車場賃料
◆ 借入金の利息(住宅ローン等)

上記以外にも、賃貸経営に関連して支払った支出は経費として認められる場合があります。確定申告の際に必要となりますので、収入と同様にしっかりと把握し、領収書などは必ず保管しておきましょう。

海外赴任中に確定申告をする方法

前項でもご紹介したとおり、国内で所有する自宅マンションを賃貸して家賃収入を得た場合は、日本での確定申告が必要になります。しかし、海外赴任で外国にいる場合、わざわざ日本に戻って確定申告をするのは現実的ではありません。そこで、確定申告を代わりにしてもらう「納税管理人」を選定する必要があります

納税管理人は個人でも法人でも構いません。ただし、納税地を所管する税務署に対して、事前に「所得税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。

確定申告のタイミング

海外赴任に伴う確定申告は、出国時までに納税管理人の届出書を提出したタイミングによって異なります。

まずは出国日までに納税管理人の届出書を税務署へ提出した場合。不動産所得が入った翌年の2月16日から3月15日までに、納税管理人経由で確定申告を行います。なお、海外への転勤に際してリロケーションを行う場合は、この例に該当します。

一方、出国日までに納税管理人の届出書を税務署へ提出できない場合は、出国日までにいったんご自身の手で確定申告(準確定申告)を行う必要があります。たとえば国内転勤などの関係で自宅をすでに賃貸していて、その後海外赴任が決まったという例では、出国前に不動産所得が発生していたことになります。そのため、その年の1月1日から出国日までに発生したすべての所得(源泉分離課税になるものを除く)を確定申告(準確定申告)しなくてはなりません。

また、1月1日から3月15日までの間に出国する場合も、前年分の所得に関わる確定申告をする必要があります。タイミング次第では、早めに確定申告の用意が必要ということです。

このように、納税管理人の届出書を出国日までに提出していないと、思わぬ手間が発生することになります。国内の自宅マンションを賃貸するのであれば、海外赴任が決まった時点で、納税管理人の選定と届出書の提出準備を進めましょう。

赤字の場合でも確定申告は重要

不動産所得は確定申告義務が発生する所得であり、怠ると無申告加算税延滞税が発生する可能性があります。しかし、赤字の場合には課税対象となる金額がマイナスになるため、放置してもよいのではとお考えになる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、家賃収入よりも経費が高く、収益上赤字となっていたとしても、確定申告をすることで所得税が還付される点を忘れてはいけません。未申告にすることで、本来返還されるべきお金が受け取れなくなるのです。

また、法人に自宅マンションを貸していた場合、賃料に対して20.42%の源泉徴収が課されます。確定申告をすることで、源泉徴収されていた金額から不動産所得税を差し引いた分が還付されます。無視できない還付金が発生するケースも多いため、確定申告は確実に行いましょう。

まとめ

海外赴任に際して自宅を貸し出すのであれば、早めに納税管理人を選定することが大切です。加えて、確定申告に必要となる書類も確実に保管しておきましょう。未申告で損をしないためにも、必ず確定申告を行ってください。

リロケーション・ジャパンは、賃貸管理サービスご利用時のオプションとして、海外赴任中の貸主に代わって納税管理人となり、還付申告手続きを代行するサービス―「特定確定申告サポートサービス」もご用意しております。海外赴任中の賃貸をご検討されている方は是非ご活用ください。

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