「今の管理会社に任せていても空室がなかなか埋まらない」「管理手数料を払っているのに対応が遅くて不満」など、賃貸管理会社に対して不満があり、変更を検討している不動産オーナーも多いのではないでしょうか。
空室が長期間続いていたり管理手数料に不満があったりする場合、賃貸管理会社を変更するのは有効な手段の1つです。
適切な管理会社への変更は、空室率の改善や入居者満足度の向上が期待できます。本記事では、賃貸管理会社を変更する理由や手順、得られるメリット、失敗しない会社選びのポイントについて詳しく解説します。
目次
1. 賃貸管理会社の変更は可能

賃貸管理会社の変更について、法律上の制約はないため、物件オーナーは自身の判断で自由に変更できます。特に空室期間が長期化している状況では、賃貸管理会社を変更することで入居者が見つかるケースがあります。新しい管理会社が持つ独自の集客ネットワークや広告手法などにより、これまでとは異なる層の入居希望者にアプローチできるためです。
ただし、入居者がいる場合と空室の場合では、変更手続きの複雑さが異なります。入居者がいる場合には、家賃の振込先や緊急時の連絡先の変更を通知したり、敷金の移管手続きを行ったりする必要があります。
また新旧管理会社間では、入居者の個人情報や設備の修繕履歴、更新時期などの詳細な引き継ぎが不可欠です。引き継ぎが不十分だと、入居者からの問い合わせに適切に対応できず、信頼関係を損なう可能性があります。
一方で空室物件の場合は、このような複雑な手続きや入居者への配慮は不要です。新しい管理会社との契約を締結し、鍵の引き渡しや物件情報の共有を行うだけで、比較的スムーズに変更を完了できます。
2. 賃貸の管理会社を変更すべき?4つの判断基準を解説

賃貸管理会社の変更を検討する背景には、以下のような理由があります。
- 空室が長期間埋まらず家賃収入が減少している
- 管理手数料が高いと感じる
- 賃貸管理会社の対応が悪いと感じる
- 賃貸管理会社の対応が遅いと感じる
それぞれ詳しく解説します。
2-1. 空室が長期間埋まらず家賃収入が減少している場合
賃貸経営の収支に大きく影響するのが、空室の長期化です。空室期間が長引くほど家賃収入が減少し、固定費(管理費や修繕費、税金など)の負担が重くなります。長期間にわたって空室が改善されない場合には、現在の管理会社の募集戦略や営業活動を見直す必要があるかもしれません。
賃貸管理会社の変更を検討する際の目安となる空室期間と空室率(1棟管理の場合)は、以下のとおりです。
- 平均空室期間:3~4ヶ月
- 平均空室率:5%程度(1棟管理の場合)
これらの基準を上回る場合は、現在委託している賃貸管理会社の営業活動や募集戦略に何らかの課題や問題点があると考えられます。空室対策や入居率向上の方法について、以下の記事でも解説しているので併せてご覧ください。
関連記事
一軒家を賃貸に出す際の空室対策と入居率向上の方法


平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】
空室が埋まらない原因には、家賃設定や周辺環境などさまざまな要因があります。
賃貸管理会社を変えることで、空室改善につながらなかった要因を特定できるかもしれません。
2-2. 管理手数料が高いと感じる場合
賃貸管理手数料の相場は、一般的に賃料の5〜12%で設定されることが多く、以下のように契約の種類や管理業務の内容によって変動します。
【契約形態による違い】
- 管理委託形式の場合:家賃の5~7%程度
- パススルー型のサブリースの場合:賃料の8~10%程度
- 家賃保証型のサブリースの場合:満室想定賃料の8~12%程度
【入居者との契約方法による違い】
- 普通借家契約の場合:5%
- 定期借家契約の場合:6~10%
また「マンションか戸建て」「国内転勤か海外赴任」「保証サービスの有無」などの要素によっても手数料は変わります。現在支払っている管理手数料がこれらの相場を大幅に上回っている場合、賃貸管理会社を変更することで毎月の支出を抑えられる可能性があるでしょう。
ただし、管理手数料によって受けられるサービスの内容や質に差が生まれることがあるので、単純に手数料の安さだけで判断するのはおすすめしません。管理手数料の相場に関して、以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事
管理手数料の相場はいくら?業務範囲と手数料が安い場合は危険な理由

2-3. 賃貸管理会社の対応が悪いと感じる場合
賃貸管理会社や営業担当者の対応に問題がある場合、多くのオーナーが管理会社の変更を検討します。オーナーが不満を感じやすい対応の問題として、以下のような内容があげられます。
- 担当者と円滑なコミュニケーションが取れない
- 物件の清掃や維持管理が十分に行われていない
- 入居者からの苦情や要望に対して適切な対応が取られていない など
これらの問題は、入居者の満足度低下に直結する可能性が高いです。入居者が不満を抱えた状態が続くと退去率が上昇し、結果的に空室期間の長期化や家賃収入の減少といった収益性の悪化を招くリスクがあります。

平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】
賃貸管理会社や担当者の対応の悪さは入居者の満足度低下につながるため、早めに対処することで、退去防止になるでしょう。
2-4. 賃貸管理会社の対応が遅いと感じる場合
管理会社の対応速度は、賃貸経営の成功を左右する重要な要素です。対応が素早ければ、入居者の満足度向上につながり、オーナーの安心感も高まるでしょう。しかし、以下のように賃貸管理会社の対応が遅いことで、悩んでいるオーナーもいます。
- 設備故障の修繕を依頼してから対応まで1週間以上かかる
- 入居者からの問い合わせに対して返答が3日以上ない
- オーナーからの相談や要望に対するレスポンスが極端に遅い など
このような対応遅延は、以下のように入居者の満足度低下を招き、退去率の増加や物件の評判悪化につながる可能性があります。
【賃貸管理会社の対応遅延による影響】
・入居者の満足度低下:迅速な対応を期待していた入居者が不満を抱き、管理会社や物件に対する信頼感が損なわれる
・退去率の増加:不満を持った入居者が更新時期を待たずに退去を検討し、長期入居者の確保が困難になる
・物件の資産価値の低下:適切なメンテナンスが遅れることで物件の劣化が進行し、長期的な資産価値の低下を招くリスクがある
・信頼性の低下と評判の悪化:入居者からの口コミやインターネット上での評価が悪化し、新規入居者の獲得が困難になる
・賃料の減額要求:対応の遅れや不備を理由に入居者から家賃減額を求められ、収益性の低下や交渉コストの増加を招く
迅速で適切な対応ができる管理会社への変更を検討することで、このような問題を解決し、安定した賃貸経営を実現可能です。
3. 賃貸管理会社を変更する手順
賃貸管理会社を変更する手順は、以下のとおりです。
- 現在の賃貸管理会社との契約内容を整理する
- 複数の賃貸管理会社に相談し新しい委託先を決める
- 現在の管理会社に解約通知を送る
- 賃貸管理会社間での引き継ぎを実施する
- 入居者への変更通知を行う
ただし、入居者が「いる・いない」によって手順に違いがあります。入居者がいない空室の場合は、手順5の「入居者への変更通知」が不要です。さらに、敷金の引き継ぎや入居者情報の移管などの作業が発生しないため、全体の手続き期間が短縮されます。賃貸管理会社の変更の流れに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事
賃貸の管理会社の変更はどうやる?変更方法と注意点・流れを解説!

4. 賃貸管理会社を変更する際にオーナーがやるべき5つのこと
賃貸管理会社を変更する際にオーナーがやるべきこととして、以下の5つがあります。
- 賃貸管理会社の変更で改善したい課題を明確にしておく
- 入居者がいる場合は管理会社の変更を事前に伝える
- 解約予告期間と違約金の有無を確認する
- 管理会社同士の引き継ぎを漏れなく行ってもらう
- 家賃保証会社の契約の取り扱いを確認しておく
それぞれ詳しく解説します。
4-1. 賃貸管理会社の変更で改善したい課題を明確にしておく
賃貸管理会社を変更する際は、まず現在の管理会社に対する不満や改善したい課題を明確にしておくことが重要です。課題が曖昧なまま管理会社を変更すると、同じような問題が再発して、再度別の会社を検討することになります。課題を具体的に整理することによって、新しく委託する賃貸管理会社に求めるサービス内容や改善点を明確に伝えられて、最適な会社選びを実現できます。

平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】
「なんとなく不満」のまま変更すると、新しい会社でも同じ問題が起こりがちなので、具体的な改善点をリスト化しましょう。
4-2. 入居者がいる場合は管理会社の変更を事前に伝える
賃貸管理会社の変更は、基本的にオーナー側の判断によって行われます。しかし、入居者にとっては家賃振込先口座の変更や新しい連絡先への登録などの手間が発生するため、突然の変更通知は不満や苦情につながる可能性があります。
このような状況を避けるためには、なるべく早めに入居者に伝えるようにしましょう。通常は、賃貸管理会社を変更する1ヶ月〜2ヶ月前までに文書で通知します。また、24時間対応の問い合わせサービスが利用可能になる、より迅速な修繕対応が期待できるなど、入居者にとってプラスとなる具体的な改善点をわかりやすく説明できるようにしましょう。
4-3. 解約予告期間と違約金の有無を確認する
多くの管理委託契約では解約予告期間が設定されているのが一般的であるため、契約書を確認して事前に把握しておく必要があります。管理会社変更を希望したとしても、契約で定められている予告期間によっては実際の変更まで相当な時間を要する場合があるため、検討を始めた段階で早めに確認しましょう。
予告期間とあわせて、契約解約時の違約金についても詳細に確認しておきます。違約金を設定していない管理会社も存在しますが、なかには解約理由を問わず違約金を請求する契約条項になっているケースもあるため注意が必要です。契約内容を詳細に確認し、予想外の費用負担が発生しないよう事前にリスクを把握しておきましょう。

平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】
契約書の確認は、管理会社の変更を検討し始めた時点で行いましょう。もしも予告期間が6ヶ月の場合、決断してから実際の変更まで半年待つことになるため、早期に確認することで計画的な移行が可能になります。
4-4. 管理会社同士の引き継ぎを漏れなく行ってもらう
変更前と変更後の管理会社は、それぞれ異なる事業者となります。そのため、両社間での業務引き継ぎが思うように進まなかったり、重要な情報が漏れてしまったりするリスクがあるので注意が必要です。
引き継ぎ業務に不安がある場合は、引き継ぎの進捗状況を定期的に確認したり、具体的な引き継ぎ実施日を決めて物件オーナー自身もその場に立ち会ったりするなどの対策を講じることが効果的です。重要な情報の欠落や誤解を防止するため、引き継ぎ内容のチェックリストを作成し、漏れのない確実な引き継ぎを実現できるようにしましょう。
4-5. 家賃保証会社の契約の取り扱いを確認しておく
当初の管理委託契約の条件によっては、賃貸管理契約を解約することに伴って家賃保証会社との契約関係も同時に終了するリスクがあります。家賃保証会社とは、入居者が何らかの理由で家賃支払いができなくなった際に、入居者に代わって物件オーナーに家賃を支払う役割を担う事業者のことです。
家賃保証会社との契約が終了すると、保証なしの状態で入居者との賃貸契約が継続します。つまり入居者が家賃を滞納した場合でも、保証会社からの支払いが受けられず、オーナー自身が滞納分を回収する必要があります。一般的なオーナーは家賃滞納者への対応に慣れておらず、法的手続きや交渉が必要になった場合、結果的に家賃を回収できずに損失を被るリスクが高まるでしょう。
新しく委託する管理会社においても家賃保証会社との連携体制が整っているか、現在と同等の保証サービスを受けられるかを事前に確認し、問題がないことを確認できれば安心して管理会社変更を進められます。

平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】契約書の確認は、管理会社の変更を検討し始めた時点で行いましょう。もしも予告期間が6ヶ月の場合、決断してから実際の変更まで半年待つことになるため、早期に確認することで計画的な移行が可能になります。
5. 賃貸管理会社の変更で得られる3つのメリット
賃貸管理会社の変更で得られるメリットは、以下の3つです。
- 空室率の改善
- オーナーの負担軽減
- 入居者の安心感と快適性
それぞれ詳しく解説します。
5-1. 空室率の改善
管理会社を変更することで、新しい会社が持つ効果的な入居者募集戦略や営業手法を活用し、空室状況の改善が期待できます。従来の不動産ポータルサイトへの掲載だけでなく、独自の集客ノウハウを活用することで、より幅広い入居希望者にアプローチできる可能性があります。
さらに、リフォームやリノベーションに関する経験豊富な管理会社であれば、物件の魅力を高めるための具体的な提案を受けられるでしょう。限られた予算のなかで効果的な改修箇所の提案や、入居者ニーズに合わせた設備の追加提案など、具体的な改善策によって物件の競争力を向上させることが可能です。このような新しい管理会社の強みを活用することで、空室期間の短縮と入居率の向上を実現し、結果として安定した家賃収入の確保につながります。

平田 翔 【資格】宅地建物取引士
【ワンポイントアドバイス】
空室改善を急ぐあまり家賃を大幅に下げる提案には注意が必要です。長期的な収益性を必ず検討しましょう。
5-2. オーナーの負担軽減
現在の管理会社で対応できる業務範囲が限定的な場合、オーナー自身が入居者からの問い合わせ対応や設備トラブルの手配などを行わなければならないケースがあります。管理手数料を支払っているにも関わらず、夜間や休日に入居者から直接連絡が来たり、修繕業者の手配をオーナーが行ったりすると、期待していたほど負担が軽減されていないと感じるでしょう。
より包括的なサービスを提供する管理会社に変更することで、このような負担の軽減が期待できます。例えば、24時間対応のコールセンターサービスを持つ管理会社であれば、深夜や休日の緊急対応もすべて管理会社が担当します。
さらに、入居者との契約更新手続きや退去時の立会いなども管理会社が代行すると、オーナーが物件まで足を運ぶ頻度を大幅に減らせるでしょう。結果として、空室リスクの軽減と安定した賃貸経営が実現可能です。
5-3. 入居者の安心感と快適性
賃貸管理会社の対応品質が向上することで、入居者が感じる安心感と居住環境の快適性が改善されます。設備の故障やトラブルが発生した際、迅速で的確な対応ができる管理会社であれば、入居者の不満やストレスを最小限に抑えることが可能です。
また満足度の高い入居者からの口コミや紹介により、新たな入居希望者を獲得できる可能性もあります。このように、管理会社の対応品質向上は入居者満足度を高めるだけでなく、オーナーにとっても経済的なメリットをもたらす可能性があります。以下の記事では、委託管理の注意点やメリットなどを詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
関連記事
委託管理とは│委託できる内容や注意点、得られるメリットを解説

6.賃貸管理会社選びで失敗しないポイント
新しく管理委託契約を結ぶ会社を選ぶ際には、以下の比較項目とチェックポイントを重視しましょう。
管理戸数が多い会社は豊富な経験とノウハウがあるため信頼性が高いと考えられ、24時間体制で緊急時の連絡対応ができる会社であれば、オーナー自身が対応する必要がないため安心感があります。賃貸管理会社を変更する主な目的は、空室率の改善と入居者の満足度向上にあります。そのため、単純に管理手数料の安さだけで選ぶのではなく、賃貸管理における豊富な実績とサービス内容のバランスが、適切に保たれているかを重視することが大切です。信頼できる不動産会社の選び方に関して、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事
海外赴任で家を一定期間貸すにはどうする?方法と注意点を解説!

なおリロの留守宅管理では、40年以上の賃貸管理実績の経験とノウハウを有しており、マンションだけではなく戸建ての貸し出しにも対応しています。また、賃料支払保証や明渡し保証などの安心保証サービスも充実しています。当社は転貸借契約を用いて契約当事者として管理を行うため、入居者とのトラブルが訴訟へ発展した際も対応可能です。まずは以下より無料の賃料査定に進んでみてください。
8. まとめ
賃貸管理会社の変更は、空室の長期化による収入減少や管理費用の負担感、サービス対応への不満などの課題を解決するための有効な手段です。実際に賃貸管理会社を変更することで、長期の空室が改善された事例や管理費の削減につながった例があります。
ただし、変更先の会社選びを間違えないためにも「なぜ変更したいのか」「現在の課題は何であるか」を明確にして進めましょう。適切な賃貸管理会社へ委託することで、持続可能で収益性の高い賃貸経営を実現できるでしょう。
この記事の執筆者
カテゴリ: 賃貸管理 関連記事
賃貸に役立つコラム記事
海外赴任時の賃貸に関して
転勤時の賃貸に関して
一戸建て・マンションの賃貸に関して
査定に関して
人気記事TOP5
タグ一覧

記事検索