管理手数料の相場はいくら?業務範囲と手数料が安い場合は危険な理由

執筆者│平田 翔

平田 翔

【資格】

宅地建物取引士

不動産 管理 手数料 相場│管理手数料の相場はいくら?業務範囲と手数料が安い場合は危険な理由「管理会社の委託手数料の相場はどれくらいなの?」「安さで選んでも問題ないの?」といったように、賃貸管理会社に支払う委託手数料が気になっている方は多いのではないでしょうか。

管理手数料は、賃貸経営における大きな割合を占めるコストの1つです。一方で、コスト削減を意識するあまり、安さだけで選ぶと後々トラブルに発展する可能性もあります。
そこでこの記事では、管理手数料の相場や含まれる業務範囲、安さで選ぶべきでない理由などを詳しく解説します。

1. 不動産の管理手数料の相場

不動産 管理 手数料 相場│不動産の管理手数料の相場

不動産の管理手数料の相場は、家賃収入の5〜12%程度となっています。 手数料は「家賃収入×%という形で管理会社ごとに決められており、法律で定められているわけではありません。なお家賃収入とは、賃料だけではなく管理費や共益費も含んだ金額を指します。

管理費は建物全体の管理・維持のために徴収され、共益費は廊下や階段、エレベーターなどの共用部分の電気代や清掃費に充てられます。一方、管理手数料はオーナーの収入から賃貸管理会社に支払う費用です。

管理手数料は基本的に入居者がいる場合に発生するもので、空室の場合はかからないことが多いです。ただし、管理会社によってルールが異なるため、事前に確認しましょう。

1-1. 管理手数料が異なる理由について

管理手数料が5〜12%と幅があるのは、契約方法、物件種別、賃貸状況によって変わるためです。

契約方法は更新を前提とした普通借家契約、期間を限定する定期借家契約の違いにより多少変わる場合や、一軒家かマンションによっても管理する箇所の違いがあるため異なります。

エリアや築年数によって管理手数料が異なることはなく、契約方法、物件種別により違いが多く、賃貸に出す目的などをお聞きし、ご相談させていただくことが一般的です。

また、家賃滞納時の保証、24時間緊急対応など貸主を守るための保証サービスが充実している場合も高くなる傾向にあります。

2. そもそも不動産の管理手数料とは?

不動産 管理 手数料 相場│そもそも不動産の管理手数料とは?

賃貸管理手数料とは、物件オーナーが管理会社に支払う報酬のことで、オーナーに代わって管理業務を代行することへの対価です。 不動産を賃貸に出す場合には、以下のようにやるべきことが多岐にわたります。

  • 入居者の募集、入居審査、契約
  • 入居後の入居者対応
  • 賃料の集金、送金
  • 退去後の敷金精算、原状回復工事の手配 など

また、建物の清掃・点検・修繕なども必要であり、オーナー自身が行うのは手間がかかります。そのため、手数料を支払い管理会社に委託するのが一般的です。

戸建てもマンションも管理手数料の料率は変わらないケースが多いですが、戸建ての場合は一棟丸ごと管理する必要があり、建物外部の劣化や損傷、庭の植栽などの点検も必要になります。このような戸建て特有の点検や管理は、通常の管理業務ではなくオプションで対応している会社も多いので注意が必要です。

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2-1. 管理手数料に含まれる業務の一例

管理手数料に含まれる業務の一例は、以下のとおりです。

入居者募集
物件の広告掲載や内覧対応、入居希望者の審査など入居者獲得のための活動を行う

契約手続き
法的に有効な賃貸借契約書を作成し、契約時の立ち会いや説明を行い、契約を締結する。

契約更新手続き
契約期間満了前に入居者への更新案内、書類の作成など一連の更新業務を行う

家賃の集金・送金
毎月の家賃を入居者から回収し、オーナーへ送金する

滞納金の督促
家賃滞納が発生した場合、入居者への連絡や督促状の送付などを行う

退去の手続き
退去時の現地確認や敷金返還などの手続きを行う

入居者対応
設備の不具合や騒音トラブルなど、入居者からの問い合わせやクレームに対応する

ハウスクリーニング手配
退去後の清掃業者の手配や立ち会いを行う

原状回復工事手配
退去時の原状回復に必要な修繕箇所の確認や見積、工事業者の手配を行う

あくまでも一般的な例であるため、管理会社に委託する際には管理手数料の範囲でどこまで対応してもらえるのかを確認しましょう。 自分で出来そうな部分があり、一部分を引き受ける代わりに手数料を減らすことはできません。管理会社が提供するサービスはパッケージなため、貸主個々でサービス内容が変わるような対応はしていないためです。

2-2. 管理手数料に含まれない業務の一例

一方で、以下のような業務は管理手数料の範囲内では行ってもらえないケースが多いです。

原状回復工事
工事の手配や見積もり取得などはできるが、工事費用は手数料には含まれない

室内設備の故障時の交換や修繕
修理業者の手配は管理会社が行うが、エアコンや給湯器などの設備が故障した場合の修理費用は含まれない

建物や設備の修繕
外壁や屋根の修繕、共用部分の設備交換などの大規模修繕は含まれない

これらの工事や修繕にかかる費用は別途オーナー負担となるため、あらかじめ理解しておく必要があります。 賃貸管理の業務内容に関して、以下の記事でより詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

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3. 不動産の管理を委託する場合としない場合の違い

不動産 管理 手数料 相場│不動産の管理を委託する場合としない場合の違い

不動産の管理を委託する場合としない場合の違いを、以下の表にまとめました。

委託する場合 委託しない場合
貸主に関わる時間や手間 かからない かかる
不動産の知識 不要 必要
コスト 発生する 発生しない
入居者の満足度 専門的な対応のため高い満足度を得やすい オーナーの対応力により差が生まれやすい

賃貸管理会社に委託することで、多岐にわたる管理業務の負担を削減できます。 入居時の立ち会いや契約関連の手続き、解約時の敷金精算なども代わりに行ってもらえるため、自身が借主と直接会わなくても完結可能です。委託しない場合には、自らの時間と手間を割くことになり、慣れない賃貸管理業務はストレスを感じることも多いです。

また、ノウハウを持った賃貸管理会社に任せられるため、不動産の知識や管理の経験がなくても問題なく運営できます。 万が一トラブルが起きた場合でも、管理会社による迅速で適切な対応によって、入居者の満足度向上につながりやすいです。

一方で自主管理の場合は、オーナー自身が設備の故障やトラブルに対応する必要があります。24時間いつでも連絡がくる可能性があり、オーナーがすぐに動けない場合には対応に遅れが生じてクレームに発展することも考えられます。

その点、委託管理を依頼すれば専門の管理会社が対応にあたってくれるため、個人で行うよりも迅速で適切な対応が可能です。入居者の満足度が高まることで、長期的な入居につながり、安定した賃貸経営を実現できます。

賃貸管理会社への委託にはさまざまなメリットがある一方で、当然ながら手数料というコストが発生します。その際、単に手数料の安さだけでなく、サービス内容や実績、対応の速さなども考慮して選択することが重要です。手数料の安さだけで選ぶべきではない理由に関しては、次章で詳しく解説します。

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4. 賃貸管理会社を手数料の安さだけで選ぶべきではない理由

不動産 管理 手数料 相場│賃貸管理会社を手数料の安さだけで選ぶべきではない理由

賃貸管理会社を手数料の安さだけで選ぶべきではない理由は、以下のとおりです。

  • 管理サービスの質が低いと入居者の解約につながる
  • トータルコストが安くなるとは限らない

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 管理サービスの質が低いと入居者の解約につながる

管理手数料がいくら安くても、肝心の管理サービスの質が低くては本末転倒です。 管理会社のサービス品質は入居者満足度に直結し、良くない場合は途中解約につながる可能性もあります。短期解約されると再び空室が埋まるまで時間がかかり、物件オーナーは収益面で大きな痛手を受けるでしょう。

入退去時には事務手数料や原状回復費用などがかかり、次の入居までの期間は家賃収入を得られません。管理業務をしっかり行ってくれる会社を見極めるのは難しいですが、口コミや契約前の担当者とのやり取りをもとに判断することが大切です。連絡の早さや質問への返答などから、誠実に対応してくれる会社かを確認しましょう。

4-2. トータルコストが安くなるとは限らない

賃貸管理を委託した際の費用は、管理手数料だけではありません。管理手数料が安い会社のなかには、契約の範囲内で対応できる業務が少なく、オプション業務として別途料金が発生する場合があります。

例えば、入居者からのクレーム対応は別料金がかかったり、退去時の原状回復費用が高額になったりするケースがあります。管理手数料が安くてもその他の費用がかかれば、トータルコストが高まる可能性があるため注意が必要です。

5. 賃貸管理会社を選ぶ際の3つのポイント

不動産 管理 手数料 相場│賃貸管理会社を選ぶ際の3つのポイント

賃貸管理会社を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。

  • 管理手数料と業務内容が見合っているか
  • 管理業務やサポート体制が充分か
  • 賃貸管理の実績や個数が豊富か

それぞれ詳しく解説します。

5-1. 管理手数料と業務内容が見合っているか

管理手数料の相場は家賃の5~12%程度ですが、手数料と業務内容が見合っているかを確認することが重要です。例えば、ホームページのサービス紹介ページ等に掲載してある内容を比較し、自身で表を作成してみるのがおすすめです。 リロの留守宅管理では、サービス詳細ページでプラン内容と安心の保証サービス、オプションサービスを詳しく紹介しています。

管理手数料に関しては、詳細をホームページに記載していない会社もありますので、直接問い合わせて教えてもらいましょう。ただ、手数料と業務内容が見合っているのかを判断するのは難しいため、複数の会社を比較するのがおすすめです。他社の料金と差があるときに、受けられる業務範囲に違いがあるのかを確認してみるとよいでしょう。

5-2. 管理業務やサポート体制が充分か

賃貸管理会社によって、任せられる業務は異なります。例えば、入居者募集や賃貸借契約、家賃回収のみの最低限の業務のみを行う会社もあります。最低限の業務しか任せられない場合は、専門的な知識が求められオーナー自身の仕事が増えるので注意が必要です。

そのため、管理会社を選ぶ際には、対応してもらえる業務範囲とサポート体制が充分であるか確認しましょう。 企業のサービス紹介ページで確認するか、管理会社に直接問い合わせを行います。

5-3. 賃貸管理の実績や戸数が豊富か

管理実績や管理戸数は、賃貸管理会社の信用度を測るうえで重要な項目です。 長年賃貸管理業に携わってきた実績ある不動産会社なら、自社ネットワークの大きさなど空室リスクを最小限に抑える集客力が期待できます。また管理戸数が多ければ、その分だけ賃貸管理のノウハウが蓄積されていると考えられます。

また、自分の所有物件と同じタイプ(戸建てやマンション)の不動産の管理を行っているかもチェックすることが大切です。これらを確認する際は、ホームページの会社概要や事業内容のページで事業年数や管理実績、法人提携数などを確認してみましょう。

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6. まとめ

不動産の管理手数料相場は家賃収入の512%程度です。提供される業務範囲の違いによって料金に差が生まれます。賃貸管理を委託することで、オーナーの時間と手間を大幅に削減でき、専門知識がなくても安定した賃貸経営が可能になります。

管理会社選びでは、単に手数料の安さだけで判断するのではなく、業務内容の充実度やサポート体制、実績や管理戸数なども重視すべきです。 安い手数料に惹かれても、サービスの質が低ければ入居者の解約を招き、別途料金が発生すればトータルコストが高くなる可能性があります。自身の物件に適した管理会社を選ぶことが、長期的な賃貸経営の成功につながるでしょう。

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この記事の執筆者

執筆者│平田 翔

平田 翔

ハウスメーカーにて建売住宅販売と土地仕入れ・土地調査の業務を経験。現在は、SEOやコラムなど、不動産を中心に様々なジャンルのライターとして活動中。「宅地建物取引士」の資格と実務経験を活かして、不動産関連の記事は300記事以上を執筆。

カテゴリ: 賃貸管理 関連記事

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