賃貸管理を管理会社に依頼すれば、オーナーにかかる手間を軽減できるほか、選ぶ契約の種類によっては賃貸管理で生じるリスクを軽減させることも可能です。管理手数料は管理会社を決定するうえでの判断基準の一つになるものですが、管理手数料の金額だけで管理会社を決めるのは危険だと言えます。
管理手数料が安いサービスだと、管理会社の提供サービスに含まれる業務範囲が狭かったり、解約の条件に注意が必要だったり、過去の実績があまりなかったりするなどのケースがあります。
一方で、管理手数料が高くなると、管理会社が担当する業務の割合が大きくなり、オーナーにかかる負担が軽くなったり、様々なリスクに備える保証が用意されており、安定的な賃貸経営を実現しやすいといったメリットがあります。加えて、トラブル対応に定評があったり、集客力に優れていたりといった強みがあり、管理手数料が高くても顧客から支持を集めている実績豊富な賃貸管理会社である可能性もあります。
今回は、賃貸管理手数料の相場と賃貸管理会社の上手な選び方についてご紹介します。
まず賃貸管理手数料の相場を知らなければ、管理会社から管理料を提案された場合もそれが高いのか安いのかを判断できません。賃貸における管理手数料の相場は、どのくらいなのでしょうか。
一般的に賃貸管理の管理手数料は、1か月分の家賃収入に対して何%という形で計算されることが多くなっています。管理手数料の相場は、家賃収入の5%前後です。この場合の家賃収入とは、家賃に共益費や管理費等を含む額で毎月入居者が支払う額の合計額にあたります。
最近では、管理手数料を安く設定している賃貸管理会社も増えています。特に、都心に近いエリアに立つ新築物件や築浅物件では、管理手数料を低く設定しているケースが多いようです。管理手数料が安い場合は、任せられる管理業務の幅が狭い可能性があります。5%以下の管理手数料の場合は、管理会社が担当する業務の範囲も確認しておくことが大切です。
一般的に賃貸管理会社では、次のような管理業務をサービス内容に含めています。
前述した管理業務は、一般的に賃貸管理会社が提供することの多い業務範囲です。
しかし、管理手数料が相場よりも安い場合は、管理会社が担当する業務の範囲が狭くなり、オーナーが負担する業務が増える可能性があります。反対に管理手数料が高い場合は、上に紹介した業務以外にも提供されるサービスがあるなど、手厚いサポートが用意されているケースが多くなります。
また、賃貸経営では空室期間や家賃の滞納、設備の故障など、様々なリスクが生じる可能性があります。賃貸中に生じたリスクをオーナーが背負うのか、賃貸管理会社が背負うのか、その割合はどの程度であるのかによって、管理手数料は変わってきます。賃貸中に起きると想定されるリスクに備え、リスクをカバーするための保証を手厚くすれば、安定した賃貸経営が実現できますが、その分、管理手数料は高くなります。
つまり、オーナーにかかる負担が少なく、リスクに対する保証が手厚いほど、管理手数料は高くなるのです。管理会社を決めるときには、管理手数料の金額だけにとらわれず、管理手数料と依頼できる業務の内容やオーナーにかかる負担、リスクに対する保証も比較し、手数料が妥当な額であるかを判断しましょう。
管理手数料が安い場合には、しっかりとサービス内容や契約内容を確認しておかないと、後からこんなはずじゃなかった。。。と後悔してしまうこともあります。管理手数料の安い管理会社のサービスを検討する際には、次の3つのポイントを確認しておきましょう。
・管理手数料以外のコスト負担が必要になる場合
管理手数料が安い賃貸管理会社では、手数料とは別にその他の料金が発生する場合も少なくありません。例えば、管理システムの利用料として毎月システム利用料の支払いが必要になるケースや入居者からのクレーム対応は別料金になっていたり、退去時の原状回復費用が高額だったりするケースなどがあります。また、入居者がいない、いわゆる空室状態になってしまった場合に家賃の何割かを管理会社が保証する空室保証付きのサブリース契約などでは、保証料として毎月一定額を支払わなければなりません。管理手数料が安くても、毎月5%以上の保証料を支払うのであれば、オーナーの手元に残る額は少なくなります。
このように、管理手数料が安くてもその他の費用がかかれば、最終的にオーナーが支払う費用は高くなり、トータルコストは高くなる可能性があります。
・オーナーの負担が大きくなる場合
次に、管理手数料以外の費用負担がなく、管理会社の業務範囲が少ないために手数料が低い場合も考えてみましょう。その場合、管理会社が担当しない業務はオーナーが行います。
例えば、入居者からのクレームや設備トラブルの対応をオーナーが担う場合、休日や深夜にも電話が入る可能性があります。入居者の家賃滞納時の督促サービスがない場合は、オーナーが入居者に繰り返し督促を行い、それにも応じない場合は法的手段に訴える必要もあります。
これらのことから賃貸管理の業務をオーナーが担当する場合、目には見えないコストや労力、時間が必要となることがわかるでしょう。転勤等で物件から離れた場所に住む場合などは特に、相場より高い手数料であっても幅広い業務を委託できるのであれば、トータルで見た場合に手数料の高い管理会社のほうがコストパフォーマンスの点で管理手数料の安い会社を上回る可能性があります。
そのほか、管理手数料の安い会社の場合、解約時に条件が付いており、高額な違約金を支払わなければ解約できないケースもあります。賃貸管理会社を選ぶ際は、管理手数料だけにこだわらず、管理手数料以外の費用負担やオーナーにかかる負担も考慮に入れたうえで納得できる会社を選ぶようにしましょう。
管理手数料が安い場合に、賃貸管理サービスの質が低ければ入居者の不満につながり、早期解約につながる可能性があります。
しかし、質の良いサービスを提供している管理会社を見極めるのは難しいのではと考える方もいらっしゃるかもしれません。管理業務をしっかり行っている会社かどうかは、管理を任せる前にも判断できます。それは、管理会社の担当者の対応がポイントになります。
例えば早いタイミングで連絡を返してくれる、質問には的確に回答してくれる、期日がある場合には期日を守るなど、誠意ある対応をする担当者であればその会社も信頼に値すべき会社である確率が高くなります。
管理会社のサービスの質が高ければ入居者の満足度も高くなり、長く安定した入居につながります。入居期間が長くなれば、オーナーはそれだけ安定して家賃収入を得られます。つまり、管理サービスの質は家賃収入に直接影響するのです。管理会社を選ぶ際には管理手数料の安さだけでなく、質の高い管理サービスを提供できる会社を選ぶようにしましょう。
会社はどこかで収益を上げなければ赤字になってしまい、会社として成り立ちません。
したがって、管理手数料を相場よりも安くしている賃貸管理会社は、管理手数料以外の部分で収益を上げている可能性が高くなります。
最近では、管理手数料を無料としている会社もあり、管理手数料を無料にしている代わりに、入居者を獲得したときに広告費として成功報酬制の費用を請求しているケースもあります。この場合、管理会社の収益源は賃貸管理業務ではなく、入居者獲得時の成功報酬です。
管理手数料を主な収益源としている会社であれば、入居者が安定して入居をし続けることで自社も安定した収益を得ることができます。この場合は、オーナーと賃貸管理会社の利害が合致します。
しかし、入居者獲得時の成功報酬を主な収益源としているような会社であれば、入居者募集の業務には力を入れるものの、収益につながらない管理業務に関しては熱心に行わない可能性が高くなるのではないでしょうか。オーナーにとっては、入居者が頻繁に入れ替わるよりも、入居者に安定して長く居住してもらったほうがメリットは大きくなります。
オーナーと賃貸管理会社が目指すところが合致しなければ、互いの利益にはつながりません。賃貸管理会社を選ぶときは、オーナーと賃貸管理会社の双方が同じ目標を持てる会社を選ぶべきだと言えるでしょう。
賃貸管理会社を選ぶ際には、管理手数料だけにとらわれず、次のような点に注意して慎重に検討しましょう。
管理手数料が高ければ、それだけオーナーの手元に残るお金は減ってしまいますが「管理手数料」だけでの判断は賢明な選択だとは言えません。賃貸管理会社選びで大切なことは、トータルコストでどのくらいかかるのか、さらにご自身の手間・負担がどのくらい発生するかという点です。
管理会社選びをする際には、以下の点を確認してサービス内容が管理手数料に見合うものかを検討しましょう。
安心して管理を任せられる賃貸管理会社は、これまでに賃貸管理の実績が十分にあり、かつ高い入居率を誇る会社です。賃貸管理の実績を豊富に持つ会社であれば、それだけ賃貸管理のノウハウを持っている可能性が高く、質の高いサービスを提供しているからこそ、管理物件の数も多いと考えられます。
また、オーナーとして家賃収入で得られる収益を高めるには、入居率の高い会社であるかどうかも欠かせないチェックポイントです。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2021年6月に発表した『日管協短観』によると、首都圏の2020年下期の委託管理の入居率は約95%です。管理手数料が安い会社であっても、入居率がこの値を下回るようであれば空室による損失の方が大きくなると考えられます。
例えば家賃10万円の物件の管理を依頼する際、複数社で比較し、その中で管理手数料が他社よりも2%安い管理会社があったとします。この場合、2%の管理手数料の差によって生じる年間の管理手数料の差額は24,000円です。しかし、空室期間が1か月延びればそれだけで生じる損失は10万円です。空室のリスクに比べれば、管理手数料の差が収益に与える影響はさほど大きくはないことがわかります。
つまり賃貸管理会社を選ぶときには、管理物件の数や管理物件の入居率なども確認し、安心して管理を任せられる管理会社を選ぶことが大切なのです。
出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2020年10月~2021年3月」
賃貸管理は「どのように貸し出すか」によって対応が異なります。
例えば転勤期間中だけ自宅を貸し出すリロケーションの場合は、一般的な賃貸契約とは異なる契約方式を用いるため、専門的な知識やノウハウが必要です。そのため、リロケーションの実績が豊富な会社を選んだほうが安心且つ、スムーズに賃貸管理をしてもらえます。
また、管理会社によって提供している管理業務の内容は異なります。管理を委託する際には提供している業務の幅が広いかどうかも確認しておくとよいでしょう。
管理手数料が安い場合の注意点や、賃貸管理会社選びのポイントをご紹介してきました。ここでは、様々なケースごとの賃貸管理会社の具体的な選び方をご説明します。
転勤の間だけ自宅を貸し出す場合は、オーナーは自宅と離れた場所で生活をすることになります。したがって、貸し出し中に何かトラブルが発生した場合、オーナーが自宅のある場所まで戻って対応することは現実的ではないでしょう。
転勤の期間中だけ賃貸に出す場合は、管理手数料が多少高くなっても、トラブルを始めとする管理業務のほとんどを委託でき、きめ細やかな賃貸管理サービスと充実した保証を提供している賃貸管理会社を選ぶべきではないでしょうか。
不動産投資の場合は、所有するマンションやアパートなどを貸し出して、利益を得ることが最大の目的です。そのため、賃貸経営による収益を最大限に高めるためには、入居率が高く、物件管理の実績が豊富な会社を選ばなければなりません。
また、収益を上げることが目的となるため、管理手数料が高いとその分だけ月々の収益が下がってしまいます。不動産投資の場合は、管理手数料と任せられる業務の範囲を見極め、サービス内容に見合った管理会社を選ぶようにしましょう。
今は誰も住んでいないものの今後、家族や誰かが使用する可能性がある不動産を一時的に貸し出す場合は、不動産投資のように物件取得のコストがかかるわけではありません。
そのため、収益性を重視するよりも、多少管理手数料が上がったとしてもオーナーにかかる手間を極力軽くできる管理会社を選んだほうが良いでしょう。また、いずれ物件を使用する可能性があるのであれば、物件をしっかり管理できる実績のある賃貸管理会社を選ぶことをおすすめします。
賃貸管理の管理手数料は、提供されるサービスの内容や質によって大きく変わります。管理手数料が安ければ、それだけオーナーの手元に残るお金が増えるため、管理手数料の安さは魅力に感じることが多いでしょう。
しかし、管理手数料の安い会社を選択することが、必ずしも賃貸経営を成功させるわけではありません。賃貸管理会社を選ぶ際には、賃貸期間中に発生しうるリスクやオーナーにかかる負担なども含め、賃貸の目的にあった管理会社や管理サービスを選ぶことが大切です。
当社では、次のような様々なシーンにご利用いただける賃貸管理サービスをご用意しております。
不動産の賃貸が初めての方にとっては、不安なことも多いでしょう。
当社では、賃貸が初めての方でも安心してご利用いただけるように手続きの流れや契約プランなどをわかりやすくご説明いたします。また、これまでの賃貸管理のノウハウを活かし、トラブル発生時や入居者からの問い合わせにも迅速かつ適切に対応できる充実したサービス体制をご用意しております。賃貸管理サービスを検討される際は、実績豊富な当社にどうぞお気軽にご相談ください。
カテゴリ:家を貸す・賃貸管理 関連記事
人気記事トップ5