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公開日2022年11月4日/更新日2023年12月26日

住宅ローンが残っている家を貸すことはできる?注意点や判断に迷ったときのポイントをわかりやすく解説

住宅ローンが残っている家を貸すことはできる?注意点や判断に迷ったときのポイントをわかりやすく解説

転勤など何らかの事情で自宅を離れなければならないときに、住宅ローンが残っている家を貸すことはできるのかと考えることはないでしょうか。住宅ローンはローンの契約者やその家族が住む家であることを前提に受けられる融資のため、原則として、住宅ローンが残っている家の貸し出しは難しいです。しかし、必要な手続きを踏めば、住宅ローンが残っている家でも貸し出せる場合があります。

今回は、住宅ローン利用中の家の貸し出しの可否やその場合の注意点などについて説明します。

住宅ローン利用中は貸し出すことはできないのが原則

住宅ローンが残っている状態で家を貸せる例外ケース

住宅ローンは、ローンの契約者本人やその家族が居住することを前提とした融資です。そのため、他のローンに比べて金利が優遇されており、住宅ローンを利用したままマンションを貸してしまうと契約違反になります。

契約に違反し、住宅ローンを利用しているマンションを賃貸に出したことが金融機関にバレてしまうと、違約金の支払いや残債の一括返済を求められる可能性があります。借り入れ先に相談なく、住宅ローン利用中のマンションを貸し出すことは避けましょう。

ただし、転勤などのやむを得ない事情で自宅マンションを一定期間離れる場合には、住宅ローン利用中であっても貸し出すことが認められるケースもあります。

転勤時、住宅ローン利用中の家を賃貸する方法はこちら

住宅ローンが残っているマンションを貸すためには

住宅ローンは、居住目的の住宅を取得する場合に限った融資です。そのため、当初は居住目的であったマンションでも、賃貸目的に変更する場合は、ローンの借り換えが必要になります。

民間の金融機関から住宅ローンの融資を受けている場合は、事業用のローンへの借り換えが必要です。住宅金融支援機構の住宅ローンを利用している場合も、民間の金融機関の事業用ローンに借り換えなければなりません。

また、住宅ローンから事業用ローンへの借り換えは可能ですが、賃貸を終えて再居住したい場合、事業用ローンから再び住宅ローンに借り換えることは難しくなることも覚えておきましょう。

住宅ローンが残っている状態で家を貸せる例外ケース

住宅ローンが残っている状態で家を貸せる例外ケース

住宅ローンが残っている場合は基本的に家を貸すことができません。ですが、特定の条件下では例外として認められることもあります

例えば、転勤が理由で家に住むことが出来なくなった場合には、住宅ローンを継続して貸すことができるケースがあります。他にも、賃貸併用住宅の場合には家を貸し出すことが可能です。それぞれの詳細を解説していきます。

転勤が理由の場合は、住宅ローンを継続できる場合も

住宅ローンが残っている自宅マンションでも、転勤などの理由で一時的に貸す場合には、住宅ローンを継続したまま貸し出せる可能性があります。転勤期間中だけ自宅マンションを貸し出したい場合は、「転勤による一時的な貸し出しであり、帰任後はまた居住する予定である」ということ旨を相談すれば住宅ローンを継続できる可能性があるでしょう。

もし、金融機関に無断で住宅ローン利用中にマンションの貸し出しをすると、契約違反行為となり金融機関とトラブルに発展する可能性があるので注意してください。まずは契約書を確認し金融機関に相談をしてみることをおすすめします。

賃貸併用住宅にした場合の自宅スペース

賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸物件が一緒になっている建物のことです。所持する土地が広い場合に活用されることがあり、同じ敷地内且つ建屋内で二つの世帯が住めるような作りをしています。

融資元にもよりますが、賃貸併用住宅は住宅ローンで購入できるケースが多く、途中で賃貸併用住宅に物件を変更した場合でも継続して住宅ローンを利用できることがあります。もちろん融資元によって利用できるかどうかは異なってくるため、賃貸併用住宅を検討するにしても一度は融資元へ相談してみてください。

住宅ローンが残っているマンションを貸すときの注意点

住宅ローンが残っているマンションを貸すときの注意点

住宅ローンが残っているマンションを貸すときには、次のような点に注意が必要です。

それでは、それぞれ詳しく説明していきます。

住宅ローン利用中の家を賃貸に出すことは金融機関との契約に違反

住宅ローン利用中のマンションを賃貸に出すことは、契約違反です。金融機関に連絡をしないまま住宅ローン利用中のマンションを貸し出していることが知られると、住宅ローンの一括返済を求められたり、違約金の支払いを求められたりする可能性があります。

住宅ローン返済中のマンションを貸したい場合は、必ず銀行に相談をしましょう。

事業用ローンに借り換えると金利は上がる

一般的に事業用ローンの金利は、住宅ローンの金利に比べて高い傾向です。そのため、ローンの借り換えによって金利が上がれば、月々の返済額も高くなってしまうでしょう。

マンションを貸すときに得られる家賃と返済額のバランスを考えなければ、赤字になってしまう可能性も十分にあります。加えて、ローンの借り換えには事務手数料や印紙税なども発生するため、余分にかかる費用も頭に入れておかなければいけません。

例として、不動産投資向けローンの金利をまとめました。

銀行名 変動金利 固定金利
みずほ信託銀行 1.5~2.875% 3.1~5.85%
SMBC信託銀行 - 1.73~2.85%
オリックス銀行 2.675%~3.675% 2.3%~3.7%

※2023年12月時点

住宅ローンの変動金利は1.0%未満のものが多いことを考えると、事業用ローンの方が高く設定されているのがお分かりいただけるかと思います。また、銀行によってローンの金利には差があるため、実際に借り換えを検討することになった際には、複数の銀行の金利情報を確認の上、できる限り権利を抑えられる条件の良いところで借り換えを行うようにしましょう。そうすることで、金利の負担を最小限に抑えることが可能です。

費用がかかる

住宅ローンが残っているマンションを貸し出す場合、例外のケースを除けば基本は事業用ローンへの借り換えが必要になります。事業用ローンへの借り換えには、いくつかの種類の費用が掛かります。具体的な費用は以下の通りです。

費用名 概要 相場
事務手数料 借り換えに伴う金融機関の事務手数料。 30,000円~
印紙税 住宅ローンの契約書類にかかる税金。借入金額によって費用が異なります。 2,000円~
(借入金額100万円超~)
保証料 新たな保証会社に依頼するための料金。 保証会社による。
繰り上げ返済手数料 住宅ローンを繰り上げて返済する際にかかる手数料。 5,000円~
※ネット手続きは無料の場合もあり
保証会社事務手数料 保証料金の返金がある場合に発生する手数料。 約10,000円
※ネット手続きは無料の場合もあり
抵当権抹消費用 住宅ローンの繰り上げ返済に伴って実施する抵当権抹消にかかる費用。 1,000円 / 1不動産
司法書士依頼費用 抵当権抹消手続きを司法書士に依頼した場合の費用。 10,000円~

表示額は予想される最適額を提示しておりますが、内容によってはさらに高額になることも考えられます。

契約方法に注意が必要

契約方法は、普通借家契約、定期借家契約、一時使用賃貸借契約の3種類があります。転勤などの理由で一時的に貸す場合には、転勤から戻ってきた際に再度住めるような契約を希望する方がほとんどかと思います。そういった場合には、普通借家契約ではなく、定期借家契約か一時使用賃貸借契約を選択することになるでしょう。それぞれの契約の詳細は以下の通りです。

概要 メリット デメリット
普通借家契約 借主から解約の申し入れがない限りは契約が自動的に更新される契約。入居者が退去を申し入れるまで継続的に家賃収入を確保できる。
  • 賃料を高く設定しやすい
  • 契約時に条件交渉がされにくい
  • 長く住んでもらいやすい
  • 貸主から契約を解除することは難しい
定期借家契約 契約更新がなく、契約期間を自由に決めることができる契約。契約期間満了の1年前から6か月前までの期間に解約を申し入れることで、満了時点での物件の明け渡しを受けられる。
  • 予め解約日を設定できる
  • 居座りのリスクを回避できる
  • 立ち退き料を支払う必要がない
  • 解約日の1年から半年以上前の間に事前通知をしなければならない
  • 設定する契約期間によっては入居者が見つからない可能性が高まる
一時使用賃貸借契約 「一時使用目的」で締結された賃貸借契約。解約の申し入れが3か月前でもよくなるため、よりフレキシブルな対応が可能。
  • 通知から3か月後に解約できる
  • 転勤などの限られた場合でしか契約できない

自身の状況に合わせて契約方法を選択することで、より有効に物件を活用することができます。もし、細かいことまで把握できない場合には、管理会社に直接相談してみるのもおすすめです。

住宅ローン控除の適用が受けられない

住宅ローンから事業用ローンに借り替えをしたときはもちろん、住宅ローンのままマンションを貸せる場合であっても、貸し出し期間中は住宅ローン控除が適用されませんこれは、住宅ローン控除はローンの契約者本人、または家族が居住している場合に適用される制度だからです。マンションを賃貸に出した場合、契約者や家族はそのマンションには居住していないということになるため、住宅ローン控除は適用になりません。

住宅ローン控除が無くなることによって増えてしまう負担については、住宅ローンのまま貸し出す場合と事業用ローンに借り換えて貸し出す場合とでその負担分を軽減する方法が異なってきます。
例えば住宅ローンのまま貸し出す場合は、ローンの返済分を家賃で補うのはもちろんのこと、加えて本来なら受けることのできた控除額を年間の家賃に組み込むことで、受けられなくなった負担分を補うことが可能です。ただこの場合、控除額分を組み込むことで家賃相場よりも高くなってしまって、入居希望者が集まらなくなる可能性も出てくるため注意が必要です。

事業用ローンへの借り換えの場合は、住宅ローン控除は受けられなくても青色申告による控除や設備や修繕にかかる費用を経費で計上することで、住宅ローン控除が受けられない分の負担を軽減することができます

もし、帰任後にまだ住宅ローン控除の適用期間が残っているようであれば、手続きを行うことで再度住宅ローン控除を利用することが可能です

住宅ローン控除の再適用についてはこちら

金融機関によって変わるのか

金融機関のよって変わるのか

住宅ローンが残っている場合、何の種類の住宅ローンを利用しているのかによって対応が変わってくることが予測されます。例えば、銀行独自の住宅ローンなのか、それとも銀行を介して契約する住宅支援機構のフラット35なのか、によって変わってくる可能性があります

そこで以下では、金融機関の住宅ローンを利用している場合と住宅支援機構のローンを利用している場合の2通りの内容について解説します。

銀行のような金融機関の場合

銀行のような金融機関が提供する住宅ローンの場合は、銀行が取り決める規定に基づいて賃貸ができるかどうか判断されます。そのため、転勤などのやむを得ない事情がある場合でも、金融機関によっては賃貸の許可が下りない場合があります。

初めから転勤が理由で賃貸に出すことを前提に住宅ローンを組む方はいらっしゃらないと思いますので、まずは賃貸ができるのかどうかを金融機関に相談するところから始めないといけません。場合によっては別の金融機関で借り換えるなどの手段を取らなければいけない可能性もあるでしょう。

住宅支援機構の場合

住宅支援機構のローンであるフラット35の場合、金融機関の商品では無いため金融機関ごとに対応が変わることはありません。住宅支援機構の規定に沿って判断されるため、どの金融機関を経由して利用したとしても結果は同じです。

結論としては、転勤などのやむを得ない場合には賃貸としての貸し出しを許可する旨が記載されています。以下は住宅支援機構のページの抜粋となります。

転勤等のやむを得ないご事情で、一時的に居住できない場合、融資住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能です。
ただし、金融機関の窓口で住所変更に関する手続を行ってください。
なお、第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。
参考:返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。(住宅ローン:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】)

つまり、どの金融機関を介していても転勤などのやむを得ない事情がある場合には賃貸の許可が下ります。住所変更などの手続きは必要になるため、いずれにせよ金融機関への相談は必須と言えます。

マンションを貸すか判断に迷ったときのポイント

マンションを貸すか判断に迷ったときのポイント

自宅マンションを離れることになった際、本当に貸すべきかどうか悩むことも珍しくありません。もし、どうするべきか迷った場合には、以下のポイントを意識して判断してみることをおすすめします。

自宅を離れる理由がどういったものなのか、「すぐに戻れるのか」「戻る予定はないのか」などを基準に貸すべきかどうかを判断します。また、マンションを貸し出した結果、赤字になって自身の負担が増えてしまっては本末転倒ですので、収益の側面でも問題は無いか判断しなければいけません。

将来的にマンションに戻る予定があるか

将来的にマンションに戻る予定がある場合には、物件を売却するという選択が無くなるため、貸し出すことで収益が期待できそうな場合は住宅ローンの返済と合わせて貸し出しを検討してみるのも一つです。少しでも家賃による収入が得られれば、住宅ローンの返済に充てることもできるため、自身の負担を軽減することができます。

貸すことによって得られる見込み収入、貸し出すことによって受けられなくなる住宅ローン控除、想定されるその他の出費、これらの情報をもとにシミュレーションを実施し、収益に期待できる、もしくはローンを返済する負担の軽減になるといった場合には貸し出してみることをおすすめします。

まとまった資金が必要かどうか

マンションを貸す際には、資金計画と詳細なシミュレーションが欠かせません。マンションを貸した結果、赤字での運営が続いて自己資金の持ち出しが発生してしまっては本末転倒です。現在の自己資金や予測される家賃収入額、想定される出費などの情報をもとにシミュレーションを実施したうえで、自己資金のショートなどが発生する可能性は無いか確認して貸し出すか判断しましょう。

以上のことを踏まえて、資金計画を立てていくうえで最初に持ち合わせる資金は多い方がショートする可能性も低くなるため、どのくらいのまとまった資金があるのかも判断基準として考えておくとより良い判断が下せます。

判断方法やコストに関する詳細な情報は、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。

自分で管理を行うか、どうか

自身でマンションを管理するかどうかも貸すべきかの判断基準となります。マンションを貸すことになれば、家賃の回収や設備不良発生時の修理などが必要となり、それに対応しなければいけなくなります

手放しで貸し出せるわけでは無い点について、しっかりと理解したうえで貸し出しを判断しなければいけません

少しでも管理負担を抑えて貸し出したい場合には、管理会社に委託するのも一つの方法です。委託してしまえば、入居者の審査やトラブル発生時の対応を代わりにやってくれます。もちろん管理手数料はかかりますが、安心して自身の資産であるマンションを貸し出すことができるでしょう。

よくある質問

住宅ローンを払いながら住宅ローン物件を貸すことはできる?

住宅ローンを払いながら物件を貸すことは基本的にできません。転勤など特別な理由がある場合には、金融機関に相談することで許可が下りるかもしれませんが、原則は禁止されているので気を付けましょう。

住宅ローンが残ったマンションを家族に貸すことはできる?

住宅ローンは債務者が居住する事が前提のローンであるため、家族といえども返済中の貸し出しによって家賃を得る場合は契約違反になる可能性があります。しかし、自身が転勤などの例外に当てはまる理由でマンションを離れる場合には、金融機関に相談することで貸すことができるようになる可能性があるでしょう。

まとめ

住宅ローンの返済が残っているマンションをそのまま賃貸に出すことは、原則としてできません。住宅ローンが残っているマンションを貸す場合は、事業用ローンへの借り換えが必要です。

ただし、転勤などのやむを得ない理由で一時的にマンションを貸す場合は、住宅ローンを継続したままマンションを貸し出せる場合もあります。転勤のために自宅マンションを貸したい場合は、まずは金融機関に相談し、転勤期間中の賃貸(リロケーション)に詳しい不動産会社に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

転勤などで、期間限定でお家を貸してみたいけどどうすれば良いか分からない時は「リロの留守宅管理」をご利用ください。

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