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公開日2022年10月25日/更新日2024年7月25日

海外赴任での住民票の手続きは?必要なポイントと除票のタイミングを解説

海外赴任での住民票の手続きは?必要なポイントと除票のタイミングを解説

日本国内で引越しをする場合、住所が変わるので、住んでいる自治体から転居先の自治体への住民票の異動が必要です。

一方、海外赴任などで海外への引越しを行う場合、住所は海外へと移ります。そのような場合、住民票はどのようになるのでしょうか。何かしなければならない手続きはあるのでしょうか。

今回は、海外赴任が決まり、国内から海外へと出て行く時、海外に居住している間、海外から帰任する時、それぞれの場面での住民票に関することを順にお話していきます。

海外赴任が決まったときの住民票に関する手続き

海外赴任が決まったときの住民票に関する手続き

海外赴任が決まった時の住民票に関する手続きは以下のようになります。

・1年以上の海外赴任:「海外転出届」を提出し、住民票を抹消(除票)する

・1年未満の海外赴任:「海外転出届」は基本的に不要。住民票は現住所のまま。

・海外転出届の提出先:住民登録をしている役所

海外転出届を提出すると住民基本台帳から現住所での住民票を「除票」する必要があります。詳しくは「1-2.海外赴任時における住民票の除票とは」で解説します。

海外転出届の届出期間と手続きの必要性

海外転出届は1年以上海外に在住する際に必要な書類です。海外転出届を提出すると住民票を抜く(除票される)ことになるので、海外転出届と住民票は密接な関係にあります。

海外転出届の届出期間は、おおむね出国する日の14日前から当日までの間で住んでいる自治体の役所で手続きを行います。

海外転出届の手続きができるのは、本人、世帯主、同一世帯の方です。また、法定代理人、任意代理人でも手続きは可能で代理人に依頼する際は、委任状が必要です。

届出の詳しい方法は、「2-1.海外転出届、届出の流れ」で改めて説明いたします。

また、この間に手続きをしないと、5万円以下の過料に処されることがあるので注意が必要です。

海外赴任時における住民票の除票とは

海外転出届を提出する際「異動予定日」という、海外赴任する予定日を記入する欄があります。異動予定日に記入した日付のタイミングで今まで住んでいた地域の住民基本台帳から住民票が抜かれます。これを住民票の除票といい、住民票が除票されるということは「その地域の住民として扱わない」ということになります。そのため、自治体からの各種の通知や案内が届かなくなります

海外赴任で国外に住所が変わるときに必要な書類

住民票の取り扱いにおける、海外転出届に必要な書類は以下の通りです。こちらも各市区町村によって変わりますので、お住まいの役所にご確認ください。

横浜市の場合は下記の通りです。

窓口での転出届

・住民異動届
・窓口に来た方の本人確認書類
・本人または本人と同一世帯の人から頼まれた代理人の場合)委任状
・(交付を受けている人)通知カード又はマイナンバーカード
・(交付を受けている人)国民健康保険証、医療証、年金手帳など
・認印

出典:窓口での転出届(国外への引越し) 横浜市

郵送での転出届

・転出届
・届出する人の本人確認書類の写し
・(任意代理人による届出の場合)委任状

出典:郵送手の転出届(国外への引っ越し) 横浜市

海外赴任時の海外転出届について

海外赴任時の海外転出届について

1年以上の海外在住となる場合には海外転出届を届け出ます。こちらでは海外赴任が決まった時にどのような流れで住民票の手続きをするか説明します。

海外転出届、届出の流れ

1年以上の海外赴任の場合、海外転出届を届け出て住民票を抜き(除票し)ます。ここでは海外転出届けの手続きについてご案内します。

海外転出届の届出の手続き

・届出期間:海外赴任前14日前~当日中(役所によっては前日の場合もあります)

・届出方法:役所の窓口、郵送、オンライン
オンラインでの方法は、自治体によっては取り扱いがない場合もあるので、役所に確認が必要です。

・届出できる人:本人、本人、世帯主、同一世帯、法定代理人、任意代理人
代理人が役所に提出する場合、海外赴任をする本人が委任状を作成します。

・海外転出届に必要な書類:

横浜市の場合は下記の通りです。

なお、マイナンバーカードを持っている場合は、窓口にてマイナンバーカードの継続利用の手続きが必要となるため、郵送での届出はできません。

窓口での転出届

・住民異動届
・窓口に来た方の本人確認書類
・本人または本人と同一世帯の人から頼まれた代理人の場合)委任状
・(交付を受けている人)通知カード又はマイナンバーカード
・(交付を受けている人)国民健康保険証、医療証、年金手帳など
・認印

出典:窓口での転出届(国外への引越し) 横浜市

郵送での転出届

・転出届
・届出する人の本人確認書類の写し
・(任意代理人による届出の場合)委任状

必要な書類については自治体ごとに異なるため、役所に確認が必要です。

海外赴任が1年未満の場合

海外在住が1年未満の場合、基本的には一時的な国外滞在と見なされ海外転出届は不要です。そのため住民票の手続きも必要ありません。

注意点として、国内で生活している事になるので住民税の支払いが発生します。

節税を考えている場合は、1年未満の海外赴任でも海外転出届を届け出て住民票を除票することができます。ただし、出国の目的やその期間、生活の実態といった状況から、生活の本拠があくまで国内であると判断されると、やはり納税が必要です。

また、1年未満の海外赴任で住民票を除票するリスクとして、以下のようなものが考えられます。

  • 一時帰国をした際に病院で診察を受けた場合、費用が全額自己負担となる
  • 印鑑証明が失効する
    (除票後は印鑑証明の代わりに在外公館で署名証明を発行してもらう必要がある)
    ※車の一時抹消手続きや不動産の売買には印鑑証明が必要
  • 年金受給額が減る可能性がある
    ※年金については海外にいても任意で加入が可能(詳しくは後述します)

家族や妻の住民票手続きも忘れずに

家族帯同で海外赴任する場合は、家族の住民票も手続きが必要です。海外転出届に家族の分も記入し、住民票を抜くことを忘れないようにしましょう。また、単身赴任の場合、世帯主を変更しなければいけません。妻や子供と住んでいる場合は、妻を世帯主に変更します。親と同居している場合は親でも構いません。

また、児童手当の受給をしていたら受給者を妻に変更することで、児童手当を継続できます。

海外赴任の際、家はどうする

海外赴任に際して、自宅をどうすべきか気になると思います。ここでは海外赴任が決まり、持ち家をどうすれば良いかを整理して説明します。

賃貸物件の場合

賃貸物件に住んでいる場合は、賃貸契約を解約します。海外赴任日を賃貸管理会社に伝え、解約する日を決めます。契約によっては、解約日の2ヶ月前までの通知が必要などの規定が存在します。合わせて電気、水道、ガスの停止も各事業会社に連絡をして停止手続きをしておく必要があります。

持ち家の場合

家族帯同で海外赴任する場合

海外赴任中に限定した貸し出す方法があります。家賃収入も得られ、空き家にするよりも家へのダメージを抑えられるため、帰任後に再度住む可能性が少しでもあれば賃貸に出すことをおすすめします。住宅ローン支払い中の賃貸は原則不可ですが、海外赴任や転勤に限り可能になる場合が多いため賃貸を検討する場合、金融機関に確認しましょう。

家は定期的に通風、通水をしないと建材や畳などの設備が傷むので空き家のまま放置するのだけは止めましょう。この場合、空き家管理を行う業者のサービスを利用するか、親類に自宅の管理を依頼する方法もありますが、小まめな対応が必要です。

家電や家具を残したまま貸し出せる?

家具や家電を置いたままで賃貸に出すことは基本的にNGです。

トランクルームや不用品の買取・処分業者に依頼する必要があります。

弊社リロの留守宅管理は海外赴任や転勤する方に強みをもつ賃貸管理会社です。40年の実績からそれぞれのお困りごとに役立てる各種サービスを用意しています。その中の一つとして家財保管(トランクルーム)、不用品の買取・処分業者と提携し、弊社を利用する方への特別な特典をご用意しています。

海外・国内転勤の準備を便利に | リロケーション・ジャパン

海外赴任に際して持ち家の賃貸を検討したいと思ったら、2~3社に賃料査定を依頼して、貸し出す際のシミュレーションや注意点を聞いてみると良いでしょう。

海外赴任時の税金、社会保険などは?

海外赴任時の税金、社会保険などは?

海外赴任時の住民票の扱いについてご案内してきましたが、住民票以外の税金や社会保険はどうなるのでしょうか?

こちらでは、1年以上の海外赴任において海外転出届を提出した場合、保険、年金などのお金に関わることを解説します。

住民税の支払い義務について

住民税は、地域の住民として住所のある場所に納めなければならない税金です。金額は前年分の所得によって変わり、算出の際には確定申告などの申告内容が参照されます。支払いは給与からの天引きによって行われることが多いです。誰がどこに対して支払わなければならないかということについては、1月1日時点で誰がその地域を本拠として生活していたか、住民票に記録されている住所が参照されています。

出典:総務省「やさしい地方税 個人住民税

海外赴任にあたって、海外転出届を届け出ていないなどして1月1日時点で国内に住民票があれば、住民票のある都道府県・市区町村から住民税の納付を求められます。特別徴収の場合は、国内での給与支給があれば、勤務先からこれまで通り納付されます。また、出国前に未納税分を前もって一括控除して納付することもできます。普通徴収の場合、出国してしまって自ら支払うことができない場合は、代わりに納税の手続きをしてもらう納税管理人を事前に届け出ておき、納税を行う必要があります。

一方で、海外転出届を出し、住民票が除票されているということは、住所(住民登録)が国内ではない人ということなので、基本的には住民税の支払いも不要となります。ただしこのとき、出国の目的やその期間、生活の実態といった状況から、生活の本拠があくまで国内であると判断される場合であると、やはり納税が必要です。

海外在住期間 住民税の納付 特別徴収について
1年以上
(海外転出届提出済)
不要 -
1年未満
(海外転出届未提出)
必要
(国内で継続して給与支給がある場合)

年金について

国内の年金制度について

国民年金の被保険者は、国内に住む20歳以上60歳未満の人たち(強制加入被保険者)です。国内で勤める会社員の多くは厚生年金保険にも加入していますが、この場合も国民年金(基礎年金)には同時加入しています(第2号被保険者)。

海外に居住していても日本の会社から給与を得ている場合には、厚生年金保険の保険料を納め、国内の年金への加入も続けられることが一般的です。現地法人に勤めるなどして、国内の法人から給与を受け取ることなく住所が国外になる場合、国民年金(基礎年金)に任意加入することで支払いを続け、将来に備えることもできます。

出典:総務省「日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)」

国外の社会保障制度について

海外で暮らすときには、その国の社会保障制度に加入することになります。

出典:厚生労働省「海外の年金制度

日本の会社から海外に派遣され、海外に住んでいても国内の厚生年金保険に継続して加入しているなど、国内と国外で保険料が二重にかかってしまうことがあります。また、年金を受け取る資格の中で、「一定期間の制度への加入」が条件になっているものも多く、年数が足らないと年金が受け取れないということもあります。日本では、こうした問題を解決するための社会保障協定というものを各国との間で結んでいます。

社会保障協定発効状況(2024年7月現在)

ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア

社会保障協定の中で定められていることは主に二つです。

一つは、二重負担にならないように、5年以内の派遣のときには派遣先の国の制度に加入せずに、日本国内の制度を適用し、5年を超えるときには日本国内の制度ではなく、派遣先の制度のみを適用させること(適用調整)

【社会保障協定発効済み国】

赴任期間 加入する年金制度
5年以内 ・日本の年金に継続加入
・赴任国の年金制度への加入は免除される
5年超 ・日本の年金に継続加入しないが、国民年金の任意加入は可能
・赴任国の年金制度に加入する

もう一つは、国内・国外、どちらかの加入期間が足りないと年金の受給ができないということにならないようにするために、加入期間を通算します。そして、受給のために必要な加入期間に足りる場合には、それぞれの加入していた期間分の年金を受給できるということです(保険期間の通算)。

例えば、10年間加入していないと受給条件を満たせない国外の年金制度に6年間加入していたとして、国内の年金制度に14年間加入していたとすると、合わせて20年間加入していたことになるので、10年間加入の条件を満たすことができて、国外の年金制度の6年分と、国内の年金制度の14年分はそれぞれ受給できるようになるということです。

出典:厚生労働省「日本年金機構「社会保障協定」
出典:厚生労働省「厚生労働省「海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)

医療保険について

会社員(被用者)であると、社会保険として厚生年金保険とともに、医療保険である健康保険にも加入していることが一般的です。

厚生年金保険と同様に、国内の法人に所属したまま海外に赴任となる場合には、住所に関わらず支払いも加入も継続します。

ただし、加入していても海外の医療機関では日本の健康保険を利用できません。医療機関を受診した際には、後日所定の手続きを踏むことで、負担の一部について払い戻しを受けられる場合があります。

なお、住所が国内のままである場合に、被用者保険ではなく、国民健康保険に入っていることもありますが、このときも同様です。海外では利用できないので、あとから払い戻しの手続きを行います。

海外に住所を持ち海外の企業で勤めるなどして、国内の健康保険から脱退する場合、現地での事故やケガには、赴任先の国の医療保険や、海外旅行保険の赴任者向けプランなど、海外でも利用可能な民間医療保険に加入して備えましょう

銀行口座の手続き

海外赴任のために住民票を除票した場合、日本で所有している銀行口座を解約しなければならない金融機関もあります。また、解約の必要が無くても、取引できる内容に制限が課せられるケースも多いため、海外赴任前にあらかじめ金融機関に必要な手続きを確認しておくとよいでしょう。

免許証の更新

海外赴任のため更新期間内に運転免許の更新ができない場合は、特例として更新期間前でも更新手続きをすることができます。免許の更新タイミングを確認し、必要に応じて運転免許センターや警察署で免許証の更新手続きを行うようにしましょう。

ライフライン(電気、ガスなど)の解約・休止手続き

電気やガス、水道、新聞、携帯電話、インターネット回線など、赴任期間中に使用しない場合は、解約もしくは休止の手続きをしておきます。

自動車の手続き

自動車を所有している場合、国内に居住していなくても毎年自動車税がかかります。自動車税の納付を不要にする「一時抹消手続き」を行うと自動車税などの対象とならずに保管できます。

手続きは各自治体の陸運局で行います。同時に自動車保険の解約も必要になります。

渡航前に自動車の扱い方についても判断し、必要な手続きを行いましょう。

民間の保険会社への渡航届

民間の生命保険等に加入している場合は、加入している保険会社に渡航届を提出します。

証券会社への届け出

日本の証券口座を所有している場合、赴任期間中の取引に制限が生じることがあります。証券会社によって対応は異なりますが、いずれの証券会社でも手続きが必要です。

(日本国内で所得がある場合)納税管理人などの準備

海外赴任中も日本国内において所得がある場合は、納税管理人の届出をしておかなければなりません。

持ち家を賃貸に出す場合も不動産所得が発生するため、納税管理人の届出が必要です。

まとめ

海外赴任時の住民票の取り扱いと、転出時の住民票関連の手続きを解説しました。

海外在住の期間が1年未満であれば、住民票の除票のための手続きは不要ですが、1年以上の場合は手続きが必要です。1年未満の海外赴任の場合でも、除票のための手続きを行うかどうかで、住民税、年金、医療保険などに違いがあります。

海外転出届の手続きは、役所の担当窓口で本人と家族について行います。手続きの際には住民異動届と本人確認書類が共通して必要となります。

住民票関連以外についても、併せて進めておきたい手続きがいくつかあります。インフラに関するもの、住宅に関するもの、海外赴任に際して様々な手続きがありますが、順番に整理しながら進めていきましょう。

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