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更新日2020年8月24日

「パリ症候群」にご用心

引越しの前後は、片づけや各種手続きの忙しさと、新しい生活への期待が混ざりあい、毎日が瞬く間に過ぎていくものです。とくに海外赴任となると、海外引越し用の荷作りや手続き 、住まいのリロケーションなど、国内の引越しとは勝手が異なることもあって、何かと慌ただしくなります。

花の都パリが、実際には……そのギャップから陥る「パリ症候群」

「パリ症候群」にご用心

そうした引越しの慌ただしさが過ぎ去ったあとには、いよいよ日常生活が始まりますが、実際に暮らしてみると、出国前に描いていた海外生活の「理想」と「現実」のギャップが目につき始めることも少なくありません。そして、なかには「こんなはずではなかったのに……」と、ショックが押し寄せ、メンタルが弱ってしまう方もみられます。

たとえば、「パリ症候群」という言葉をご存じでしょうか。パリといえば、最先端のファッションであふれ、エスプリと文化の香り漂う街並みを想像されることでしょう。しかし一方 で現実のパリには、薄汚れた建物や治安の悪い通りなどがあることも事実。また、パリの人々はフランス語を話せない外国人に冷たい傾向もあり、レストランやカフェなどでは日本に比べてサービスをおざなりにするところも珍しくありません。

こうしたギャップに直面し、現地の暮らしに馴染むことができず、メンタルのバランスを崩してしまう外国人がパリには少なくないのです。こうした症状のことを「パリ症候群」といい、とくに日本人に多いといわれています。

カルチャーショックや環境変化、疲れによってストレス過多に

パリ症候群の要因としては、映画やテレビ、雑誌などの影響で、「理想のパリ像」が美化されすぎていることが一つ。それによって、理想と現実のギャップが大きくなり、カルチャーショックが増幅されてしまうのです。

また、それにくわえて、海外赴任による急激な環境変化や、言葉が通じないことなどから、自覚する以上に疲れが溜まってしまうことも要因にあげられます。さらに、日本人と違って 、フランス人は自分の意見を率直に言う気質があり、そうした文化の違いからも、知らず知らずのうちにストレスを溜めこんでしまうのかもしれません。

ネガティブな面も含めて情報収集。日本人コミュニティも活用を

こうしたことは、パリに限ったことではありません。そうならないためにも、海外生活に過度の理想を抱くのではなく、ネガティブな面も含めて、海外赴任前にしっかりと現地情報を収集し、現地の習慣や文化を知っておくことが大切です。

また、現地では悩みを一人で抱え込むのではなく、まずは身近な家族に相談することだけでも気が休まるはずです。現地に日本人会など在留邦人のコミュニティがある場合には、そこに参加することで、同じく海外赴任する仲間が心強い相談相手になってくれることでしょう。そして、あせることなく、少しずつ現地の暮らしに慣れていくことを心掛け、自分なりの楽しみをひとつひとつ見つけていってください。

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