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公開日2012年5月31日/更新日2021年12月23日

「海外療養費」のしくみと申請方法

日本のご自宅のリロケーションの手配を済ませ、準備万全で海外赴任生活をスタートさせたとしても、赴任先で病気やケガを患い、やむをえず現地の医療機関で診療を受けることも考えられます。そんなとき、ご加入の健康保険窓口に必要な申請を行えば、海外で支払った医療費の一部の払い戻しを受けられることをご存じでしょうか。

全額支給ではなく、日本国内での標準額をもとに算出

「海外療養費」のしくみと申請方法

海外で支払った医療費から自己負担相当分を控除した額が払い戻される制度を「海外療養費」といいます。海外では国によって医療費の水準が異なりますので、原則として、日本で治療を受けた場合に換算して算出された「標準額」をもとに給付額が決定されます。その算出方法は以下のとおりです。

(1)日本での標準額が、実際に海外で支払った額(日本円換算)を下回る場合
日本での標準額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。たとえば、日本での標準額が10万円で、実際に支払った額が12万円だとすると、日本での標準額10万円-自己負担分3万円(3割)=海外療養費7万円(7割)となり、7万円が海外療養費として払い戻されます。

(2)日本での標準額が、実際に海外で支払った額を上回る場合
実際に海外で支払った額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。たとえば、日本での標準額が10万円で、実際に支払った額が6万円だとすると、実際に支払った額6万円-自己負担分1万8000円(3割)=海外療養費4万2000円(7割)となり、4万2000円が海外療養費として払い戻されます。つまり、日本での標準額、実際に海外で支払った額のうち、安いほうが適用されるということになります。

海外療養費の支給が適用されないケース

ただし、海外で治療を受けたすべての場合において海外療養費が支給されるわけではありません。臓器移植など治療を目的に海外へ渡航し療養を受けた場合、および、日本国内で保険適用されない医療行為等(美容整形手術、人工授精などの不妊治療、性転換手術など)は、支給の対象外となっています

また、現地法人への出向というかたちで海外赴任し、労務管理が海外現地に移行された場合などにおいては、被保険者資格がなくなることがありますので、社内の担当部署に事前に確認してください。海外転出の届出をされた場合も、被保険者資格がなくなりますので適用されません。

海外療養費の申請手続き

治療を受けた海外の医療機関に、治療費をいったん自己負担で全額支払います。そして、治療内容の証明書(診療内容明細書)と、診療に要した医療費の明細書(領収明細書)の作成を依頼し、受け取ります。

そのうえで、帰国後、療養費支払申請書を作成し、診療内容明細書、領収明細書とあわせて加入する健康保険窓口に提出します。診療内容明細書と領収明細書が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付する必要があります。

なお、海外で支払った日の翌日から起算して2年を経過した日が申請の期限となります。その他詳細については、ご加入の健康保険窓口にお問い合わせください。

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