リロの留守宅管理 > リロケーション基礎知識 > 海外赴任 > 海外転勤先からペットと一緒に帰国するには
公開日2012年3月29日/更新日2020年8月24日

海外転勤先からペットと一緒に帰国するには

海外赴任・転勤先での暮らしをペットと一緒に楽しまれている方も多いでしょう。「リロケーションを終えた日本のわが家でももちろん一緒」。それが飼い主の心情だと思います。

ただし、ペットを海外から日本に連れて帰る場合、さまざまな規定があります。動物の種類によっても手続きが異なったり、到着する空港が限定されたり、飛行機によってはペットを運搬できない場合もあります。住まいのリロケーションの解約手続きと同様、早い段階から必要事項を確認し、確実に準備を進めていくことが賢明です。

「指定地域」と「指定地域以外」によって必要な準備が異なります

海外転勤先からペットと一緒に帰国するには

犬や猫を輸入する際の準備や手続き内容は、輸出先(海外赴任先)の国・地域が「指定地域」(狂犬病の発生のない地域として日本の農林水産大臣が指定している地域)、「指定地域以外」で異なります。2021年3月24日現在の「指定地域」は、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸国、ハワイ、グアムの6地域です。
ここでは、犬、猫の日本への入国についてご紹介します。なお、犬については輸入(入国)できる空港(港)が限定されているので、事前に確認してください。

「指定地域」からの手続き

「指定地域」に在住していることの規定確認

指定地域からの日本への持ち込みの場合、ペットが指定地域に在住していることを、下記A、B、Cのいずれかに該当していることにより確認します。

A)出生以降、指定地域のみで飼養されていること
B)日本へ輸出される直前の180日以上を指定地域のみで飼養されていること
C)日本から輸出後、指定地域のみで飼養されていたこと
いずれにも該当しない場合、180日から指定地域で飼養されていた日数を差し引いた日数の間の係留検査を受けなければなりません。

1.マイクロチップの埋め込み(個体識別措置)

国際標準規格(ISO)11784・11785に適合するマイクロチップを動物病院で埋め込みます。本来、日本到着後の輸入検査は12時間以内の係留ですが、個体識別措置が講じられていないと最長180日間となってしまいます。犬の場合、証明書との照合ができないと返送されてしまいます。また、到着時の検査でマイクロチップが読み取れないと、個体識別措置が講じられていないとみなされます。

2.到着予定地への事前届出(日本到着の40日前まで)

輸送手段(貨物、携帯品)にかかわらず、到着の40日前までに到着予定の空港(港)を管轄する動物検疫所に事前届出を行います。犬は輸入できる空港(港)が限定されているので注意してください。届出は、FAX、郵送、電子メール、動物検疫所サイト『動物検疫関連業務(NACCS)』から「輸入の届出書」を提出します。動物検疫所で届出内容等を確認後、「動物の輸入に関する届出受理書」が交付されます。届出受理書は空港(港)のチェックイン時や日本到着時の輸入検査で必要ですので、印刷して保管しておいてください。

3.輸出前検査(輸出前10日以内)

出国直前(搭載前10日以内)に、民間獣医師又は輸出国政府機関の獣医官による輸出前検査(臨床検査)を受け、犬は狂犬病およびレプトスピラ症、猫は狂犬病に、かかっていないまたはかかっている疑いがないことを確認します。

4.輸出国の証明書の取得

赴任国現地の政府機関(日本の動物検疫所に相当する機関)で、証明書を取得します。不備を防ぐために、証明書の推奨様式(Form AB)を使用するとよいでしょう。不備がある場合、最長180日間の係留検査または返送・致死処分となってしまいます。事前に動物検疫所で証明書の内容確認をすることをお勧めします。

輸送に関する規定

赴任国(指定地域)から日本までは、「直行便」を利用してください。指定地域以外の国・地域を「経由」する場合、輸送ケージに封印するか、「輸送に関する追加証明書(ANNEX)」を経由地の動物検疫機関などの取得が必要となります。

5.日本到着後の輸入検査

日本到着後、動物検疫所で輸入検査を受けます。問題なければ輸入が認められ到着時の係留期間は12時間以内となりますが、日本の輸入条件を満たしていない場合、最長180日間の係留検査、または返送・致死処分となります。

「指定地域以外」からの手続き

狂犬病の洗浄国指定されている国以外からの手続きは、以下のようになります。

1.マイクロチップの埋め込み(個体識別措置)【1回目の狂犬病予防注射摂取前】

2.狂犬病予防注射(2回以上)【1回目:到着210日前まで、2回目:到着180日前まで】

1回目は生後91日齢以降でマイクロチップ埋め込み後、2回目は1回目の予防接種から30日以上間隔をあける(ただし、1回目の狂犬病予防注射の有効免疫期間内)。

3.狂犬病の抗体検査【到着180日前まで】

2回目の狂犬病予防注射の後に採血し、抗体価を測定します

4.輸出前待機【180日以上】

狂犬病抗体検査後、日本到着まで180日間以上待機期間を設けます。(採血日を0日目とする)ただし、狂犬病予防注射の有効免疫期間で狂犬病抗体検査の有効期間(採血日から2年間)内に日本に到着する必要があります。

5.到着予定地への事前届出(日本到着の40日前まで)

6.輸出前検査(輸出前10日以内)

7.輸出国の証明書の取得

8.日本到着後の輸入検査

「指定地域」と同様、問題なければ輸入が認められ、到着時の係留期間は12時間以内となりますが、証明内容に不備がある場合には、最長180日間の係留検査または返送・致死処分となります。

リロケーションの手続きを終え、日本のわが家での暮らしをペットと一緒にスムーズに始められるよう、ご本人やご家族と同様、ペットの体調にも気を配ることが必要です。また日々情報や制度が変わるため、手続きの詳細や犬・猫を輸入できる空港(港)などの情報については、事前に動物検疫所のホームページで必ず最新情報を確認のうえ準備を進めてください

記事検索