会社勤めの宿命として、転勤の可能性は避けて通れない道。会社や部署によっては、赴任先が海外になることもあるでしょう。ご自身のキャリアを考えると、転勤や海外赴任は大きなチャンスとも言えます。
しかし、持ち家がある場合、赴任期間中の対応をどうするか頭を抱える人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、海外赴任中の持ち家をどうするか。売る・貸す・空き家の3つの方法を、メリット・デメリットを含めて解説します。
家族をマイホームに残して単身赴任という選択肢もありますが、やはり新しい土地でも家族と一緒に暮らしたいものです。
その場合、持ち家については「売却」「賃貸」などの選択肢が考えられます。また「空き家」として残す方法もあります。それぞれの管理方法におけるメリット・デメリットは次のとおりです。
管理方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
空き家として残す |
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売却する |
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賃貸に出す |
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賃貸や売却をせずに空き家として家を保管しておく場合は、赴任先に持っていくことのできない荷物を置いていくことができ、一時帰国の際にも自宅を利用することができます。しかし、住宅ローンの支払いと赴任先の家賃と二重にかかってしまい、支出が増えてしまう場合もあります。
しかも、高温多湿の日本では、空き家で閉めっぱなしにしておくと、湿気などで大切な家が傷んでしまいます。キッチンやお風呂、トイレなどの設備も、長期間使われない状態が続くと劣化してしまうため、近所の人や親戚、または管理会社に依頼して適切に管理する必要があります。
持ち家を空き家として残す場合は、帰国した際に宿泊施設を探す必要がありません。これが最大のメリットと言えるでしょう。また、赴任先に持っていかない荷物を保管できるうえに、海外赴任が終わり、日本に完全帰国する場合にも住居が確保されているという安心感があります。
持ち家を空き家として残す場合は、次のデメリットがあることを把握しておかなければいけません。
前述のとおり、日本は住宅が傷みやすい条件が揃っています。適切な管理をしていないと、海外赴任から戻った際に住めなくなってしまいます。近所の人や親戚、管理会社のいずれに管理を依頼するにしても管理コストがかかるのは避けられません。
また、住宅ローンが残っている場合は、その支払いと赴任先の家賃との二重に支払いが生じます。さらに海外赴任中は住宅ローン控除が受けられないため、家計の状況によっては支払いが重荷となるでしょう。
持ち家を空き家として残すのは、次のような人におすすめできます。
【空き家として残すのがおすすめの人の特徴】
赴任期間が短ければ短いほど、管理費を安くすませられます。さらに、住宅ローンの支払いが終わっていれば、二重支払いを避けられるので、低コストで家を維持できます。
また、赴任中に一時帰国の予定がある場合も、空き家として残しておくことで住み慣れた家に戻ることができます。
赴任期間が長期化する場合は、家の売却も検討しましょう。ざっくりとした売却の手順は次のとおりです。
売却では不動産を資金化でき、固定資産税などのランニングコストも削減できます。しかし、たとえ新築で購入したばかりの物件も、売却の際は中古扱いとなり、価値がガクンと下がってしまいます。しかも、転勤の任期が2、3年と決められている場合、いざ帰任した時、また住まい探しをイチから始めないといけません。
持ち家を売却するメリットは次の通りです。
買主が決まり、家が売却できればまとまった資金を得られます。さらに空き家や賃貸にした場合と違い、売却後は管理コストもかからないため、余計な出費に頭を悩ませる必要がなくなります。
持ち家を売却する場合、次のようなデメリットが発生します。
売却時に得たお金で住宅ローンを完済できれば問題ありませんが、住宅ローンが残ってしまった場合は、持ち家の売却はできません。それでも売却したい場合は、抵当権を保持している金融機関の了承の元、任意売却をするか、競売にかけることになるでしょう。
また、売却の条件が揃っていたとしても買主がすぐに見つかるとは限りません。代理人を立てれば赴任先からでも売却は可能ですが、手続きが煩雑になるため、売却すると決めた場合は赴任までに売れるようすぐにでも行動に移しましょう。
メリット・デメリットを踏まえたうで、持ち家の売却は次のような人におすすめです。
【売却するのがおすすめの人の特徴】
赴任期間が長期化すればするほど、管理費がかかるため、長期赴任が決まっている人ほど売却のメリットを享受しやすいでしょう。特に家族構成が変化する見込みがある場合は、元の家では手狭に感じ、帰任後に結局売却するというケースも考えられます。帰国後に新居を探すことになるのであれば、赴任と同時に売却しておけば無駄に管理費がかかるのを避けられます。また、帰任予定がない場合も、売却して現金化することで、赴任先での新居購入などの費用に充てることができます。
また、デメリットでも触れたとおり、住宅ローンの残債がある場合は売却できないので、住宅ローンを完済している必要があります。もしくは、残債額が少なく、売却までに一括完済できる人におすすめできる方法です。
海外赴任をきっかけに持ち家を賃貸として、他人に貸し出すのも1つの手です。賃貸にする場合は、次のような種類があります。
普通借家契約 | 定期借家契約 (リロケーション) |
一時使用賃貸借契約 (リロケーション) |
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---|---|---|---|
契約期間 | 2年ごとが基本 | 期限となる日付を予め設定する |
帰任するまで ※ただし、「短くても○年間」という保証期間を2年以上設ける |
更新の有無 | 有 |
無 ※双方が合意した場合を除く |
無 |
中途解約の可否 |
否 ※正当な事由がある場合は除く |
否 ※期間満了の半年~1年前に予告が必要 |
可 ※保証期間内での解約不可 ※解約日の3か月前に解約予告が必要 |
一時使用賃貸借契約では契約期間が帰任するまで、かつ3か月前までに予告すれば中途解約が可能です。そのため、海外赴任で持ち家を賃貸に出す場合は、一時使用賃貸借契約が特におすすめです。
持ち家を賃貸に出すメリットは次の通りです。
住宅ローンが残っている場合は継続して支払いが必要ですが、賃貸に出す場合は家賃収入で賄えます。また、空き家にするよりも適切な管理が期待できるうえに、管理コストがかからないのが賃貸に出すメリットです。
持ち家を賃貸に出す際には次のデメリットが発生することを頭に入れておかなければいけません。
賃貸に出す場合、借主がすぐに見つからない可能性があるところがまずデメリットとして挙げられます。たとえ借主が運良く見つかったとしても丁寧に使ってくれるとは限りません。小さな子どもがいる場合やペットを飼育している場合などは、破損や汚れによる修繕リスクが高まります。
また、家賃の滞納や設備の破損といったトラブル時においても、即時対応できないのがツラい点でもあります。さらに住宅ローンによっては、賃貸に出すことが認められていません。その場合、金利の高い賃貸ローンに借り換えが必要になります。
こうしたデメリットを最小限に収めるためには、破損や汚れが発生した場合の責任の所在や修繕費用、家賃滞納時の対応といったことについて契約書に明記しておくのがベストです。もしくは、賃貸管理会社に依頼して、留守中の対応をしてもらうのも一つの手です。契約内容にもよりますが、設備故障時の対応から家賃の督促まで任せることができます。また、一定額までの修繕費用を賃貸管理会社に負担してもらえる保証サービスなどを利用すれば、急な出費を抑えることができます。また、賃貸ローンへの借り換えが必要になった場合は、金利分を家賃に上乗せするという方法もあります。
持ち家を賃貸に出すのがおすすめの人の特徴は次のとおりです。
【賃貸に出すのがおすすめの人の特徴】
赴任期間がある程度わかっていて、帰任後に子どもの学校の関係や住み慣れた環境に戻りたいといった理由で、自宅に戻る意思がある場合は賃貸がおすすめです。賃貸でも特にリロケーション(定期借家契約、一時使用賃貸借契約)すれば、帰任後もスムーズに日本の家に戻れます。また、賃貸に出せば家賃収入が得られるので、住宅ローンの返済に充てられるのもメリットです。
海外赴任の間、持ち家を賃貸に出す場合は、リロケーションがおすすめです。リロケーションとは、転勤や海外赴任の間だけ貸し出すことを言います。通常の賃貸と異なり、契約期間は貸主都合によって決定できるうえに、基本的には更新もありません。そのため、帰任後はスムーズに自宅に戻れます。リロケーションを行う流れは次のとおりです。
リロケーションを行うためには、まずリロケーション会社を選ぶ必要があります。会社によって提供サービスや対応が異なるため、リロケーションを行う場合は早めにリロケーション会社の比較を行いましょう。
「リロの留守宅管理」では、福利厚生代行グループという立場を活かし、1万社を超える法人集客ルートと連携。約8,000店舗にもおよぶ不動産ネットワークを活用して、早期入居の実現をお手伝いします。賃料の未払いや設備の破損といった賃貸中に心配なトラブルにおいても、さまざまな保証サービスでカバーします。海外赴任期間中も安心して貸し出せます。
さらに、賃貸か売却か迷っている場合でもご相談いただけます。もしくは賃貸中に物件を売却したくなった場合に、購入者募集もご相談も可能です。当社でご物件を買い取らせていただく場合もございます。ローン残額や収支計算、経費、リスクなどを踏まえたうえで最適な提案をいたしますので、海外赴任中の持ち家をどうするか悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
家住宅ローンの返済中に海外赴任する場合は、次の点に注意が必要です。
住宅ローンは契約者本人が住むことを前提としたローンであるため、賃貸には適用されません。そのため、住宅ローンの残債があるうえで賃貸に出す場合は、金融機関の許可が必要になります。交渉次第では住宅ローンを継続できますが、一括返済や金利の高い不動産投資ローンへの借り換えとなるケースがあることを頭に入れておきましょう。
また、単身赴任で家族が住宅に住み続ける場合は住宅ローンの控除が受けられますが、家族を伴い海外赴任する場合は住宅ローン控除の対象外となる点にも注意が必要です。ただし、帰任後に住宅ローン控除の期間が残存している場合は、再適用を受けられます。
海外赴任の際の住宅ローン控除については、「海外赴任の際、「住宅ローン控除」はどうなる?」で詳細を解説しているので合わせて確認しておきましょう。
海外赴任中の持ち家をどうするかは、赴任後に自宅に戻る意思があるかどうかで対応が分かれます。自宅に戻る意思がある場合は、売却の選択肢はなくなります。自宅に戻る意思があり、かつ空いている自宅を活用して家賃収入を得たい人は賃貸が最適な選択肢になり得るでしょう。
賃貸の場合は、赴任期間中に家賃収入を得られるので、住宅ローンの支払いがあってもそれほど苦に成りません。問題は帰任後にスムーズに自宅に戻れるかといった点ですが、リロケーションを利用すれば万事解決。「リロの留守宅管理」であれば、赴任中のトラブルについても安心できるサービスが揃っています。リロケーションをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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