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公開日2024年3月11日

中古マンション売却の方法とは?流れと費用・5つの注意点を解説!

マンションの売却には、一定の時間がかかります。

焦って安く売らないようにするには、余裕を持ったスケジュールを組むことが望ましいです。

また、中古マンションの売却では仲介手数料等の費用も発生します。


中古マンション売却における費用や注意点には、どのようなものがあるのでしょうか。

この記事では、「中古マンションの売却」について解説します。 

トラブルを防ぐ不動産会社選びのコツ

トラブルを防ぐ不動産会社選びのコツ

中古マンションの売却は、不動産会社を変えたとしても売る商品自体が変わるものではありません。

どの不動産会社を選んでも、売る商品は現在所有しているマンションです。


そのため、不動産会社を選ぶ際は、商品であるマンションを誠実にセールスしてくれる営業担当者を選ぶという視点が重要となります。

会社の社長が自社の商品を売るために、「仕事のできそうな人を採用する」のと同じ感覚で選ぶことがコツです。

選ぶ判断ポイントとしては、以下のような点が挙げられます。

選ぶべきタイプ 選ぶべきではないタイプ
  • レスポンスが早い人
  • 誠実な感じがする人
  • 説明に説得力がある人
  • コミュニケーションがとりやすい人
  • 反応が鈍い人
  • よく調べずに適当な受け答えをする人
  • 相手を素人扱いして見下す人
  • メールだけでやり取りをしようとする人

信頼感のある人は買主からも信頼を得られやすいため、スムーズに高く売却しやすいです

中古マンション売却の流れ

中古マンション売却の流れ

最初に中古マンション売却の流れについて解説します。


査定

中古マンションを売却するには、まずいくらで売り出すかを決める必要があります。

いくらで売れるかを知るために行うのが、査定です。

査定は不動産会社が無料で対応してくれます

売却前の査定は、複数の不動産会社に依頼する人が多いです。


媒介契約の締結

媒介契約とは、不動産会社に対して依頼する仲介の契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。


一般媒介契約とは、同時に複数の不動産会社に売却を依頼できる契約になります。

専任媒介契約専属専任媒介契約は、1社だけにしか依頼できない契約のことです。

専属専任媒介契約は、売主が自分で買主を見つけてくる自己発見取引も禁止されている契約となります。


どの媒介契約を選ぶかは、売主の自由です。

例えば、物件を早く売りたい場合は、一般媒介契約によって複数の不動産会社に依頼すると不動産会社間に競争が発生することから、早く売れる確率が高まります。

一方で、買い替えを行う場合は、専任媒介契約や専属専任媒介契約で1社に依頼すると不動産会社との意思疎通が簡素化するため、売却と購入のタイミングを調整しやすくなります。


売却活動

マンションは、売りに出してから買主が決まり売買契約を締結するまで、平均して3ヶ月弱程度の期間がかかります。(準備から引渡までのトータルの期間は6ヶ月程度です。)


住みながらマンションを売る場合には、売主も内覧対応が必要です。

内覧とは、購入希望者に家の中を見せる販売行為を指します。

空き家のマンションを売却する場合は、内覧は完全に不動産会社に任せることができます。


売買契約の締結

買主が決まったら売買契約を締結します。

売買契約では、買主からは契約が成立した証として手付金(売買代金の10%程度)を受領します。


また、売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払うことになります。


引渡

引渡は売買契約から約1ヶ月後に行うことが一般的です

引渡時は、買主から手付金を除く残代金が振り込まれ、所有権が買主へ移転します。

住宅ローンが残っているマンションを売る場合には、振り込まれた残代金を用いて引渡の当日に残債を一括返済します。

また、売主は不動産会社に対して仲介手数料の残りの半額を支払うことになります。


確定申告

中古マンションの売却では、必要があれば確定申告を行います。

確定申告の期間は、売却の翌年の2/16から3/15までとなることが通常です。


確定申告は、以下のいずれかの場合に行う必要があります。


【確定申告が必要なケース】

  • 税金を納めるケース
  • 特例を適用するケース

税金を納めるケースとは、「3-4.税金」で解説する譲渡所得と呼ばれる売却益が生じた場合です。

詳しくは、「3-4.税金」をご参照願います。


一方で、マンションを売却しても税金が発生せず、かつ、特例も利用しないケースでは確定申告は不要です。

中古マンション売却にかかる費用

中古マンション売却にかかる費用

この章では、中古マンション売却にかかる費用について解説します。


仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼すると、仲介手数料が生じます。

仲介手数料は成功報酬であるため媒介契約を締結しただけでは支払いは発生せず、不動産会社には売主と買主が売買契約を締結した時点で報酬請求権が生じます

一般媒介で複数社に依頼しても、仲介手数料の支払は売却を決めてくれた1社に対してのみとなります。


不動産会社が依頼者から受領できる仲介手数料には上限額が定められており、その金額は下表の通りです。

取引額 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額 × 5%
200万円超から400万円以下 取引額 × 4% + 2万円
400万円超 取引額 × 3% + 6万円

仲介手数料には、別途消費税が発生します。


仲介手数料の相場は、上限額がそのまま相場となっていることが一般的です。

中古マンションの売却価格は400万円超となることが多いため、「売却価格×3%+6万円」が仲介手数料となります。


印紙税

売買契約書には、印紙を貼る必要があります。

印紙税は売買契約書に記載する売買代金によって異なり、その金額は下表の通りです。


売買契約書に記載する売買代金 本則 軽減税率※
1万円未満 200円 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超10億円以下 200,000円 160,000円
10億円超50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円
金額の記載のないもの 200円 200円

※2014年4月1日~2027年3月31日まで

不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 (国税庁)


なお、不動産取引において2022年5月から電子取引が解禁されています。

電子取引に対応できる不動産会社に売却を依頼し、売買契約書を電子契約で行った場合には印紙税は不要です


抵当権抹消費用

住宅ローンが残っている中古マンションを売却する場合は、抵当権抹消費用が発生します

抵当権とは、銀行等の債権者がその担保目的物から優先的に弁済を受けられる権利のことです。


登記簿謄本から抵当権の記載内容を抹消する際は、抵当権抹消の登録免許税が必要となります。

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。

マンションは通常、土地1個と建物1個で構成されているため、抵当権抹消の登録免許税は一般的に2,000円となります。


抵当権抹消の手続きは、司法書士に依頼します。

司法書士手数料は、司法書士や地域によっても異なりますが、概ね1~3万円程度が相場です。


税金

中古マンションを売却した場合、譲渡所得が生じると所得税および住民税復興特別所得税の税金が発生します。

譲渡所得とは以下の式で計算される売却益のことです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額は、基本的には売却価額になります。

取得費は、土地は購入額、建物は購入額から減価償却費を控除したものです。

譲渡費用は、仲介手数料や印紙税が該当します。

取得費を計算式で示すと以下のようになります。

取得費 = 土地購入価額 + 建物取得費

    = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)

マイホームの中古マンションの減価償却費の計算方法は以下の通りです。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率は、建物の構造で決まっています。

マンションに多い鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば、「0.015」となります。


経過年数とは、売主が物件を保有していた所有期間のことであり、購入時の引渡日から売却時の引渡日までの期間のことです。

経過年数は築年数のことではありません。

中古マンションを購入して、その中古マンションを売る場合も経過年数は単純に中古マンションを購入した引渡日から売却した引渡日までの期間のことです。

経過年数は、6ヶ月以上は切り上げ処理、6ヶ月未満は切り捨て処理を行い年単位で表します。


税金は、譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率


税率には、長期譲渡所得と短期譲渡所得の2種類があります。

長期譲渡所得とは売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超、短期譲渡所得とは売却する年の1月1日時点において所有期間が5年以下のときの税率です。


所得税と住民税、復興特別所得税の税率を合算し、譲渡所得に乗じて税額を単純に計算できるようにした税率は、下表の通りです。

所得の種類 合計税率
短期譲渡所得 39.63%
長期譲渡所得 20.315%

中古マンション売却の5つの注意点

中古マンション売却の5つの注意点

この章では、中古マンション売却の5つの注意点について解説します。


全体のスケジュールに余裕を持つ

中古マンションの売却では、全体のスケジュールに余裕を持つことが必要です。

焦って安く売らないようにするためにも、売却の依頼から引渡まで5~6ヶ月程度の余裕を見ておくことが望ましいといえます


複数の不動産会社に査定を依頼する

査定については、複数の不動産会社に依頼することが望ましいです。

複数の査定結果を比較することで、概ねの価格のストライクゾーンが見えてきます。

ストライクゾーンを知ると、高過ぎる価格を設定して売れなくなる失敗や、安く売って損をする失敗を防ぐことができます。


高く売ってくれる会社を探すだけでなく、ストライクゾーンを知る上でも査定は複数の不動産会社に依頼することをおすすめします


写真撮影と内覧の準備をしっかり行う

住みながらマンションを売却する場合は、写真撮影と内覧の準備をしっかり行うことが必要です。


近年の中古マンション売却では、インターネットに広告を載せて購入希望者を募る形式が一般的となっています。


インターネット広告には室内の写真も多く載せますので、極力、全室の写真を掲載できるように撮られる準備をしておくことが必要です。


また、内覧に向けては部屋の中を片付け、水回りを中心に綺麗に掃除をしておくことが望ましいといえます。


不具合の告知を正直に行う

中古マンションの売却では、物件の不具合は正直に告知することが注意点となります。

理由としては、売主は契約不適合責任と呼ばれる売主責任を負っているからです。


不適合責任とは、契約の目的と異なるものを売却した場合に、売却後に買主から修繕の請求や契約解除または損害賠償を求められる可能性のある責任のことを指します。

契約不適合責任については、物件に不具合がある場合、買主の了解の上で欠陥を売買契約書に記載し、契約不適合責任は問わないとする特約を締結しておくことが適切です。

つまり、きちんと告知して特約で免責すれば契約不適合責任は回避できます。


しかしながら、不具合を告知せずに売却し、売却後に不具合が発見されると契約不適合責任を問われてしまう場合があります


そのため、売主は契約不適合責任を回避するためにも、事前の正直な告知が重要となるのです。


節税特例と住宅ローン控除は併用できないことを知っておく

中古マンションの売却では、買い替えも行う人も多いです。

買い替えでは、売却の節税特例と購入の節税特例(住宅ローン控除)は同時に併用できないことが注意点となります


マイホームの売却の節税特例には、以下の3つがあります。


【節税特例】

  1. 3,000万円特別控除
  2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例

上記の3つの特例は、いずれも購入物件で住宅ローン控除を使う場合は、同時に利用することはできません。


近年は、マンションを売却すると購入時の価格よりも高く売れるケースもよくあり、売却時に税金が発生することも多いです。


例えば、3,000万円特別控除を利用すると税金が発生しなくなることも多いですが、購入物件で住宅ローン控除を利用する場合は3,000万円特別控除を利用できないため、売却で税金を支払う必要があります。


売却物件の節税特例と購入物件の住宅ローン控除のどちらを選ぶかは本人の自由です。

節税効果が高い方を選んだ方が得になりますので、事前に節税額を検証しておくことをおすすめします。

まとめ

以上、中古マンションの売却について解説してきました。

中古マンションの売却は査定から始まり、必要があれば売却後に確定申告を行います。

マンションの売却にかかる費用には、主に仲介手数料があります。

中古マンションを売却する上では、「全体のスケジュールに余裕を持つ」や「売りどきを逃さずに売る」等が注意点です。

本記事を参考に売りどきを逃さず、売却していただければと思います。

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