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公開日2019年11月15日/更新日2023年8月28日

住宅ローン返済中に転勤。持ち家は賃貸に出せる?住宅ローンはどうなる?

住宅ローン返済中に転勤。持ち家は賃貸に出せる?住宅ローンはどうなる?

急な転勤が決まってしまい、家族帯同で引っ越しをする際、気になるのは持ち家です。
いつかは戻ってくる意思があるのなら賃貸を検討することになりますが、まだ住宅ローンの返済中だと判断に悩みます。
そこで今回は、住宅ローンが残った持ち家を賃貸した場合、住宅ローンがどうなるのか、どのようなことに気を付ければ、残債がある状態から賃貸を始められるのかについて解説します。
加えて後半では、転勤時の賃貸で特に気を付けたい注意事項について解説します。
転勤で自宅の賃貸を検討中の方はこちらも必読です。

住宅ローン返済中に家は貸せる?

「住宅ローン返済中にその持ち家を賃貸に出すことはできるのでしょうか」この問いにはいくつかの答え方があると思いますが、「通常、住宅ローンのままで賃貸することはできないが、できる場合も考えられる」と言えると思います。

「なぜ住宅ローンのままで賃貸をすることが通常は難しいのか」と、「どういうときにどうすれば持ち家で賃貸ができるのか」について、順に解説していきましょう。

住宅ローンは自分が住むためのローン

住宅ローンの利用には条件があります。そのなかで特に重要な条件として「融資対象となる物件が自己居住用」というものがあります。住宅ローンは契約者本人が住むための家を購入するときに利用できるローンです。他人に貸すための家の購入や、別荘の購入に住宅ローンを使うことはできません。

ローンの販売にあたり、融資を行う金融機関は、融資を受ける人が滞納や未払いを行うかもしれないといったことや、居住者が物件の資産価値に与える影響などの様々なリスクを見込んで、採算が合うように金利を設定しなければなりません。一般的に「契約者が自己居住」している場合、それらのリスクはそうでない場合よりも限定的と言えるでしょう。ほかにもいくつかの理由を挙げられることと思いますが、大まかに言えば「自己居住用」という条件が満たされていることで金融機関のリスクが限定され、そのこともあって、住宅ローンでは低金利と長期返済期間が認められていると言えるでしょう

転勤の場合など、住宅ローン利用中の家を賃貸するには?

住宅ローンは自己居住用の家の購入者のために用意されているものです。そのため、契約の中には、契約者が持ち家を空けることや、人に貸し出すことに関して、ローンを利用する上での条件や制限が記載されています。

しかし、住宅ローンで持ち家を手に入れ、返済中に転勤が決まることはよくあることです。そして、転勤以外のケースも含めて、「家には住めなくなるが、ローンの支払いは続く。住宅ローンが不可であればローンの借り換えにより金利は上がることが考えられる。しかし、将来(帰任時等)を考えれば返済のための売却は避けたい」こうした場合には、賃貸を行うことで、持ち家を持ったまま、ローンの支払いによる負担を軽くしたいものです

住宅ローンの返済をしている状態から賃貸を始めたいと考えたときには、次の2つを行うべきでしょう。

契約内容の確認

住宅ローンであれば、基本的には「自己居住」が必須条件となっていますが、実際の契約書の記載内容を確認しておきましょう。

契約書には例えば次のようなことが書かれていることがあります。

「借主は、自己または配偶者、ならびに一親等以内の親族の居住に供する不動産の取得または増改築、あるいは現に居住している不動産を取得する際に借り入れた住宅ローンの借り換えの資金に用いるため、原契約書および本特約を締結するものとします。ただし、借主が一時的に居住できない事情があり、かつ、銀行がその事情を特に認めた場合はこの限りではありません。」

実際の契約内容は、金融機関ごと、ローンごと、契約ごとでの違いが考えられます。自己居住以外でも住宅ローンの継続が認められる例外がないかなど、目を通しておくといいでしょう。

また、金融機関の公式WEBサイトなどでは「Q&A」「よくあるご質問」といった形で、転勤時における例外など、様々なケースに関する情報が公開されていますので、こちらも確認しておくとよいでしょう。あとから問い合わせを行う場合でも、事前に少し調べておくことで、金融機関とのやり取りを円滑に進められるかもしれません。

金融機関への問い合わせによる確認・相談・交渉

住宅ローンの継続が認められない場合、借り換えや返済が必要です。
しかし、どの金融機関も、必ずしも最優先でそれらを求めるとは限りません。これまでの返済が滞っていないことなどを参考にして、場合によっては、今後もそのままの条件や近い条件での融資が続いた方が望ましいと判断する場合も考えられます。

特に、会社命令による転勤は、「返済を続けよう」という本人の意思とは関わらずに起こる「やむを得ない事情」の一つとして起こりがちなことです金融機関にとっても同様の相談を受ける機会も多いことが想定され、特例として予め認めているようなケースもあるようです。「これまで通りであればきちんと返し続けられる」という期待が高ければ、それだけ前向きな答えをもらえる見込みも上がることでしょう。融資元の金融機関に相談してみましょう。

住宅ローンの継続が認められない場合の賃貸は?

なお、仮に住宅ローンの継続が認められなかったとしても、ローンの借り換えを行うならば、持ち家で賃貸を始めることは可能です。その間の金利は高くなってしまいますが、家賃収入による支払いが期待できるならば、家を手放さなければならなくなるといったことは避けられます。どれくらいの収入が期待できるかは、賃貸管理会社に賃料査定を依頼することで簡単に確認できるので、こちらを先に行っておくこともおすすめです。

金融機関に相談せず、賃貸をするとどうなるか

金融機関に相談せずに賃貸を始めてしまった場合の「リスク」についても触れておきましょう。
もしローン契約(金銭消費貸借契約)の契約書において自己居住を融資の条件とされているにも関わらず、無視して持ち家を人に貸し出してしまうと、契約違反になります

金融機関から転送不要で送られた送付物が戻ってくるなどがきっかけで、あとからそのことが発覚した場合、まずは連絡が入るなど、状況の確認から行われることと思います。その後は、一括返済他のローンへの組み直しを求められることが考えられます。契約次第では金利の引き上げなどの処置が執られるかもしれません。実際にどのようなことが行われるかは、契約内容、金融機関の考え方、経緯や状況にもよることでしょう。

結果を受けて、最初から相談していた場合と比較して、『同様の結果』と捉える人もいるかも知れませんが、信頼を損なっていることは交渉において不利に働き、より厳しい処置が下されてもおかしくありません。対処の選択肢も狭まってしまう恐れがあります。
金融機関とのトラブルは今後の信用にも関わることです。事実を隠したまま持ち家を賃貸することは避けるべきでしょう

賃貸せず、売却や空き家にするとき、住宅ローンはどうなるか

転勤等で家を空けてしまうときの持ち家の使い道として、賃貸をして賃料を得ていくのは主要な選択肢の一つだと思いますが、もし、持ち家を手放してしまって良いと考えて売却をしようとした場合、あるいは収入を期待せずに空き家のまま管理を続けて良いと考えた場合に、住宅ローンについてどういうことが言えるのでしょうか。ここで少しだけ補足しておきます。

持ち家を売却しようとしたとき、住宅ローンはどうなるか

住宅ローンの残債がある状態で、その持ち家を売却しようとした場合、物件に設定されている抵当権を抹消できなければなりません
抵当権とは、お金を借りている債務者が住宅ローンの返済をできなくなった際に、金融機関が担保とした物件を返済に充てられるようにするための権利です。抵当権を抹消するためにはローンを完済できなくてはなりません。

ローンの残債よりも物件を高く売ることができれば、売却して得たお金でローンを完済することにより、抵当権を抹消することができます。住宅ローンの残債よりも売却価格が低くなってしまう場合は、差額分の自己資金を用意しなければなりません。
持ち家の売却を考える際には、ローンの残債を確認し、売却価格の査定額を調べておきましょう

持ち家を賃貸せず、空き家のままにしておくとき、住宅ローンはどうなるか

住宅ローンは自己居住用のローンです。家を空けている間、持ち家を貸し出さず、空き家にしておく場合でも、金融機関への報告が必要です。後述する住宅ローン控除についても、自己居住ではなくなることで適用されなくなります。

転勤中に行う賃貸の注意点

住宅ローンの返済中、賃貸に出したい場面として多いのは、やはり転勤をきっかけにしたものだと思われます。こうした転勤に伴う賃貸では、住宅ローンについて金融機関への相談が要る以外にも、特に注意しておきたいことがあります。ここでは、これから転勤中の賃貸を考える人にとって重要となるであろう、代表的な注意点を挙げていきます。

「住宅ローン控除」に関する注意

住宅ローンの利用と同様に、住宅ローン控除の適用にも「自己の居住の用に供した場合」という条件がついています。
金融機関に相談した結果、住宅ローンの利用を続けられた場合であっても自己居住でない間は住宅ローン控除が適用されません。住宅ローン控除には有効な期間に制限があります。帰任後、賃貸を終えて自宅へと帰ってきた際に、残存期間が残っていれば、手続きを経ることで改めて適用できます

転居時に必要となる手続きもあります。事前に確認しておきましょう。

「賃貸借契約の契約方法」に関する注意

貸主と借主との間で交わす賃貸借契約には種類があります。
それぞれ解約の方法、可否の条件などが異なり、転勤中の賃貸ではこの解約に関することが特に重要となります。転勤中に持ち家を賃貸する際には、契約の種類に気を付けましょう。

転勤時における普通借家契約の注意点

「転勤期間中」のように一時的な賃貸をしたい場面では、一般的に賃貸ではよく利用される「普通借家契約」による契約をしない方が良いでしょう。
「してはいけない」とまで言わないのは、普通借家契約は、これから挙げる他の契約よりも賃料を得やすいというメリットもあるためです。ただし、もし普通借家契約で借主と契約をしてしまった場合には、帰任後に自己居住のために持ち家を返してもらいたいと思ったときに、そのことが非常に難しくなるので要注意です
解約には正当事由が必要ですが、この正当事由が認められる場面というのは、例えば、老朽化により建物が倒壊する恐れがあって貸し続けることができない場合や、借主との間で賃貸を続けるために必要となる信頼関係が何かしらの理由で維持できないと認められる場合など、一部の状況に限られます。普通借家契約は貸主の意思で賃貸を止めることが基本的にはできません。帰任を見越して持ち家を返してもらえるようにする場合、賃貸時の契約は「定期借家契約」や「一時使用賃貸借契約」を用いるようにしましょう

定期借家契約

定期借家契約は予め賃貸の期間を定め、期間満了時には契約を終えることができます。期間満了の1年から6か月前までの限られた期間で、借主に対して解約を求める意向を予告しなければならないことには注意が要りますが、解約したい時期が予め明確であるならば、強い確実性で希望通りの時期に解約を実現できる契約です。

一時使用賃貸借契約

「一時使用賃貸借契約」は、法律上の理由から利用できるケースが限られますが、転勤時にはおすすめの契約です。予め定めた期限ではなく、「転勤のために賃貸が必要」などの「一時使用の目的」を果たしたこと、つまりは「帰任をするので、今後は賃貸が不要になる」などを理由として解約を行うことができます。他の契約同様に、事前に借主に解約の意向を伝えなければなりませんが、解約予告の3か月後に解約できるため、赴任期間の前倒しや延長が見込まれる転勤において利用しやすい賃貸借契約となっています

賃貸管理会社の説明を受けるなど、賃貸借契約の違いを予め理解しておくことで、利用する賃貸借契約の種類は解約までを見越して選べるようにしましょう。

「確定申告」に関する注意点

持ち家を賃貸に出し、家賃収入で得た所得金額が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。所得金額とは、収入から経費を差し引いた金額です。

確定申告は、所得があった年の翌年の2月16日から3月15日の間に居住地の税務署、又はインターネットで申告書を提出します。

申告を忘れてしまうと延滞税や罰則金が課されるので、必ず期限内に提出しましょう。確定申告については、国税局に電話相談できます。また、所轄の税務署窓口や確定申告会場での相談も可能です。

転勤時の賃貸はリロケーション会社への相談がおすすめ

金融機関との住宅ローン継続に関する交渉は、転勤という事情の場合、スムーズに進行し易いものだと思われます。しかしその一方で、賃貸の流れや家賃収入を得た場合の確定申告などは慣れていない方も多いでしょう。

転勤時に持ち家を賃貸するサポートをメインに行っているリロケーション会社や一時使用賃貸借契約での締結、転勤時の賃貸経験を豊富に持つ会社は多くありません。

当社は日本で初めてリロケーションサービスを事業化した豊富な経験や事例から、適切な対応方法や保証サービスを提供しております。

たとえば、転勤者向けのプランの場合、賃貸期間中に家賃滞納が発生した場合に当社が支払いを保証する「賃料支払保証」や、入居者が退去時に支払うべき原状回復費用の支払いがされない時に当社が支払いを行う「退去査定支払保証」が標準サービスとして用意されています

また、賃貸中に給湯器が自然故障した場合、入居者が通常通りの生活を行えるように速やかに修理を行わなければなりません。このような設備の修繕費用は貸主負担となります。当社では、設備機器に不具合が出た際に貸主が負担する修繕費用など、上限5万円までを当社が負担する「メンテフリーサービス」をオプションとして用意しています。

まとめ

住宅ローンを現在利用中の方は、「自己居住用」が適用条件であることを忘れないようにしましょう。そのうえで、転勤などやむを得ない事情による引っ越しが必要な場合は、そのことを正直に金融機関へ伝えてください。「どうすればいいか分からない」といった方は、一度当社までご相談ください。リロケーションサービスの紹介と合わせて、適切なアドバイスが可能です。

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