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公開日2019年10月4日/更新日2022年4月18日

家具はそのままでも貸せる?
リロケーション時の家財道具問題

家具はそのままでも貸せる?リロケーション時の家財道具問題

転勤時など、自宅を賃貸する際はリロケーションが便利です。一般的な賃貸に比べ、帰任時にはスムーズに自宅へと戻れます。しかし、リロケーションを行う場合、家具・家電はどのように扱いとなるのでしょうか。そのまま置いていけるのか、それとも撤去が必要なのか……。今回は、リロケーション時の家財道具問題について解説します。

リロケーションで家財道具を置いていくことは可能?

結論から申し上げると、家財道具・電化製品を残したまま持ち家をリロケーションに出すことは可能です。海外ですと家具付きリロケーションがある程度普及しており、物件のバリューを高める施策として捉えられる場合もあります。

一方家具付きリロケーションは日本においては馴染みが薄く、むしろ入居者を募集する面で不利に働くケースが多いと考えられます。そのため、原則としては全撤去が一般的です。ただし、エアコンや照明といった一部の電化製品については、入居者に使ってもらう設備として、そのまま残しておけるか相談になることもあります。

リロケーションで残す家具の所有権

全撤去が前提ではあるものの、あえて家具・家電を残していった場合、その所有権や取り扱いはどうなるのでしょうか?

物件がそうであるように、残された家具・家電はすべて貸主様の所有物です。借主様は自由に使用して構いませんが、邪魔だからといって勝手に処分することはできません。一方、借主から処分を求められた場合の処分費用は、所有者である貸主の負担となってしまいます。

家具付きリロケーションの評価は?

このように、日本における家具付きリロケーションは、多くの場合、借主様にとっても貸主様にとってもデメリットが多く、やむを得ない事情を除いておすすめできません。もちろん、家具付き物件に対する需要自体は少なからず存在します。しかし、多くの場合、そのニーズは単身者向け物件である傾向にあります。ファミリー向けが多いリロケーション物件では、ほぼ当てはまらないというのが実状です。

家具を移動・撤去するには手間や費用がかかる?

家具を全て撤去しないといけないというと、手間なうえに大きな費用がかかるように思えます。「家具をどこかへ移動するか、処分しないとリロケーションは無理なのか」と不安に思えてくるかもしれません。

ですが近年では、家具引取のオプションサービスがある引越業者や、家具を一点から預かる倉庫サービスも多くあります。時間的な余裕があれば買取業者へ査定を依頼したり、ネットオークション・フリマなどで販売すれば収益が得られる可能性もあります。

リロケーションサービスを利用して、無事に入居者が決められれば家賃収入が発生するようになります。家賃収入がどれくらい期待できるかはリロケーション会社に無料で査定を依頼できるので、家具移動・撤去に手間や費用を投じる価値が十分あるのか、確認してみるのも良いと思います。

リロケーションで家具を残しておく場合のデメリットと注意点

ここからは、リロケーションで家具を残しておく際のデメリットや注意点についてより詳しく解説をしていきます。重要なポイントになるのは、入居者の募集とトラブルです。

借主にとって不要なものは置いていかないのが原則

繰り返しになりますが、原則として、家具・家電をリロケーション物件に残しておくのは物件の人気を下げる要因になります。置いたままで問題ないのはエアコンや照明設備など、入居者が使う可能性の高いもののみです。先述のとおり、借主様にとって不要なものが残されていたとして、それらを自由に処分できないのは非常に窮屈です。別の物件と比較した際にマイナスポイントとして捉えられれば、入居者を募集する際に不利に働いてしまうでしょう

特にファミリー向けの物件の場合、入居希望者は自分たちに必要な家具を揃えているケースがほとんどです。すでに持っている家具を処分してまでその物件を選ぶということは考えにくいでしょう。

条件指定によって借主が決まりにくくなる可能性がある

家具・家電を残していきたい理由としては、帰任した際に以前とまったく同じ生活に戻りたいという希望があるかと思います。その場合、自分の家具を大切にしたいと考えるあまり、「禁煙」や「ペット不可」という条件を盛り込みたくなるでしょう。

たしかにリロケーションをはじめとする賃貸物件では、こうした条件指定も可能です。しかし、条件が多ければ多いほど、入居者募集の妨げとなる点には注意が必要です。結果として、賃料を安く設定せざるをえなくなったり、空室期間が長くなったりして、思ったような収入を得られなくなるケースが少なくありません。

借主とのトラブルに注意

家具・家電を残した物件に借り手が付いた場合は、その後のトラブルについても考えなくてはなりません。たとえば物件を明け渡してもらった際に、ソファーなどに傷みがあったとしましょう。その損傷が借主の故意による過失である場合は、修繕費用の請求が可能です。しかし、通常の範囲の摩耗であった場合、その請求は受け付けられません

このようなケースにおいての問題は、どこまでが故意であり、どこまでが通常の範囲の摩耗であるかを判別しづらいところにあります。国土交通省によって作成された「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって、退去時の原状回復費用負担のあり方が定められているものの、こうした問題はトラブルに発展しやすい傾向にあります。まっさらな状態で家を貸し出した場合でも貸主・借主間のトラブルは珍しくありません。家具・家電付きとなるとその可能性はより高くなると言えるでしょう。

空き家管理サービス・トランクルームを利用するのもおすすめ

「気に入った家具・家電をどうしても残したい……」

このように、家の状態を維持したいという想いが第一希望であれば、空き家管理サービスを利用するのもひとつの方法です。住まいはもちろん、家財道具の傷みの進行を防げます。また、防犯対策としても有効です。

また、リロケーションを行うのが前提であれば、トランクルームで家具・家電を一時的に保管するという方法もあります。コストはある程度かかるものの、家賃収入によっていくらか負担を軽減できるでしょう。

ちなみに、家具を置いたままの物件には全く需要がないかというと、そうとは言い切れません。例えば当社グループ会社では、複数の部屋がある物件で一部屋に家具をまとめ置きし、その部屋以外を貸し出すサービス「リロの仮住まい」を提供しています。

ただ、家具を一つの部屋にまとめた状態で貸す場合は、主に建て替え・リフォーム中の一時的な仮住まいを目的とした短期賃貸での契約となります。数か月~1年程度の短期間の転勤ならば、検討の余地もあるといえるでしょう。

まとめ

リロケーション時に、家具・家電を置いていくことは可能です。ただし、それによって被るデメリットやリスクは決して少なくありません。それを踏まえると、やはり全撤去が望ましいと言えるでしょう。処分が難しいのであれば、賃貸自体をやめて空き家管理サービスを使ったり、トランクルームで家具・家電を保管するという方法もあります。それぞれの状況に合わせ、最適な方法を考えましょう。

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