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公開日2024年2月8日

マンションを賃貸に出すメリット・デメリット|費用や成功させるコツをわかりやすく解説

マンションを賃貸に出すメリット・デメリット|費用や成功させるコツをわかりやすく解説

マンションを賃貸に出すメリットは、収入が得られる、節税対策になる、インフレリスクに強い、といった点があります。マンションを賃貸に出すことでこれらのようなメリットが得られる一方で、デメリットやかかる費用など押さえておくべき点もあるでしょう。

これからマンションを賃貸に出すか検討している方は、メリットだけでなくデメリットやかかる費用、貸し出すまでの手順など幅広く内容を押さえておくことが大切です。内容を押さえておけば、マンションを賃貸に出した際に成功する可能性が高まるでしょう。

本記事では、マンションを賃貸に出すメリット・デメリット、成功させるコツやかかる費用、貸し出す手順について解説します。

マンションを賃貸に出すメリット

マンションを賃貸に出すメリット

マンションを賃貸に出すメリットは以下の通りです。

【マンションを賃貸に出すメリット】

マンションを賃貸に出すことで、入居者から家賃を得られます。入居者が長期間にわたって住んでくれると、その分だけ決まった家賃収入が得られるでしょう。家賃収入を得るとその収入に応じて税金がかかりますが、控除が受けられたり、他の副業と赤字を合算できたりして節税対策にもなります

また、マンションは現物資産です。お金の価値が過度に低下したとしても、モノの価値はその時の状態などをベースに考えられるため、資産としての価値が低下するリスクは少ないといえます。

家賃収入を得られる

マンションを賃貸に出すことで入居者から家賃を得られます。売却と違い一度に大きな金額が得られますが、収入としては1回のみです。しかしマンションを賃貸に出すことで、物件を所有したまま、入居者がいる限り長期に渡り継続的に家賃収入が得られます

例えば家賃設定を8万円にしている場合、1年間空室なく居住者がいれば「8×12=96」で96万円の収入を年間で得ることが可能です。物件の管理を業者に委託する場合は、家賃収入から管理手数料が差し引かれる点に注意が必要です。賃貸手数料は家賃に対して5~12%です。

賃貸管理会社に委託することで、手数料を支払う代わりに賃貸中の手間をほとんどなくすことができます。

インフレリスクに強く景気の影響を受けにくい

マンションは現物資産であるため、インフレリスクに強く景気の影響を受けにくいです。インフレとは物価が上がることを指します。物価が上がるとお金の価値が目減りしてしまいます。

例えば、10年後にインフレで物価が2倍になったとします。現在は1,000万円で購入できるものも2,000万円でないと買えなくなり、実質お金の価値は半減してしまったことになるのです。

以上のことを踏まえ、なぜマンションはインフレリスクに強いのかというと、最初に述べたようにマンションが「現物資産」であるためです。マンション自体は「お金」ではなく「モノ」にあたるため、お金との価値と連動して同じように価値が低下するリスクはそこまで大きくありません

家賃についても、物価上昇によって家賃を上げる物件が周辺に出てくれば、その周辺の家賃相場に応じて自身の物件の家賃を上げることもできるでしょう。ただし、築年数の増加による資産価値の低下やインフレによる生活困窮者の増加予測は加味しておりませんので、上記のような計算通りにはならない可能性が高いことは押さえておいてください。

節税対策になる

マンションを賃貸に出した結果、不動産所得がマイナスとなっている場合は、その分をほかの所得から差し引くことができ、節税対策に繋げられます。これは、収入よりも経費が多くなる「赤字経営」の場合に利用できるメリットです。

例えば家賃収入以外に給与所得などの収入がある場合、その給与分と赤字分を合算することでかかる税金を抑えられます。マンションを貸し出す前の時点で給与所得が無いなど、税金が発生していない状況の場合には大きなメリットにはならないので注意してください。

収入から経費を引いた金額が不動産所得として税金の対象になりますので、なるべく多めに経費を計上して不動産所得を低く見積もれば、かかる税金は少なく済みます。

経費として計上できるものは、次のようなものがあります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 損害保険料
  • 減価償却
  • 修理費
  • ローンの利息
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 印紙税
  • 証明書発行手数料

マンションを賃貸に出すデメリット

マンションを賃貸に出すデメリット

以下はマンションを賃貸に出すデメリットです。

【マンションを賃貸に出すデメリット】

マンションを賃貸に出しても、入居者がいなければ家賃を得ることはできません。家賃収入が無ければ、マンション管理にかかる費用を工面することはできないでしょう。

また、貸し出す場合にはハウスクリーニングやリフォームが必要になるケースがあります。そういった場合には先行投資として費用が掛かることを覚えておきましょう。

管理会社に管理を委託している場合はそこまで大きな負担にはなりませんが、物件を貸すことで設備修繕や入居者対応に手間がかかるケースもあります。どのくらいの手間がかかるかは管理会社に良く確認しておく必要があるでしょう。

マンション管理にかかる費用を回収できない可能性がある

マンション管理には、賃貸管理会社への管理委託料や管理組合への管理費修繕積立金といった費用が掛かります。これらの費用は毎月支払う必要があり、もし家賃収入を得られない場合には、毎月の支出分を回収できない可能性があるでしょう。ちなみに、入居者募集中などで空室の場合は、賃貸管理会社への手数料の支払いが不要となるケースもあります。

空室になる要因は、物件状態や家賃設定など色々と考えられます。空室が続く場合は、赤字にならないためにも、物件への問合せを増やすためにすべきことが無いか管理会社に相談しましょう。

先行投資として初期費用がかかる

マンションを賃貸に出す場合、ハウスクリーニングやリフォームの費用などが先行投資としてかかります。物件が綺麗な状態なら不要の可能性もあります。とはいえ、ほとんどのケースで最低でもハウスクリーニングは必要とされることが多いため、ハウスクリーニング費用は初期費用として掛かることを想定しておいた方が良いです。

ハウスクリーニングやリフォーム費用は「先行投資」として考えておくことが大切です。支出として払ったら終わりではなく、先行投資した分を「回収」できるように家賃を設定しましょう

設備の修繕や入居者対応に手間がかかる

マンションを賃貸に出した場合、入居者が生活するうえで最低限必要なものは維持・管理していく必要があります。例えば、給湯器などの設備は故障すると生活に支障をきたすため、経年劣化などの理由で故障してしまった場合は、迅速に修理に対応しなければいけません。

このように設備の故障に対して迅速な修繕が求められる際は、管理者の手間となるでしょう。しかし、管理会社に管理を委託している場合は、管理会社が代わりに対応してくれるケースが多く、直接やり取りする負担を抑えられます。管理会社によっては一定額までの費用を負担してくれるサービスもあります。

マンションを賃貸に出して成功させるコツ

マンションを賃貸に出して成功させるコツ

マンションを賃貸に出すのなら、できる限り成功できるように努めることが大切です。成功するための確率を高めるには、以下3つのコツを押さえておきましょう。

【マンションを賃貸に出して成功させるコツ】

実績のある管理会社に委託することができれば、空室リスクを最小限に抑えられます。仮に法人との付き合いがある管理会社なら、社宅として定期的に利用してもらうこともできるかもしれません。

家賃設定や負担費用については、貸し出す際に把握しておくべき重要なポイントです。相場より高すぎる家賃だと入居希望者が集まらない可能性があり、かかる費用を正しく把握しておかなければ費用を家賃で賄えなくなる可能性があるでしょう。成功するためには収入と支出を出来る限り正確に把握することが大切です。

実績が豊富で集客ルートが多い賃貸管理会社と契約する

実績が豊富な賃貸管理会社と契約すれば、空室リスクの軽減や質の高い管理に期待できます。営業実績が豊富な企業なら、入居者募集のチャネルが複数ある可能性が高いため、空室が発生しにくくなるでしょう。また、管理実績も豊富なら、その分だけ賃貸管理に対するノウハウがあることが予測され、質の高い管理にも期待できます。

実績の少ない賃貸管理会社に依頼した結果、ずさんな管理や入居者募集で希望者が集まらないといった事態に陥っては意味がありません。安定した家賃を得て、最小限の手間で管理するためにも、実績を重視した管理会社選びを意識しましょう。

ここを見極めるためには、2~3の賃貸管理会社に問合せることをおすすめします。こちらの希望に対し、納得できる回答が得られるかを確認しましょう。

相場を鑑みながら現実的な家賃を設定する

家賃設定は、マンション賃貸を成功させるうえで最も重要なポイントです。家賃設定は利益に直接的な影響を与え、さらには入居希望者が集まるかどうかについても影響します

家賃設定が適切でないと、管理委託料や臨時の修繕費が発生した際に、その分の費用を工面できなくなる可能性があるでしょう。結果、赤字になってしまっては賃貸に出す意味が無くなってしまうため、家賃設定は利益を出せる額に設定しなければいけません。

また、入居者を募集するうえでも家賃設定は重要です。物件周辺の相場と比較したうえで高めの家賃設定をした場合、物件に付加価値がある場合は別ですが、入居希望者は減る可能性が高いでしょう。

つまり、家賃設定をする際は「付近の似通った条件の物件の家賃相場」と「かかる費用を踏まえた上で必要とされる家賃設定」の両方を加味した家賃設定が必要となります。家賃相場はSUUMOなどで類似の物件を調べることができますが、あくまでも参考値になることから賃料査定は無料なので複数社に賃料査定を依頼したり、自宅に来てもらい詳細の査定をしたりしてもらい適切な家賃を判断してもらいましょう。

マンションを賃貸に出す際にかかる費用を把握しておく

マンションを賃貸に出すと、何種類かの費用が掛かります。もし費用が家賃収入よりも上回ってしまった場合、賃貸経営は赤字となってしまうため気をつけなければいけません。費用を出来る限り正確に把握することは、適切な家賃を設定することにも繋がるでしょう。

以下に、マンションを賃貸に出す際にかかる費用をまとめました。

費用相場 概要
ハウスクリーニング費用 8,000~25,000円 自宅内の清掃にかかる費用
リフォーム・リノベーション費用 5~100万円 リフォーム:老朽化した設備を新築の状態に近づけるための改修費用
リノベーション:老朽化した物件に工事を加え、既存のものに付加価値をつけること
故障した設備の修繕費 15~300万円 貸し出し前から故障している設備または賃貸中に故障した設備に関する修繕費用
管理会社へ支払う委託費用 家賃の5~12%程度 入居者募集から管理までを管理会社に委託するための費用

マンションを賃貸に出すことで、最低でも「約20万円+家賃の5%」は出費として考えておく必要があるでしょう。次項では、これらの費用の詳細について解説します。

ハウスクリーニング費用

ハウスクリーニング費用は、物件を貸し出す前に実施するクリーニングにかかる費用です。人が住んでいれば汚れはついてしまうもので、その汚れが残っていれば入居希望者が集まらない原因にもなりかねません。ハウスクリーニングを実施し、内見者に良い印象を与えることで入居希望者を出来るだけ早く集められるようにすることが大切です

ハウスクリーニングにかかる費用は、部屋の広さやマンションか一戸建て、入居者の有無などで決まります。

リフォーム・リノベーション費用

リフォーム・リノベーションは、物件が古くて入居希望者が集まりにくい場合に実施します。マンションを賃貸に出すにあたって、必ず実施する必要があるわけでは無い点に注意しましょう。リフォーム・リノベーションをしなくても入居希望者が集まる可能性があるにもかかわらず実施してしまうと、余計な費用としてかさみ利益が減少してしまいます。あくまでも入居希望者を集めるにあたって必要と判断した場合にのみ実施することが大切です。

リフォーム・リノベーションにかかる費用の目安は、修繕箇所にもよりますが高額な費用になる箇所もあるため、本当に必要かどうか自身で判断できない場合は管理会社に相談してみましょう。

故障した設備の修繕費

故障した設備は入居者の生活に支障をきたすため、貸主が修理をしたうえで賃貸に出す必要があります。賃貸中も同様に、経年などやむを得ない理由で故障した場合には貸主が費用を負担しなければいけません。「設備の修繕や入居者対応に手間がかかる」でも触れましたが、賃貸中の場合はできるだけ素早い対応が必要となり、手間がかかる点も改めて理解しておきましょう。

それなりの費用を想定しなければいけないため、長く使っている設備が多い場合には、耐用年数を確認して賃貸中の支出として予算を見積もっておくことを推奨します

補足として、設備が故障した場合の修理費用をご紹介します。

  • 給湯器:7,000~1万7,000円
  • エアコン:1~3万5,000円(室外機が故障している場合は10万円以上かかることもある)
  • ガスコンロ:7,000~2万円
  • 蛇口:4,000~2万8,000円
  • 浴槽:8~17万円

管理会社へ支払う委託費用

物件の管理を管理会社に委託する場合、手数料として委託費用を支払います。管理を委託した場合、入居者の募集から自宅の管理、家賃の入金管理など、賃貸時に必要な管理業務を代行してくれます。自身で直接管理することもできなくは無いですが、これらの業務すべてを請け負う必要があり、負担や手間が大きくなるためおすすめできません。

委託費用の相場は、家賃の5~12%程度です。管理会社に委託せず全て自身が請け負う負担を踏まえれば十分に支払う価値はあるでしょう。

なお、管理会社によってサービスの内容が異なる点には注意してください。管理会社の質が悪く、求める業務内容が実施されない場合には費用を支払う価値が無くなってしまうことも想定されます。実績や担当者の人柄などを良く確認したうえで、管理会社は選ぶようにしましょう。

マンションを賃貸に出すと税金はどうなる?

マンションを賃貸に出すと、家賃収入が入り所得が増えるため、一般的には増額または新たに支払う必要が出てくる税金があります。

税金の種類は以下の通りです。

所得税

個人の所得に対して課される税金のことです。マンションを貸して得た家賃などの収入から、必要経費を差し引いた金額に対して課されます。

復興特別所得税

東日本大震災の復興のための財源に充てるため、2013年1月1日から2037年12月31日までの間に、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税です。

住民税

地方税の一種で、都道府県が課税する道府県民税と、市区町村が課税する市町村民税の総称です。教育、福祉、ゴミ処理など、地方自治体が提供する公共サービスをまかなうために使われます。

個人事業税

個人事業主が都道府県に対して納める地方税のひとつです。個人で事業を行う際、さまざまな行政サービスを利用していることから、その経費の一部を負担するための税金となります。

所得税 個人の所得に対して課される税金のことです。マンションを貸して得た家賃などの収入から、必要経費を差し引いた金額に対して課されます。
復興特別所得税 東日本大震災の復興のための財源に充てるため、2013年1月1日から2037年12月31日までの間に、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税です。
住民税 地方税の一種で、都道府県が課税する道府県民税と、市区町村が課税する市町村民税の総称です。教育、福祉、ゴミ処理など、地方自治体が提供する公共サービスをまかなうために使われます。
個人事業税 個人事業主が都道府県に対して納める地方税のひとつです。個人で事業を行う際、さまざまな行政サービスを利用していることから、その経費の一部を負担するための税金となります。

これらの税金は、マンションを賃貸に出して収入が増えると支払う額が増える、もしくは新たに支払う必要が出てくる税金です。税金は確定申告後に請求が来るため、その費用も見越して家賃収入から税金ように手元に残しておきましょう。

もし、会社員で給与所得以外の所得(不動産所得とその他の所得)の合計が20万円以下の場合、確定申告は不要で、不動産所得に対する税金は発生しません。ただし、不動産所得が赤字になった場合は、給与所得と合算した後に減税となるケースもあるので、この場合は確定申告をすることをおすすめします。

また、ご紹介した税金以外にも固定資産税と都市計画税という税金があります。これらはマンションを所有するだけでかかる費用であるため、賃貸に出さなくてもかかる税金です。マンションを賃貸に出したからと言って、支払う必要が無くなるわけではない点に注意してください。

節税については以下の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。

マンションを賃貸に出すときに見落としやすいポイント

マンションを賃貸に出すときに見落としやすいポイント

マンションの賃貸において、家賃設定や修繕費の工面などすぐに想定すべきものについては把握しやすいですが、見落としやすいポイントもあります。

【マンションを賃貸に出すときに見落としやすいポイント】

住宅ローンが残っている場合は原則賃貸に出せない

住宅ローンは、契約者本人やその家族が居住することを前提とした融資であるため、ローンが残っている場合には賃貸に出すことができません。もし、住宅ローンを利用したままマンションを賃貸に出してしまうと、契約違反になります。契約違反になると、場合によっては残額の全てを一括で返済するように求められることもあるでしょう。

ただし、例外もあります。転勤などやむを得ない理由で物件に住むことが出来ず、物件を賃貸に出したい場合は、融資元の金融機関に相談すれば認められる可能性があります。もちろん、認められないケースもあるため、やむを得ない理由がある場合にはまず相談してみることをおすすめします。また契約書に記載されていると思われるので先に確認しておくと良いでしょう。

マンションを賃貸に出した場合は確定申告が必要

確定申告とは、1年間の収入から経費等を差し引いて所得を算出し、そこから納める税金の額を計算して報告する一連の手続きのことです。家賃による収入が発生した際は確定申告をする必要があります

ただし、会社員で給与所得以外の所得(不動産所得とその他の所得)の合計が20万円以下の場合は確定申告が不要です。自身の収入の状況を確認し、確定申告が必要かどうかチェックしましょう。

もし、確定申告が必要なのにしなかった場合、納付すべき税額に対して追加で税金が加算される可能性があります。具体的には、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の金額が原則として加算されます。余計な税金を支払わないためにも、確定申告は忘れないようにしましょう。

貸主からの途中解約は原則できない

マンションを賃貸に出して入居者が確定すると、基本的に途中解約はできません。通常は普通借家契約を結ぶのですが、この契約の場合は入居者側の住む権利が強く守られます。そのため、入居者が退居を希望しない限り途中で退居してもらうことは難しいです。

転勤などの理由でマンションを賃貸に出したが、将来的に戻ってくる予定があり、途中で賃貸を辞めようと思っている場合は別の契約方法を取らなければいけません。別の契約方法には、定期借家契約一時使用賃貸借契約があります。それぞれの詳細は次項で解説します。

定期借家契約

定期借家契約は予め解約日を設定した上で契約を締結する方法です。契約時に契約期間を設定し、期間の終了とともに退去を求めることができます。普通借家契約は入居者の権利が強いですが、定期借家契約の場合は貸主の設定した期間に合わせた契約となるため、更新が基本的にできません。マンションに再度戻ってくる予定がある程度把握できている場合に最適の契約方法と言えるでしょう。

注意点として、解約日の1年から半年以上前の間に、事前通知をする必要があります。

一時使用賃貸借契約

一時使用賃貸借契約とは、転勤中だけ貸し出したいなど、期間を「貸すべき目的のために必要な期間」に限定した賃貸を行うための契約方法です。この「目的」はなんでも良いわけではなく、転勤などの限られた場合でしか用いることができません。契約時に定めた「目的」が無事に果たされると、賃貸期間が終了します。

定期借家契約の場合は契約時に期間を明確に決めますが、一時使用賃貸借契約の場合は「短くとも〇年間」という保証期間を2年以上で設けて、帰任するまでを契約期間とします。解約は通知から3ヶ月後にできるため、帰任に合わせた解約が行いやすく、転勤時にはおすすめの契約方法です。

マンションを賃貸に出すまでの手順

マンションを賃貸に出すまでの手順

マンションを実際に賃貸に出すまでの手順は以下の通りです。

【マンションを賃貸に出すまでの手順】

  1. 管理会社を決める
  2. 契約方法や家賃を決める
  3. 入居者を募集する
  4. 入居者と契約を結ぶ

手順を把握しておくことで、貸し出すまでのイメージを抱きやすくなるでしょう。それぞれの工程で意識すべきポイントなどがあるため、次項の解説を参考に必要な情報をチェックしておいてください。

管理会社を決める

まずは管理会社を決めます。管理会社を選ぶ際は、以下のポイントを参考に選定しましょう。

【管理会社を選ぶポイント】

  • 物件が対応エリアであるか
  • 管理手数料はどのくらいか
  • 管理業務はどのくらいの範囲まで実施してくれるのか
  • 担当者とコミュニケーションが取りやすいか

重視するポイントは人によって異なりますが、初めてで良く分からない場合にはこれらのポイントを参考にしてみてください。

ちなみに、管理会社を利用しない方法もありますが、自身の負担が大きくなりすぎるため本記事ではおすすめしておりません。まずは管理会社を利用することを前提に、最適な管理会社選びをしましょう。

契約方法や家賃を決める

管理会社を決めたら、続いて契約方法や家賃など契約に関する内容を決めます。契約方法は、普通借家契約定期借家契約一時使用賃貸借契約の3種類があります。まずは途中で解約をしてもらう可能性があるかどうか明確にしましょう。「貸主からの途中解約は原則できない」で触れたように、普通借家契約の場合は貸主の希望で途中解約ができないため、途中解約を希望する可能性があるのなら、定期借家契約か一時使用賃貸借契約を選択しなければいけません。

それぞれの契約方法の詳細は以下の通りです。

普通借家契約 契約期間を1~2年とすることが一般的な契約方法。入居者側の住む権利が強く守られるため、途中で解約を貸主から申し出ることは基本的にできない。
定期借家契約 定期借家契約は予め解約日を設定した上で契約を締結する方法。契約時に契約期間の設定を行い、契約期間の終了とともに退去を求めることができない。
一時使用賃貸借契約 一時使用賃貸借契約は、転勤中だけ貸し出したいなど、期間を「貸すべき目的のために必要な期間」に限定した賃貸を行うための契約方法。

続いて家賃は、周辺の似通った物件の相場と、賃貸に出すことでかかる費用を踏まえた上で設定します。相場から乖離して高くなりすぎると、入居希望者が集まらない可能性が高くなるので気を付けましょう。妥当な家賃設定が分からない場合は、複数社へ無料の賃料査定を依頼し管理会社への相談によって判断してみるのもおすすめです。

入居者を募集する

契約や家賃について決定後、実際に入居者を募集します。基本は不動産ポータルサイトに掲載して入居者を募集するのが一般的です。

入居希望者が集まりだすと、それに比例して内見希望も増えていきます。内見の結果は入居希望が出るかどうかに大きく影響するため、内見時の印象ができるだけ良くなるように努めましょう。例えば、ハウスクリーニングをした状態で内見できるようにしておけば、綺麗な状態で物件を見てもらえるため入居希望に繋がりやすくなります。どのように準備すべきか、管理会社に相談するのも良いでしょう。

入居者と契約を結ぶ

実際に入居希望が入り、保証会社の審査やオーナー側の入居審査が完了したら契約を結んでいきます

契約を結ぶ際には、入居希望者から要望が入るケースがあります。例えば、入居希望者の引越しに合わせた契約日の調整などが挙げられます。そういった要望に応えつつ契約が完了したら、実際にマンションの賃貸が開始します。

また、マンションを賃貸に出す場合は管理組合への届けなどが必要になるため、そういった手続きも並行して進めてしまいましょう。必要な手続きに関しては管理会社に相談してみると良いでしょう。

マンションを賃貸に出す際によくある質問

分譲マンションは賃貸に出せる?

分譲マンションを賃貸に出すことは可能です。ただし、住宅ローンが残っている場合は賃貸に出すことができませんので注意してください。

賃貸に出せるマンションは築何年まで?

賃貸に出せるマンションの築年数は、特に法律で定められていません。ただし、1981年5月以前に建てられたマンションは旧耐震基準に該当するため、その旨の説明は入居希望者に対してする必要があるでしょう。また、大規模修繕の予定も確認し、直近で予定があればその旨も伝えておきましょう。

賃貸に出したマンションの管理費や修繕積立金は誰が払う?

賃貸に出したマンションの管理費や修繕積立金の負担者はそれぞれ異なります。管理費は家賃に含めて入居者負担にすることができ、修繕積立金は貸主(オーナー)負担が基本です。修繕積立金も管理費と同様に家賃に含めて入居者に請求できると思っている方が多いですが、実際のところは違うのでここで押さえておきましょう。

まとめ

マンションを賃貸に出すことで、家賃収入が得られます。賃貸に出すうえで最も重視するメリットが家賃収入と言えます。これから賃貸に出すか悩んでいる方の多くは、家賃収入を安定して得られるかどうかを基準に賃貸に出すべきか検討している方が多いのではないでしょうか。

マンションを賃貸に出すことで家賃収入を得て成功するためには、デメリットや成功させるためのポイントを正しく理解しておくことが大切です。賃貸に出した結果、赤字収益となっては意味が無いため、そういった事態を防ぐためにも本記事の内容はしっかりと押さえておくことを推奨します。

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