ワードローブ

わーどろーぶ

ワードロープとは
【概要】
服を入れるための収納家具のことである。一言でいえば「箪笥」であるが、洋風のワードローブを指して「洋箪笥」や「洋服箪笥」と呼ぶ機会が生まれたために、日本の箪笥をそれらに対して「和箪笥」と区別することがある。
和服をしまう引き出し中心ならば「和箪笥」や「箪笥」、洋服をしまうためのハンガーラックなどがついていれば一般的には「ワードローブ(洋箪笥)」であろう。
室内において、洋服等の収納という同様の機能を持つものには「クローゼット」があるが、こちらは基本的に設置や撤去のように動かすことなどできない部屋の設備を指していることが多い。こちらは部屋と一体化した一部であるので、「押し入れ」などと同じく、間取り図でも「CL(クローゼット)」「WIC(ウォークインクローゼット)」などと記載される。
これに対してワードローブは必要に応じて室内にあとから設置できるものを指している場合が多い。日本語の「ワードローブ」がそのように一般的に家具を指している一方で、英語の「wardrobe」はより広義に衣装部屋なども指すことがある。ちなみに「wardrobe」の語源は「ward」と「robe」に分解することができ、それぞれ「守る」、「服」のような意味とされる。
ファッション関連の分野においては、様々なファッションアイテムを出し入れできるストレージ(保管庫)というワードローブの機能から、ストレージに新しく手に入れたものを収め、適宜不用品を処分し、コーディネートしやすく整えていく様を比喩的に表して「ワードローブを育てる」といった用法もあるようだ。このときの「ワードローブ」は服飾を保管するための空間を広義に指しており、クローゼットのような室内設備も衣装部屋のようなより広域なスペースも含むものと考えられる。

【ワードローブの構成要素】
・ハンガーラック
ワードローブを和箪笥と区別する上でも、洋服をしまうためのものでなくてはならず、ワードローブと呼べるものを構成する中で必須と思われる存在。鉄製・木製・スチール製などがあるが、防錆性、耐荷重(強度)、重量などに差が出る。段数や列数で収納力に差が出る。

・棚(シェルフ)・チェスト
ワードローブは洋服を含めた服飾一式の収納を目的に設置されることが多いため、多くの場合で棚やチェストがついている。ワードローブ全体の大きさに占めるハンガーラックとその他チェスト等の割合は、ワードローブの収納としての使い勝手を大きく左右することと思われるため、長く使えるワードローブを選ぶ上で重要なことの一つ。ストックしておきたいアイテムの総量や、それぞれの出し入れの頻度を想像し、設置場所に関する他の収納スペースとの位置関係といったことも考えた上で、暮らしが楽になるようなバランスが合っているものを選びたい。

・カバー、扉
ハンガーラックやチェストはそれらを単体で家具として扱うことができ、それらのことがワードローブと呼ばれる場合もあるが、ハンガーラックにチェスト類かカバーや扉、あるいは両方が備わっていることで、一式をワードローブと呼ぶことが一般的である。
カバーや扉がついていないものはオープンワードローブとも呼ばれる。
扉には開き戸、引き戸といった違いがあり、開き戸は部屋のドアや他の収納の開閉の妨げとなることがあるため設置場所に注意が要る。一方で、引き戸は収納の片側ずつなどでしか開くことができず、中が暗く見づらくなる場合もあるため、内側に照明をつけることがある。場所を選ばず全開にしやすいがカバーがほしい場合の選択肢として布製(テキスタイル)のカバーも存在する。取り出した衣服を身に着けた際に、その場で身なりを確認できるように扉に鏡を取り付けたものもある。

【大型家具としてのワードローブ】
ワードローブには様々な大きさのものがあるが、多くの場合でベッドやソファー、食器棚などと並ぶ大型家具である。引っ越し時の出し入れや撤去、処分が容易ではない。
持ち家を購入後、短期間や長期間、あるいは無期限に何らかの事情で引っ越さなければならなくなったときに、購入した物件を無駄にしないための選択肢として、持ち家を「売るか」「貸すか」と検討することがある。
このときに、こうした大型家具は家電などとともに、基本的にはその物件から外に持ち出すこと(撤去)や処分を行うことになる。そのまま置き残すことで「残置物」として扱われる場合もあるが、例えば前述のクローゼットのように、部屋の一部となっていて移動が不可能な「設備」とは異なり、家具の多くは購入や入居を検討する人にとって歓迎されないことから、新居に持っていくか、捨ててしまうかを検討することが一般的。