リフォーム

りふぉーむ

【語義、リノベーションとの違いや使い分けについて】
不動産関連の用語としてのリフォームとは建物の改修のことを指す。
ほかに服の仕立て直しや修繕に対して「リフォーム」の語を用いることがあるが、ここの説明では建物の改修について取り扱う。

よく似た言葉にリノベーションがあるが、こちらも建物に手を加えて直すことを表す。
リフォームもリノベーションも英語由来の外来語だが、日本語としての意味に厳密な違いがあるわけではなく、どのような場面でも「どちらかを使っているのは間違い」ということは考えづらい。

差異に関して、いくつかの記事について用法や用例を確認し、また、検索サイトで検索される単語の組み合わせのうち、「リフォーム」「リノベーション」の各単語と高頻度で組み合わせて用いられる単語について調査を行ったところ、「リフォーム」と「リノベーション」は使われるときのニュアンス、主にそれらが行われる対象において傾向の違いが見受けられ、説明したい対象に応じて使い分けることが考えられる。
リフォームは「トイレ」「キッチン」「風呂」「洗面台」など設備ごとを対象として用いられる場面が多く、リノベーションでは「マンション」「一戸建て」「アパート」「空き家」「古民家」「平屋」など、建物などの全体を対象として用いられる場面が多い。

なお、Google検索におけるユーザーの動向などに関する情報が公開されているWEBサイト「Google Trends)」によれば、2022年(1/1~12/31)において、「リフォーム」と「リノベーション」が検索された比率は82:17。検索上の利用頻度では、リフォームはリノベーションの4倍以上用いられているようである。
また、Google検索でヒットする件数(2023年3月時点)について、

・リフォーム:約 7,120 万件
・リノベーション:約 2,810 万件

という検索結果が表示されることから、大まかにではあるが、WEB上のコンテンツとしてもリフォームがリノベーションのおよそ2.5倍ほど用いられているらしい。
前述のとおり、リフォームとリノベーション、それぞれの対象が「一部」と「全体」という関係性を持ち得ることから、リノベーションよりもリフォームの方がより具体的な話題・テーマに紐づけられやすく、より広範に用いられやすいということが考えられ、ニュアンスの違いに起因して、検索頻度、使用頻度の差が生じている推測も成り立つが、実際に言葉として簡単で覚えやすいリフォームの方が日本語としてより広く認知され、定着している可能性も十分に高いと思われる。

ほとんどの場面でどちらも使える中で、より通じやすい方を選ぶ際には「リフォーム」を用い、行われる改修が全体的や総合的であるニュアンスを明示や強調したい際にはリノベーションという語を用いることが適当であろう。
しかしながら、全体的だとより確実に伝えたいときには「フルリフォーム」や「フルリノベーション」といった言葉も用いられることがあるくらいなので、この一語の違いが受け手の印象に与える影響は弱く、ほぼこだわりなくどちらを使っても問題ないと考えて良いと言えよう。

【英語のreformについて】
英語の「reform」も何かを作り直すことを指すが、「人」「組織」「制度」を対象とすることが多く、日本語の「リフォーム」のように衣服や建物を対象に用いられることはない。ちなみに英語における住宅リフォームにあたる言葉の一つが「renovation」、もう一つは「refurbish」で、後者は語中に「furbish(磨く)」とあるように、前者に比べてやや表面的であったり、見た目に関わる改修を指す場合が多い。
「reform」は要素を「re」「form(形)」に分解できる。もともとある何かの形を変えて作り直すことが「reform」となる。

【リフォームの種類、リフォームを行う目的】
前述のような経緯から、ここでは建物の中でも特に住居に関する、規模の大小を問わないあらゆる改修を指して、特にリノベーションと区別することなくリフォームとする。
そのうえで、そうした建物・設備の改修には、目的に着目して次のような分類が考えられる。

<完了後の状態>
・以前と同等に近い機能を持った状態に戻すもの
・以前を超える機能や異なる機能を持った状態に変えるもの

<実行の場面1>
・物件に住むにあたって行うもの
・物件を貸すにあたって行うもの
・物件を売るにあたって行うもの

<実行の場面2>
・今住んでいる人の住居に対する満足度を高めるために行うもの
・これから住む人の住居に対する期待を高めるために行うもの

居住に適した住居は、そこに住む人によって変化する。人に貸したり売ったりすることで居住する家族が変わるだけでなく、同じ家族で暮らしていても、歳をとること、新しい家族が加わること、家族の一員が家を出ていくことなどが考えられる。住んでいる人が変わらなくても、物件の側が劣化や周辺環境の変化といった影響を受けることもある。リフォームは保有する物件に対して、建て替えない範囲で手を加えることで、望んだ住環境に適合させるための行為として行われることが一般的である。

<具体的な目的の例>
・売却や賃貸において、売却価格、賃料を引き上げることや、購入希望者、入居希望者を募りやすくするためにリフォームを行い、それぞれの目的において使いやすい状態に物件を仕上げることで、かけた費用を上回る経済的なメリットを生み出す。
・古くなった水回りの設備などを最新のものにするなどして、光熱費やメンテナンス費といった生活のコストを抑え、経済的なメリットを生み出す。
・成長した子供の学習スペースを用意することや、増えてきた家財の収納スペースを補うこと、内装の見た目を好みに合わせるなど、そこで暮らす家族の生活の快適さを高める。

【リフォームの対象となる設備の例】
・壁、天井、戸
壁を壊したり増やしたりすることで間取りを変える。壁紙を変えて明るさや雰囲気を変える。
壁・室内ドア・戸などの素材を変えて、防音性・耐熱性・耐水性といった、機能面での改善を図るなど。

・ドア、窓、サッシ
家の外と接する玄関ドアや窓といった部分のリフォームは、セキュリティ性を強化する目的のほか、通気性や断熱性を高めることなどが目的となる。

・床、階段
足元の床も居住の快適さにとって重要となる。フローリング、畳、カーペット、クッションフロア、タイルなどの素材があり、見た目以外にも静音性、保温性、防水性、掃除のし易さなどのメンテナンス性といった様々な違いが出る。段差をスロープに変えることや、床暖房を入れるといったことでも住みやすさが改善される。

・配管、配線、水回りなどの設備
表に出ていない水道やガスといった配管、電気の配線を工事して生活を便利にすることが考えられる。
キッチン、風呂、トイレ、洗面所といった水回りは、家が持つ機能の中で多くの人が重要視する部分なので、売る前や貸す前のリフォームで、まとめて交換や改修工事が行われるようなことも多い。