
海外赴任期間中は、赴任国の年金制度に加入する必要があるのか、日本で加入してきた年金制度はどうなるのか、気になるところだと思います。

赴任国の現地法人など、厚生年金が適用されない事業所で働く場合は、厚生年金の加入者でなくなりますが、日本国籍を有する20歳から65歳までの人は、国民年金に任意加入することができます。 国民年金の任意加入の手続きは、海外赴任前の場合は現在お住まいの市区町村の窓口で行い、すでに海外に居住されている場合は日本で最後に在住していた市区町村の窓口で行います。日本国内の協力者に手続きの代行を依頼することもできます。
海外で働く場合、原則として就労する国の年金制度に加入することになります。ただ、そうすると、日本と赴任国の社会保障制度に二重で加入することになり、保険料の二重負担になってしまいます。 しかも、年金を受け取るためには、一定期間その国の年金制度に加入しなければならない場合があるため、保険料の掛け捨ても生じてしまいます。
そこで、保険料の二重負担を防止するために加入するべき年金制度を二国間で調整する「二重加入の防止」と、保険料が掛け捨てにならないように両国の年金制度の加入期間を通算して年金を受給できるようにする「年金加入期間の通算」を目的に、日本と一部の国との間に「社会保障協定」が締結されています。
2011年1月現在、日本が社会保障協定を結んでいるのは、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランドの12カ国です。つまり、この12カ国に赴任する場合は、一定の要件を満たせば赴任国の年金制度の加入が免除されます。
ただし、イギリス、韓国、イタリアの3カ国とは「二重加入の防止」のみ有効で、「年金加入期間の通算」は適用されません。 一方、イギリス、韓国、イタリアを除く9カ国とは「二重加入の防止」とともに「年金加入期間の通算」も有効で、日本の年金制度から年金を受け取るためには原則25年以上の年金加入期間が必要となりますが、赴任国の年金加入期間も日本の年金加入期間とみなして取り扱われます。
日本と社会保障協定を結んでいる国では二重加入が防止されますが、どちらの国の制度に加入するのかを自由に選べるわけではありません。 赴任国の事業所で一時的(原則5年以内)に就労する見込みの場合は、日本の制度に継続して加入し、赴任国の制度への加入は免除されます。 一方、5年以上就労する見込みの場合は、赴任国の制度に加入することになります。赴任期間が5年以上と見込まれていた人が、予定よりも早く帰国して結果的に5年以内だったとしても、赴任国の制度への加入が免除されることはありません。